『変身のためのレクイエム』
ヤン・ファーブルの『変身のためのレクイエム』を読んだ。
舞台作品のための4本。主に「死」をテーマにしている。

「ひとつの部族、それが私」
帯にも引用してある「私はやめないだろう/一枚一枚/魂の皮を剥ぐ」はこの作品からのもの。
アントナン・アルトーのテクストに触発されたもの。
ウィルスは人間を
器官なき身体に
記憶なき器に変えるだろう
神は人間を自由に陽気にする
神はウィルス
ウィルスとは神である
という部分がある。
また、神の手首に、うなじに、肛門に噛み付き、その血や糞に洗われるまで自分を清めない、というイメージが、肉体的にリアル!

「変身のためのレクイエム」
この作品は登場人物も多いが、そのなかで、「歴史の声」はさまざまな死のカタログをニュース速報のように列挙し、「死者たちを笑わせようとする蝶」はジョークを次々ととばす。
その「歴史の声」ではジョン・レノン殺害、コカイン中毒死、オサマ・ビン・ラディンの演説、HIV感染、天安門事件、2004年の津波の被害者数、911、カート・コバーン、クローン羊ドリー、ジェフ・クーンズのバスケットボール作品、ルワンダ、ネルソン・マンデラ、ヨーゼフ・ボイスなどが取り上げられる。
蝶のジョークも、ヒトラーやコミュニスト、きちがい、など、辛味がきいていて、面白い。

「またもけだるい灰色のデルタデー」
ジャン・アメリーの「自分に手を下すこと-自殺について」、ボビー・ジェントリーの「ビリー・ジョーに捧げるオード」を発想の源にしている。
デルタデーは「ミシシッピー河のデルタ地帯の靄の立ち込めた暑い日」のこと。
またもけだるい灰色のデルタデー
僕はいま
飛び込もうとしている
がリフレインされる。

「死の天使」
ウィリアム・フォーサイスに献じられた「ある男または女または両性具有者のためのモノローグ」で、「両性具有的な存在アンディ・ウォーホールに想をえた」と書かれている。

本書の紹介文には、次のような文章が並んでいる。
「残酷に、また滑稽に、そして静かに<死>をあばき出す 生の単なる終焉として<死>を捨て置くのではなく、生の現実の出来事である<死>を見つめること。生の惨状を受容し鎮めるのではなく、生を少しだけ<変身>させること」
『破小路ねるのと堕天列車事件』
木戸実験(きど・みのり)の『破小路ねるのと堕天列車事件』を読んだ。
ライトノベルで本格推理はなかなかないので、どんな感じなのかな、と思って楽しみに読んだ。
本に書かれてあるあらすじを紹介すると。
僕、砂島直也の彼女は文芸部所属のメガネっ娘、破小路ねるの。容姿可憐にして純潔な文系娘である彼女は、ちょっとした指や肩の接触から、ハレンチな妄想の中へ飛翔するらしく、油断すると鼻血を吹いて倒れてしまう。ある日、約450キロ離れた場所を走っていたはずの電車が突如、高校校舎に上からつき刺さるという珍奇な事件が起こり、僕と彼女はこの謎に挑戦するが・・・!
ふむ。これはすごい。
作者のあとがきによると、
「本作は、ボリス・ヴィアンの『北京の秋』のイメージを、阿井渉介先生風にミステリ翻訳するとどうなるか、という誰得コンセプトで書きはじめました」
とある。これは、またまたすごい。
校舎に列車が突き刺さる、という突拍子もない謎。しかも事件は千葉で起こっているのに、突き刺さっている列車は神戸の六甲鉄道の車両だったのだ。
前半は、主人公の少年・砂島直也、鼻血少女・破小路ねるの、文芸部部長・牛越瞳が三者三様の推理をたたかわせる、推理合戦。これは素晴らしい!で、後半はいかにもなライトノベル的展開の4つめの真相が展開される。
それぞれ、こんな印象。
砂島直也の推理:困難は分割せよ
破小路ねるのの推理:上から列車が突き刺さったのではなく、学校が地盤沈下して埋めてあった列車に突き刺さった。
牛越瞳の推理:駅の怪鳥鳩時計を利用した機械的トリック。
真相:妄想の現実化。こういうのをセカイ系っていうの?ビューティフルドリーマーの世界の来歴みたいなもの。
さらに、そのライトノベル的なものの顛末に決着をつける伏線が、実は推理合戦でとりあげられたあるファクターにあった、という知的快感。ちょっとありえない力を持ったファクターに信憑性をもたせるために、あの推理合戦は利用されたのか、という「やられた!」感が楽しかった。
推理合戦のあとに、こういう真相を持ってくるのは、まるで火刑法廷のラストを300ページにわたって書いたようなものだが、本書は全体でも大長編になっておらず、そこは作者の抑制がきいていて、好感が持てた。半分に削れるだろ、とツッコミたくなるような小説が多いなかで、よくこのページ数でおさめた、と思った。
まさに直球(?)の本格推理と言っていいだろう。
ただし、この作品で連想させられた「ボリス・ヴィアン」「阿井渉介」「火刑法廷」が若いライトノベル読者の共感を得られるとは思えず、次の作品からは、結局本格ミステリーの世界からはずれた、ライトノベル寄りの作品を書かされてしまうんじゃないか、というのが、心配だ。



『魔界探偵冥王星O ジャンクションのJ』
越前魔太郎の『魔界探偵冥王星O ジャンクションのJ』を読んだ。
越前魔太郎は、複数の作家による覆面ペンネームで、この「J」の正体は新城カズマであることが、既に発表されている。
そして、これまでに発表された「冥王星O」作品のそれぞれに絡めて、文体も多様に、複数の物語が語られる。これはつまり、起こらなかったことも歴史のうち、という寺山修司がよく使う文句をライトノベルで実現した、ということのようだ。
わがままな食欲魔人が子豚だったり、飲むと意識がのっとられて汗で敵を撃退するために露出狂になったり、白雪姫モチーフのマトリックス的世界だったり、いろんな作品を書き落としていく越前魔太郎の原稿を拾っては読む冥王星O。
とくに興味深かったのは、4章で、ここは冥王星Oをいろんなタイプのキャラクターにあてはめた短編集めいた作りになっている。
「開始地点」まあ、越前魔太郎VS冥王星Oのプロローグ
「完全なる感情」女子寮乙女物語
「己喰らい事件」再生能力を持ち自分を食べて生き続ける宇宙飛行士。
「冥王星暗殺事件」大量の生活雑貨、家電が降ってきてピアノの下敷きで暗殺された大統領(冥王星O)。これは音楽か?
「魔界迷宮事件」ウラシマ地下迷宮を攻略しようとする勇者たち
「中継地点」ここに、冥王星Oの多面性をあらわす文章があるので、引用しておこう。
それはこれまでにあった、そしてこれからあるかもしれない「冥王星O」の事件簿だ。
閉鎖された庭園で、愛についての実験を繰り返す「冥王星O」がいた。
「冥王星O」の名を冠する、「彼ら」に対抗する薬物があった。
死によって極上のメロディを奏でた「冥王星O」がいた。
そして膨大な刻を駆けぬけながら、地下世界を探索し続ける「冥王星O」がいた。
人体楽器に魅せられた「冥王星O」がいた。
13年の時を隔て、幼き日の友情に決着を付けた「冥王星O」がいた。
ここにある原稿、幾千万の寝物語。これこそが、「冥王星O」の正体そのものだ。
これらが、爆発して炎上。
「ジャンクション事件」「あなた=越前魔太郎」vs「冥王星O」
ここでは冥王星Oが越前魔太郎について語っているので、引用。
「お前は、カート・ヴォネガットのキルゴア・トラウト、村上春樹のデレク・ハートフィールド、上遠野浩平の霧間誠一・・・。ああ、お前は本物の作家なんじゃない。この浄瑠璃を書いている作家の主張を反映する、哀しい操り人形なのだよ」
そして、こんなことも。
「私は「冥王星O」を利用して、多くの愛についての実験を繰り返してきた。これからも繰り返すだろう。「ジャンクション」のアーカイブに、愛についてのデータを蓄積するために」
このクライマックスがいくつもある4章を経て、エピローグでは脂肪ぶよぶよの越前魔太郎が原稿を吐いているのに、ついに冥王星Oは追いつくのである。


『「トキワ荘」無頼派 漫画家・森安なおや伝』
伊吹隼人の『「トキワ荘」無頼派 漫画家・森安なおや伝』を読んだ。
以下、目次。
ある無名漫画家の死
岡山から始まった“まんが道”
田河水泡門下をへて独立へ
「新漫画党」結成と学童社の倒産
輝ける青春・「トキワ荘」の時代
貸本漫画衰退、漫画家廃業を決意
夜の世界と流転の日々
トキワ荘解体、ドキュメンタリー番組出演
晩年の生活と『烏城物語』
併載復刻『赤い自転車』森安なおや・作
森安なおや・作品リスト

僕にとって、森安なおやを印象づけたのは、作中にもあるドキュメンタリー番組だったが、その番組の裏話が書いてある。
森安なおやが集英社に原稿を持ち込んで、結局採用されなかったくだりについて。森安なおや本人と交流もあった古書店主、高畠裕幸氏(巻末の作品リストも作成している)による、次のような発言が載せられている。
「あの番組は、NHKが最初から結末を決めてやっていたそうです・・・ジャンプでは最初、採用の方向で動いていて、アシスタントを付ける話もあったらしいんですが、NHKが『結局ダメでした』というオチにするため、『断ってくれ』って頼んだらしくて。あの持ち込みにしても、もしかしたら無理やり行かせたのかもしれませんね」
筆者もいうように、「太平洋戦争と少年飛行兵」のテーマで描いた漫画を『ヤングジャンプ』に持ち込むのは無理がある、と確かに思える。
とは言え、このドキュメンタリー番組なしでは確実に森安なおやは歴史の闇に葬られていたにちがいないので、番組を責める気にはなれない。面白い番組だったしね。
番組までのことは、藤子漫画などでも森安なおやのエピソードが読めるのでわかるが、それから後の人生については、この本を読むまではまったく知らなかった。
ただ、そこに何か面白いエピソードがあるのかと言えば、まあ、無いのである。
本書の眼目は、「併載」された「赤い自転車」にあると言っていいだろう。
そして、本文である「森安なおや伝」は長い解説だと取ればいいようだ。
と、いうのは、まず、森安なおやについて書くことの少なさによるのだろうか、たとえばトキワ荘の他の住人についての記述とか、注釈的な情報が多すぎること。そして、とくに前半、森安なおやの厄介さがエピソードとしてさんざん語られるのだが、そこに森安なおやへの愛が感じられないのである。トキワ荘の面々による森安なおやエピソードや、テレビ番組などでは感じなかった感情だった。まるでどうしようもない森安なおやに対して、筆者は怒りを覚えているんじゃないか、と思えたほどだ。
と、いうわけで、「赤い自転車」である。
「なかよしまんが物語」と銘打たれており、目次は次のとおり。
夕焼け雲
たっちゃんのねがい
黒いまつばづえ
のぼれアドバルーン
みんな笑わないで
こがらしふくな
きえたしゃぼん玉
にじの中の少年
がんばれたっちゃん
赤い自転車

当時の世相がどうだったか偲ばれる面白い作品で、いかにも貸本漫画なテイストがうれしい。でも、この本が出た1956年に、手塚治虫はすでに「火の鳥」も発表しており、「ライオンブックス」のシリーズも描いているのである。手塚治虫の現代性と偉大さが、逆にわかって感心してしまった。

『膝のうえのともだち』
町田康の『膝のうえのともだち』を読んだ。
飼い猫ヘッケ、ゲンゾー、奈奈、ココア、パフィー、ニゴ、シャア、ウメチャン、シャンティ、パンク、エル、トラ、オルセンの写真に、エッセイ『猫にかまけて』『猫のあしあと』から引用した文章がはさまれる。
また、巻末には「ココア」と題する書き下ろし短編小説が載せられていた。
22年飼っていた猫が死んで2ヶ月たった頃の話。
泥酔してボコボコにされて昏倒した後、めざめたら、猫と人間が逆転した世界にいた、という物語。そこでは人間は廃棄弁当を盗んで食べ、それを猫は「人間がゴミを荒らす」と排斥したりするのである。たまにボランティアの猫が、人間に定期的に食べ物をくれるが、
「しかし、ボランティアのそうした行為に批判的な猫も多く、不衛生な人間にうろうろされると気分が悪いので、行政が積極的に駆除すべき、という猫は少なくなかった」のである。
「また、ただ単に楽しみのためだけに人間を虐待する猫も居るらしく、餌場に集まる人間には瞼を接着剤で貼り合わせられたことのある人間やバーナーで燃やされた人間、脚を切断された人間、矢で射たれた人間がいた」
猫と人間をいれかえただけなのに、なんと悲惨な物語になってしまうのか。
当然、猫と人間のあいだでは話も通じないのだが、飼ってたココアがあらわれて、主人公と普通に話す。そこでのくだりが、本編のヤマ場!
「私はこの世界では言語を持たず、にゃあにゃあ、としか言えないんだけど、なんでココアとだけは話ができるのだろうか」
「前の世界で私はにゃあにゃあとしか発音しませんでした。でもあなたは私の言うことがわかったじゃありませんか。同じことですよ」
うかつにも、ここで感動してしまった。そんなつもりじゃなかったのに!

ATCに南港ダンスフェス春グランプリの決勝を見に行った。
ジュニア部門と、中学生を含むティーン部門、16組ずつ、あわせて32組。
雨で会場が室内に変更になり、ちょっとうろうろと迷ってしまった。
僕が到着したとき、エントリーナンバー3番のダンスをしていたので、最初の2組は見逃したことになる。
全チームの紹介をしたいところだが、出場チームを書いたシートをもらえず、ヒアリングだけではこころもとないので、受賞チームだけ書いておこう。これも、ヒアリングができていなくて、勘違いがあるかもしれない。
受賞チームは次のとおり。
テレビ大阪賞:バイオグラフィー
ハイアットリージェンシー賞:ラディエーション
ケーブルテレビ賞:Jソウルヒップス
GPbasic賞:マロン
ジュニアの部準グランプリ:ブギータウンダンス
ティーンの部準グランプリ:ダブルセンセーション
ジュニアの部グランプリ:アヴァンティ
ティーンの部グランプリ:ディッピー
確かに、どれもこれもすごかった。決勝に残っているのだから、レベルが高いのは当たり前だろう。でも、そこは小中学生のこと。ダンスで失敗したと泣く子やら、緊張のせいか体調をくずして吐く子やら、舞台裏はてんてこまいだったようだ。
結果発表までの時間に、K-POPのゲストが2組出演した。
SPINELは2人組のギターポップ。
2曲披露した。
GPbasicは平均年齢14歳の6人。
2曲と、おまけで1曲追加。
意外とK-POPのこの2組がよくて、ついついCDを両方買ってしまった。
サイン入りの非売品(!)CD。ステッカーもいただいた。
この日、ATCではコスプレのイベントも開催されており、館内はダンスの衣装を着たこどもたちや、アニメやゲームのコスチュームを着た少女たちで、華やかな感じだった。

帰宅して、録音しておいたNHK-FM「現代の音楽」を聞く。 
                       猿谷紀郎
 - 音の現在(いま)~カイヤ・サーリアホ -(2)    
                              
「…煙の中へ」            カイヤ・サーリアホ作曲
                      (21分20秒)
            (アルト・フルート)ペトリ・アランコ
              (チェロ)アンシ・カルットゥネン
      (管弦楽)ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団
               (指揮)エサ・ペッカ・サロネン
     <キング・インターナショナル KKCC-4108>
                              
「魂の城」              カイヤ・サーリアホ作曲
                      (24分30秒)
              (ソプラノ)ドーン・アップショウ
             (合唱)フィンランド放送室内合唱団
             (管弦楽)フィンランド放送交響楽団
               (指揮)エサ・ペッカ・サロネン
           <ソニー・ミュージック SICC17>

さあ、今日はアメリカ村サンホールで、大阪ロックデイですよ!
2日開催されるうちの、1日めのサブステージを担当させていただきました。
楽しみ~。

OPEN 16:00

START 16:20


16:00~16:20 DJ TIME 

16:20~16:40 ①Baby smoker

16:40~17:00 DJ TIME

17:00~17:25 ②いったんぶ

17:25~17:45 サイドステージ:いあとねっち!

17:45~18:10 ③下山.

18:10~18:30 サイドステージ:Mirror Lakes

18:30~18:55 ④ザ・たこさん

18:55~19:15 サイドステージ:りあ326

19:15~19:40 ⑤ELECTRIC EEL SHOCK

19:40~20:00 サイドステージ:ぴいち姫

20:00~20:25 ⑥ULTRA BIDE

20:25~20:45 サイドステージ:丼野M美with佐伯誠之助

20:45~21:10 ⑦LOSTAGE

http://www.osakarockday.com/
shohjo隊@道頓堀リバーウォーク
道頓堀とんぼりリバーウォークのWringステージイベントで、午後7時からshohjo隊のライブ。
ちょうど読んでいた本が『不良少女伝』で、そのなかでは、不良少女たちの軍団が乱立し、少女たちが「ハート団」「血桜団」「血ユリ団」「蛇の目団」などグループに名前をつけていたことが書かれていた。現在だとさしずめ、AKB以降に到来したブームで、数多くのユニットアイドルが群雄割拠しているのが、それに対応しているようで、面白いな、と思った。もちろん、shohjo隊は不良少女の集団ではないのである。ティアラのHPによると、shohjo隊のメンバーは、次のとおり。
小林映美里(こばやし・えみり)リーダー
小林優花(こばやし・ゆうか)
江田菜緒(えだ・なお)
仲村コニー(なかむら・こにー)
角野夢生(すみの・ゆうま)
角野こころ(すみの・こころ)
小島希美(こじま・のぞみ)
あいにくの雨で、しかも、1曲目の音源が音が出ず、アカペラで対応、という波乱のライブ。
1.笑顔がスキッ!
2.ハート型ウィルス
3.Gee
4.ショートカット
それぞれ、制服向上委員会、AKB48、少女時代、スマイレージ、と、毛色の違ったアイドルユニットからのカバー。なによりうれしかったのが、「笑顔がスキッ!」で、制服向上委員会の曲をレパートリーに選ぶアイドルユニットなんて、ほんと、ただものではないのである。(今回はアカペラだったので、次回、ちゃんとした形で見たい)

『明治 大正 昭和 不良少女伝---莫連女と少女ギャング団 』
平山亜佐子の『明治 大正 昭和 不良少女伝---莫連女と少女ギャング団 』を読んだ。
河出書房新社の内容紹介には、こう書いてある。
堕落した書生を成敗せよ! 不良集団の四谷ハート団を率いたジャンダークのおきみ等、明治、大正、昭和を彩った不良少女たちの生態が今明かされる。自由を追い求めたモダンガールの軌跡。

以下、目次。
はじめに
第一章 明治……銀杏返しの莫連女たち
明治という時代/不良少年少女の誕生/明治期の莫連女1/明治期の莫連女2/明治期の悪少女団
第二章 大正……洋装の不良少女団
大正時代と不良問題/文界の不良少年団/不良化の原因1 悪いのは上流、下流? それとも中流?/不良化の原因2 映画を真似る少年、金龍館と少女/不良化の原因3 浅草オペラの殿堂、金龍館と少女/不良化の原因4 文化 カフェーと自然主義文学/不良少年少女の更正策/ハート団事件と丸ビル/タイピストとショップガール/「丸ビル美人伝」/ジャンダークのおきみ/恐ろしき大正期の不良少女たち/イタリー人狙撃事件/不良外人問題と心中の流行/文界の愚連隊、ふたたび
*附 草創期の新聞社と記者たち
第三章 昭和……断髪の少女ギャング団
昭和初期と不良の傾向/女優志願がギャングの首領に/モダンガール≠モガ/モガと「不良外人」/モテるフィリピン人/美人を団長に捉える不良団/家出の増加と放任主義/ギャングの女/「バッド・ガール」の流行/ギャング団の台頭/赤色系ギャング団の登場/満州帰りの不良たち/浅草の終焉/戦中・戦後の不良たち
あとがきにかえて
主要参考文献

新聞記事を中心に、不良少女の変遷をたどった1冊。「あとがきにかえて」に、こんな文章がある。

明治半ばの莫連女たちは、父親に逆らい、男装をして、家を飛び出した。大正の不良少女たちは少年たちと共謀し、映画館で客引きし、不良外国人を撃った。昭和初期のバッド・ガールたちは断髪にして、エロを武器に、満州で暴れた。

なるほど!やってることはエスカレートしているかもしれないが、明治では父親に逆らうことが、新聞などに書かれるほどのインパクトがあった、ということだ。
昭和7年『改造』で紹介される不良少女たちは、二つ名を持っており、時代を感じさせる。
不良にからまれてピストルを発砲する名うての不良少女「ガルボのお政」
野郎はだしの仁義をきる「ジャズのお小夜」
ブルジョアの子弟を釣って猛烈なアッパーカットを喰わせる「ハッタリお清」
映画俳優の頭に消毒液かけて遁走した「カルメンお静」
あと、膝にロウ細工の人面疽をつけて、驚かせる「お春」とか。
あと、気になったのが、モガについて語るいわゆる「近隣住民」の発言で、
「不断キングや講談クラブを読んで面白がって居る程でしたから思想も低級でモダーン・ガールも聞いて呆れる程でした」
と、いうが、僕の今の大好物といったら、この「キング」「講談クラブ」あたりの読み物なのである。思想低級でわるうござんしたね!

生命の冠

2011年5月26日 映画
内田吐夢監督の「生命の冠」を見た。1936年。山本有三のデビュー作を原作にしている。無声映画。
カニ缶詰工場がカニの不漁が高じてついに工場も手放してしまう、という悲惨な現実を描いているが、それを回避しようとしてあの手この手を使う弟(井染四郎)をさとして、正直に生きていこう、と決断する岡譲二。妹役で原節子(当時15歳)の姿もみえる。
その、あの手この手で、弟はカニ缶の中身をメス蟹の身を入れたりして水増ししようとするくだりがあった。雌蟹の身は一級品じゃないんだ。なるほど。
カニ漁や工場で缶詰にする工程も撮影されており、貴重。とくに、ロケ地は北方領土なのである。
ラスト、にっちもさっちもいかなくなって工場を手放す段になって、岡譲二は、聖書をひいて、こう言う。
「爾(ナンジ)死ニ至ルマデ忠信ナレ
然ラバ我レ爾ニ生命ノ冠ヲ與ヘン」
これはヨハネの黙示録2章10節からの言葉で、現在流通している新共同訳では、こうなる。
「死に至るまで忠実であれ。
そうすれば、あなたに命の冠を授けよう。 」
どうにか助かるのか、もっと悲惨になるのか、どっちかにしてくれと言いたくなるようなラストだが、すごく現実味があって、迫るものがあった。
この映画のいわば売りになる原節子は、存在感はあるものの、いてもいなくてもいいような役だった。


『周期律』

2011年5月25日 読書
『周期律』
プリーモ・レーヴィの『周期律』を読んだ。
「宇宙の、物質の源に思いを託し、アウシュビッツ体験を持つひとりの化学者が自らの人生の断片を綴った自伝的短編集。各篇のタイトルに元素名がつけられ、全21篇がまさに文学の周期表を形づくる」
この前読んだ『天使の蝶』の中に、特定のにおいが固有の記憶を喚起する物語が収録されていたが、それにも似て、ある元素をお題に、それにまつわるエピソードを語っている。本書最後のエピソード「炭素」には、こう書いてある。
これは、そう望んでもいるのだが、極小史である。ある職業とそれにまつわる敗北、勝利、悲哀の歴史である。

人生のこの時点まで来て、化学者として、周期律表や、バイエルシュタインやランドルトの膨大な索引を目の前にして、自らの職業上の過去の悲しい断片や戦利品が散らばっているのを見ないものはいるだろうか?どんな教科書でも開いてみると、記憶がどっと押し寄せてくる。

で、どんなエピソードが語られているかと、いうと、たとえば、いつまでもツヤツヤした唇をキープするルージュを作るために、鶏や蛇の糞をあさって尿酸を集めようとした話(「窒素」)など、面白い。哺乳類の排泄物には尿酸はわずかしかないのに、鳥類には50%、爬虫類には90%含まれているんだと!哺乳類の場合は水分の関係で尿酸でなく、尿素になっちゃうらしいのだ。中には、自伝的ストーリーではなく、神話ファンタジーめいたバリバリのフィクションもある。
随所に見られる、化学者ならではのものの見方が、新鮮だ。
たとえば、「炭素」の中に、こんな文章がある。
あらゆる肉体の最後の目的は、大気の主要構成物ではなく、取るに足らない残余、誰も気づきもしないアルゴンよりも30倍も希薄な「不純物」でしかないのだ。
もし約2.5億トンになる人類全体が地表に均一な厚さで上塗りされるように配置されたなら、「人間の背たけ」は肉眼では見えないだろう。その上塗りの厚さは1ミリの1万6千分の1だろうからだ。

以下、目次。
1 アルゴン  
2 水素  
3 亜鉛
4 鉄  
5 カリウム  
6 ニッケル
7 鉛  
8 水銀  
9 隣 
10 金  
11 セリウム  
12 クロム
13 硫黄  
14 チタン  
15 砒素
16 窒素  
17 錫  
18 ウラニウム
19 銀  
20 ヴァナディウム  
21 炭素
作中、興味をひいた部分をいくつか書いておこう。
「亜鉛」より
亜鉛は非常に敏感で、繊細で、酸には簡単に屈し、あっという間にとかされてしまうのだが、純度の高い時は大きく違った反応を示すのだった。亜鉛は純粋なら、酸の攻撃にも執拗に抵抗した。このことから、相反する哲学的考察が引き出せた。一つは鎖帷子のように悪から身を守ってくれる純粋性の賛美、もう一つは変化への、つまり生命へのきっかけとなる不純性の賛美だった。

車輪が回り、生命が増殖するためには、不純物が、不純なものの中の不純物が必要である。周知のように、それは耕地にも、もし肥沃であってほしいのなら、必要なのだ。不一致が、相違が、塩やからしの粒が必要なのだ。ファシズムはそれを必要とせずに、禁じている。だからおまえはファシストではないのだ。ファシズムはみなが同じであるように望んでいるが、おまえは同じではない。だが汚点のない美徳など存在しないし、もし存在するなら、忌むべきなのだ。

このくだりなど、先日読んだ宇野亜喜良の本に収録されていた寺山修司の短編に通じるな、と思った。そのストーリーでは、狂人と思われないように、他人と同じことを模倣することにやっきになる家族が描かれていた。
「鉄」より
人間が何万年もの間試行錯誤を繰り返して獲得した高貴さとは、物質を支配するところにあり、この高貴さに忠実でありたいからこそ、私は化学学部に入学した。物質に打ち勝つとはそれを理解することであり、物質を理解するには宇宙や我々自身を理解する必要がある。だから、この頃に、骨を折りながら解明しつつあったメンデレーエフの周期律こそが一篇の詩であり、高校で飲みこんできたいかなる詩よりも荘重で高貴なのだった。それによく考えてみれば、韻すら踏んでいた。

今では、ある人物を言葉で覆い尽くし、本の中で生き返らせるのは、見こみのない企てであることは分かっている。特にサンドロのような人物は。語るべきでも、記念碑をたてるべき人物でもなかった。彼は記念碑をあざ笑っていた。彼は徹頭徹尾行動の人で、それが終わってしまえば、何も残らなかった。まさに言葉以外は、何も。

「ニッケル」より
仮説ほど人を活気づけるものはない。

「クロム」より
この忌むべき事実を前にして、私の化学者としての神経は逆立った。この種のクロム酸塩の製造方法には自然なばらつきがあり、それに分析の誤りが加わるのは避けられないので、違った日の様々なロットの数値がこのように正確に一致するのはありえない、ということを知る必要がある。誰も疑問に思わなかったなんて、ありうるだろうか?だが当時私は、会社の書類が持つ、驚くべき麻痺力を、それがあらゆる直観のひらめきや才知のきらめきを拘束し、鈍くし、角を落とすことを、まだ知らなかった。それにいかなる分泌物も有害で有毒であるのは専門家にはよく知られている。だから病理学的状況では、会社の分泌物である書類が、過剰に吸収され、浸出した器官を眠らせ、麻痺させ、さらには殺してしまうこともまれではないのだ。

10minutesのアイドルで映画をつくってくれる人募集!
10minutesのアイドルを主演に、10分以内の作品を自主制作しませんか?作品は11月より大阪難波のライブシアター「紅鶴」などで上映!グランプリには10minutesオリジナルメガホン(笑)and moreを贈呈!

●応募条件
・作品時間は10分以内であること。
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・映画監督・俳優・ミュージシャン・作家・芸術家などの芸術活動を過去にされた方に限ります。プロ・アマを問いません。
・年齢、性別、国籍を問いません。
●応募方法
・まずはメールで下記事項を記入しfbidol10minutes@gmail.comまで件名「10minutes映画祭応募」でご応募下さい。
監督名
年齢・性別
職業(※)又は学校名 ※芸術活動における、映画監督・ミュージシャンなど
住所
携帯電話番号・携帯メールアドレス・PCメールアドレス
自己紹介・過去の芸術活動歴
プロット・脚本など現段階での映画内容
主演させたいアイドル名

・2011年5月23日より受付し、応募された方全員にご連絡させていただきます。制作決定者には、追ってその後の進行予定をお聞きするなど、ご相談させていただきます。
・9月末応募締切。10月中旬完成作品納品予定。納品形式や、予告編も加えて制作していただくなど、詳細は追ってお伝えします。
問い合わせは件名「10minutes映画祭問い合わせ」と明記しfbidol10minutes@gmail.comまで
以上

『対談・笑いの世界』
筒井康隆と桂米朝による『対談・笑いの世界』を読んだ。
以下、目次。
序談 筒井康隆
1.文化功労者と紫綬褒章
2.「不良少年の映画史」
3.チャップリンと新喜劇
4.エンタツ・アチャコ
5.エノケン
6.講談・難波戦記
7.SFと落語のスケール
8.稚児ぼけとテノール馬鹿
9.悪食の話
10.歌舞伎の復元
11.歌舞伎のけれん
12.役者というもの
13.芝居噺
14.笑いの定義
15.「悪魔の辞典」と「天狗の落し文」
16.物語・黄表紙・浄瑠璃
17.「地獄八景亡者戯」
18.最近の芸人と新作
19.パロディと原典
20.噺家というもの
21.大阪の笑い、東京の笑い
22.ボケる年齢と坊さん
23.悪戯・幇間・俄・小咄
あとがき 桂米朝

僕は過去のことを知らなさ過ぎなんだなあ、と痛感。
どれもこれも興味深くて面白い話!

追悼・相原信洋1944-2011/DREAMS@ドミューン~『宇野亜喜良---少女画 六つのエレメント』
ドミューンで、相原信洋追悼番組。
「追悼・相原信洋1944-2011/DREAMS」
19:00-21:30 「相原信洋ANIMATION史1965-2011」
 出演:松本俊夫、かわなかのぶひろ、中島崇、辻直之
21:30-22:00 「相原信洋とあがた森魚」
 出演/演奏:あがた森魚
22:00-23:30 「相原信洋と田名網敬一、そして広島アニメーションフェスティバル」
 出演:田名網敬一、木下小夜子、伊藤桂司
23:30-24:00 「相原信洋と根本敬」 
 出演:根本敬、五所純子
というタイムスケジュールだった。じゃっかん押し気味。
このときに流れたアニメ作品とか全部メモしていたのだが、今、さがすとどこにも発見できないので、また見つかったらアップ予定。
「STONE」「カルマ」「やまかゞし」「妄動」「相原さんの遺品より」「ひまわりふくろう映画学校ドキュメント」あがたさんのライブをはさんで、「WIND」「MEMORY OF RED」「スクラップダイアリー」「Fetish Doll」「キリコ」「般若心経」「DREAMS」だったかな?途中、相原氏の親族もぞくぞくと登場。家族には「ゴミ屋敷」としか思われていない相原氏の部屋をなんとか保存したいという、姪っこの訴えもあり。
あがたさんのライブは1曲めはオフマイクで。その後「俺の知らない内田裕也は俺の知ってる宇宙の夕焼け」「赤色エレジー」。
田名網さんはぽろっとアニメーション審査の内幕を暴露。
根本さんは映る前からハイテンションでおしまくる。エロ話の師匠をそれらしく追悼する。最後には森昌子の「せんせい」の狂ったDJ。

読んだ本は、近代ナリコ編集による『宇野亜喜良---少女画 六つのエレメント』
第1章 意匠
第2章 装飾
第3章 細部
第4章 変容
第5章 連環
第6章 物語
「スクスク」寺山修司・作 宇野亜喜良・絵
第7章 資料編
エッセイ:細部の詩/穂村弘
エッセイ:宇野さんの左手/江國香織
再録:僕の個人史
三つのアニメーション(「白い祭」「お前とわたし」「午砲(ドン)」
再録:宇野亜喜良の巻 雑誌『新婦人』より
宇野亜喜良アルバム
再録:左ききの魔術師 雑誌『キネマ旬報増刊 サイケの世界』より
再録:インタビュー 『モダンジュース別冊・宇野亜喜良の世界』より
再録:「あなたのための贈り物」
再録:「メモ」
宇野亜喜良インタビュー
宇野亜喜良年譜
あとがき/宇野亜喜良

宇野亜喜良といえば、少女趣味の世界から、ゲイ雑誌の表紙までてがける人なのだが、決して本人はゲイじゃない、ということが何度か触れられていて、ああ、みんなはすぐにそういうふうに解釈してしまうんだな、ということが照射された。
本書では、フォア・レディーズのときのワクワク感が再現されていて、楽しかった。ひまわりやジュニアそれいゆ以降、少女趣味を体現したものは新書館フォア・レディーズまで途切れていた、との発言に、へえ~と思った。脈々と発信者は存在していたのだろうが、寺山修司のような強力な存在が参戦することでそれがまとまった、ということなのか。

りほホン生誕祭@日本橋ラブコンシアター
日本橋ラブコンシアターでファンタピースライブ。
今日は山口りほホンの生誕祭。
僕はかろうじて最後の部だけ見に行くことができた。
開演前のアナウンスは、じゅりりんとりんかの「じゅりんか」
1.甘えてみせて
2.ユー・アー・マイ・スター
自己紹介。この回の参加は、浦田、山口、鈴木、鞠谷、中村、山崎、川口、清本、谷口、松本、藤井、長谷川。
半数が着替えのためにひっこみ、残ったメンバーで、リクエストにこたえて1曲歌い踊る。どれだけきっちり練習してるんだ、というレベル。こういうのって、昔、松竹新喜劇でもやってて、お客さんのリクエストで、その日の演目が決めてたりした。素晴らしい。アクロバットみたい。で、リクエストで決まったのが次の曲。
3.君だけにLove You
4.Don’t say lazy(ゆうな、なっちゃん、のりたま)
5.キューティーハニー(りほホン、すず、あゆアイス=ハニーズ)
6.ライオン(りんか、かれん、じゅりりん)
7.100%ナイナイナイ(あんこ、えりさ、カフェモカ)
8.メリーゴーラウンド(山口りほ)
9.嘘つきにSAYONARA(山口りほ)
10.Depend on You(7曲目以降の出演者以外の8人)
りほホン誕生イベント。ソング、クラッカー、ケーキ、手紙。
11.Give Me Your Love
12.Day & Night
以下、アンコール。
13.ロンリーオンリー
りほホンは、まるで黒い白鳥のようなダンスの申し子ファッション。メイクも生誕祭向けに頑張った感じ。
ライブ終了後のコミュニケーションタイムでは、りほホン、あんこ、カフェモカと2ショットチェキを撮影した。りほホンは顔重視、あんこは首の絞めあい、カフェモカはなぜか魚バージョンで。
10minutesライブのときに出演者のみなさんに書いてもらったりほホン誕生日おめでとう色紙も無事に奉納。ブログ「四月バキュア」にも載せたけど、りほホンと色紙でパチリと1枚。喜んでもらえたようで何より!

今日はNHK-FM「現代の音楽」の放送もあった。
                          猿谷紀郎
 - 音の現在(いま)~カイヤ・サーリアホ -(1)    
                              
「翼、その簡潔なる」         カイヤ・サーリアホ作曲
                      (10分40秒)
             (フルート)マヌエラ・ヴィースラー
     <キング・インターナショナル KKCC-2171>
                              
「花弁」               カイヤ・サーリアホ作曲
                       (8分20秒)
              (チェロ)アンシ・カルットゥネン
   <Finlandia Records WP-5755>
                              
「アメール」             カイヤ・サーリアホ作曲
                      (19分50秒)
              (チェロ)アンシ・カルットゥネン
             (管弦楽)アヴァンティ室内管弦楽団
               (指揮)エサ・ペッカ・サロネン
            <ソニーミュージック SICC17>
                              
「ノクターン(ルトスワフスキの思い出に)」         
                   カイヤ・サーリアホ作曲
                       (4分30秒)
               (バイオリン)ギドン・クレメル
           <Philips PHCP-1812> 

正午からスタンダードブックカフェでカルチャー発信イベント「NOTeBOOK」の第0回。
案内文を引用すると。
NOTeBOOKの初ゲストは、漫画家、編集者、タレント、俳優、ラッパー、映画監督、小説家、最近では、1週間のそのほとんどの時間をアニメ鑑賞に費やすプロアニメウォッチャーと、多種多彩な顔を持つ“サブカル界の珍獣(!?)”杉作J太郎さん。そして、ホスト役は、杉作さんとは20年来の盟友、かつ当イベント発起人でもある赤田さん。お話は90年代サブカルからガンダム00、AKB48まで。最後に、観客の皆さんから杉作さんへの人生相談コーナーもご用意しました。土曜日の昼下り、恥ずかしがらずにご参加ください。
なお、当日は会場参加者限定で、発起人の寄稿入りzineを配布いたします。
以上、引用!
Ustreamで放送もあるが、当日参加者限定のZineが配られるとあって、参加。
NOTeBOOK、Vol.0の内容は次のとおり。
はじめての『NOTeBOOK』に寄せて/中川和彦(スタンダードブックストア オーナー)
Notebookとは人の心/谷篤人(ビームス 関西プレス)
出会いの日のバカ/赤田義郎(ビームス 創造研究所)
結果として外に出ること/吉実伸浩(スタンダードブックストア 書籍担当)
略歴/杉作 J太郎(男の墓場プロダクション代表)
杉作さん、原稿なしなのか~!
トークは、車で大阪に来て、まだ寝ていない、という杉作さんの途切れることのないおしゃべりで2時間なんてあっというま。
杉作さんは、運転の眠気ざましで、関西では「日本料理の河久」のコマーシャルでおなじみの野球の西本幸雄さんの物まねをえんえんと練習してきた、といい、披露もしてくれた。これがまあ、面白い。コマーシャルを再現するのではなく、野球のバッティングのコツとして、ひじを下げる、というアドバイスをそれこそえんえんとやってくれた。
案内の予告とは違って、ガンダムooやAKBの話はほとんど出なかったが、『ガロ』の話とか、温泉に行ったときの話など、80年代や90年代を僕たちには想像もできないとっかかりから語っていく。

午後7時からは、なんばBEARSで「電子のフローラ」
80年代より活躍し、P-MODELの平沢進氏がプロデュースを手掛けた「SHAMPOO」のニューアルバム発売記念ライブ。義足に装着する楽器は、なんだかわけもなくドイツ映画を見ているような気分にさせた。ファスビンダーあたり。
対バンには、元After DinnerのHACOちゃんと、テクノニューウェイブの東京ピーチ。どちらも、とらえどころのない感情を音楽に変換するのがうまくて、見えないはずの音楽や情感が、目に見えてくるようだった。
こういう音楽を聞きたかった、という欲求をみごとに満足させてくれた。

千日前味園ビルの銭ゲバで、昨日10minutesでみごと予選突破した花井なおちゃんが特別に店に入っているというので、寄ってみた。
いた、いた。メガマウス。
なんと、ぷるるんっしずくちゃんの作者、ぎぼりつこ先生もお客さんとしていらっしゃって、盛り上がった。

SOCIOあめりか村で「星空サロン 夢見」。
当初のタイムスケジュールは
23:00-DJchouchou
00:00-秋葉原紫音
00:30-転換DJ
00:40-アイス
01:10-風美準
01:15-シモーヌ深雪miniLIVE
01:30 -シモーヌ深雪×CHOUCHOU トークショー
02:00-DJシモーヌ深雪
02:30-風美準
02:40-gaimon×genome=BodyLivePaint
03:30-DJchibinova
04:15-元気な人
05:00-おやすみ
アイスが機材トラブルで順番が後になったが、最後までいる気でいたので、問題なし。遊戯王カード「舌魚」の攻撃を受けた。chouchouさんとシモーヌのレコードトークは、デヴィッド・ボウイとジャパン。ボディペインティングの時間は、まるで学園祭に遊びに行ったら、クラスの出し物として「阿片窟」やってた、みたいな、不思議な倒錯感を覚えた。風美準は大衆演劇、劇団KAZUMAの座員の方。
僕が外に出た午前5時半頃まで回していたのは、女将のように座り、ビールをストローで飲むのとタバコを交互に口に入れていた秋葉原紫音で、これが今回の「元気な人」である。
星空サロン「夢見」だったが、外はもうすっかり明るかった。

第一期リコー杯女流王座戦一次予選。
アマもプロもまじえて、将棋の一番強い女性を選ぶ棋戦。
僕の注目は、関西からアマチュアで参戦の中七海ちゃん。
西日本アマ予選を全勝で勝ち抜いて、一次予選に駒を進め、山下カズ子女流五段には勝利したが、松尾香織女流初段に敗退して涙をのんだ。
この春、中学生になったばかりの中七海ちゃんは、アマ予選のときはお気に入り(?)のチェックのシャツで戦っていたが、一次予選では中学の制服でフォーマルな感じで戦っていた。松尾女流初段との棋譜を見たが、大きなミスはなかったが緩手が徐々に差をつけた惜しい一戦だった。いや、敗退したとは言え強かった!
http://live.shogi.or.jp/joryu_ouza/
いずみホールで大阪国際室内楽コンクール第二部門の二次予選。
第一部門は弦楽四重奏。第二部門は木管五重奏、サクソフォン四重奏、金管五重奏曲と分けられている。
午前から夕刻にいたる二次予選だったが、僕が見れたのは、午前中の2つ。

アンサンブル・ミクスト(日本・木管五重奏)
6つのバガテル/ジェルジュ・リゲティ
五重奏曲/イサン・ユン

モーフィン・クァルテット(フランス・サクソフォン四重奏)
サクソフォン四重奏曲/野平一郎
四重奏曲へ短調op.20-5/ハイドン
サクソフォン四重奏曲/I・ゴドコフスキー

ほとんど現代音楽のコンサートだ。
午後は見れなかったが、どうやらモーフィン・クァルテットがこの予選を勝ち抜いたようだ。たしかにモーフィン・クァルテット、よかったし。
Galaxy GalleryでスチャダラパーANI展
ほのぼのと面白く、意外とアートしてる写真が大集合。
今日は初日で午後6時からオープニングパーティがあり、ANIがDJしてた。

10minutes シーズン2
ゲスト:chupi*chupi
司会:保山ひャン、B・カシワギ
開場 18時00分/開演 18時30分
前売 1500円/当日2000円(ドリンク無し、持ち込み自由)
会場 難波BEARS (06-6649-5564)
(オープニング)
ねみ
(エントリー)
未緒@1年?組
夢野さくら
花井なお
丼野M美
かなえどん
荻野アサミ
いあとねっち!
喜田ともみ
(審査員)
安斎レオ(玩具P)
安井麻人(A.C.E)
石井モタコ(オシリペンペンズ)
高木駿一(映画監督)
http://ameblo.jp/fbidol/
審査と投票の結果、
花井なお
荻野アサミ
両名の決勝進出が決定した。
で、今回のライブは、勝手にファンタピースの山口りほちゃんをお祝いする場にしてしまい、出演者に色紙書いてもらったり、ステージでバースデイの歌を歌ったりして、お祭り騒ぎだった。
まさに、イベントの私物化!

『天使の蝶』

2011年5月19日 読書
『天使の蝶』
プリーモ・レーヴィの『天使の蝶』を読んだ。
これは楽しい「すこしふしぎ」な奇想小説集。
次々と珍奇な機械を発明してセールスにくるシンプソン氏のシリーズも含む。
以下、作品ごとに、簡単なメモ。
「ビテュニアの検閲制度」
検閲を人間に任せると、脳が冒される危険があり、機械に任せると杓子定規になる。で、どうするかと言うと、ニワトリにすべてをまかすのだ。
「記憶喚起剤」
特定のにおいが特定の記憶を呼び覚ます。
「詩歌作成機」
設定によって、詩を作ってくれる機械。途中で熱暴走をおこし、韻を踏んで不調を告げる。
「天使の蝶」
おたまじゃくしがカエルに変態するように、人間ももうちょっと長生きすれば、違うものに変態するのでは。
「猛成苔」
自動車にはえる地衣植物。車には性別があって、そのコケの生態も変わってくる。
「低コストの秩序」
オリジナルと同じ部位に同じ分子をあてはめることで、まるっきりのコピーを作り出す三次元複製機「ミメーシン」。炭素を使ってダイヤモンドを量産だってできる。
「人間の友」
サナダムシの細胞の配列を解読すると、そこにはメッセージが書かれていた。
「《ミメーシン》の使用例」
ミメーシンで妻を複製した男。これはどっちも本物だけど重婚?同一人物の妻どうしで嫉妬や不公平が生じてくる。
「転換剤」
苦痛と快楽を逆にする転換剤。生命を守ろうとするより自殺願望ばかり起こる。失意のどん底にある人には、ばら色の日々が。
「眠れる冷蔵庫の美女」
わがままなコールドスリープ美女にだまされるな!
「美の尺度」
基準値を設定して、美を測定する機械。
「ケンタウロス論」
そうか。ケンタウロスは人間の口で馬が必要とする栄養をとらねばならなかったのか。
さて、この「ケンタウロス論」では面白い第二創世論が展開される。ノアの方舟に乗れなかった膨大な種が、洪水がひいたあと、大地で発酵し、空前絶後の婚姻と受胎がはじまる。あらゆるものがあらゆるものと交わり、あらゆるものを生み出す。ケンタウロスの場合は人と馬のあいのこ、ということになる。この空前絶後の愛の交わりによって生まれたものの例が楽しい。
なぜイルカは魚に似ているにもかかわらず、子を産み、乳で育てるのか?それは、イルカがマグロと雌牛の子どもだからだ。なぜ蝶はあれほど優雅な色をし、器用に飛ぶのか?蝿と花の子どもだからだ。亀はひき蛙と岩の子どもだし、コウモリはフクロウとネズミの子どもだし、貝はナメクジとすべすべした小石の子どもなのだ。馬と小川からはカバが生まれ、イモムシとストリクス(ローマ神話で吸血フクロウ)からはハゲワシが生まれた。

「完全雇用」
格安の労働力、昆虫と取引。ミツバチと会話するため、シンプソン氏は8の字ダンスしてコミュニケートしようとする。
「創世記第六日」
人間をどういう生物にするかについての会議。
「退職扱い」
バーチャルリアリティー機械「トレック」の顛末。

< 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 >

 

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