2018年12月に見た映画

ポリスストーリーREBORN
The Witch魔女
ヘレディタリー継承
くるみ割り人形と秘密の王国
ファンタスティックビーストと黒い魔法使いの誕生
ガンジスに還る
パテ・ベビー映画祭
パッドマン
イット・カムズ・アット・ナイト

2018年11月に見た映画

ムタフカズ
ここは退屈迎えに来て
マイ・プレシャスリスト
覚悟はいいか、そこの女子
散り椿
ファイティン!
バッドジーニアス危険な天才たち
華氏119
あいあい傘
オズランド
復讐のトリック
狂獣 欲望の海域
レイス
アンダー・ザ・シルバーレイク
世界で一番ゴッホを描いた男
パウロ
テルマ
スパイミッション シリアの陰謀
REゼロから始める異世界生活 Memory Snow
億男
夏目友人帳
ヴェノム
ビブリア古書堂の事件手帖
スマホを落としただけなのに
関西の見者たちヴォワイヤン・シネマテークの痕跡Aプログラム
関西の見者たちヴォワイヤン・シネマテークの痕跡Bプログラム
ボヘミアンラプソディ
霊幻道士Q 大蛇道士の出現!
聖おにいさん
ANEMONE交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション
Godzilla星を喰う者
ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲
アンクルドリュー
ライ麦畑で出会ったら
ア・ゴーストストーリー
嘘はフィクサーのはじまり
モダンライフ・イズ・ラビッシュ
ボーダーライン ソルジャーズデイ
2018年10月に見た映画

若おかみは小学生
バイオレンスボイジャー
ルイスと不思議の時計
コーヒーが冷めないうちに
パパはわるものチャンピオン
クワイエットプレイス
スカイスクレイパー
教誨師
ナミヤ雑貨店の奇蹟-再生-
ブレインゲーム
負け犬の美学
愛と法


36.8℃
バーバラと心の巨人
スカイスクレイパー(2回目)
コードブルー
あのコのトリコ
音量を上げろタコ
デスウィッシュ
エンジェル、見えない恋人
スモールフット
つかのまの愛人
乱世備忘

2018年9月に見た映画

寝ても覚めても
アントマン&ワスプ
悲しみに、こんにちは
SPL狼たちの処刑台
ワイルドブレイブ
検察側の罪人
MEGザ・モンスター
1987ある闘いの真実
大人のためのグリム童話・手をなくした少女
輝ける人生
顔たち、ところどころ
プーと大人になった僕
マガディーラ
英国総督最後の旅
ザ・プレデター
500ページの夢の束
トニー・コンラッド完全なる今
それから
きゅぽらぱあぷるへいずこれくしょん
ジュラシックワールド
ミッション・インポッシブル フォールアウト
2重螺旋の恋人
EVA
ドクトルマブゼ第1部大賭博師
ドクトルマブゼ第2部犯罪地獄
M
マブゼ博士の遺言
意志の勝利
インクレディブル・ファミリー
カメラを止めるな!
ウインドリバー
オーシャンズ8
アニー・イン・ザ・ターミナル
イメージフォーラムフェスティバルP1追悼山崎博
イメージフォーラムフェスティバルP2追悼山崎博
イメージフォーラムフェスティバルNかわなかのぶひろ
イメージフォーラムフェスティバルTヴォワイアン
クリミナルタウン
イメージフォーラムフェスティバルGマニフェスト
イメージフォーラムフェスティバルM1シルバー特集
イメージフォーラムフェスティバルQクルト・クレン
イメージフォーラムフェスティバルIカニバ
7号室
ショックウェイブ爆弾処理班
閃光少女
マンマ・ミーア ヒア・ウイ・ゴー
ヒトラーを欺いた黄色い星
1999年の夏休み
バンクシーを盗んだ男
アラーニェの虫籠
ポップアイ
ブッシュウィック武装都市
ボルグ/マッケンロー氷の男と炎の男

36本
ワンダー君は太陽
リディバイダー
ブリグズビーベア
女と男の観覧車
あさがおと加瀬さん
VISION
ハンソロ
マッドダディ
一級機密
オンリー・ザ・ブレイブ
アメリカン・アサシン
パンク侍斬られて候
バトル・オブ・ザ・セクシーズ
ガザの美容室
ウィンチェスター・ハウス
インサイド
グッバイ・ゴダール
未来のミライ

18本

1922年
アインシュタイン講演会に際して。日本では相対性理論が流行して本も売れているが、それには滑稽な理由がある。日本では相対性という語句は男女関係を暗示するからである。

日本が満州の掌握に執着する理由は、国家の安全保障の問題で、経済的利益は二の次であること。アメリカよりも中国のほうが安全であること。

1923年
民衆の不満の主な理由は物価高にあるが、行政府が資本家階級だけの利益を追求しすぎるので一層深刻になっている。

プルーストの欠点は、意志、知性、道徳の欠如。にあり、その結果、彼の描く世界は平板で3次元でない。彼の作品は阿片吸引者に類する特徴がある。

正宗白鳥によるクローデル「女と影」の感想。
外国人の東洋趣味に過ぎず、詩とはいえない。

講演会を終えて。観客が自分の考えを受け入れるようになるのは自分の死後になるだろう。

吉野の桜見物に際して。吉野の美観は実に言語に絶するも、これを観賞するためには命懸けなり。雑踏に辟易する。

鼻は中国では人類生成の基である。日本では「私です」という時に自分の鼻をさす。

日本における軍国主義精神の減退。国民の間で職業軍人の人気は20年来低下し続けている。

N.R.F.誌リヴィエール宛書簡。日本での講演を掲載してもいいが、L.アラゴンなどの汚らわしい作家と並べないでほしい。

A.ジッドのドストエフスキー論は馬鹿げたもの。

関東大震災の翌日。フランス人の罹災者が多数出ていたと知り、逗子行を断念。停泊中のフランス郵船アンドレ・ルボン号を基地に、国籍を問わず罹災者救助の指揮にあたる。




2018年6月に見た映画
2018年6月に見た映画
2018年6月に見た映画
レディバード
ゲティ家の身代金
デッドプール2
ビューティフルデイ
男と女、モントーク岬で
クレヨンしんちゃん爆盛!カンフーボーイズ拉麺大乱
万引き家族
メイズランナー最期の迷宮
ニンジャバットマン
ファントムスレッド
バーフバリ王の凱旋完全版
スパイナルタップ
現代アルゼンチン実験映画Aプログラム
現代アルゼンチン実験映画Bプログラム
現代アルゼンチン実験映画Jeff Zorrilla

2018年5月に見た映画
いぬやしき
パティ・ケイクス$
ザ・スクエア
タクシー運転手
ライカ
うんこ映画祭
アベンジャーズ インフィニティウォー
君の名前で僕を呼んで
ボストン・ストロング
アイ・トーニャ
パシフィックリム アップライジング
ロンドン、人生はじめます
私はあなたのニグロではない
マルクスエンゲルス
モリーズゲーム
hangman Takuzo
首くくり栲象の庭
ランペイジ巨獣大乱闘
フロリダプロジェクト真夏の魔法
モリのいる場所
サバービコン仮面を被った街
心と体と
SUKITA
ピーターラビット
犬ヶ島
チャンブラにて
環状線の猫のように
いつだってやめられる名誉学位
ザ・プレイス


2018年4月に見た映画
2018年4月に見た映画
馬を放つ
レッドスパロー
ブラックパンサー
バーフバリ伝説誕生
バーフバリ王の凱旋
グレートアドベンチャー
ラブレス
トゥームレイダーファーストミッション
15時17分パリ行き
ヴァレリアン千の惑星の救世主
ダンガルきっとつよくなる
ペンタゴンペーパーズ最高機密文書
ボスベイビー
ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男
ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル
グッバイ・シングル
リアル
女は二度決断する
ミッドナイトランナー
さよなら、僕のマンハッタン
ワンダーストラック
リズと青い鳥
ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル
レディプレイヤー1
2018年3月に見た映画
2018年3月に見た映画
リバーズ・エッジ
サファリ
あなたの旅立ち綴ります
早春DEEP END
マンハント
グレイテスト・ショーマン
ぼくの名前はズッキーニ
52Hzのラブソング
朴烈 植民地からのアナキスト
松本俊夫の軌跡Cプログラム
松本俊夫の軌跡Dプログラム
パキ
ひとりじめ
スリービルボード
傷心わんこ
ビッチ・オン・ザ・ビーチ
ポッピーハリウッドに行く
大大ダイエット
シェイプ・オブ・ウォーター
空海KUKAI美しき王妃の謎
ネオマニラ
中英街一号
どこか霧の向こうに
ザ・キング
時間回廊の殺人
BPM
リメンバー・ミー
霊的ボリシェヴィキ
花咲くころ
しあわせの絵の具 愛を描く人モード・ルイス
山田勇男の映像詩A私とはもうひとりの他者である
山田勇男の映像詩B一千一秒のまたたき


2018年2月に見た映画
ルイの9番目の人生
ダークタワー
アバウト・レイ 16歳の決断
羊の木
消された女
デトロイト
操作された都市
可愛い悪魔
風の歌が聴きたい
青春夜話
希望のかなた
星くず兄弟の新たな伝説
はじめてのおもてなし
ローズの秘密の頁
シンクロナイズド・モンスター
ゴッド・セイブ・アス
ジグソウ・ソウレガシー
殺人者の記憶法
悪女
転校生 さよならあなた
SADA
野ゆき山ゆき海べゆき
ベロニカとの記憶
スターシップトゥルーパーズレッドプラネット
ライカ
ブランク13
ビガイルド欲望のめざめ
ロープ戦場の生命線
悟空伝
ビッグシックぼくたちの大いなる目ざめ
デヴィッド・リンチ アートライフ
ウイスキーと2人の花嫁

2018年1月に見た映画
マノロブラニク トカゲに靴を作った少年
KUBO二本の弦の秘密
勝手にふるえてろ
オール・アイズ・オン・ミー
パーティで女のこに話しかけるには
猫が教えてくれたこと
彼女が目覚めるその日まで
プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレード
新世紀パリ・オペラ座
ダンシング・ベートーヴェン
ゴッホ最期の手紙
あゝ荒野 前編
クイーン オリジナル完全版
あゝ荒野 後編
わたしは幸福(フェリシテ)
5パーセントの奇跡
映画中二病でも恋がしたい
ジオストーム
ガーディアンズ
パディントン2
キングスマン ゴールデンサークル
ヒトラーに屈しなかった国王
ジュピターズムーン
目撃者 闇の中の瞳
アランフエスの麗しき日々
女の一生

四月に読んだ本

2017年5月1日 読書
2017年4月の読書メーター
読んだ本の数:20冊
読んだページ数:3185ページ
ナイス数:81ナイス
http://bookmeter.com/u/479013/matome?invite_id=479013

■塔のなかの井戸~夢のかけら(全2冊)―ラドヴァン・イヴシック&トワイヤン詩画集
アニー・ル・ブランのパートナー、ラドヴァン・イヴシックの11の物語と1通の手紙、トワイヤンの絵。原文と、2パターンの絵も収録。シュルレアリスムの恋文か。
読了日:4月28日 著者:ラドヴァン・イヴシック,トワイヤン
http://bookmeter.com/cmt/63960714

■読む時間
本や新聞を読む人、あるいは本の写真が集められた写真集に、谷川俊太郎が詩を寄せている。街角や、書架の梯子の途中など、読む場所の多様さも面白かった。本が大量にある様を見たり、読書する人を見ただけで、半分本を読んだくらいの快楽が得られるのは何故なのか。
読了日:4月21日 著者:アンドレ・ケルテス
http://bookmeter.com/cmt/63781595

■ウラジーミル・イリーチ・レーニン―長篇叙事詩 (1965年) (現代の芸術双書)
この本が出たとき、既にマヤコフスキーのレーニンは小笠原豊樹訳(選集3巻)で出ていたが、階段式の表記でなく、誤訳が多いとして、ウサミ・ナオキが新訳したもの。小笠原訳のどこが誤訳かを一覧で示すなどしており、確かにわかりやすい翻訳になっていた。マヤコフスキーのレーニンへの思いが伝わる長編詩。
読了日:4月20日 著者:うさみなおき,ウラジーミル・V.マヤコーフスキー
http://bookmeter.com/cmt/63767112

■少女達の野
1989年刊行の鈴木志郎康さんの詩集。詩のあいだに、散文体の「野ノ録録タル」がときおり挟み込まれる。沖縄の話や、まずいそば屋の話があるかと思えば、詩に使った単語が最後に五十音順に分類されていたり、「(動詞)って(動詞)(名詞)が(動詞)」みたいな実験的な表現、性欲やうんこの話も出てきて、生命力豊かな健在ぶりを見せていた。
読了日:4月20日 著者:鈴木志郎康
http://bookmeter.com/cmt/63766925

■雷雨をやりすごす
岩田宏のエッセイ集。ガラパゴスの紀行文、アーウィン・ショー、小熊秀雄、野村吉哉、鮎川信夫、澁澤龍彦も加わっていた「新人評論」、デ・カダンスのことなどが書かれているが、圧巻は巻末の「マヤコフスキーの愛人たち」。知人を集めての私的報告会の記録で、マヤコフスキーの魅力を存分に味わえた。
読了日:4月19日 著者:岩田宏
http://bookmeter.com/cmt/63764469

■ロシア革命 (「知の再発見」双書)
ロシア革命百年。写真、図版多数で目で見てわかりやすいロシア革命史。1905年の第1次革命から、1917年の2月革命、10月革命まで、それぞれのきっかけやモチベーション、主体の違いはあれ、権力側は一度や二度の打撃では潰れないのだな、と思わされた。
読了日:4月17日 著者:ニコラヴェルト
http://bookmeter.com/cmt/63749743

■大審問官―自由なき楽園の支配者
カラマーゾフの兄弟の大審問官の部分の新訳と、松岡正剛さんの解説(千夜千冊からの転載)。ロシア語原文も収録されていた(全く読めなかった)。自由と神、奇跡と神秘と権威、松岡正剛さんによると「いったいこの世界に他人を赦す権利をもっている者などいるのだろうか」というイワンの主張。大審問官や悪魔の態度、言動が現代ではむしろ正しく見えてしまっているだけに、考えさせられる。
読了日:4月16日 著者:フョードルドストエフスキー
http://bookmeter.com/cmt/63707824

■アレハンドリア アリス狩りV
ユリイカに掲載された文章を中心に編まれた本で、何年も前から予告だけされている「アリスに驚け」とは別物らしい。テーブル、庭園、マニエリスム、英文学、源内、水族館劇場。もっと多くの本を読み、いろんなものを見に行きたくなる悪魔のような本だった。
読了日:4月15日 著者:高山宏
http://bookmeter.com/cmt/63707780

■死んでしまう系のぼくらに
最果タヒさんの詩には「死」がよく出てくるな、と思っていたら、この第三詩集では、タイトルもなかみも死の椀飯振舞いになっていた。「女の子の気持ちを代弁する音楽だなんて全部、死んでほしい」「恋に、最後の希望をかけるような、くだらない少女にならないで」など、ハッとさせられる言葉が随所に鏤められている。
読了日:4月12日 著者:最果タヒ
http://bookmeter.com/cmt/63707745

■換気口
アンドレ・ブルトン没後50年記念出版。ブルトン、サド、ランボー、アポリネール、ジャリ、ロートレアモン、スーポー、ピエール・ルイスなどの引用をまじえながら、殺されかけて息詰まる詩、シュルレアリスムの状況に風穴(換気口)をあけるポエジー爆弾。攻撃的な詩論はそのままポエジーに満ちていて、スピードがあるのに1ページごとに玩味させられた。「文化という概念が雑巾状態にまで貶められて、貧困極まりない日常の美学の垂れ流し的催し物の数々」の状況に、カツ!
読了日:4月9日 著者:アニール・ブラン
http://bookmeter.com/cmt/63707695

■空が分裂する
別冊少年マガジン掲載の、イラスト陣に萩尾望都、古屋兎丸、大槻香奈、志村貴子、西島大介、冬目景などなどを擁する詩などが収録されている。表紙は川島小鳥。「主犯はボアダムスだった」ではじまる詩もあり、86年神戸生まれのリアリティを感じる。若い感性に祝福された詩集。個人の思いが世界や人類や死などの大テーマに直結していた。
読了日:4月8日 著者:最果タヒ
http://bookmeter.com/cmt/63707562

■サトラップの息子
ロシアからフランスに家族で亡命してきた少年は、友人と二人で小説を書くことにした。少年は後にフランスに帰化し、フランス風にアンリ・トロワイヤと改名して作家になる。第二次世界大戦下のフランスも描かれて、自伝かと読めるのだが、自伝のふりをした小説なのだそうだ。これは面白い!
読了日:4月7日 著者:アンリ・トロワイヤ
http://bookmeter.com/cmt/63526826

■仮面の商人 (小学館文庫)
第一部は迎合出来ず不遇をかこつ小説家ヴァランタンの生涯。第二部は一転、五十数年後、作家の甥の視点で描かれる。彼は、死後評価されて名声を博すヴァランタンの伝記を書こうとする。第一部で出てきた人物たちによる自分勝手な歪曲された話で、実情とは程遠い伝記が織り成される。評伝の著作の多いトロワイヤにとって皮肉な物語だが、面白さは抜群。中心となる重要なことが抜け落ち、雑魚と枝葉がはびこるさまが爆笑もの。
読了日:4月5日 著者:アンリトロワイヤ
http://bookmeter.com/cmt/63466377

■いいってどんなこと?わるいってどんなこと?
マヤコフスキーの児童書、絵はキリロフ・ヴェ。物事の良し悪しをお父さんが子どもに教える。天候の良し悪しからはじまり、汚すことやいじめることを悪いとさとし、悪を追い払うことを勧める。最後、お父さんは「ちいさいときにぶたのこならば おおきくなってもぶたのまま」と言う。なるほど!これはキク!
読了日:4月5日 著者:マヤコフスキー
http://bookmeter.com/cmt/63453895

■海と灯台の本
灯台と灯台守の役割を描き、最後に子どもたちに、このように生きなさい、と説く。ポクロフスキーの絵が極めてロシア的だし、社会主義への期待と信頼がマヤコフスキーを突き動かしていた時期だとあからさまにわかるのが、いい。
読了日:4月5日 著者:ウラジミール・ウラジーミロヴィチマヤコフスキー
http://bookmeter.com/cmt/63448710

■夜明けあと (新潮文庫)
明治時代に起こった出来事を1年毎に新聞記事等で綴る。昔も今も変わらないなあ、ということや、今では考えられないことなど、面白い記事でいっぱい。狸囃子に狐憑き、犬神憑きに人面疽、ポルターガイスト。ウサギやカナリヤのブーム。セイフ餡やシュウセイ餡と名付けられた国会汁粉が売り出されたとか、輸出や三味線屋を当て込んだネコ会社の計画など。漢文を読めない大学生の話題など、昨日今日の記事を読むかのようだった。
読了日:4月4日 著者:星新一
http://bookmeter.com/cmt/63448529

■グッドモーニング
第13回中原中也賞。夜明け前から、グッドモーニングまで。その夜明けはおそらくは十代のイニシエーションなのだろうが、作者があとがきで言うように「十代は去ってなどおらず、わたしの血はその十代でできていた」のであり、「決してわたしは彼らを、遺物にはしない」との決意、つまり自らの十代を受け入れることで夜は明けたのだ。大人になる過程で忘れ、捨てられるものに着目する発想は、ともすれば、まだ大人になっていないことへの言い訳と居直りになってしまう。その罠を越えて朝を迎えた詩人に僕からも朝の挨拶を贈りたい。
読了日:4月3日 著者:最果タヒ
http://bookmeter.com/cmt/63429433

■日々涙滴 (1977年) (叢書・同時代の詩〈5〉)
鈴木志郎康さんの映画「草の影を刈る」を最近見る機会があり、そのなかで原稿が写っていたのが、この詩集の多分「投身の思い」だったんじゃないかと記憶している。「貯金通帳的詩集」になることを否定したい思い、「何んで自分はこんなことをしているのか」という問い、「居直りと浮き腰」の繰り返し。それはこの詩集だけのことではなく、自分の日々の過ごし方にも通ずるもので、考えさせられた。
読了日:4月3日 著者:鈴木志郎康
http://bookmeter.com/cmt/63429267

■朱日記
泉鏡花の小説を中川学が絵本化。無数の猿、懐から溢れるほどの茱萸、色白の嬢ちゃん坊ちゃん、赤合羽の坊主、読本の消火器、朱で記した日記の「火曜」、酷い風等々、火事の兆しに取り囲まれ、ざわざわとする。これで火災が起こらないと詐欺みたいなものだ。火事の原因もそれを語る女もこの世のものではなく、怖い。僕はうっかり、そうしてしまったが、これは、ひとりで夜読むな、の物語だ。絵の朱色が逃れられぬ宿命のような迫力だった。
読了日:4月2日 著者:泉鏡花,中川学
http://bookmeter.com/cmt/63429061

■渡り歩き
岩田宏(小笠原豊樹)のエッセイ集。エリオット・ポール、エルマー・ライス、エルンスト・トラー、ゲオルク・カイザー、ソフィ・トレッドウェルといった僕にとって未知の作家、劇作家や、デスノス、マヤコフスキー、トロワイヤ、セルジュ・レジアニについて、また、ユーディット、ピーター・イベットスン(そしてスヴェンガリ)について。本に関するエッセイが主だが演劇についての言及が多かった。
読了日:4月1日 著者:岩田宏
http://bookmeter.com/cmt/63428612


▼読書メーター
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宍戸留美

2017年2月5日 アイドル
2月5日、谷町九丁目のLgtで、宍戸留美ちゃんの弾き語りライブ。
お客さんとの距離も近く、親密な雰囲気のいいライブでした。
昼下がりのレガート、というイベントタイトルにふさわしく、あいにくの雨模様でしたが、会場内は、穏やかな日差しが感じられる、シエスタのようなひとときでした。

セットリストは次のとおり。

ミルク
愛のシェルター
春風
セクシィ
なごり雪
(休憩)
でしょ?
ハマナスの記憶
戯言
悪女
君はライダー
全人類が愛しい夜
以下、アンコール
井の頭にて

全人類では毎回泣いてしまうのがどうにも恥ずかしくて仕方がない。
2月4日、森ノ宮ピロティホールで、赤堀雅秋作・演出・出演の「世界」を見てきた。
どこにでもいるぼやき親父に、小さな町の小さな世界で日々繰り返される、どこにでもある出来事。劇的なことは起こらず、ファンタジーとも無縁なストーリー。それが愛しい物語になっているのは、日頃、ごく普通の生活をこそ、自分は見ていなかった証拠なんだと思う。日常的な生活ほど空想冒険なのだろう。

そのあと、神戸のギャラリー5で開催中の僕の個展「アババアババギャッ」でパフォーマンスとトークショー。
パフォーマンスのお品書きは、以下のとおりでした。
1.パフォーマンス始
2.アオアオ
3.物真似
4.ハートキャッチ♥️パン何個
5.BPBP
6.聾の為の音楽

トークは、僕と藤本由紀夫さん、吉岡洋さん。

1月に読んだ本

2017年1月31日 読書
2017年1月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:2927ページ
ナイス数:77ナイス
http://bookmeter.com/u/479013/matome?invite_id=479013

■みんなの怪盗ルパン
少年探偵団シリーズだけでなく、ルパンもシリーズに入った!この調子で、みんなの偕成社ジュニア探偵小説シリーズも出てほしい。このルパンの巻では、新たなルパンの活躍と言うより、ルパンをいかに活用するかに作家さんが頭をひねった感じ。
読了日:1月29日 著者:小林泰三,近藤史恵,藤野恵美,真山仁,湊かなえ
http://bookmeter.com/cmt/62056647

■ゴブリン・マーケット
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの妹、クリスティナが書いた物語に、ローセンス・ハウスマンが挿絵をつけた。アーサー・ラッカム、マーガレット・タラントによる挿絵も収録。あとのふたりのゴブリンが人間っぽいのに対して、ローレンス・ハウスマンのゴブリンは、さながら山のクトゥルフとでも言えそうな感じ。「G」と略したくなるおぞましさ。ストーリーは、食べてはいけないものを食べてしまい禁断症状で衰える妹をしっかりものの姉が救うというもの。自らゴブリンの中に飛び込んで、悪い果実は食べずに、体についた果汁を妹に届ける。自制心!
読了日:1月26日 著者:クリスティナ・ロセッティ
http://bookmeter.com/cmt/61938041

■ふしぎなエレベーター
佐々木マキの絵。エレベーターについていた見たことのない「Z」のボタンを押したら、ロボットの国に到着した!ロボットの国では電車乗るにもわれ先にと押し合いへしあいで、学校では1回答を間違えたら立ち直れないダメージを受けてしまう。人間の競争社会が極端になった世界なのだが、そんな世界にもう半分なっているんじゃないのか、とか思えた。ロボットなのにヒゲがはえている顔が面白い。
読了日:1月26日 著者:わたりむつこわたりむつこ
http://bookmeter.com/cmt/61937275

■菅野結以 (C)かんの
FMの「デヴィッド・ボウイ三昧」に出ていて気になった彼女の本を読んでみた。ファッション、スキンケア、メイク、ヘア、ネイル、映画、音楽、本、食べ物、趣味、Q&Aにインタビュー、それらに関連した彼女のブログ記事、写真など、2010年に出た本だが、彼女のことをひととおりおさらいできるように構成されていた。551のシュウマイが好きだとか、ダイエットのためにやってた岩盤浴やホットヨガ、ジムなどをやめてストレスなくしたらストンとやせられた、とか、親近感がわいたり、参考になることが詰まっていた。もっと知りたくなった。
読了日:1月21日 著者:菅野結以
http://bookmeter.com/cmt/61811829

■おちゃめな生活:あなたの魔法力を磨く法
『おちゃめな老後』と重複する内容もあるが、電車の中とかで読んでいると、まるで田村セツコさんとおしゃべりしながら乗っているような気分になれた。すごく気が楽になれて、ポジティブになれる本。グラフィック・デザイナー里見宗次氏の「簡単、簡単、3日でひと仕事」という言葉は見習いたい。
読了日:1月20日 著者:田村セツコ
http://bookmeter.com/cmt/61784160

■東京零年
徹底した警察国家になってしまった日本が舞台。事件の真相を追ううちに、敵の強大さと得体の知れなさが恐怖を呼ぶ。反権力の思想は監視のもとつぶされていく。最初は普通に今の日本のことか、と思って読んでいたけど、「石油の利権を守るために、国防軍が三千人も行ってる」の発言で、あ、違うのか、と気づいた。それだけ、今の日本は危ない、ということか。2年後くらいの近未来日本かもしれない。赤川作品だけに、後半になって救いのある展開にはなっていた。同日、映画「大願成就」を見たせいか、赤川次郎の源氏鶏太っぽさを強く感じた。
読了日:1月17日 著者:赤川次郎
http://bookmeter.com/cmt/61726953

■おちゃめな老後
明るく、可愛く、自分らしく。田村セツコさんは手塚治虫記念館での松本かつぢトークショーでお話を聞きしたことがある。それまでもイラストに魅力は感じていたものの、人間性にぞっこんほれてしまった。介護のことや、仕事のこと、だまされたことや、彼女が日々実践してきたことをあれこれと書いており、は~、友達になりたい!と願うまでになった。彼女は死んだら葬式も戒名もいらず、死体は献体したい、と思っているそうだ。さっぱりしてる!
読了日:1月14日 著者:田村セツコ
http://bookmeter.com/cmt/61656879

■AQUIRAX CONTACT ぼくが誘惑された表現者たち
桑原弘明、山本じん、恋月姫、櫻田宗久、金子國義、四谷シモン、はまぐちさくらこ、松井冬子、山田勇男、天野天街、やまだないと等など、宇野亞喜良が選びコンタクトした表現者を集めてある。ほとんどの作家との対話も収録されている。新しい現代美術の面白いところを見せてくれる愉しさが味わえた。
読了日:1月9日 著者:
http://bookmeter.com/cmt/61549955

■現代版 判じ絵本 ピースフル
表紙絵は、Pの形の古い椅子が描かれていて「P椅子古」=ピースフル。こういう前向きな言葉ばかりが、絵解きのために構成された突拍子もないイラストで表現される本。すぐに解けるものもあり、時間をかけても正解にたどりつかなかったものもあった。人間ピラミッドのおしりを登る絵では、正解は「団結」なのだが、てっきり「しりあがり」だと思ったり、駅で天狗とサイがいる絵は正解が「エキサイティング」で、僕は「天才」だと思ってしまい、もう一歩突っ込めばよかった、と思ったり。随分と楽しめた。
読了日:1月7日 著者:倉本美津留
http://bookmeter.com/cmt/61520274

■フラッシュ
「フラッシュ」は水洗トイレでジャーッと、日の入りの緑の光線(閃光)を意味している。カジノ船が汚水を垂れ流していて、魚やウミガメの生態、海水浴も妨げられていることについて、なんとか告発してやめさせようとする冒険譚。船を沈めて妨害しようとした父は逮捕され、その息子が妹や謎の老海賊などの助けを借りながら、「ロイヤルフラッシュ作戦」でとっちめようとする。魚釣り好きなハイアセンらしい作品で、またミステリー的要素もあった。
読了日:1月6日 著者:カールハイアセン
http://bookmeter.com/cmt/61520201

■ダ・ヴィンチ・コード ヴィジュアル愛蔵版
ルーブル美術館館長殺害容疑を受けたラングドン教授の逃亡劇をベースに、館長の残したダイイングメッセージと仕掛けた暗号の解読、聖杯伝説の謎、シオン修道会、テンプル騎士団のからむ事件の裏で糸をひく「導師」の正体、そして事件の全貌、と、えんえんと謎解きが繰り広げられる興奮の長編だった。クライマックスあたりのパスワード解読は肩すかしなほどにわかりやすく(僕でもわかったくらい)、そういうところが読みやすさにもつながっているのかな、と思った。この小説を映画化したくなる気持ちもよくわかる。
読了日:1月5日 著者:ダン・ブラウン
http://bookmeter.com/cmt/61449463

■おまえたちは狂人か (シュルレアリスムの本棚)
2017年最初の読了本はこれ。主人公ヴァガラム(もの悲しい気持ち、という意味)が、名を変え姿を変える女性と関わりをもちながらの日々を描く。万能薬がわりの苦行僧とか、左右で老若をあわせもつ女性とか蚤のサーカスとか占いとかいろいろあって、性研究所美術館に行ったり、服装倒錯のパーティに参加したりする。ジャック・スミスの「燃え上がる生物」を思い浮かべた。邦題の候補として「アホちゃうか?」というのもあったそうな。横山ホットブラザーズみたいな「おまえは↑ア↓ホ↑か↓」でもいいかな。
読了日:1月3日 著者:ルネ・クルヴェル
http://bookmeter.com/cmt/61403525


▼読書メーター
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しりあがり寿の現代美術「回・転・展」@伊丹市美術館~バリ島の影絵人形芝居「パンダワの奴らは何処へ消えた?」@神戸芸術工科大学~「アドルフ・ヴェルフリ 二萬五千頁の王国」@兵庫県立美術館
しりあがり寿の現代美術「回・転・展」@伊丹市美術館~バリ島の影絵人形芝居「パンダワの奴らは何処へ消えた?」@神戸芸術工科大学~「アドルフ・ヴェルフリ 二萬五千頁の王国」@兵庫県立美術館
しりあがり寿の現代美術「回・転・展」@伊丹市美術館~バリ島の影絵人形芝居「パンダワの奴らは何処へ消えた?」@神戸芸術工科大学~「アドルフ・ヴェルフリ 二萬五千頁の王国」@兵庫県立美術館
28日、伊丹市美術館に行って、しりあがり寿の現代美術「回・転・展」を見てきた。

1.マンガの代表作原画
80年代の『エレキな春』『おらぁロココだ!』掲載作品から、朝日新聞夕刊の「地球防衛家のヒトビト」まで、テーマをわけて展示してあった。
パロディ
サラリーマン・OL
ホラー
愛と死
弥次喜多
終末論
時事
イラストレーションの仕事

これら漫画を見ていると、現代美術というより、80年代から文学だったことがわかる。

2.墨絵、ゆるめ~しょん、回転作品など
墨絵は巨大な作品で、それが崩して展示してあった。
2015年に制作された金箔マンガは「大きい人」とか「よゆうこいてる女」とか、タイトルだけでも笑いの予感に満ち満ちている。
映像インスタレーションの「ゆるめ~しょん」の各作品でも人物が回転をしていて、回転展のイントロダクションにもなっていた。
展示場を変えての回転の部屋では、まずしりあがり寿さん、緒川たまきさんらが出演する「回転道場」の映像からはじまり、中に入ってみたら、ダルマやらヤカンやら、ネジなどが回り、アニメーション「まわる歴史」も流れていた。
この部屋はまさしく遊園地にあったびっくりハウスのようで、イリンクスの愉しさを味わえた。ヘルタースケルターというよりも、びっくりハウス。
地下の展示場では「回る白昼夢」と題して、日常の物がとにかく回りまくっていた。
そして薄暗い会場で展示されていた「ピリオド」は暗闇に目がなれてくると、会場奥でゆっくりと回る巨大な黒の碁石のようなものが見えてくる。なるほど、これがピリオドなのか。

特別作品として、刈谷市美術館からまわるエビフライが展示してあり、また、「回る地元」として、関西スーパーのレジかごや伊丹市交通局のバス停、小西酒造の酒樽が回っていた。

こうして見ると、マンガの原画以外はだいたい回転したり、動きがあったりする作品が多く、現代美術の特徴のひとつである「動き」をそれだけ抽出しても美術たりうるのかを問いかけてもいるようだった。
面白かった!

http://saruhage.com/kaiten/

神戸芸術工科大学クリエイティブセンターに行って、バリ島の影絵人形芝居「パンダワの奴らは何処へ消えた?」─ウィラタ国に身をひそめるパンダワ五兄弟の物語─を見てきた。

まず、杉浦康平さんによる映像をつかった、アジアの山車の紹介。
これは、最近読んだばかりの『動く山』で記されていたもので、その本もカラーページや図版が豊富で楽しかったが、実際に動く映像を見ると感動もひとしおだった
中国の抬閣、インドの寺院馬車、イランのナクル(糸杉の形の巨大な山車)、その他、ミャンマーの黄金の霊鳥船山車、バリのガルーダ葬儀山車、タイの象葬儀山車など。
すごいのは、これら葬儀山車は、遺体を動物の形の柩(?)に入れて練り歩いたあと、焼いてしまうところ。砂のマンダラといい、作り上げた壮麗なものを惜しげもなく崩してなくしてしまう。この姿勢に感銘を受けて、というか、僕もそういう姿勢であることが多いので、近々ある個展のために作った作品は、個展の終わりとともに、焼くなりして捨ててしまおうか、と思い立った。
当日配られたフライヤーに、工作舎刊の『霊獣が運ぶアジアの山車』もあった。内容をみると、僕が読んだ『動く山』がタイトル変えただけのような気もするが、また確認しておこう。

杉浦さんのレクチャー(これだけでも神戸に行った甲斐はあったというもの!)のあとは、いよいよワヤン上演。
マハ・バーラタ物語からのストーリー。
第一幕:パンダワの五兄弟、ウィラタ国に身をひそめる
第二幕:パンダワの奴らはどこにいる?-コラワの合議
第三幕:北の国境にて-国王マツィオパティの出陣
第四幕:東の国境にて-王子ウッタラの出陣

事前に簡単なストーリー解説があったせいか、今回見たワヤンは、今までに何度か見たワヤンのなかでもわかりやすく、手に汗握って見ることができた。
音楽も人形の美術もすばらしいが、基本は話芸であり、物語のなかで学校の話が出てきたり、時事ネタがはさまれていたりするところは、まさに落語のようだった。
最初は椅子席でちんまりと見ていたのだが、影絵のスクリーンの裏にまわって演奏や人形使いの様子を見に行ったりして、もう前のほうの桟敷で坐って観劇した。リラックスして見れたのが楽しさの一因だったのかもしれない。
季節ごとに、祭りのようにワヤン上演をしてくれたら、さぞや楽しいだろうな、と感じた。神戸だけでなく、大阪でも!

http://www.kobe-du.ac.jp/2017/01/54475/


兵庫県立美術館で「アドルフ・ヴェルフリ 二萬五千頁の王国」を見てきた。アドルフ・ヴェルフリは人生の半分以上を精神病院で過ごした男で、その作品を見ると、絵に記号に印に音符に文字に切り抜き貼り付けに、と、空間をとにかく埋めて埋めて埋めまくる典型的なアール・ブリュットともいえそうなものだった。過剰な創作意欲で、1日で鉛筆を1本使いきったりしていたらしい。
作品を見て受けた印象は、これら作品はまるで思春期の男子が何を見てもセックスに結び付けたくなるような情熱、というか、どうしようもないパワーで描かれていて、それらは作品を描くというよりも、作業と呼ぶに等しいものだったんじゃないか、ということだった。実際、仕事でデスクワークしていると、このアドルフ・ヴェルフリの作品にも似たグラフや表、データの打ち込みなどを日々実践していることに気づく。

1章:初期のドローイング/楽譜(1904-1907)
2章:『揺りかごから墓場まで』(1908-1912)
3章:『地理と代数の書』(1912-1916)
4章:『歌と舞曲の書』(1917-1922)/『歌と行進のアルバム』(1924-1928)
5章:『葬送行進曲』(1928-1930)
6章:ブロートクンスト-日々の糧のための作品(1916-1930)

途中、アドルフ・ヴェルフリの「アルファベット・シリーズ」をパッドの操作で見ることが出来たり、映像資料として、ベルンハルト・ルギンヒュール監督による「芸術家アドルフ・ヴェルフリ」、メレット・マッターの朗読による「葬送行進曲」、あと、本のページをめくって見せてくれる映像があった。
これらの映像資料が非常に面白くて、これなら1日中、美術館のなかにいても快適に過ごせるんじゃないかと思えるほどだった。『葬送行進曲』の朗読をずっと聞いていたいという誘惑にもとらわれる。
しかし、強姦未遂でとりおさえられて病院送りになった、というエピソードはなんとも単なるおっさん的だなあ、と思ったのも確かで、映像資料で見たティンゲリーの一筋縄ではいかない狂いっぷりを見ると、アドルフ・ヴェルフリの純朴さがきわだった。

http://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/t_1701/
南湖の会「探偵講談と赤穂義士」@動楽亭~乙夜寄席@天満天神繁昌亭
27日は、夜勤あけに図書館を2つハシゴしてから、講談と落語を聞きに行った。
途中、意識が飛びかけもしたが、なんとか聞き漏らすことなく1日を終えた、というところ。
客席で眠ってしまうと演者の方に非常に申し訳ない。せっかく聞きにきたのだから、気をひきしめて楽しみたい。

図書館のあと、まず動楽亭で「南湖の会」を見てきた。
2017年は、探偵講談と赤穂義士伝のシリーズになるようだ。

旭堂南湖「赤穂義士伝 1 内匠頭と吉良の出会い」
旭堂鱗林「太閤記 臆病の一番槍」
旭堂南湖「探偵講談 初代快楽亭ブラック 双子の犯罪」
旭堂南湖「太閤記 長短槍試合」

南湖さんの赤穂義士伝は、本伝で、今日聞いたのは、浅野内匠頭と吉良上野介の出会いから、浅野が吉良の面子をつぶしてしまうエピソード。
そりゃ、吉良もむかついて浅野にいじわるのひとつもしたくなるだろうな、という印象だった。吉良がなぜ内匠頭につらく当ったのか、という伏線が語られる。
以前本伝を続き読みしたときは、30日連続で続けて、討ち入りまで行かなかったようだ。どれだけ長い!?
「臆病の一番槍」は戦になるとガクガクふるえてしまう武士の話で、家康に命を預けることで、震えが止まる。旭堂鱗林は東海地区でラジオの仕事もされている女性で、水谷ミミと同様、2016年から旭堂を名乗るようになった。
「双子の犯罪」はフランスで田舎娘とくっついたイギリス人が、彼女を捨てる話で、生き別れの双子だとか、因縁話が語られて、次回に続く。『流の暁」と同じ話か、と思われる。
「長短槍試合」は戦に用いる槍の長さを決めるため、木下藤吉郎が長い槍部隊を率い、上島主水は短い槍部隊を率いて試合する話。藤吉郎は槍の技術はないが、挨拶と士気、作戦で勝利をおさめる。

上方講談は講談師の人数が少ないので、なんとか火を消さずに盛り上がってほしいものだ。
http://www003.upp.so-net.ne.jp/nanko/


天満天神繁昌亭で「乙夜寄席」(いつやよせ)を見てきた。
夜の9時45分からの寄席。

桂 小留「普請ほめ」
桂 雀五郎「初天神」
笑福亭 由瓶「試し酒」

桂小留は桂小枝の弟子で、「かつら・ちろる」と読む。小枝とチロルでチョコレート師弟なのだそうだ。使い捨てカイロのCMネタとかしてた。(去年まで小枝が起用されていた)
「初天神」は中学生のときだったか、はじめて買った落語のレコード(仁鶴)に収録されてた演目で、面白くて懐かしかった。
由瓶の「試し酒」は酒を飲む描写が実にうまくて、ああ、また落語聞いて酒を飲みたくなってしまったではないか、と思った。
帰りにふらっとワインを買って帰った。日本酒買う予定だったけど、チョコレートも買ったのでワインに変更した。

http://www.hanjotei.jp/night/
第1回文学フリマ京都@みやこめっせ~とくおかまほ個展「恋愛」@KUNST ARTZ~「華厳の世界~『華厳経』と南方マンダラ」@響都ホール~カワイオカムラ展覧会「ムード・ホール」@@KCUA
京都市勧業館みやこめっせで開催された「第1回文学フリマ京都」をのぞいてきた。
京都らしく、和装の体験コーナーや、京都グッズ販売もあり、また妖怪堂雑貨販売と百鬼夜行絵巻展示もあった。
アトリエサードや、垂野創一郎氏のエディション・プヒプヒなども出店しており、スイッチ入ったらいくらでも買いあさってしまいそうな予感に翻弄された。
試し読みコーナーでひととおりジャブを繰り出してみるが、面白そうな本が多くて、いやまさに読書欲はかきたてられる。
結局、試し読みで何が何やらさっぱりわからなかった『gamu vol.2』と、実験アキレスの勝さんが出していた歌集の最新刊を買った。
『gamu』の雨宮音夢氏の長編力作「天地創造」は、因果律の定義からはじまっていて、なにやらビビッときたのは、文学フリマのあとに行く予定にしている「華厳経と南方マンダラ」からの磁力だったかもしれない。華厳の世界では、因果を越える縁起について語られることになったからだ。
あと、各ブースからの目に見えないおいてけ堀の招く手を振り切って、会場を後にした。
地域アートに関するシンポジウムや、哲学サロン、ライブといったイベントも魅力的で、時間がなくて参加できなかったのが、なんとも残念だった。

http://bunfree.net/?kyoto_bun01

京都東山のKUNST ARTZでとくおかまほ個展「恋愛」見てきた。
展覧会の紹介文に「タブーを恐れない大胆な表現を通して、偽善社会を嗤う」とあった。確かに!
性や政治にからんだ表現をとっていたが、その発想が批判とかいう次元のものを越えていて、面白い。笑った。
場所、文脈を変えることで、驚きをもたらすアートで、各作品ごとに「なんでやねん」とツッコミを入れたくもなる。ある意味、転用の面白さで、すわシチュアシオニストの今の展開かと興奮もした。

http://kunstarzt.com/Artist/TOKUOKA/TOKUOKA.htm

京都の響都ホールで学術講演会「華厳の世界~『華厳経』と南方マンダラ」聞きにいってきた。
プログラムは次のとおり。

総合司会:亀山隆彦(世界仏教文化研究センターリサーチ・アシスタント)
開会挨拶:能仁正顕(世界仏教文化研究センター長)
イントロダクション:「南方熊楠とは何者か」唐澤太輔(世界仏教文化研究センター博士研究員)
講演:「『華厳経』と南方マンダラ」中沢新一(明治大学野生の科学研究所所長)
鼎談:中沢新一、唐澤太輔、野呂靖(龍谷大学文学部講師)

唐澤氏によるイントロでは、熊楠の異名の多さから、柳田國男による「日本人の可能性の極限」の熊楠像を語られた。

中沢氏は「レンマ科学の創造にむけて-発端としての南方熊楠-」と題した講演をされた。
1.現代の「ノヴム・オルガヌム」としてのレンマ科学
2.南方熊楠は新しい論理機関(ノヴム・オルガヌム)を備えた「新しい学」が創造されなければならないと考えていた。
3.「新しい学」の土台に据えられるのは「縁起の論理」である。
4.「ロゴス」と「レンマ」
5.「縁起の論理」としての「レンマ」
6.四種法界
7.「四種法界」と南方熊楠「五種不思議」の対応

ノブム・オルガヌムは、フランシス・ベーコンの試みで、それをさらに拡張したレンマ科学について語られた。
言語の深層構造に合致する「ロゴス」(原義は「目の前にあるものを並べる」)が西欧科学を支えてきたギリシア~アリストテレス論理であるのに対して、「レンマ」(原義は「ひと掴みにする」「まるごとすくいとる」)は、部分と全体、主客を全体性でとらえ、すべての事象は縁起によって起こる、とする大乗仏教の論理である。
華厳経はそれ自体非常にとらえづらいものだが、唐代の法蔵は『華厳五教章』で華厳経のエッセンスを天才的にピックアップし、それを熊楠も読んでいた、というので、ちょっと読んでみたくもなった。

鼎談では、野呂氏による華厳の解説や、唐澤氏が作成した「南方マンダラ解釈図」について、など。熊楠研究に対する西日本と東日本の違いなども語られた。
悟りへの道筋を語る際に、「通路」という用語を使ったのは道元と凝然だけだ、という野呂氏の発見や、熊楠が顕微鏡で粘菌などを見ることが一種の瞑想体験だったのではないか、など、話題は時間を超過して、いくらでも出てきていた。
中沢氏によると、瞑想によって得られる心の状態は、裸眼立体視で像が浮かび上がるときの感覚に似ている、ということだった。
中沢氏は、若い研究者に「これからは華厳だ!」とハッパをかけるようなスタンスだったようだ。奈良時代以降、華厳についてはそれほど研究が深化していない、というのだ。中沢氏によると、華厳でいう「事々無凝法界」(理と事とばかりでなく、事と事がまた相即相入して、一即一切・一切即一となり、円融無凝なる世界をなす)に一番迫ったのは量子力学で、しかし、その地点からかれこれ百年近く、進展がない。そろそろ飛躍の起こりそうな時機を迎えているんじゃないか、と述べられていた。中沢氏は熊楠のいう「大日如来大不思議」の大日となって若手を導こうとしているのだ、というようなことを冗談で言われていた。
ユーモアたっぷりで、しかも刺激的なイベントだったように思う。
テレビで心配していた中沢氏の語りも明晰そのもので、安心した。


http://rcwbc.ryukoku.ac.jp/activity/lecture

京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAでカワイオカムラ展覧会「ムード・ホール」を見てきた。
ライトボックスにペインティングの作品からはじまり、家のアルバムを見せられているような「カワイオカムラ年譜」、作成した人形の「肖像写真」、映像作品に登場するキャラクターの人形「Y.I.ロードブレアース」をはさみながら、映像作品をいちどきに見れる個展だった。
映像作品は、以下のとおり。
「コロンボス」2012(刑事コロンボ)
「ヘコヒョン・ドリル」2002
「HOLY & CHEAP」1999(やすし・きよし!英訳するとこうなるか)
「ヘッドレス3001シリーズ」2001(プロレス好きにはたまらん)
「ヘコヒョン7」2004
「AIRS」2005
「ヘコヒョン・ナイン」2009
「ムード・ホール」2016

まるで「フィクション」のような「ヘコヒョン」という言葉が出てくると、脱臼しているがちょっと芸術や主張っぽいものがうっすら感じられてくる。
しかし、漫才、プロレス、刑事ドラマ、といったテレビからインスピレーションを受けた作品が多いのは、男子中学生の大好きなものがそのまんまアートに昇華したような面白さだった。イベントやライブは見に行けなかったけど、きっと面白かったんだろうなあ。


http://gallery.kcua.ac.jp/exhibitions/20161217_id=8760#ja

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