水谷準の短編集『悪魔の誕生』を読んだ。1955年。
戦後の苛酷な現実を虚構でもって埋めようとする人々の話が多い。
水谷準の短編は、あと数ページ続くのかな、と思っていたら急転直下にラストを迎えるものが多くて、この短編集でもその例に洩れない。
以下、各作品と簡単なメモ。
今回は僕の日記には珍しく、完全なネタバレはしていない。途中まではバラしてるけど。
「悪魔(メフィスト)の誕生」
銀座「ユングフラウ」で友人の画家、野瀬の作品が飾られていた。新参の女給、礼仁恵が持ってきてかけたものだという。後日、そのことを野瀬に語ると、野瀬は血相をかえる。
礼仁恵は野瀬の元恋人であり、戦時に絞め殺した女だというのだ。
野瀬を慕う女性、斗志子が嫉妬にかられて礼仁恵のもとに怒鳴り込んで、カタストロフが起こる。
礼仁恵の正体はいったい?
「アスパラガス」
栄養失調で倒れていた名もなき少女は、その細い手足の印象からアスパラガスと名付けられた。
アスパラガスは森の中の一軒家に老婆と暮らしていたが、空襲により焼け出され、別の家の土蔵に監禁されて過ごしていた。土蔵の中でピアノをひいていると、外から口笛の音が。
窓からのぞくと、進駐軍の兵隊さんだった。
兵隊は縄梯子を使って土蔵の中に入ってきて、少女と遊んだ。
少女は兵隊さんを毎日心待ちに待ち、何処にも出ずに兵隊さんだけを待っていることを伝えるため、金色の部屋靴を渡した。
帰国したのか病気になったのか、バッタリと兵隊さんは来なくなった。少女は窓から出て、ふらふらと歩いているうちに倒れ、発見されたのだ。
アスパラガスの正体はいったい?(皇族だの御家騒動の被害者だの取り沙汰されるが)
進駐軍の軍曹が名乗り出てアスパラガスを引き取ったが、依然としてアスパラガスの身寄りは出てこず、正体は謎のままだ。
「地底の囚人」
ドラゴン敏、ジャイ政、タイガー鉄の泥棒3人組。
ドラは今夜の仕事を最後に足を洗いたいと思っている。
残りの2人は、敏が妹の婦人警官に情報を漏らしているんじゃないかと疑っている。
2人は敏を廃工場の石室にとじこめた。
しゅびよく仕事を終えて帰ってこれればいいが、敏の裏切りによって失敗すれば敏は時限発火装置で窒息死するのだ。
敏は裏切ってはいなかったが、仕事は失敗し、2人は警官に撃たれる。
1人は即死、1人は虫の息。敏は助かるのか?
3人のネーミングについては、
「贔屓のプロ野球の呼び名をそれぞれつけて呼び合っているところからでも分るように、泥棒稼業のうちではインテリに属する」とある。
「月夜の信天翁」
屋台のラーメン屋をたたんで、貨物船に乗ろうとしている喜平。
息子はぐれて警官に射殺されている。
彼が不在のあいだ、間借り人として来るのが、息子の妻と子だと聞いて、喜平は怒る。
この女が息子を悪の道に引きずり込んだと信じているのだ。
そんなときに雨宿りに飛び込んできた男。
息子と同じくらいの年齢の男と意気投合して喜ぶ喜平だったが、その男が息子が残したヴァイオリンで「月夜の信天翁」を弾きだして、驚く。
「月夜の信天翁」は喜平の息子が作ったオリジナル曲だったのだ。
この男の正体はいったい。
「金箔師」
詐欺のような系図調べをなりわいとする男。
娘の猛烈な求愛にあって、がらにもなく、娘との結婚を断るが。
タイトルは系図で箔をつける仕事をしていることを示している。
「天使魚」
殺人事件の現場に落ちていたエンジェルフィッシュのブローチは、妻にプレゼントしたものだった。
疑う夫。
しかし、真犯人が自首して出てきた。
この「真犯人」の正体は?
「みそさざい」
神宮外苑でピッコロを吹いていたら、小柄で浅黒い女性が自動車で乗り付け、買い物につきあってほしいと誘った。
彼女は自分のことを「みそさざい」と名乗り、ピッコロを吹いていた男を「笛太郎」と呼ぶ。
銀座のデパートで人形を山ほど買い、屋上庭園で小鳥を逃がし、薔薇をいっぱい買い、公園で「墓参り」し、笛太郎にピッコロを吹かせる。
みそさざいは、南方の王国の内務大臣と日本人とのあいだに生まれた女性で、政争によって日本に逃げ戻っていた。王国の皇太子とのあいだにできたこどもを流産してしまい、その子を公園に葬ったのだ。
王国からの刺客が待ち伏せし、みそさざいを追い詰める。
「夜の沈丁花」
上海で終戦を迎えた医師は、日本人負傷者の傷に宝石をかくして、国内に持ち込もうとする。
そして、国内で神経痛の手術と称して宝石を剔出しようとするが。
上海時代に看護婦をしていた女性も、ある目的をもって手伝いに加わる。
「三つ姓名の女」
ここから3編は『薔薇仮面』でも活躍した、新聞記者相沢陽吉のシリーズ。
ハリ切っているから「ハリー」というあだなをもらっていた相沢が、一本とられて「バリー」と濁ったあだ名をもらうエピソード。
関東大震災でだれの赤ちゃんか不明な子供は、2つの名前をもつことになる。そして、どちらかを名乗らねばならないのなら、と3番目の名前をつけて、それを通り名にする。
相沢は彼女のために、2人の母親から貰った宝石を取り返してやるが。
新聞社である人物が言う。
「そりゃルブランの『八点鐘』の中の一つの『ジャン・ルイ事件』そのままですよ」
「墓場からの使者」
酒場「ベルベット」にあらわれた顔一面包帯の男。
マダムは空襲のとき、梁の下敷きで動けない夫から宝石入りカバンを奪って、見殺しにした過去を持つ。
マダムはついに包帯男に殺されてしまう。
「さそり座事件」
仮装舞踏会で紅小路家の真珠の首飾り「さそり座」が盗まれた。
犯人はメフィストの仮装をしていた。
相沢は事件の鍵を握る女性、百合子に何度もたずねる。
「メフィストは君の周囲にいる誰かなんだ。昨日、朝起きた時から寝るまでに出会った人を全部思い出せない?」
「全部?そりゃ無理だわ。郵便屋さんや電車の車掌まで入れるんでしょ?」
(この百合子さん、チェスタトンやクイーン読んだことあるようだ)
戦後の苛酷な現実を虚構でもって埋めようとする人々の話が多い。
水谷準の短編は、あと数ページ続くのかな、と思っていたら急転直下にラストを迎えるものが多くて、この短編集でもその例に洩れない。
以下、各作品と簡単なメモ。
今回は僕の日記には珍しく、完全なネタバレはしていない。途中まではバラしてるけど。
「悪魔(メフィスト)の誕生」
銀座「ユングフラウ」で友人の画家、野瀬の作品が飾られていた。新参の女給、礼仁恵が持ってきてかけたものだという。後日、そのことを野瀬に語ると、野瀬は血相をかえる。
礼仁恵は野瀬の元恋人であり、戦時に絞め殺した女だというのだ。
野瀬を慕う女性、斗志子が嫉妬にかられて礼仁恵のもとに怒鳴り込んで、カタストロフが起こる。
礼仁恵の正体はいったい?
「アスパラガス」
栄養失調で倒れていた名もなき少女は、その細い手足の印象からアスパラガスと名付けられた。
アスパラガスは森の中の一軒家に老婆と暮らしていたが、空襲により焼け出され、別の家の土蔵に監禁されて過ごしていた。土蔵の中でピアノをひいていると、外から口笛の音が。
窓からのぞくと、進駐軍の兵隊さんだった。
兵隊は縄梯子を使って土蔵の中に入ってきて、少女と遊んだ。
少女は兵隊さんを毎日心待ちに待ち、何処にも出ずに兵隊さんだけを待っていることを伝えるため、金色の部屋靴を渡した。
帰国したのか病気になったのか、バッタリと兵隊さんは来なくなった。少女は窓から出て、ふらふらと歩いているうちに倒れ、発見されたのだ。
アスパラガスの正体はいったい?(皇族だの御家騒動の被害者だの取り沙汰されるが)
進駐軍の軍曹が名乗り出てアスパラガスを引き取ったが、依然としてアスパラガスの身寄りは出てこず、正体は謎のままだ。
「地底の囚人」
ドラゴン敏、ジャイ政、タイガー鉄の泥棒3人組。
ドラは今夜の仕事を最後に足を洗いたいと思っている。
残りの2人は、敏が妹の婦人警官に情報を漏らしているんじゃないかと疑っている。
2人は敏を廃工場の石室にとじこめた。
しゅびよく仕事を終えて帰ってこれればいいが、敏の裏切りによって失敗すれば敏は時限発火装置で窒息死するのだ。
敏は裏切ってはいなかったが、仕事は失敗し、2人は警官に撃たれる。
1人は即死、1人は虫の息。敏は助かるのか?
3人のネーミングについては、
「贔屓のプロ野球の呼び名をそれぞれつけて呼び合っているところからでも分るように、泥棒稼業のうちではインテリに属する」とある。
「月夜の信天翁」
屋台のラーメン屋をたたんで、貨物船に乗ろうとしている喜平。
息子はぐれて警官に射殺されている。
彼が不在のあいだ、間借り人として来るのが、息子の妻と子だと聞いて、喜平は怒る。
この女が息子を悪の道に引きずり込んだと信じているのだ。
そんなときに雨宿りに飛び込んできた男。
息子と同じくらいの年齢の男と意気投合して喜ぶ喜平だったが、その男が息子が残したヴァイオリンで「月夜の信天翁」を弾きだして、驚く。
「月夜の信天翁」は喜平の息子が作ったオリジナル曲だったのだ。
この男の正体はいったい。
「金箔師」
詐欺のような系図調べをなりわいとする男。
娘の猛烈な求愛にあって、がらにもなく、娘との結婚を断るが。
タイトルは系図で箔をつける仕事をしていることを示している。
「天使魚」
殺人事件の現場に落ちていたエンジェルフィッシュのブローチは、妻にプレゼントしたものだった。
疑う夫。
しかし、真犯人が自首して出てきた。
この「真犯人」の正体は?
「みそさざい」
神宮外苑でピッコロを吹いていたら、小柄で浅黒い女性が自動車で乗り付け、買い物につきあってほしいと誘った。
彼女は自分のことを「みそさざい」と名乗り、ピッコロを吹いていた男を「笛太郎」と呼ぶ。
銀座のデパートで人形を山ほど買い、屋上庭園で小鳥を逃がし、薔薇をいっぱい買い、公園で「墓参り」し、笛太郎にピッコロを吹かせる。
みそさざいは、南方の王国の内務大臣と日本人とのあいだに生まれた女性で、政争によって日本に逃げ戻っていた。王国の皇太子とのあいだにできたこどもを流産してしまい、その子を公園に葬ったのだ。
王国からの刺客が待ち伏せし、みそさざいを追い詰める。
「夜の沈丁花」
上海で終戦を迎えた医師は、日本人負傷者の傷に宝石をかくして、国内に持ち込もうとする。
そして、国内で神経痛の手術と称して宝石を剔出しようとするが。
上海時代に看護婦をしていた女性も、ある目的をもって手伝いに加わる。
「三つ姓名の女」
ここから3編は『薔薇仮面』でも活躍した、新聞記者相沢陽吉のシリーズ。
ハリ切っているから「ハリー」というあだなをもらっていた相沢が、一本とられて「バリー」と濁ったあだ名をもらうエピソード。
関東大震災でだれの赤ちゃんか不明な子供は、2つの名前をもつことになる。そして、どちらかを名乗らねばならないのなら、と3番目の名前をつけて、それを通り名にする。
相沢は彼女のために、2人の母親から貰った宝石を取り返してやるが。
新聞社である人物が言う。
「そりゃルブランの『八点鐘』の中の一つの『ジャン・ルイ事件』そのままですよ」
「墓場からの使者」
酒場「ベルベット」にあらわれた顔一面包帯の男。
マダムは空襲のとき、梁の下敷きで動けない夫から宝石入りカバンを奪って、見殺しにした過去を持つ。
マダムはついに包帯男に殺されてしまう。
「さそり座事件」
仮装舞踏会で紅小路家の真珠の首飾り「さそり座」が盗まれた。
犯人はメフィストの仮装をしていた。
相沢は事件の鍵を握る女性、百合子に何度もたずねる。
「メフィストは君の周囲にいる誰かなんだ。昨日、朝起きた時から寝るまでに出会った人を全部思い出せない?」
「全部?そりゃ無理だわ。郵便屋さんや電車の車掌まで入れるんでしょ?」
(この百合子さん、チェスタトンやクイーン読んだことあるようだ)
飛鳥高の『死にぞこない』を読んだ。
詳しくは後日。
人間消失と、姿なき犯人。
消失のほうは『天外消失』的トリック。
姿なき犯人は『ユダの窓』的トリック。
詳しくは後日。
人間消失と、姿なき犯人。
消失のほうは『天外消失』的トリック。
姿なき犯人は『ユダの窓』的トリック。
楠田匡介の長編『死の家の記録』を読んだ。
第1章 賭博者
第2章 分身
第3章 罪と罰
第4章 未成年
第5章 悪霊
第6章 作家の日記
章だてを見るとドストエフスキーが並んでいて、これは、と思うが、内容にわりと即していて、意外だった。
第1章 賭博者
第2章 分身
第3章 罪と罰
第4章 未成年
第5章 悪霊
第6章 作家の日記
章だてを見るとドストエフスキーが並んでいて、これは、と思うが、内容にわりと即していて、意外だった。
楠田匡介の『四枚の壁』を読んだ。これは長編。
目次は次のとおり。
事故
疑惑
罠
目撃者
凶弾
特種
売り込み
脅迫状
ゴルフリンク
深夜の駅
死体
カメラ
遠い山
予告殺人
意外な犯人
さいはて
四枚の壁が何を意味しているかというと、また後日詳しく書きたいが、まあ、別にこれといった意味はなくて、ストーリーを考えるより先につけたタイトルなんじゃないのかな、と思った。
目次は次のとおり。
事故
疑惑
罠
目撃者
凶弾
特種
売り込み
脅迫状
ゴルフリンク
深夜の駅
死体
カメラ
遠い山
予告殺人
意外な犯人
さいはて
四枚の壁が何を意味しているかというと、また後日詳しく書きたいが、まあ、別にこれといった意味はなくて、ストーリーを考えるより先につけたタイトルなんじゃないのかな、と思った。
楠田匡介の『疑惑の星』を読んだ。詳しくは後日。
「分譲地ゼロ番地」
「殺人設計書」
「五ツの窓」
「雪の犯罪」
雪の犯罪は「雪」というタイトルでもいろんなアンソロジーに収録されている密室ものの古典。
その密室トリックは今や常識の範疇に入っているほどだが、今回読んでみて、ランプの灯火が消えるところとか、他のいろんな箇所に感心した。
推理小説は推理クイズではないのだから、トリックや犯人がわかったからと言って、そこで終るものではないのだ。
「分譲地ゼロ番地」
「殺人設計書」
「五ツの窓」
「雪の犯罪」
雪の犯罪は「雪」というタイトルでもいろんなアンソロジーに収録されている密室ものの古典。
その密室トリックは今や常識の範疇に入っているほどだが、今回読んでみて、ランプの灯火が消えるところとか、他のいろんな箇所に感心した。
推理小説は推理クイズではないのだから、トリックや犯人がわかったからと言って、そこで終るものではないのだ。
楠田匡介の『逃亡者』を読んだ。
裏表紙の紹介文は次のとおり。
「共同金融の支店長が、七千万円をかいたいし、情婦を連れて逃避行をした。そして一ケ月は過ぎたが、警察の必死の捜索にもかかわらず、逮捕する事ができなかった。
そんなある日、一人の男が、浜松ホテルの七号室に宿泊した。かって毛皮類を預かった冷凍室を、改造した壁の厚い厳重な部屋であった。男は一歩も部屋は出なかった。食事と酒と、毎日部屋に閉じこもって外界との交渉を断っていたのである。男の正体も、履歴もわからぬままに、何日かが過ぎて行った。そんなある夜更け、ホテルの事務所で妙な人物の来訪を、ホテルの社長が迎えたのである。灯を消して窓硝子をへだてて、二人の不気味な会話が、ひそかに交わされたのであったが、その翌日、原因もなく、あの七号室の男が死体となって発見された」
以下、目次。
第1章 不思議な死
追われる身
札束
医科大学生
闇の男
開かぬドア
熱帯魚
警視庁の者
第2章 追いつめる
記事の主
不安の波
遊覧バス
追われる
船内放送
脅迫
天に勝つ
第3章 そして終わった
似た男
岩蔭の小舟
自分の死体
調査報告書
すべての終り
舞台になったビーチホテルは、地下が製氷会社になっており、その冷気を利用して、ホテルに冷房を施している。この完全冷房、というのが、このホテルの取り柄なのだ。
と、いうとやはり時代を感じざるをえないが、あちこちの言い回しにも時代があらわれている。
たとえば、美人のことを「美ふてき」と言ったり。
後日詳しく追記したいが、とにかく、トリックはわかりやすくて、冷凍室を改造した部屋で痕跡も残さずに人が死んでたとなれば、その方法は、あれしかない。
短編が2つ。詳しくはまた後日か。
「二つの穴」
「ボリショイの熊」
熊の分は、落語の「動物園」を思い出させた。
裏表紙の紹介文は次のとおり。
「共同金融の支店長が、七千万円をかいたいし、情婦を連れて逃避行をした。そして一ケ月は過ぎたが、警察の必死の捜索にもかかわらず、逮捕する事ができなかった。
そんなある日、一人の男が、浜松ホテルの七号室に宿泊した。かって毛皮類を預かった冷凍室を、改造した壁の厚い厳重な部屋であった。男は一歩も部屋は出なかった。食事と酒と、毎日部屋に閉じこもって外界との交渉を断っていたのである。男の正体も、履歴もわからぬままに、何日かが過ぎて行った。そんなある夜更け、ホテルの事務所で妙な人物の来訪を、ホテルの社長が迎えたのである。灯を消して窓硝子をへだてて、二人の不気味な会話が、ひそかに交わされたのであったが、その翌日、原因もなく、あの七号室の男が死体となって発見された」
以下、目次。
第1章 不思議な死
追われる身
札束
医科大学生
闇の男
開かぬドア
熱帯魚
警視庁の者
第2章 追いつめる
記事の主
不安の波
遊覧バス
追われる
船内放送
脅迫
天に勝つ
第3章 そして終わった
似た男
岩蔭の小舟
自分の死体
調査報告書
すべての終り
舞台になったビーチホテルは、地下が製氷会社になっており、その冷気を利用して、ホテルに冷房を施している。この完全冷房、というのが、このホテルの取り柄なのだ。
と、いうとやはり時代を感じざるをえないが、あちこちの言い回しにも時代があらわれている。
たとえば、美人のことを「美ふてき」と言ったり。
後日詳しく追記したいが、とにかく、トリックはわかりやすくて、冷凍室を改造した部屋で痕跡も残さずに人が死んでたとなれば、その方法は、あれしかない。
短編が2つ。詳しくはまた後日か。
「二つの穴」
「ボリショイの熊」
熊の分は、落語の「動物園」を思い出させた。
機械的トリックで有名だが、僕にとっては落語通の推理作家、楠田匡介の『犯罪への招待』を読んだ。
裏表紙の作品紹介は、次のとおり。
「世にも恐ろしいアプレ学生の一団が、凄惨な完全犯罪計画をたてた。宏壮な邸内の離れの密室にその金満家の伯父を惨殺しようというのだ。が以外!同じ日、同じ時刻に、彼等の計画は失敗したにもかかわらず、その犯罪は見事決行されていたのだ」
誤字もあるし、よくわからない文章だ。
これも長編推理小説と銘打っているが、短編、まあ中編くらいの作品集。
乾信一記者とその妻祐子が事件を解決する。
「殺人設計図」
上記の紹介文は、この話のあらすじ。
密会してコンドームの中味をゲットし、それを現場につけて嫌疑をかけようとする。
一家のおどろおどろしいゴタゴタにアプレは利用された形。
「替えられた顔」
この作品で、乾夫妻のことが詳しく語られる。
4年越しの猛烈な恋愛の後結婚、祐子は歯医者をやめて家庭に入る。
そのとき、乾は30前で、祐子は24になったばかり。
祐子はスキーの選手で、乾記者は遊軍記者で運動部の方も手伝わされていた。
「スキーで一緒になったのよ」
と、飲み仲間の誰彼は飲むとよく乾を、こう云ってひやかした。
「落語の花見小僧のおちみたいな事を云うな」
この時代はまだ戦後であり、「男一人に、女はトラックに2台」という発言が出てくる。
結婚2年後に、遅れた新婚旅行に出かけて、事件に遭遇する。
ブルジョアを装おうとする2人は、こうツッコム。
「それじゃ、まるで落語の『気やしない帳』じゃないか?」
金を持ち逃げして新婚を装って逃避行しているカップルが、乾夫婦を身代わりにしようと企てる。身体の痣を硝酸銀でつけたり、背格好がほぼ同じという伏線もはってある。
「アリバイを探せ」
板前にばける見えない男トリック。
最終的にアリバイを破る大技が凄い。
そのまま書いてみよう。
乾の腕を取るなり、大外刈−だが、それがきまるより先き、乾の右手の拳が、まともに広沢の胃の腑を突き上げていた。
「げっ!」
広沢は折りたたみナイフのように、体を二つ折りにして、のめったが、と同時に、その胃の中の物を全部、じゅうたんの上に嘔吐してしまった。
「これが、夕食に食ったパンとミルクかい!さっき市町たちと食らったここの料理の鰒と、柿じゃねえか…江波戸さん、参考のために見ておいて下さいよ」
彼は今来た江波戸刑事に云い、それから美津キャメラに云った。
「証拠写真を撮っといて呉れ」
「吊るされた美女」
殺したと思ってた女が生きていて、吊るされていたのは、人形。
「殺された男」
野球中の殺人。
殺人を計画するが、ターゲットは常に隙を見せない。ターゲットがひとりきりになるチャンスを探すうちに、野球の試合中ならひとりきりだと気づく。
塁審に変装してターゲットを狙う男。
そして、その計画を知って、ターゲットを助けるため、ニュースカメラマンに変装して、短刀を圧縮空気で飛ばして塁審を殺すA君。
裏表紙の作品紹介は、次のとおり。
「世にも恐ろしいアプレ学生の一団が、凄惨な完全犯罪計画をたてた。宏壮な邸内の離れの密室にその金満家の伯父を惨殺しようというのだ。が以外!同じ日、同じ時刻に、彼等の計画は失敗したにもかかわらず、その犯罪は見事決行されていたのだ」
誤字もあるし、よくわからない文章だ。
これも長編推理小説と銘打っているが、短編、まあ中編くらいの作品集。
乾信一記者とその妻祐子が事件を解決する。
「殺人設計図」
上記の紹介文は、この話のあらすじ。
密会してコンドームの中味をゲットし、それを現場につけて嫌疑をかけようとする。
一家のおどろおどろしいゴタゴタにアプレは利用された形。
「替えられた顔」
この作品で、乾夫妻のことが詳しく語られる。
4年越しの猛烈な恋愛の後結婚、祐子は歯医者をやめて家庭に入る。
そのとき、乾は30前で、祐子は24になったばかり。
祐子はスキーの選手で、乾記者は遊軍記者で運動部の方も手伝わされていた。
「スキーで一緒になったのよ」
と、飲み仲間の誰彼は飲むとよく乾を、こう云ってひやかした。
「落語の花見小僧のおちみたいな事を云うな」
この時代はまだ戦後であり、「男一人に、女はトラックに2台」という発言が出てくる。
結婚2年後に、遅れた新婚旅行に出かけて、事件に遭遇する。
ブルジョアを装おうとする2人は、こうツッコム。
「それじゃ、まるで落語の『気やしない帳』じゃないか?」
金を持ち逃げして新婚を装って逃避行しているカップルが、乾夫婦を身代わりにしようと企てる。身体の痣を硝酸銀でつけたり、背格好がほぼ同じという伏線もはってある。
「アリバイを探せ」
板前にばける見えない男トリック。
最終的にアリバイを破る大技が凄い。
そのまま書いてみよう。
乾の腕を取るなり、大外刈−だが、それがきまるより先き、乾の右手の拳が、まともに広沢の胃の腑を突き上げていた。
「げっ!」
広沢は折りたたみナイフのように、体を二つ折りにして、のめったが、と同時に、その胃の中の物を全部、じゅうたんの上に嘔吐してしまった。
「これが、夕食に食ったパンとミルクかい!さっき市町たちと食らったここの料理の鰒と、柿じゃねえか…江波戸さん、参考のために見ておいて下さいよ」
彼は今来た江波戸刑事に云い、それから美津キャメラに云った。
「証拠写真を撮っといて呉れ」
「吊るされた美女」
殺したと思ってた女が生きていて、吊るされていたのは、人形。
「殺された男」
野球中の殺人。
殺人を計画するが、ターゲットは常に隙を見せない。ターゲットがひとりきりになるチャンスを探すうちに、野球の試合中ならひとりきりだと気づく。
塁審に変装してターゲットを狙う男。
そして、その計画を知って、ターゲットを助けるため、ニュースカメラマンに変装して、短刀を圧縮空気で飛ばして塁審を殺すA君。
楠田匡介の『灰色の視点』を読んだ。
裏表紙に書いてある作品紹介をそのまま書くと、
「犯罪の限りない恐怖・東京の街に怪奇な事件が相ついでおこった。−警視庁捜査第一課のベテラン・吉川刑事と宇野刑事は、今日もまた事件を追って歩きまわっていた。なんの因果か、好きでなった刑事とあってみれば、ぼやきながらも、案外内心では不満に思ってはいないのかも知れない。叩きあげた性根と、研ぎ澄した鋭敏な感。凶悪な犯罪を追って、推理と粘りと、悪を憎む正義感に、事件の謎をどう解決するか−」
誤字もあるし、なんだかよくわからない文章だ。
長編推理小説、と銘打ってあるが、ベテランの吉川刑事&若い宇野刑事そして「六歌仙」のあだなを持つ狼谷記者を主人公とする短編集。(狼谷は「かみや」と読む。名前が保秀で、「ブン屋の保秀」から洒落て六歌仙のあだながついた)
楠田匡介というと、よく機械的トリックを駆使した本格推理、みたいな紹介をされるが、ほんとにそうなのかね?と思う。この『灰色の視点』に関しては、トリックを期待して読んでも空振りだろう。警察小説として読むと、正しいように思う。作品中、再三にわたって、帝銀事件で百枚の名刺を追ってまわった居木井刑事のことが持ち出される。いわゆる、足で解決するタイプの物語なのだ。
また、僕にとっての関心は、楠田匡介の「落語好き」にある。以前、この日記にも書いたけど、正岡容のところで噺を聞いたりするほどの落語通だったらしいのだ。当然、作品にも落語が影響を与えずにはいない。
と、いうわけで、どんなふうに落語が作品に登場するかと、身も蓋もないネタバレを中心に作品のメモ。
「四十八人目の女」
靴下に名前の縫い取りがあって、死体の素性が知れて、事件が解明する。
ラストはまるで落語のサゲ。
みつは警察署で新次郎と会わされた時、
「てめえが、ドジだからこんな事になったんだ。あの靴下さえ、ぬがして置けあ、足がつかなかったのに、トンマをしやがって−」
と新次郎に毒づいた。
「靴下だから、足がついたか−」
誰かが洒落を飛ばしたが、吉川刑事は、なにかしら、笑えなかった。
「謎の窒息死」
尼美人箱詰め事件。
死因は窒息死なのだが、大のおとなが無抵抗で窒息させられる筈はない。抵抗したあとが何もないのだ。
さて、真相は。
尼は癲癇の発作を起こし、そんな持病があると知らない男が、死んだと勘違いして、箱に尼を隠す。で、箱詰めにされてしまったことで、窒息死してしまうのだ。
この話では、事件の聞き込みで末広亭に行っており、
「高座は二つ目の三笑亭夢楽が終って、幕が降りたばかりである」
の一文がある。
「浴槽の怪屍体」
凶器のマサカリが見あたらない。
投げたマサカリが、たまたま下を通っていた貨車に乗って、運んでいったのだ。
駅に照会してみて、あっけなくマサカリが発見され、吉川刑事はあまりの偶然のいたずらに、こう言う。
「あっははは。まさか、本当にまさかだね」
「屍体紛失」
強姦未遂強盗の狂言で、旦那に言い訳しようとした女。
旦那がなかなか来ずに、警察沙汰になってしまう。
「幽霊の屍体」
幽霊に扮して屋敷から追い出そうとした計略。
風が吹けば人の声のような音を出す笛が鳴る仕組み。
あわよくば、衰弱して死ぬこともたくらむ。
幽霊を目撃したのが「老人に病人に狂人」だったため、まんまとだまされた。
幽霊に扮する、ということで、「不動坊火焔」が語られる。
「拳銃を持つ女」
貯金通帳改竄事件。
どうやって改竄したかについては、ラストにこう書いてある。
「だが、あれ程の大金をやすやすと詐取出来た、あの貯金通帳の改竄を、どうしてやったのか不思議だよ」
「なんでもない、ゼラチンさ」
「ゼラチン?プッテングの材料になるあのゼラチン?どんな方法で?」
と狼谷記者は目を丸くした。
「ふふ、六歌仙のあんちゃんなんかに教えては、悪用されるからね」
と、明かしてくれないのである。
「俺は殺さない」
競馬、競輪気違いの犯人を、競輪場でつかまえる。
決め手は、ウイスキーのびんについた指の痕。
「犯人は誰だ」
裸で発見された死体。すぐ近くに謎のコンドーム。
楠田匡介のデビュー作だ、とラジオで言ってた「コンドーム殺人事件」は未発見だが、これもコンドームの謎が語られる。
被害者は人を殺したあとで、交番の前を通るのを避けるため、川を泳いで渡ろうとしていたのだ。ところが、その殺人は未遂であり、別に犯人がいた。真犯人が後から追いついて、裸になった勘違い男を殺す。コンドームは、傷ついた指を汚い水につけるのを嫌って、指にはめていたもの。戦争中には、戦地で煙草をコンドームに入れて、濡れるのを防いだりしていたらしい。
「首のない屍体」
ウイスキーの箱に詰められた死体。
箱をさがせ!
「連続殺人」
渋谷でゆでたまごを売っている店をさがせ!
「冷凍美人」
凍死
裏表紙に書いてある作品紹介をそのまま書くと、
「犯罪の限りない恐怖・東京の街に怪奇な事件が相ついでおこった。−警視庁捜査第一課のベテラン・吉川刑事と宇野刑事は、今日もまた事件を追って歩きまわっていた。なんの因果か、好きでなった刑事とあってみれば、ぼやきながらも、案外内心では不満に思ってはいないのかも知れない。叩きあげた性根と、研ぎ澄した鋭敏な感。凶悪な犯罪を追って、推理と粘りと、悪を憎む正義感に、事件の謎をどう解決するか−」
誤字もあるし、なんだかよくわからない文章だ。
長編推理小説、と銘打ってあるが、ベテランの吉川刑事&若い宇野刑事そして「六歌仙」のあだなを持つ狼谷記者を主人公とする短編集。(狼谷は「かみや」と読む。名前が保秀で、「ブン屋の保秀」から洒落て六歌仙のあだながついた)
楠田匡介というと、よく機械的トリックを駆使した本格推理、みたいな紹介をされるが、ほんとにそうなのかね?と思う。この『灰色の視点』に関しては、トリックを期待して読んでも空振りだろう。警察小説として読むと、正しいように思う。作品中、再三にわたって、帝銀事件で百枚の名刺を追ってまわった居木井刑事のことが持ち出される。いわゆる、足で解決するタイプの物語なのだ。
また、僕にとっての関心は、楠田匡介の「落語好き」にある。以前、この日記にも書いたけど、正岡容のところで噺を聞いたりするほどの落語通だったらしいのだ。当然、作品にも落語が影響を与えずにはいない。
と、いうわけで、どんなふうに落語が作品に登場するかと、身も蓋もないネタバレを中心に作品のメモ。
「四十八人目の女」
靴下に名前の縫い取りがあって、死体の素性が知れて、事件が解明する。
ラストはまるで落語のサゲ。
みつは警察署で新次郎と会わされた時、
「てめえが、ドジだからこんな事になったんだ。あの靴下さえ、ぬがして置けあ、足がつかなかったのに、トンマをしやがって−」
と新次郎に毒づいた。
「靴下だから、足がついたか−」
誰かが洒落を飛ばしたが、吉川刑事は、なにかしら、笑えなかった。
「謎の窒息死」
尼美人箱詰め事件。
死因は窒息死なのだが、大のおとなが無抵抗で窒息させられる筈はない。抵抗したあとが何もないのだ。
さて、真相は。
尼は癲癇の発作を起こし、そんな持病があると知らない男が、死んだと勘違いして、箱に尼を隠す。で、箱詰めにされてしまったことで、窒息死してしまうのだ。
この話では、事件の聞き込みで末広亭に行っており、
「高座は二つ目の三笑亭夢楽が終って、幕が降りたばかりである」
の一文がある。
「浴槽の怪屍体」
凶器のマサカリが見あたらない。
投げたマサカリが、たまたま下を通っていた貨車に乗って、運んでいったのだ。
駅に照会してみて、あっけなくマサカリが発見され、吉川刑事はあまりの偶然のいたずらに、こう言う。
「あっははは。まさか、本当にまさかだね」
「屍体紛失」
強姦未遂強盗の狂言で、旦那に言い訳しようとした女。
旦那がなかなか来ずに、警察沙汰になってしまう。
「幽霊の屍体」
幽霊に扮して屋敷から追い出そうとした計略。
風が吹けば人の声のような音を出す笛が鳴る仕組み。
あわよくば、衰弱して死ぬこともたくらむ。
幽霊を目撃したのが「老人に病人に狂人」だったため、まんまとだまされた。
幽霊に扮する、ということで、「不動坊火焔」が語られる。
「拳銃を持つ女」
貯金通帳改竄事件。
どうやって改竄したかについては、ラストにこう書いてある。
「だが、あれ程の大金をやすやすと詐取出来た、あの貯金通帳の改竄を、どうしてやったのか不思議だよ」
「なんでもない、ゼラチンさ」
「ゼラチン?プッテングの材料になるあのゼラチン?どんな方法で?」
と狼谷記者は目を丸くした。
「ふふ、六歌仙のあんちゃんなんかに教えては、悪用されるからね」
と、明かしてくれないのである。
「俺は殺さない」
競馬、競輪気違いの犯人を、競輪場でつかまえる。
決め手は、ウイスキーのびんについた指の痕。
「犯人は誰だ」
裸で発見された死体。すぐ近くに謎のコンドーム。
楠田匡介のデビュー作だ、とラジオで言ってた「コンドーム殺人事件」は未発見だが、これもコンドームの謎が語られる。
被害者は人を殺したあとで、交番の前を通るのを避けるため、川を泳いで渡ろうとしていたのだ。ところが、その殺人は未遂であり、別に犯人がいた。真犯人が後から追いついて、裸になった勘違い男を殺す。コンドームは、傷ついた指を汚い水につけるのを嫌って、指にはめていたもの。戦争中には、戦地で煙草をコンドームに入れて、濡れるのを防いだりしていたらしい。
「首のない屍体」
ウイスキーの箱に詰められた死体。
箱をさがせ!
「連続殺人」
渋谷でゆでたまごを売っている店をさがせ!
「冷凍美人」
凍死
『青いリボンの誘惑』
2010年2月23日 読書飛鳥高の『青いリボンの誘惑』を読んだ。
ネタバレするので、未読の人は、まず読んでから。
長年のブランクのあと、発表された最後の長編。
青いリボンとは、幸せの黄色いリボンみたいなもので、不倫の合図。
青いリボンの誘惑とは、つまるところ、浮気心、ってところか。
話の内容は、息子がたどる父親の舞踏会の手帖みたいなもので、心残りなところをまわっていると、思わぬ事件に遭遇する、という話。
詳しく書ける日がくればいいな。
ネタバレするので、未読の人は、まず読んでから。
長年のブランクのあと、発表された最後の長編。
青いリボンとは、幸せの黄色いリボンみたいなもので、不倫の合図。
青いリボンの誘惑とは、つまるところ、浮気心、ってところか。
話の内容は、息子がたどる父親の舞踏会の手帖みたいなもので、心残りなところをまわっていると、思わぬ事件に遭遇する、という話。
詳しく書ける日がくればいいな。
『コララインとボタンの魔女』
2010年2月22日 読書
ニール・ゲイマンの『コララインとボタンの魔女』を読んだ。
ダーク!
特別に大仰なファンタジー世界が用意されているわけではなく、舞台は家、家族とせいぜいがその近所まで。
と、言うと、しょぼいように思えるが、これがなかなか。
まるでジャック・フィニィの『盗まれた町』にも似た悪夢の世界が待っているのだ。
なるほど、子供にとってはナルニア国よりもタンスの中の方にわくわくする夢を紡げるのと同様、家族こそがファンタジーと悪夢の源泉になるのであろう。
とにかく、こわかったし、考えさせられることが多かった。
ボタンの目をしたお母さんがポリポリ食べているお菓子は、映画化に際して、どう映像化されたのか、考えただけでも鳥肌がたつ。
くわしく書くことができればいいな。
ダーク!
特別に大仰なファンタジー世界が用意されているわけではなく、舞台は家、家族とせいぜいがその近所まで。
と、言うと、しょぼいように思えるが、これがなかなか。
まるでジャック・フィニィの『盗まれた町』にも似た悪夢の世界が待っているのだ。
なるほど、子供にとってはナルニア国よりもタンスの中の方にわくわくする夢を紡げるのと同様、家族こそがファンタジーと悪夢の源泉になるのであろう。
とにかく、こわかったし、考えさせられることが多かった。
ボタンの目をしたお母さんがポリポリ食べているお菓子は、映画化に際して、どう映像化されたのか、考えただけでも鳥肌がたつ。
くわしく書くことができればいいな。
飛鳥高の短編集。
感想はまた後日。フレドリック・ブラウンの本の感想もろくに書いてないけど、時間とストレスなく動くパソコンがあればすぐにでも書けるんだが。
今日はWTCの古本市に行く。
懐具合がよろしくないので、「探している本が見つかりませんように」と祈りながら丹念に見る。
約2時間かけて一通り見たけど、お目当ての本がなくて、ほっと一安心。
ちょっと、かする本とかあって、ひやひやした。
感想はまた後日。フレドリック・ブラウンの本の感想もろくに書いてないけど、時間とストレスなく動くパソコンがあればすぐにでも書けるんだが。
今日はWTCの古本市に行く。
懐具合がよろしくないので、「探している本が見つかりませんように」と祈りながら丹念に見る。
約2時間かけて一通り見たけど、お目当ての本がなくて、ほっと一安心。
ちょっと、かする本とかあって、ひやひやした。