『暗い波紋』

2010年11月9日 読書
久能啓二の『暗い波紋』を読んだ。1960年
久能啓二の2作めで初長編作品。
例によって、最後にトリックのネタバラシしているので、未読の人は途中まで。
以下目次。
プロローグ
邂逅
発見者
思慕
鎌倉の道
マッチ
美しい女
神戸へ
疑惑
出頭
アリバイ
冷たい星
点滅
エピローグ
脇田という男はある女に魅かれる。
ほとんどストーカーのような行動で、女の名前が江口多賀子であることを知る。
女は、脇田を自宅に招いた。
脇田が江口家に到着して発見したのは、知らない女の死体だった。
しかし、その見知らぬ女こそ、本物の江口多賀子だったのだ。
「その女は、自分から、家がどこで、名前をなんというか、はっきりしたことは一度も言わなかったわけじゃないか」

多賀子だと思い込んでいた女は、一体だれだったのか。
脇田は、自らにかけられた嫌疑を晴らすためにも、また、女の真意を知るためにも、その女の正体を探るため、友人の記者、河崎に調査を依頼した。
鎌倉が舞台になっていたり、被害者の多賀子が古美術のマニアだったりするあたりが、久能啓二らしい。
で、このあらすじだけ読むと、「なんだ、幻の女のバリエーションか」と思い込んでしまうのだが、それが一筋縄ではいかない。
「あとがき」で作者はこう書いている。
「推理小説としての面白みが希薄すぎる。心理小説でしかない」
という非難を方々からあびせかけられた最初の作品が活字になって以来、1年余が過ぎた。
(中略)
この作品では、私なりに面白みを強くうち出そうと努めた。狙い通りに書くことができたかどうかは、読者の判断にゆだねるほかはないが・・・

作者の狙う「面白み」(傍点ふってあった!)は、推理小説マニアの思惑をはずして意外性をひきだすところにあった、と思われる。
事件全体を貫いているらしい幼稚なミステリーじみたからくりが、河崎にはひどく腹立たしくなった。替え玉の女を使い、善良な男を犯行直後の現場にさそって容疑者にしたてる。男は無実の罪に苦しむ。あまつさえ、おとりの女に惚れこんでいる-。ひと昔前の探偵小説でも、気のきいた作家なら使わない手だ。


言われなくても、河崎自身よく承知している事実であった。現実の事件は、たあいないからくりを操作して読者たちに一時の喜びを与えるフィクションとは全く異質である。物語ではめったに許容されない偶然、突発事故、そして脈略のない人間心理の動きなどが介入してくる。


「このあたりで、江口氏とか青木氏のアリバイが崩れたりすれば、事件としては面白い。記事を書く俺だって張合いがあるよ。小説としちゃあ、フェアでないにしろ、ここらで意外な人物が捜査線上にあらわれ、そいつが真犯人だった・・・ということになってくれてもいい。無責任な言いかたかもしれないが、俺にとっては、事件が不自然であればあるほど、記事にしがいがあるんだからな」


これらの作者の口ぶりに、推理小説マニアから非難されたことに対する恨み、反感みたいなものが感じ取れないだろうか。「推理小説としての面白み」がいかに「幼稚」で「たあいなく」「不自然」であるかをそれとなくほのめかしているのだ。
ストーリーの流れも、読者の予想を次々と裏切っていく展開をみせる。
まず、事件の鍵を握ると思われた「幻の女」が、比較的あっけなく名乗り出る。そして、それによって事件はいっこうに解決しないのだ。
事件を解こうとしていた河崎にその事実がつきつけられる。
事を余りに甘く見ていた自分に、それらは鋭いほこ先を突きつけていたのである。かつて脇田の言ったように、事件は複雑なからくりを備えているのだ。“女”は鍵ではなく、からまり合った紐の一つの結びめでしかない。

では、推理小説的面白みに欠けるのかと言えば、そういうわけではない。確かに、アリバイを問題にするにはあまりにもあやふやで、犯人を特定する論理的な納得にも欠けている。でも、クリスティー的な意外性、今まで犯人とは疑っていなかった人物に最後の最後にスポットライトを浴びせて、その人物がいかに犯行をなしえたかのトリックをバラバラとあばいてカタルシスを覚えさせる工夫がしてあるのだ。
この作品は前半が『幻の女』的サスペンスで、中盤にいたって被害者多賀子の潔癖で冷酷な素顔が描かれ、最後に本格推理小説の結末がやってくるのだ。
さて、真相は。(以下、ネタバレ)
そもそも脇田が容疑者に仕立て上げられたのは、脇田が女の前でエエカッコしようとして、「資産家の息子」だと嘘をついたところにあった。
犯人は、脇田を事件に巻き込み、脇田がしらばっくれるのを予想して、強請ろうとしていたのである。
犯人は自宅で「ある人物」と一緒におり、ラジオを聞いていた、というアリバイを持っていた。一緒にいた「ある人物」のほうが容疑者の1人であり、最後の最後まで犯人は「ある人物」のアリバイを証言するはずの人物としか思われていなかったのだ。
で、このラジオについて、犯人は2つトリックを使っている。
1、ラジオをチューニングして番組を選んでいるように、隣の住人に思わせる、音のトリック。
これは、2つラジオを用意して、自動的に一方のラジオともう一つのラジオに電気がスイッチングするように仕掛けておく、機械的トリック。交互に音が鳴るので、まるでひとつのラジオを操作しているように聞こえる。
2、音がうるさいと怒鳴り込んできた隣人に戸口で応対し、部屋の中の人に「音量をさげてくれ」と叫んで、ラジオの音を小さくするトリック。
これも2つのラジオを使う。同じ局にあわせた2つのラジオをどちらも音を鳴らしておき、片方を大音量にする。隣人が怒鳴り込んできたとき、後ろ手に大きな音の鳴るほうのラジオのコンセントをもっておき、部屋の中に叫んですぐにコンセントをこっそりぬく。すると、小さい音量のラジオだけが聞こえて、まるでだれかが部屋の中におり、ボリュームをしぼったように聞こえる。
ただ、この2つめのトリックは現在なら、リモコン使えば一発で、時代を感じさせるな、と思いきや、まず、そのリモコンを使えば簡単だ、的な種あかしがあり、「もっとてっとり早い方法」として、コンセントのトリックが推理されるのである。
ラストでは、被害者多賀子の潔癖で冷酷な性格が事件そのものを招いたのではないか、との感慨も出てきて、とにかく、この「潔癖で冷酷な被害者」と「推理小説マニア」への嫌悪が貫かれるのである。
推理小説マニアは、そうした反発を逆に喜ぶ傾向があって、「アンチミステリー」と題された作品を絶賛したりするので、久能啓二はあっぱれ「心理小説」でなく「推理小説の面白み」をこの作品で実現したと言えよう。

『大洞窟の謎』

2010年11月8日 読書
ボンゾンのクロワ・ルス少年探偵団シリーズ第5弾『大洞窟の謎』を読んだ。1965年
裏表紙のあらすじ。
夏休み。クロワ・ルスの6人組は、ひょんなきっかけで、マルザル大洞窟で、ガイドのアルバイトをすることになった。さっそく6人と犬のカフィは、自転車でマルザル大洞窟に向かう。マルザルに着いたのは、夜中の10時すぎ。彼らは、洞窟のちかくで、不審な人影を見た。
数日後、カフィが行方不明になった。毒が仕込まれた肉片を発見。カフィは毒殺されてしまったのか?洞窟のどこかにまぎれこんでしまったのか?
カフィを探す6人組と、ガイドのスペイランさんの周辺に、あやしい男たちの影がちらつく。彼らのねらいは何?

以下、目次
1.あやしい光
2.地下のおとぎの国
3.マディへの手紙
4.8月17日の夜
5.薬剤師の説明
6.監視
7.洞窟の底で
8.気がかりな発見
9.マディの捜査
10.シャンデリアの広間
11.待ちぶせ
12.地底の活劇
13.2たす2は4
14.あやしいつつみ
15.謎をとく二つの鍵

これもまあ、宝さがしのお話。
その宝が何だったか、というのが、洞窟とそぐわなくて、意外だった。
ネタバレすると、ルーベンスの絵だったんですがね。まさか、そんなものが洞窟に隠されているとは思いもしないでしょ。
ところで、最近、エラリイ・クイーン・ジュニアとボンゾンのジュニア探偵小説読んでみて感じたけど、圧倒的にボンゾンのほうが面白いのである。
学生時代に推理小説が好きでクイーンを読み漁ったけど、なぜかジュニア向けの本が読めなかった(途中でほうりだしていた)のも、無理はない、という感じ。
かろうじて今迄読んだなかでは、「金色の鷲」だけが、学生時代の僕にもすすめてあげられるくらいかな。
まあ、まだ『黒い犬』のは読んでないし、その後の翻訳したのも読んでないので、そのあたりに本格マニアをうならせる傑作があるのかもしれない。
日曜日はファンタピースの日。
今日も自分が出演するライブがあるので、ファンタピースのPチームの登場する午後2時からの回だけを見に行く。
入場時に、客席で応援するFチームの子に、「あ、デーハーだ」とか言われてうれしかった。
いろんなアイドルライブで「ハデハデマン」(これは、おかめふく)とか「レインボウ」(これはゆうなちゃん)とか言われるけど、こんなふうに覚えていてくれているのは、ありがたいものだ。

ライブ前の場内放送(制服向上委員会みたいだ!)は、川口梨花
1.オーバー・ザ・リアリティー
2.ミラー・オブ・トゥルース
ゆうながマイクを飛ばす大ハプニング。なにごともなかったかのように踊り続けたが、動揺が振り付けの間違いにあらわれたりして、「ゆうなでも動揺するんだ!」と新発見。
自己紹介。今回のMCはなつみ、りほホンが担当。
トークのお題は「今、食べたいもの」
清本あんなの「マカロン」にはメンバーから「セレブ~」の声。
山口りほの「お寿司」はおなじみだが、最高25皿の記録を持っているらしい。僕なんかぜんぜん負けているな。
3.ラビリンス(山口りほ、山崎佑奈、長谷川寿里、中村菜摘)
4.ハピハピ(川口梨花)
5.会いたかった(エンジェル:山口りほ、清本あんな、山崎佑奈、長谷川寿里、中村菜摘)
6.勇気100%(鞠谷ふうか)
7.ファンミニテレフォンだリンリンリン!(ファンミニ:山崎佑奈、中村菜摘、山口りほ)
なんと、りほホンがファンミニに参加!自己紹介で「デカりほです」と言ってた。
8.ちょこっとLOVE(ファンミニ)
9.君だけに・・・love you(清本あんな、長谷川寿里、鞠谷ふうか、川口梨花)
4人バージョンでの新しい振り付けで踊っていた。これくらいの人数だと、メンバーのソロが全員にまわってくるので、声援もかけやすいってもんだ!
トークのお題は「最近よく聞く曲」
川口梨花「ハピハピ」(ベッキーの歌)
鞠谷ふうか「言い訳maybe」
清本あんな「ワイルドフラワー」(スーパーフライ)
長谷川寿里「(ももいろクローバー)」
山口りほ「(ガールネクストドアー)」
山崎佑奈&中村菜摘「(少女時代)」(声をあわせて)
じゅりりんが言った、ももいろクローバーをファンタピースでカバーすれば、すごいのにな、と思った。ペットボトル1本あけるほど汗かいて踊らないといけないけど。
10.ロンリーオンリー
11.ハッピーアワー
ハッピーアワー聞くと、ああ、もうライブ終わってしまうんだな、とせつない思いにとらわれる。
と、いうことで、アンコール。
12.この先へ
タオルぶんまわし系の新曲のタイトルは、これだったんだ!

ライブ後のコミュニケーションタイムで、今日、昼間にサンリオショップで買ってきたクリスマス用のチョコ(早すぎた?)をひいきのメンバーにプレゼントする。
キャラクターのチロルチョコつめあわせを買おうと思って行ったけど、入れる缶の種類がちょっと気に食わなくて、急遽クリスマスチョコにしたのだった。
メンバーはその後、オタロードにチラシ撒きに行ったようだ。

さて、今日は千林大宮のKinPouGeで「MUSIC WAR COUNCIL」略して「M.W.C」のイベント。
毎回バラエティに富んだ歌い手さんが登場し、司会と、トーク、盛り上げ役を僕は担当している。まあ、そんないてもいなくてもいい役割なのに、肩書きだけは「パフォーマンスリーダー」とつけてもらっている。
驚いたのは、この日は、キンポウゲではイベントが2部構成で、1部の「オフコースday」のちょうど終わりかけに入っていったことだ。
ライブスペースに到着するまでに、オフコースの歌が聞こえてきて、てっきりCDだと思っていたら、生で人が歌っていた。
こりゃ、たいしたもんだ!

帰宅して、録音しておいたNHK-FM「現代の音楽」

                         猿谷紀郎
 - “N響ミュージック・トゥモロー2010”から -(2)
                              
「室内楽 第8番“木々はみな緑”作品94」         
                   アウリス・サリネン作曲
                      (19分20秒)
            (チェロ)ピーター・ウィスペルウェイ
                   (弦楽)NHK交響楽団
                  (指揮)パスカル・ロフェ
                              
「まなざしの根源」     マルク・アンドレ・ダルバヴィ作曲
                      (16分50秒)
                  (管弦楽)NHK交響楽団
                  (指揮)パスカル・ロフェ
  ~東京オペラシティ・コンサートホールで収録~      
                   <2010/6/22>
                              
「“和解のレクイエム”から 第8曲 オッフェルトリウム」  
              マルク・アンドレ・ダルバヴィ作曲
                       (7分40秒)
                 (合唱)ゲッヒンゲン聖歌隊
                 (合唱)クラクフ室内合唱団
       (管弦楽)イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団
                (指揮)ヘルムート・リリング
       <日本コロムビア COCO-78776(7)>

日曜日の深夜はUstreamで常盤響くんの「レコ部」
いつもよりも遅くはじまったが、どうせ僕も朝まで起きているので、ちょうどいい。
岡林をはじめて「いい」と感じた。過去において、聞いていたのが僕がまだガキンチョすぎたってことなんだろう。歌詞の内容考えたら、今や岡林のほうが「ガキンチョ」に近い青臭いこと言ってるんだけど、そういう青臭いことが大好きなのだ。

古谷三敏の『ボクの手塚治虫せんせい』を読んだ。
古谷三敏が手塚治虫のアシスタントをしていた4年半のことを中心に、最後は赤塚不二夫逝去に際して書かれた漫画まで。
以下、目次

漫画
えぴそーど1 腐ったみかん
えぴそーど2 原稿破り事件の真相
えぴそーど3 これ、どこが面白いの?
えぴそーど4 巨匠が怒るとき
えぴそーど5 お休みと映画
えぴそーど6 一流とは?
えぴそーど7 大脱走!!
えぴそーど8 結婚騒動記
えぴそーど9 井上くんのアイディア
えぴそーど10 赤塚不二夫先生

エッセイ
32ページの原稿が一晩で完成!
手塚先生のプライド。
家族、善意と楽しさに溢れて・・・。
「アカハタ」だって?じゃあオレたちの労働環境はどうなんだ!?
音楽に関心ー手塚先生、古谷の幅広い好奇心に驚く?
思い出いっぱい、白亜の仕事場。
深夜に「コーヒーが飲みたい」という先生の本音。
先生の好きなもの・・・?
茶碗がムシ!?って笑いころげた赤塚先生

本書は月刊『アクションZERO』に連載されたものを中心に収められているが、雑誌の休刊でやむなく中断したのが惜しまれる。
内容は、古谷三敏がとにかく何も知らず、ドジばっかりで、というような失敗談が多い。お客さんにカステラを切って出したとき、そんなことしたことないので、大きな豆腐みたいな真四角のでかいカステラを出したとか、ストーブに灯油を入れそこなって、火事になりかけたとか。小さなドジエピソードから、危機一髪の失敗談まで。
ダメおやじみたいな、マゾっけたっぷりの本だけど、ほのぼのする。

アリオ鳳で臨時のハロプロ縁日。ゲストライブ、午後3時からのステージを見に行った。
宮崎梨緒
1.会えない長い日曜日
2.LOVE涙色
トークタイムをひとりでまかされて、「何言っていいかわからない」とあたふた。
アイドルでおしゃべりも面白く自然にこなす、というのはなかなか難しいので、とくに減点要素にはならないが。
SI☆NA
1.ガールズパワー・愛するパワー
2.フランキンセンス
それぞれ面白いものの、おしゃべりは不発。これはいったいどうしたわけだ。
衣装はキラキラの上(あさみ=ブルー、まなみ=パープル、あい=レッド)に、下は迷彩のバリエーション。
SI☆NA&宮崎梨緒
1.ラブマシーン
この曲も、「古い」というより、古典的な伝統芸能の域に達した感がある。エバーグリーンの仲間入り。

午後4時45分から道頓堀ドンキホーテ前のクローバーステーションで、リトルキューティーJ’sのラジオとライブ。
こっちはもう、よどみないおしゃべり。こんな感じで宮崎梨緒やSI☆NAもしゃべってくれないものか、と思った。
弁当に入っていてほしいものとか、そんな話で、高菜をおしていたのは、女の子っぽいなあ、と思った。
ライブは1曲。
フォーエバーラブ

今日はなんばBEARSで自分BOXの15周年ライブ。
僕も開会の辞とライブでお祝いした。
出演順は、次のとおり。

開会の辞(保山ひャン)
自分BOX with ララボンゴ
シモーヌ深雪
保山ひャン
嶽本野ばら
ガンジー石原

みんな少なくとも15年前からのおともだち同士で、楽しいライブだった。
たぶん場所を間違えて入ってきていた外国人のお客さんもおり、僕のライブをしきりに「プログレッシブ!」とか「ファッキン、ロックンロール!」とか「ジーザスライブ」などと興奮されていたと聞き、たいへんうれしかった。
自分BOXのためにかけつけたアーチストの音楽ジャンルだって、シモーヌ(シャンソン)、保山(ジーザスライブ)、野ばら(ノイズ)、ガンジー(フォーク)と、バラエティに富んでいた。
ライブ後は、居酒屋で打ち上げ。朝まで。



ボンゾンのクロワ・ルス少年探偵団シリーズ第4弾『のろわれた城館』を読んだ。1965年。
裏表紙のあらすじには、こうある。
レマン湖のほとりでバカンスをすごしているマディをたずねて、クロワ・ルスの6人の仲間は、自転車旅行をした。
目的地のすぐ近くでナッフィの自転車が故障し、すぐそばの城館の中で修理をしてもらった。実は、その城館は、奇妙な伝説のあるのろわれた城館だったのだ。城館とレマン湖を舞台に、つぎつぎと謎めいた事件がおきる。
城館に住んでいる女の子サガとその父親アルメリの身に、危険な魔の手がのびている。クロワ・ルスの6人の少年、そしてマディ、犬のカフィは、力を合わせてのろわれた城館の謎に挑戦していく。

以下、目次。
1.謎めいた城館
2.危機一髪
3.奇妙な訪問者
4.カプリス号
5.トトールの証言
6.二度目の怪事件
7.サガの証言
8.二度あることは三度ある
9.女の子にはかなわない!
10.小びんの謎
11.おそわれた仲間
12.思いがけない人物
13.カフィの活躍
14.ゆうれい船
15.動機の謎
16.城館のバカンス

ものごとのいい面しか見ずに、車に細工されて事故ったり、浴室で感電しても、誰も怪しまない性格のトトールがすばらしい。
犯人は実は女の子を狙っていろいろ仕掛けたのだが、それがトトールの身の上にふりかかっていたのだ。だけど、それをまるで「あ~、あぶなかった!」程度ですませている明るさというか、天真爛漫さで、救われる。

NHK-FMの海外の現代音楽特集、最終日。
                           近藤譲
 - 海外の現代音楽 -(5)               
                              
 ▽ジル・トランブレー、ハンス・アブラハムセン、      
                トリスタン・ミュライユほか 
                              
「源」                ジル・トランブレー作曲
                      (14分15秒)
           (メゾ・ソプラノ)ミシェール・ロオジエ
              (管弦楽)モントリオール交響楽団
                   (指揮)ケント・ナガノ
  ~カナダ・モントリオール                
         サル・ウィルフリッド・ペルティエで収録~ 
                   <2010/2/16>
  (カナダ・フランス語地域放送協会提供)         
                              
「水の音楽」             ジル・トランブレー作曲
                       (6分07秒)
「反歌」               ジル・トランブレー作曲
                      (32分47秒)
                (ピアノ)ルイーズ・バセット
          (演奏)ケベック現代音楽協会アンサンブル
               (指揮)ヴァルテル・ブードロー
  ~カナダ・モントリオール                
          ピエール・メルキュール・ホールで収録~ 
                   <2010/3/18>
  (カナダ・フランス語地域放送協会提供)         
                              
「夢の歌」            ハンス・アブラハムセン作曲
                      (16分38秒)
        (演奏)トリオ・コン・ブリオ・コペンハーゲン
  ~デンマーク・コペンハーゲン              
       モーゲンス・ダール・コンサートホールで収録~ 
                   <2010/2/22>
  (デンマーク放送協会提供)               
                              
「セレンディブ」         トリスタン・ミュライユ作曲
                      (15分55秒)
        (演奏)アンサンブル・アンテルコンタンポラン
                 (指揮)スザンナ・マルッキ
  ~オランダ・アムステルダム コンセルトヘボウで収録~  
                   <2010/4/24>
  (オランダ公共放送提供)            

『隠れた顔』

2010年11月4日 読書
小島直記の『隠れた顔』を読んだ。1961年。
以下、目次。
プロローグ
第1章 摘発
第2章 情報買います
第3章 不可解なこと
第4章 狐と狸
第5章 会いたい女
第6章 噂
第7章 手先
第8章 会社の敵
第9章 術策
第10章 約束手形
第11章 放水路
第12章 査問会議
第13章 妹
第14章 指輪の女
第15章 隠れた顔
エピローグ
巻末の作品紹介には、こうある。
創立以来の功労者で専務でもある須田が、どんな破滅の道を辿ったか?現代社会機構の恐ろしさをえぐる雄篇!

同族会社に勤務する主人公が、国税局の査察を契機にして、窮地に立たされてしまう過程が、ほんと、もう、はらわたが煮えくりかえるように描写されている。
野心と保身と裏切りに満ちた世界!
こういった描写が主眼で、結局誰が殺害犯なのか、というのは二の次、と言ってもいい。
言質をとられることで、実態とずれが出てくるのは、政治の世界のデフォルトでもあるが、そういえば会社勤めでもこういうことあったなあ、と苦い思い出とともに感じさせられた。
しかし、である。
「なるほど、タイトルの隠れた顔、っていうのは、裏切りを意味してたんだな」と納得しかけた最終章、とんでもないことが起こる。
え、なに、これ、誤植?と思わされるショックが待っていた。死んだと思われていた被害者が、別の登場人物と同一人物で、生きているのが明らかになる。
え、今までこいつと思ってたのが、実はあいつで、じゃあ、目の前のこの死体はいったいどこの誰?
え、え、どういうこと?と読者がうろたえる状態で、物語は終わる。
これはサプライズ・リドルストーリーなのか!
                          近藤譲
 - 海外の現代音楽 -(4)               
                              
 ▽ジャック・ボディー、ルー・ハリソン、チナリ・ウンほか  
                              
「メロディー」            ジャック・ボディー作曲
                      (14分24秒)
             (管弦楽)ニュージーランド交響楽団
                (指揮)ピエタリ・インキネン
  ~ニュージーランド・オークランド タウンホールで収録~ 
                   <2009/3/27>
  (ラジオ・ニュージーランド提供)            
                              
                              
 <サンタフェ室内音楽祭2009から>           
                              
「変化に富んだ三重奏曲」         ルー・ハリソン作曲
                      (16分15秒)
「螺旋」                  チナリ・ウン作曲
                      (13分37秒)
                (演奏)リアル・クワイエット
  ~アメリカ・ニューメキシコ州・サンタフェ        
       ニューメキシコ美術館内、           
          聖フランシス・オーディトリアムで収録~ 
                   <2009/8/13>
  (アメリカン・パブリック・メディア提供)        
                              
                              
 <ピエール・シェフェール生誕100年記念演奏会から>   
                              
「悲壮なエチュード」       ピエール・シェフェール作曲
                       (4分03秒)
「シンフォニー・コレクター」      ピエール・アンリ作曲
                      (38分50秒)
  ~フランス・パリ オリヴィエ・メシアン・ホールで収録~ 
                    <2010/1/9>
  (ラジオ・フランス提供)          
エラリイ・クイーンの『青いにしんの秘密』を読んだ。1954年。
裏表紙の作品紹介。
ある日、ジュナはアニーおばさんと一緒にキャンディおばさんのところへ遊びに行った。キャンディおばさんの曽祖父はむかし捕鯨船の船長だった人で、壁にはモリやヤリがたくさん掛けてあった。やがておばさんが見せてくれた船長の古い航海日誌は、大いにジュナを楽しませてくれた。だが、ページを繰っていたジュナは奇妙な言葉にぶつかる。何だろう?つぎのページは破り捨てられているし、さっぱりわからなかった。”青いにしんをあげてみろ”と言い残して死んだ老船長が書いた謎の文章とは・・・ジュナはついに暗号の解読に乗り出す!


以下、目次。
1.赤いにしんが青いのは?
2.謎のクルップ先生
3.網のいろいろ
4.にしんは青い。たしかに青い!
5.ブロードウェイの古い番地
6.赤いマーク、青いマーク
7.薬剤師ペリー、歌を聞いて怒る
8.あやしい自動車
9.網漁の日
10.納屋を、倉庫を、博物館を!
11.意外な夕食会

本書で紹介される、子どものレジャー、娯楽、レクリエーションは、漁だ。このシリーズでは、事件の内容はほとんど宝さがしになっていて、本書では真珠のありかをさぐる。
ダイイングメッセージの「青いにしん」にはひねりがきかせてある。
船長の残した日誌の暗号は、聖書の言葉から解読される。
そして、ダイイングメッセージの「青いにしん」は実はよく似た別の言葉の聞き違いで、その聞き違いは鳥類についての知識があってはじめて解ける二重底の真相が用意してある。
また、本書には興味深い描写がいくつかあって、シリーズ中でも1,2を争う注目作になっている。
まず、ミステリファンならおなじみの「赤いにしん」(レッドヘリング)について解説がある。
 
「赤いにしんというのは、つくり言葉で、赤いにしんを引きずるというのは、わたしにはうまく説明できないけれど、つまり、ひとをだますことーたとえば、奇術師が、”さあ、私の右手にご注意”っていうと、見物人が、みな右手を見るでしょう。そこで、そのすきに左手で何か細工をするわけだけれど、そういうことを、赤いにしんをひきずるっていうのよ」
「キャンディさんのおっしゃるとおり、これは、たいへん古いことわざで、何百年も昔、イギリスで犬を使って狐狩りをはじめたころ言いはじめたんだそうだわ。犬は狐が残したにおいをかいで追いかけるでしょう。ところが犬が迷うことがあるわね。そういうときに、誰かが赤いにしんを引きずって行ったもんだから、それで犬の鼻が完全にばかになってしまったので、そこから出たことわざらしいわ。たぶん赤いにしんは、においが強くて、ほかのにおいを消してしまうんでしょうね。ほかにも、そういう言葉があるわよ。何か怪しいとか、しかけがありそうだというときに、”くさい”っていうじゃありませんか」
「以前は、にしんといえば、たいていくんせいにして食べたものだが、そのくんせいのことを、この土地では赤いにしんというんですよ」


なるほど。
そして、名探偵にありがちな、1人だけ真相を見抜いて、それをなかなか明かそうとしない描写もある。
「まだ何ともいえないんだ」とジュナは用心ぶかく言った。「ぼくはー」だが、このときボビーがさえぎったので、あとの言葉がつづかなかった。
「何か見つけたんでなければ、きみがそんな顔をするはずがない」とボビーは、なじるように言った。「ぼくは最初から、きみと行動を共にしているのに、どうして、そんなにかくしだてするんだ?」
「いや、そういうわけじゃないんだ」とジュナは言った。「ちょっと思いついたことがあったので、それをためした上でー」
「それなら、その思いつきってのを聞かせてくれてもいいじゃないか」とボビーは言いかえした。
「トミー・ウィリアムズも言っていたが、きみは、いつもこんなふうなんだ。何も知らないような顔をしていて、あとになって、ああだとかこうだとかいうんだ」


わかる、わかる、そのもどかしい思い!
海外の現代音楽、3日めはムジカ・ヴィヴァから。
                           近藤譲
 - 海外の現代音楽 -(3)               
                              
 ▽ムジカ・ヴィヴァ 2009-2010シーズンから    
                              
「第九 7“塊”」        モーリッツ・エッゲルト作曲
                      (17分59秒)
「カノン」           ディーター・シュネーベル作曲
                      (33分39秒)
              (管弦楽)バイエルン放送交響楽団
                 (指揮)ペーター・ルンデル
  ~ドイツ・ミュンヘン ヘルクレスザールで収録~     
                    <2010/2/5>
  (バイエルン放送協会提供)               
                              
「もしも」             リチャード・バレット作曲
                      (16分18秒)
              (管弦楽)バイエルン放送交響楽団
               (指揮)ローター・ツァグロゼク
「フォルミカリウム」      アドリアーナ・ヘルツキー作曲
                      (18分34秒)
                (合唱)バイエルン放送合唱団
               (指揮)フロリアン・ヘルガート
  ~ドイツ・ミュンヘン ヘルクレザールで収録~      
                    <2010/7/9>
  (バイエルン放送協会提供)  
エラリイ・クイーンの『白い象の秘密』を読んだ。1949年。
裏表紙の作品紹介には、こうある。
リヴァートンの町に大サーカスがやってきた。ジュナとトミーは大はしゃぎ。ブーツさんのトラックに乗りこみ、二人はさっそくショー見物にでかけた。サーカスの中はめずらしいものばかり-テントづくり、トラにライオン、ヘビ使いに道化師。そして、たちまち二人は、ブランコのりの名人スピットファイアと大の仲よしになった。ところが、ショーの最中、そのスピットファイアが落ちて、地面にたたきつけられてしまった!かけよるジュナに「白象」といい残し、彼は気を失う。このなぞの言葉が、ジュナを大がかりなサギ事件に巻き込んだのだ!

以下、目次。
1.丘の上のふしぎな家
2.大サーカスのはじまり
3.危険な仕事
4.きみょうな人たち
5.死の跳躍
6.ジュナ、危険にとびこむ
7.チャンプ、白象をかむ
8.一刻もぐずぐずできない
9.ジュナ、わなにかかる
10.”ヒービー、ヘビー、ホビー、ホーリー、やっとな!”

アメリカの子どもにとってのレジャーや娯楽が描写され、スパイスとして犯罪も加味されるこのシリーズ、今回はサーカスが取り上げられる。
1940年代のサーカスだから、見世物も健在である。
4章の「きみょうな人たち」はまさにその部分の描写になっている。
ふたりが、テーブルのはしのほうに見たのは、看板に”美しいヘビ使い”と書かれていた人物だった。そして、その女の首まわりには、ニシキヘビの子が、とぐろをまいていた。はじめ、ジュナたちは、そのヘビは作りものだろうと思った。ところが、見ているうちに、ヘビが、頭を動かし、赤い針のような舌をだしたので、本物だということがわかった。美しいヘビ使いは、そのヘビに何か言った。すると、ヘビは、また頭をさげ、おとなしくなったので、ヘビ使いは食事をつづけた。
ジュナたちが、やっとわれにかえって、そのヘビ使いのとなりを見ると、そこには、いすを3つも占領するほどふとった、でぶ女がいた。そして、そのとなりには、いすが1つでもあまってしまう、針金のような男がいた。この針金男のとなりにこしかけている、8,9人の人間は、看板に”ウバンギ人”とあった人たちだった。
(中略)
”ウバンギ人”のわきにいたのは、ひげ女-ジュナたちが、その朝、大男と一しょにいるのを見た、あのひげ女だった。大男は、いまも、そそりたつように、ひげ女のわきにこしかけていた。
それから、犬のような顔をした少年、三本足の男、四本足の男、シャム双生児、ゴム男、ナイフをのみこむ男などがいて、このナイフ男は、いまも、しきりにフォークをのみこむまねをしていた。それから、首長女、全身いれずみ男と、めずらしい人間に、かぎりはなかった。
「あのーあの人たちはー」と、ジュナは、となりに坐っているスピットファイアにささやいた。「世にもふしぎな創造の気まぐれって人たちですね?」


さて、ミステリの部分は空中ブランコから落ちたスピットファイアが意識を失う前に言った「白象」の意味をめぐる、一種のダイイングメッセージものだが、とくにひねりはなくて、宝のありかをさがす地図の場所、みたいなものをさしている。実際の白象、白象の作り物、そして、ジュナが入手したお守りの中にあった白象のマスコット。もちろん、ジュナが手に入れた象こそが、「白象」の意味で、この象には金庫を開けるための数字が刻まれていたのだ。金庫の中に入っていたのは、遺言書である。
乱歩の「サーカスの怪人」とか、ブラウンの「三人のこびと」など、サーカスを舞台にした作品は、華やかでワクワクさせるが、長じてから読むと、これらの「サーカス」のイメージが、映画「フリークス」の世界を頭に描いていることが多いのは、さすが、映像の力であろう。僕自身は、見世物小屋は好きで毎年楽しみにしていたが、サーカスは既に健全なショーになっていて、見世物的要素はなかったように思う。

         

銀杏祭

2010年11月2日 アイドル
午後2時30分から大阪市立大学の銀杏祭で、アイドルステージ。
もうちょっと早めに行動できれば中村佑介くんの講演も聞けたのだが、今日はこれが精一杯。
出演順に簡単なメモ。
Cheek Rabbit
ミニスカートを持ち上げるしぐさなどもあり、あからさまにボディ狙いのアイドルユニット。もちろん、僕はまんまと乗せられてしまうのだ。
愛しさとせつなさと心強さと、ペッパー警部、ディアマイフレンド。

Barbie Lips
いとこユニット。
ガチンコで行こう、サンキューなど。2曲めでやった「もっと、ずっと、キミと・・・」の感化力はすごくて、彼女たちのステージが終わったあと、イベントの最終盤まで影響を及ぼした。

姫☆DAN
ダンスではじまり、恋の運動会やブルーバード、オーバー・ザ・フューチャーとノリノリのステージ。

Mari7
恋のマジック、ジャンピング、ドリームダンシング、ステップ・バイ・ステップ
Mari7の「モニアゲッテマス、カ!」(と、聞こえる)がかなりツボで、この魅力に抗しきれず、何度も見に来てしまうのだ。

池本真緒
お兄ちゃん東京、ベイビーベイビー、恋するウーパールーパー、蛍光ペン、桜並木道。パンクバンドやってるいかつい野郎が、池本真緒のパワフルなステージに脱帽する瞬間を目撃した!

SKETCH
ダンスにはじまり、スケッチ、レモン色の恋、スティル、カモン、ブルースカイ。
はじめて見たときのスケッチは5人だったのに、今は3人。さびしい気もするが、しっかりしたアイドルに成長しているのが目に見えるので、まだまだ頑張ってほしい!

Mary Angel
スーパーアクション、ワクワクドリーマー、エンジェルウィング、マジカルスタア、ミラーボールナイト。おお、怒涛のセットリスト!これだけ多くのアイドルユニット見ても、やはりメアリーエンジェルは頭ひとつもふたつも抜けている印象を受けた。

KKいれぶん
十六夜、恋、14歳、私の彼は戦国武将、アブソルート。
先斗が欠席。ステージの広さのおかげか、いつもダンスチームと歌チームのフォーメーションがもたつく部分が、今回はスムーズに行っていた。

毎年、この銀杏祭は寒くて閉口するのだが、今年は比較的気温が高くて、持参したパーカーを使うこともなく、最後まで見れた。ただ、ずっと立って見ていたので足の疲労はハンパなかった。
それでも、家を出るまでは、「今日は疲れているからやめとこうかな」と弱気になっていたのが、ライブ中はすっかり元気で見れたのだから、アイドルの癒し力はたいしたものだ。

今週はNHK-FMで海外の現代音楽を特集した番組を放送している。
うっかりして1日めは聞き逃してしまったが、あとは全部エアチェックして聞いた。今日はドナウエッシンゲンからの演奏が中心だった。
                           近藤譲
 - 海外の現代音楽 -(2)               
                              
 ▽ドナウエッシンゲン現代音楽祭2009、         
           フィンランド、エストニアの演奏会から 
                              
 <ドナウエッシンゲン現代音楽祭2009から>       
                              
「二重の肯定」       マティアス・シュパーリンガー作曲
                      (31分09秒)
               (演奏)南西ドイツ放送交響楽団
  ~ドイツ・ドナウエッシンゲン              
              バール・シュポルトハレで収録~ 
                  <2009/10/16>
  (南西ドイツ放送協会提供)               
                              
                              
 <フィンランドの演奏会から>               
                              
「クラリネット協奏曲」        カイヤ・サーリアホ作曲
                      (35分16秒)
              (クラリネット)カリ・クリイック
             (管弦楽)フィンランド放送交響楽団
                   (指揮)サカリ・オラモ
  ~フィンランド・ヘルシンキ               
             フィンランディア・ホールで収録~ 
                    <2010/9/8>
  (フィンランド放送協会提供)              
                              
                              
 <エストニアの演奏会から>                
                              
「アガトン師」             アルヴォ・ペルト作曲
                      (14分06秒)
              (ソプラノ)アリアンナ・サヴァル
         (演奏)チェロ・オクテット・アムステルダム
「スンマ」               アルヴォ・ペルト作曲
                       (5分17秒)
             (合唱)ヴォックス・クラマンティス
             (指揮)ヤーン・エイク・トゥルヴェ
  ~エストニア・タリン セント・ジョージ協会で収録~   
                   <2010/8/31>
  (エストニア放送協会提供)        
森田雄三の『あたしが殺したのです』を読んだ。1961年。
以下、目次。
目次には思えないかもしれないが、目次なのである。

悪魔は構成し 霊安室を舞台に開幕のベルが鳴る
婦長は死体を前にして 祈祷し、何を告白するのだろうか
小男の指圧療法は違反であり 意外なトラブルをひき起こした
接点をつなぎ合わせると おんなという円が描かれてくる
事務局長の事故は 婦長をめぐる事件の発端にすぎない
「だれが殺したんです」 と細君は絶叫するのだが-
ヴィーナスは敬虔に祈り 最高潮に達したとき化身する
婦長はいつの間にか 不可解な幻想曲に耳傾けていた
4,5杯の葡萄酒で 婦長は深い眠りに落ち込んでしまった
運命の偶然だろうか 「不可抗力」に消される患者
看護婦詰所で晴れ着をきてみせたのに なぜ自殺してしまったのだろう?
質問の答えがゆさぶる 「殺害らしい傾向があるね」
影のようにつきまとう 宿命的な灰色の姿が-
どこからともなく 声のないあざ笑いがきこえてくる
やむにやまれない 病的になるのがマニアである
病気の診断はお手のものだが 殺害の危険はだれも予想しない
もっとも怪しい者と もっとも怪しくない者
悪魔は 新しい供物を要求しているのか
今度はだれが 霊安室の候補者になるのだろう
そこに残骸をさらした者は 最後の犠牲者であろうか
終演のベルを合図に 霊安室の舞台はカーテンにおおわれる

巻末には「本書に寄せて」として、宇野浩二、梅崎春生、江戸川乱歩の文章が並んでいる。それぞれ一部を引用してみよう。
宇野浩二
森田君の小説は、地味であるが、人間の、葛藤、啀み合い、怪奇な愛欲、憎悪、その他が、いきいきと書かれてあるので、凄まじい作品になる事がある

梅崎春生
変った面白い作品である

江戸川乱歩
すべて不可抗力として合法化されている手術の失敗に犯罪性を見出し、心に十字架を負った看護婦長の性のかなしさを、不気味な霊安室を舞台にして描きつくしている。推理小説の世界にこの一作を得たことをよろこびたい。


おおざっぱなあらすじ。
読みづらくてうっとうしいが、註釈みたいに引用を併記しておこう。
病院で死者が出ると、なんとかならなかったのか、との自責の念にかられた看護婦長が、夜中になると、霊安室に1人おりていく。
いつも本当に医師が正しいものであろうか。婦長にかぎらず、看護婦たちは、職場上感情的になり、医師や病院側の名誉のために弁護してきた。しかし、常に心の中では疑問を抱いていた。時には罪悪感に苦しめられる。「しかたがなかったのだもの」と後になって弁解する。抑圧された精神がくすぶっていないとはいえなかった。

婦長は夢遊病者で、自分が霊安室におりていく行動をとったという意識はまったく残っていない。
霊安室で婦長は全裸になって、死者に祈祷をささげる。
その光景を目撃してしまったのが、もぐりの指圧師、小男の無名瀬だ。
彼は緊張した。彼は見た。見えたのである。婦長がピンクのネグリジェをぬぎ棄てたのだ。さらに見た。見えた。彼女の豊満な裸像である。素裸であった。
淡いローソクの光彩の中に、海からあがったヴィーナスのような美しい裸の肉体がおどりあがった。

そのとき、小男は告白する婦長の声をきいた。
「そうなの、そうですのよ、許してくださいね。あなたは死にました。あなたを殺害したのは、あたしです。あたしはあなたの苦痛をすこしでも早く解放してあげたかったのです。(中略)あたしを憎みますか。憎んでもかまいません。あたしは殺害者なのですものね。憎悪されてもいいのです。ね、うらみ、にくみ、さげすんでもかまいません。ほんとにあたしはあなたに何も報いることができませんでした。ですからね、せめてもね、せめてものひと時、あたしはあなたを愛撫したいのです」


無名瀬は一緒に裸になってともに踊り祈祷し、指圧のフィンガーテクニックを駆使して婦長を慰める。
イッた婦長は突然凶暴になり、無名瀬に暴行を加える。
無名瀬は、最後のそのボコボコまでをひっくるめて、その快楽におぼれるのである。
婦長はおそろしい女であった。突如狂い出し、強い力で、ガバッと跳ねかえり、小男をむんずと掴むと、ぶん投げた。油断していたからたまらなかった。床の上にたたきつけられた。投げられるときの心得は体得していたが、間に合わなかった。ひるんでいるところを足蹴にされた。マリのようだった。それだけでは済まなかった。(プロレスのようだ)夢幻の中で思った。

その後、事故や病死、自殺が病院であいつぐ。
どれもこれも、殺人としては扱われないが、不自然な点があるのだ。
こんな推理がなされる。
「あの小男は、霊安室に死体がほしいのではありませんか。彼は霊安室の主です。一種のマニアになっているのではありますまいか」

ここで読者もあっと気づくはず。
しかし、ちょっと一筋縄ではいかないのである。
なんだか血みどろな結末が待っているし。

森田雄三が他にもミステリ作品を書いているのかどうか、よく知らないのだが、もう1作読んでみたいと思わせる。この作品だけでは、特殊すぎるのだ。
この作品のなかで、小男の指圧のテクニックがすごくて、指圧してもらったら、きもちよくなって寝てしまうという描写がある。
慢性の肩こりの僕など、非常にうらやましく思った。
そうそう、ずっと無名瀬について「小男」と表記してあったが、実態は「小人」がふさわしいというに足る描写があったので、書いておこう。
(一寸法師!)
小男がつつましい態度をしていると、わざとらしく見え厭らしかった。小さくて、醜くて、顔は老人だか、成人だか、獣だか、のっぺらぼうの化物だか、虫の好かない、それでいて、得体の知れない欲求を強いてくるような眼ざし、恐怖におそわれる。

ファンタピース@元PLATZ~10minutes@なんばBEARS
ファンタピース@元PLATZ~10minutes@なんばBEARS
日本橋の旧PLATZで、ファンタピースのハロウィンライブ。
ハロウィンなので、仮装していこう、といろんな案を考えていたが、けっきょく、家を出る20分前に思いついた、てっとりばやい仮装で行くことにした。
コンビニで大きめの袋のポテトチップスを買って行き、PLATZに入ってから中身を別の袋にあけ、空き袋を頭からかぶった。目の位置に穴をあけて、即席のポテトチップス男が出来上がり。ふだんその格好で歩けば、明らかに変質者だ。
また、自分がどんなふうに見えているのか、わからず、思った以上にしょぼい仮装なんじゃないかと思いつつも、決行した。
僕が見に行けたのは、正午からの第1部Fチームのライブだけ。意外と、ほとんど誰も仮装していないのにはびっくりした。
以下、セットリストだけど、ポテトチップス男だったので、メモが不完全。間違いあるかも。
1.オーバー・ザ・リアリティー
2.ミラー・オブ・トゥルース
ここで自己紹介と、ファンタピース内で誰が自分の姉、妹なのかを考えて発表。
3.ラビリンス
4.学園天国(長谷川寿里)
5.ファンミニテレフォンだリンリンリン!(山崎佑奈、中村菜摘、中原莉奈)
6.会いたかった(清本晏名、山口りほ、長谷川寿里、川口梨花)
このときの白い天使のような衣装から、ユニット名を「エンジェルです」と自己紹介してた。
7.夢見る15歳(山崎佑奈)
8.君だけに・・・love you
ゆうなが着替え完了までの時間で、ハロウィンといえば連想するものについてトーク。かぼちゃ、ゴースト、お菓子、といった定番イメージ。
9.ロンリーオンリー
10.ハッピーアワー
アンコールで、ぶんまわし系の歌。歌のタイトルはよく知らない。今度きいてみよう。
ライブ後のコミュニケーションタイムでは、4部通しでがんばる山口りほと、清本あんなにDXセボンスターをプレゼント。りほほんには「おそなえもの」として。あんこには「みつぎもの」として。特に意味はない。
DXセボンスターは去年30周年を迎えた「セボンスター」の記念デラックス版だが、うっかり見てたけど、30周年云々の部分は今年発売の分にはなくなってたかな。
http://www.kabaya.co.jp/okitem/toy_sebon_dx.html

で、仮装の予備(ポテトチップス袋あけるときに失敗した時用)に買った未開封のポテトチップスに、失礼ながらサインもお願いした。

いったん帰宅し、ポテトチップスの油などがついた髪の毛を洗い、なんばBEARSへ。
今日はアイドルオーディションイベント「10minutes」の第3回予選会。
ニュースにも取り上げていただき、油断ならない出場者も増えてきて、熱気を帯びてきたイベント。

[エントリー]
蒼奇勇
島田愛
ちやじ
ねみ
はっち
夢野さくら
リア充(みつる)

以上の出演者のなかから、ベスト2を選んで、
投票用紙に記入してもらった。
審査員による審査と、お客さんの投票との2本立て。
2つが一致すれば1組だけの予選通過になるけど、今のところ、2つは一致しないのが、面白い。

[セレクトライブ]
丼野M美
いちご組

[ゲストライブ]
自分BOX
Chupi*Chupi

[審査員]
安齋レオ、maico、ジャン=ポール、ちくわ

[司会、審査補欠]
B.カシワギ、保山ひャン

[フード]
銭ゲバフルト

と、いうわけで、予選通過は、
はっち
島田愛
の2名になった。
次は11月21日(日)、どんな出場者が集まるのか、楽しみ。

帰宅して、日付のかわる0時過ぎからUstreamで常盤響くんの「レコ部」。
まだ宵の口からビール飲んで、レコ部はじまってからはワインなどにきりかえて、酩酊気分での番組。いや、しかし、そんな人生ってすばらしい!

3時すぎにレコ部終わってから、録音しておいたNHK-FMの「現代の音楽」を聞く。
                          猿谷紀郎
 - “N響ミュージック・トゥモロー2010”から -(1)
                              
「水玉コレクション No.06」      山根明季子・作曲
                      (16分10秒)
                  (管弦楽)NHK交響楽団
                  (指揮)パスカル・ロフェ
                              
「ギター協奏曲 第2番“恋すてふ”作品60」 藤家溪子・作曲
                      (12分00秒)
                     (ギター)山下和仁
                  (管弦楽)NHK交響楽団
                  (指揮)パスカル・ロフェ
  ~東京オペラシティ・コンサートホールで収録~      
                   <2010/6/22>
                              
「燈火節」                  藤家溪子・作曲
                       (5分10秒)
                     (ギター)山下和仁
「三つの詩」                 藤家溪子・作曲
                       (8分40秒)
                     (ギター)山下和仁
              <日本クラウン CRCC-37>

さらに録画しておいたテレビ番組を見ながら、寝落ち。
まあ、すっかり朝になってしまってたけど。
佐藤東弥監督の「カイジ~人生逆転ゲーム」を見た。2009年。
漫画で読んだときの強烈な印象はさすがに薄く、「これってよく考えたら必勝法あるはず」と思わせる知的興奮にも乏しい。
でも、それなりに見れたのは、カイジのいろんなシーンを実写で見れる、というかくし芸的お楽しみがあったのと、役者の熱演によるものだろう。
ちょっと前にNHKで「1週間DE資本論」という番組やってて、ごく普通の時間帯に地上波の番組で資本論をとりあげているのに感動した。その番組で資本論を理解できるかどうか、とか、資本論を正当に扱っているかどうか、など二の次、とにかく、資本論をとりあげた、という視点に拍手を送ったのだ。
この「カイジ」もそう。
カイジを実写化しようという心意気に拍手を送るのであって、カイジの世界を再現しているかどうか、あるいは、映画として面白いのかどうか、については点数が甘くなってしまうのである。
と、いうことは、この映画をほとんどスピンオフ作品とか、同人作品として楽しんでしまったのである。
アリオ八尾でハッピータイム祭り。
午後3時からの2回めを見た。

ハッピーズ
1.ジブリメドレー(トトロ、宅急便、ポニョ)
ハッピーズにはミルキーハットのれな、さゆみも参加してた。
ポニョのときには、ミルキーハット、万葉シャオニャンのメンバーも客席でお客さんをリード。

万葉シャオニャン
1.アオニヨシ奈良ノ都デてんつくてん!
2.風が教えてくれたこと
3.鉄腕アトム

ミルキーハット
1.By the way
2.歩いて行こう
3.大航海ランドスケープ
ここで、「マヨブラジオ」から野性爆弾が登場し、イトーヨーカドーのテーマソングを勝手に作って披露する。
可愛くはじまり、エグく終わる内容で、面白かった!
4.グレープフルーツ

イベント終了後は、CDの即売会と握手会。

難波に移動し、OCATポンテ広場のハロウィン仮装大会のステージ。
トイストーリーの仮装をしたチームが優勝していた。
ゲストステージで、Mari7とKISS&KISS。
Mari7
1.恋のマジック
2.ドリームハート
3.ステップ・バイ・ステップ
KISS&KISS
1.君といつまでも
2.スクールデイズ


『容疑者たち』

2010年10月29日 読書
冨島健夫の『容疑者たち』を読んだ。1961年。
まず、冒頭、加害者が女を殺すなまなましいシーンからはじまる。
そして、話は殺害にいたるまでの経緯の物語に移る。

この小説で、中心になるカップルは、順平とさち子の夫婦だ。
順平には、学生時代からつきあっていた酒場の女、節子がいた。
順平は、この節子に貢がせるだけみつがせておいて、
「ばか言え。酒場の女なんかと結婚できるもんか」
と冷酷に計算しており、友人にたのんで節子を襲わせる卑怯な手段で別れることに成功する。さち子は小金持ちであり、さち子と結婚するためには節子がジャマだったのだ。
一方、さち子のほうも三文ライターの沖津と関係をもっており、その肉体関係は結婚後も続いた。
順平、さち子夫婦の隣に住む初心な青年、新次郎は、筋肉萎縮症で新薬や医学のモルモット扱いされているが、この新次郎、さち子に恋心をいだくようになる。
つのる思いは若く初心な青年の気持ちをエスカレートさせる。
そんなとき、新次郎は、愛するさち子が、夫でない男、沖津と肉体関係を持っている現場を覗き見してしまい、ショックを受ける。
順平のほうは、専務の娘で、美人なのだが顔半分が黒いアザで覆われている敬子と交際をはじめる。
さち子に男をとられた節子、嫉妬心に燃えてついにさち子さえ消えれば解決すると考える沖津、さち子に純情を裏切られた新次郎、敬子と結婚するためにさち子がジャマになってきた順平。
さち子のまわりには、さち子を殺すだけの動機をもったものたちが複数存在していたのだ。
以上が、第1部。
現代ミステリを読みなれた読者はまっさきに「これだけ、さち子を殺したい人間がそろっているが、殺された女は、さち子じゃない、別人なのではないか」と推理を
働かせるだろう。その推理は誤ってる。殺されたのは、正真正銘、さち子なのである。(カーの『九つの答』風に書いてみた)

第2部は、さち子の通夜のシーンからはじまる。
そこに、関係者、つまり容疑者たちが勢ぞろいする。そこで起こる、お互いがお互いを告発しあう、大推理合戦!
おお、おお、これは面白い!
誰を犯人としても成立し、どれも決め手を欠けるため、真犯人が特定されないまま、その後の物語がはじまる。
(この通夜の場に犯人がいることは、加害者の視点からの文章によって、明らかにされている)

ある容疑者は結婚し、ある容疑者は自殺し、ある容疑者は精神病院に入院させられる。
しかし、ああ、だがしかし、ついに最後の1ページになるまで、真犯人の正体は明かされないのである!
面白い!

男女の愛憎の不思議な動きも、非常に共感するところが多く、これは傑作だ、と感動のまま読み終えることができた。

以下、いろんなシーンの引用。
筋肉萎縮症でうぶな青年、新次郎の初期の心情。

「美貌の女性はうつくしい心をもっている。きれいな生活のなかにいる。理くつではなく感覚として、新次郎はそう決めていた。それは初恋のなかの高校生が、相手の少女の一切を美化してしまう心理と同じである。
さち子をうつくしい人だと思った。その最初の印象が、決定的だった。女性に未経験なこの病躯の学生は、一般の青年とちがっていた。急速に、さち子に傾斜した」

三文ライター、沖津の日常。
「沖津の最初のことばはきまっていた。
『きょうも、ふつかよいだよ』
かつてはさち子も、沖津の生活態度をあらためさせようと、努めたことがある。カニを前向きに歩かせるよりも難事だと、わかった。文学青年くずれのなまけぐせは、もうどうしようもないものである。
『今に見ていろ。おれだって、スカッーと名作を書いて見せらあ』
酔うと、きまってそう放言した。そう放言するために酔っているかのようであった。しかし、沖津がまじめなものにとりかかったことは、一度もない。書くものは年とともに低俗化し、粗雑になって行った。
さち子の結婚後、沖津の生活はさらに荒れたようである。友人間を借金してまわっているらしい。それについてさち子が忠告めいたことを言うと、顔色を変えた」

順平の打算的性格
順平は節子のことなどはきれいに忘れていた。人生はいそがしい。記憶していなければならぬことはいくらでもある。すでに不用となったことは、忘却することこそ賢明なのだ。


バツイチ敬子が前の夫をなくした経緯
「亭主が酔って帰ってきた。ブザーの押し方で亭主だとわかる。内からかけてあった鍵をはずし、ドアを開けた。お帰りなさい。そう言おうとした。娘も不用意だったのだ。いつもはなるべくかくして見えないように向けている左頬を、ぬうッとのぞかせた。その亭主はキャアッと叫んでのけぞったんだ。石の角であたまを打って、それっきりだ」


沖津による、さち子観
残酷な女なのである。結局はおのれしか愛していない。おのれのなかの欲望の種類に応じて、それに適合する相手を選んでいるのだ。そしてその相手は人間でなくてただの物体でもよいのだ


節子によるさち子への殺意
さち子を殺したからといって、男がじぶんのもとへ帰ってくるわけではない。しかし憎しみはどうしようもないのだ。
「殺してやる」
「そして、葬式に参列してやるんだ」
結婚式にも行ったのである。今度はあの女の葬式に行ってやる。お通夜にも行ってやる。できたら、骨もひろってやろう。こっそり骨を持って帰って、粉にして、呑んでやる。男が酒を呑みに来たら、その酒のなかに混ぜてやる。


順平の打算的な性格
順平は、早すぎた結婚を後悔しはじめていた。はした金のために、早まったことをしたものである。片頬にどんなアザがあろうとも、それは重要なことではない。顔ぜんたいお化けでも、結構だ。おれが一生かかっても貯められないほどの金を、この女は持っている


お通夜の状況
死体はそこにあった。節子が憎み、沖津が愛撫し、順平が利用し、新次郎があこがれたそのからだは、1秒ごとに腐敗しつつあった。

東浩紀と宮台真司による『父として考える』を読んだ。
以下、目次

第1章 親子コミュニケーションのゆくえーー家族を考える
 時間感覚の変化/宮崎アニメへの反応/超越性への感性/生まれか育ちか/子は親に似る?/メディアを介した影響/上書きされる記憶/「なんてこったい」/男親なんかいらない?/子どもを介したネットワーク/「お受験」で失うもの/ファスト風土再考/父として東京から考える

第2章 子育てを支える環境ーー社会を考える
 ロスジェネ系議論の問題点/専業主婦願望の背景/高学歴と幸福/同質性の中の果てしなき見栄競争/共通前提の不在/三鷹から青葉台へ/隙間コミュニケーションの重要性/血縁を超えるネットワーク/高速道路無料化の是非/託児室をめぐる悪循環/職住近接を妨げるもの/まずは仕事と家庭を混ぜることから/「子ども手当て」はセカンドベスト/子育てのインフラストラクチャー

第3章 均質化する学校空間ーー教育を考える
 グループワークができない子どもたち/なぜ班活動は衰退したのか/ノイズ耐性のない親子/大学のサブゼミが機能しない/92年問題ーー学校がホームベースではなくなった/均質化する東大生/ツイッター時代のマネジメント/ダダ漏れを前提に動く/ツイッターが島宇宙をブリッジする/ジョブマーケットの現状/高プライド人間の末路/高学歴ワーキングプア問題に物申す/子は無意識を学ぶ/コミュニケーション能力は教育できるか/学区的共同体の再構築/「斜めの関係」で地域再生

第4章 コネ階級社会の登場ーー民主主義を考える
 運命の出会いと必然性信仰/バックドア問題/おひとりさま志向という錯誤/上野千鶴子現象/潔癖症のロジック/ロマンがなければ現実は動かない/「社会」概念の喪失/参照点としての沖縄/沖縄における風俗の役割/コネ階級社会化する日本/マスメディアの悪習をキャンセルする/民主主義2.0の可能性/新しい教養人モデル/オフラインの欠落をオンラインで補填できるか/娘たちから学んだこと


本書の出版を記念した(?)ニコニコ生放送のトークイベントを見たが、よくぞ、この2人の対談を原稿におこせた、と拍手を送りたくなるような対談だった。
つまり、生の対談のほうがはるかに退屈だったからで、これは意外だった。
本書の内容については、目次どおり、としか言いようがないが、一般的に流布している考え方や価値観に見直しをはかる内容だった。
子育てをしてこそわかるさまざまな事柄が興味深かった。
エラリイ・クイーンの『緑色の亀の秘密』を読んだ。1944年
巻末の紹介文。
この小説では、ジュナhおなじみの愛犬チャンプと、友だちのベンの力を借りて、幽霊屋敷の事件を解決する。ことのおこりは新聞記者のファーロング青年の新聞社に、ある男が、きみょうな幽霊屋敷の話を、持ち込んだことにはじまる。町のまん中の空家で、夜な夜な怪しい物音がするのだ。

以下、目次。
1.幽霊屋敷
2.夜の訪問者
3.いなくなったウォーターベリイ
4.急いでチャンプたちを連れてこよう
5.ファーキンスさんのくれた助言
6.緑色の羽根を持った男
7.スペイン語を話すおうむ
8.追跡中のジュナとベン
9.「小舟は岸を離れるな」
10.わなにかかる
11.くじらのつかまえ方
12.仲間はだれだ?
13.ウォーターベリイとチャンプ
14.キャナヴァンさんのパーティ

まあ、贋札つくりが屋敷を拠点にしていた、という話である。
あっさりネタバラシしてしまったが、読めば一目瞭然なのである。
本書で面白いのは、時計がわりになる亀の飼い主、ベンが書いている、ベン版の「哀れなリチャードの暦」の文句である。
いくつか書き出しておこう。

「片方だけのスケート靴も一足のスケート靴と同様の役をする-氷がなかったならば」
「首を出すんじゃないよ、キリンは亀にそういった」
「くじらを釣るのに、曲がった針を使うな」

また、新聞記者ファーロングも、さぼって野球観戦に行って、クビにされたことを、こんなふうに詩にする。

正しい稼業にいそしむよりも
皮製球の怠惰な飛行を見まもって
貴重な時を無駄に過ごしたこのわたし
かなたの緑の公園の堅いベンチに腰掛けて
無為の時を過ごすさだめとなれり

これもまた、言語遊戯がちょっとだけ入った作品と言えよう。
でも、この面白さは、訳者の福田恒存の力量なのかもしれない。
エラリイ・クイーンの『黄色い猫の秘密』を読んだ。1952年。
巻末の紹介文。
ジュナは引っ越しした親友のトミーをたずねて、はるばるフロリダのドルフィン海岸へ旅行した。ジュナはそこで、おそろしく大きな黄色い猫と知り合いになる。その猫が虫歯をなおしに、歯医者に行くというのだから、ジュナはまったくおどろいた。おどろいただけならよかったのだが・・・

なんだ、この紹介文!猫が大きいこととか、虫歯のこととか、ストーリーのきっかけではあっても、まだ入口すぎる。文庫になったときの作品紹介文から、もうちょっと先まで書いてみよう。


飼い主のおばあさんは、もと銀行の二階に診療室を持っていた歯科医ブルハム先生の未亡人なのだった。ブルハム先生は猫の歯もみてくれたので、新しく来たハマー先生でもできるだろうというのだ。だがジュナの見たところ、黒いサングラスをかけたハマー先生の様子はどこか怪しい!

そうそう。ここまで書いて、やっと本書の悪人と、悪事の見当がつく、というものだ。
以下、目次。

1.ジュナ、黄色い猫に逢う
2.猫と歯科医
3.トミー、新しい言葉をつくる
4.ジュナ、ふしぎな山羊(ゴート)を発見する
5.リラ、貝を売る
6.ジュナの雲がくれ
7.ジュナの失策
8.黄色い猫唸る
9.診療室にて
10.祝賀会

本書では、ちょっとした言語遊戯が見られる。
悪人の乗る船「My Goat号(私の山羊)」が、本当は「El Gato Amarillo(黄色い猫)」で、いくつか文字をはずして、並べ替え、そんな名前に変えたものだったのだ。
悪人は銀行の2階から床を切り開いて、銀行の金庫破りをたくらんでいたのだ。
大きな音は、近くのボウリング場の音で隠れてしまう。
ジュナは、部屋に置いてあったボンベを見て、「こりゃ、焼ききる気だな」と見破るのだ。
悪人は銀行家の娘をだまして、盗った金を銀行の袋につめて、娘に安全な場所まで運ばせる計画をたてる。銀行の袋を持って歩いていても銀行家の娘なら、だれも疑わないのだ。娘は、中身は貝だと思い込んでる。
事件の内容とは無関係だが、本書で興味深かったのは、トミーがその娘をからかうために造語をつかうところだ。
引用してみよう。

「ホーサンプファット!」と、トミーが言った。
「なんて言ったの、トミー?」アマリリスはトミーのほうへむきなおった。「なんのためにそんなことを言うの?あたしたちがもってることを知っているくせに!」
「ホーサンプファット!」と、トミーはくりかえした。
「二度とそんなことを言ったら承知しないから、トミー」アマリリスは砂の上で足をふみならした。「あたしをばかにしたらひどいわよ!」
「ホーサンプファット!ホーサンプファット!ホーサンプファット!」

こんなふうに、さんざんアマリリスをからかっておいて、ジュナがトミーに「ホーサンプファット!」の意味をきくと、

「なにも意味なんかないんだよ。だけどあの子はあると思っているのさ」

『金色の鷲の秘密』以来の言葉遊び横溢の作品で、こういう言葉遊び入りの作品と、夏休みの少年冒険日記一辺倒の作品とでは、代作者が違うんだろうか、と思った。
エラリイ・クイーンの『茶色い狐の秘密』を読んだ。1948年。
巻末の紹介文。
ジュナにチャンプにアニーおばさんに、親友トミーにクララベルに-みんな揃って涼しい湖に避暑に行けることになったのだから、大騒ぎだった。一同勇んで出発したが・・・まず仲良しのベン船長の船が船火事をおこし、つぎにはアニーおばさんが、行方不明になってしまった!

以下、目次。
1.うれしい報せ
2.そろって楽しい避暑へ!
3.空き貯氷庫の番人
4.ベン船長に敵があるか
5.ジュナ質問を始める
6.不安な失踪
7.ジュナは奇妙な質問をする
8.ジュナ恐ろしい死に直面する
9.決して死ぬというな!
10.チャンプが尻尾を振った理由

第9章は、きっと「ネバーセイダイ」の翻訳なんだろうな、と思うとなんだか微笑ましい。
この作品では、ジュナは友人のトミーといっしょに、日光反射信号機を使ってモールス信号を学んで練習する。(タイトルの「茶色い狐」は、アルファベットをすべて含む例文で出てくる)
こういった、少年の日々に(主に夏休み)、課題をクリアするみたいに、多くのことがらを学ぶ、というのが、このシリーズの特色なのかもしれない。
また、一般のミステリと違って、事件の犯人さがし要素はほとんどなく、悪いやつははなっから悪人として登場するのである。
本書に登場するある人物についての描写を引用しておこう。

「あれは今迄に生まれた人間のうちで一番の怠け者です。レム・ブレインというのがあの男の名前です。わしらは子供の頃、彼をレイム・ブレイン(頭がびっこの意味)と呼んでいました。レムは何年も前、町を出て行きました。わしが町を出るより前です。そうしてこの夏ひょっこり帰って来ました。町の友達を二人連れて帰って来ました。ジョウンズとボールドウィンという友達です。二人共いい男のようですが、頭が変なのではないでしょうか。何をしていると思いますか。二人であの古い貯氷庫をウィニじいさんの娘から借りて、わしらが使っていたおがくずを荷造りして、どこかに送っているのです!頭の狂った二匹の狐のようですね!」

ここを読んだだけでも、こいつらが実は悪いやつらで、密輸をしており、そのジャマになるものに危害を加えようとして、事件が起こる、というストーリーまでが見えてくるのではないか。
日本橋総合案内所サテライトスタジオでネットラジオの公開収録。メインMCは石原啓子ちゃんで、ゲストはいちごのつぶのめぐちゃん。
おしゃべりに、歌(CD)に、いちごのつぶの2人に2択問題を出して異同を楽しむコーナーとか。
日本橋のマスコットキャラクター、音々ちゃんのコスチュームがめちゃめちゃ似合ってた!

夕方からは、日本橋の元PLATZでファンタピースのライブ。
午後6時からの回はFチームとPチーム合同の大所帯ステージ。
ステージに乗り切らない。(MEGUMIKO欠席)
1.オーバー・ザ・リアリティー
2.ミラー・オブ・トゥルース
メンバー紹介。今回は竹村美緒と笹川結衣がメインMC
3.ラビリンス(山口りほ、山崎佑奈、長谷川寿里、鈴木由佳、浦田歩夢)
4.年下の男の子(竹村美緒、笹川結衣、井口奈波美)
5.会いたかった(長谷川寿里、鞠谷ふうか、片瀬ふみな、川口梨花)
AKB48で誰が好きか、という質問に、ふみなとリンカーンが「ともちん」ふうかが「大島優子」じゅりりんは「前田敦子」
6.夢見る15歳(山崎佑奈)
7.恋の魔法はハビビのビ!(山崎佑奈)
8.ラムのラブソング(清本晏名、笹川結衣、竹村美緒、浦田歩夢)
9.ファンミニテレフォンだリンリンリン(山崎佑奈、中村菜摘、中原莉奈)
各ユニットの歌の後には、短い撮影タイムもあった。
10.君だけに・・・love you
ここで、山崎佑奈バースデイサプライズ。
ケーキにバースデイソングに、クラッカー。
ファンの人があらかじめ配布していたクラッカーと緑のサイリウム(ソロのときに始動)で、お祝いする。
ソロにユニットに、と八面六臂の活躍。ファンタピースの魅力の大半は、この山崎佑奈に負っていると言っても過言ではないので、くれぐれも体を壊すことなく、これからもモリモリ活動してもらいたい。
11.ロンリーオンリー
12.ハッピーアワー
アンコールで、新曲。
新曲はぶんぶん振り回す系。
ライブ後のコミュニケーションタイムでは、ゆうなちゃんの誕生日ボード前で2ショットチェキとるような、ボード裏表仕様。
僕はダンスの神様、山口りほちゃんと、今回ついに魅力が噴火したと思われる清本晏名ちゃんと2ショットチェキを撮る。(いつもの2人じゃあ~りませんか)

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