川びらきライブ@道頓堀~歌姫ライブ春爛漫スペシャル@ORC200
道頓堀川で、川びらきライブ。
午後1時から内田裕也、桑名正博、ジョニー吉長、ジョー山中、真木蔵人などがロッケンロール。
橋の上で見ている人に「矢沢永吉です!」と言ったりしてた。
ジョニーBグッドとか、スタンドバイミーとか。
募金活動も。
ノリノリ。
1時30分から、OSAKA BB WAVEのライブ。
1.パワー・トゥ・ザ・ピープル
2.テイク・オフ
3.トゥデイ&フォーエヴァー
4.アース・トゥ・ザ・スカイ
5.ラブ&スマイル
内田裕也も「パワー・トゥ・ザ・ピープル」歌ったけど、違う歌。

弁天町のORC200に移動。歌姫ライブ春爛漫スペシャル。
最初のスタジオD.I.Pのダンスは見逃した。
遠藤早希
1.制服
2.心細いな
今月23日の小学校卒業式のときに着た制服で登場!

山本美優
2曲。所用があって、ステージ見れませんでした。
残念!

奈 月
1.yksk♪
2.ピース
yksk(約束)はオリジナルで初公開だそうな。

山本かのこ
1.ONE LOVE
2.初恋
ONE LOVEはMAY’Sの歌。初恋はオリジナル。

斉藤友美
1.さよならのかわりに
2.アイ・ラブ・ユー
アイ・ラブ・ユーは宇多田バージョン。

渡辺安那
1.なごり雪
2.アイ
オリジナルのアイは、今こそ歌いたい、聞きたい歌。

スタジオDIP
約30分のステージ。
このステージ見ないと、歌姫ライブに来た実感わかない。

濱田紗季
1.アイノウ・アイニュウ
2.くまのぐーたん
ギターのサポートあり。東京に進出するとか。sugarのライブ結局行けずじまいか。

ファンタピース
1.その未来へ
2.君だけにlove you
3.ロンリーオンリー
4.オーバー・ザ・リアリティー
お客さんも集まってきて、にぎやかに楽しいステージ。

吉村綾花
1.Can I Cry?
2.Keep My Heart Secret
3.Say Yes!
義援金CD(アルバム未収録2曲入り)を買って、サインしてもらった。
この日の夜は、えんえんとSweetSを聞いた。

宮崎真穂
1.ボーイフレンド
2.(オリジナル)曲名未定
ブログの紹介で「お母さんの悪口とか」言ってた。たしかによく「鬼母」が出てくるなあ、と笑った。

KONOMI
1.Reason
2.エンドレス・ストーリー
Reasonは新レパートリー。衣装も素晴らしいし、安定度はバツグン。

田頭沙希
1.カブトムシ
2.春になったら
3.はじまりの歌
唄うたいユウとの共演。

三木杏里with good girls
1.(グッドガールズ6人と)
2.ダンス
3.(ソロ)
4.ハートブレイカー
5.ジャンピン
申し訳ない。曲名わかりません。
でも、洋楽のエンタテインメントのステージを見せてくれて、素晴らしかった。ラストはKARAだけど、総勢7人だと洋楽チックに見える。

とにかく、むちゃくちゃ寒い1日だった。
弁天町のイベント終わりで、日本橋ラブコンシアターでのファンタピースに行こうと思っていたが、日本橋駅についたのが6時40分だったので、あきらめた。(ライブは6時半から)


湊町のギャラリーほそかわ(A.I.R1963ビル3階)で、「ほんをさがして」展。
「本」をテーマにした、藤本由紀夫、福岡道雄、森末由美子、かなもりゆうこ、柴田精一の5人の作品。
僕にとって、本は神みたいなものなので、本に関する作品は、本へのオマージュに見える。本をあらわすには、本にしくものはなし、という思いは消えない。

午後6時30分から、日本橋ジャングルで「ギリギリアウト」
山田ジャック、宮崎亜美、縛り屋トーマス、火の玉アタック。
芸は、宮崎亜美(魔法のあいさつレミ料理)、火の玉アタック(新仮面ライダー案)、縛り屋トーマス(原発ポパイ)
トークは、山田ジャックを中心に、宮崎亜美、縛り屋トーマスと。
震災後の不謹慎の綱引きと綱渡り。
内容は、来た人だけの特典、ということで。

イベント後、プラネット+1に行く予定を急遽延期して帰宅。意外と寒くて、また、3日眠っていないとか、今日行くんならノーマイカーフリーチケット買えばよかった、的ないろんな思いが錯綜して、うだうだしているうちに、時間が経過してしまった。
午後9時半から宍戸留美、津田大介による「Oil in Life」で、岩男潤子のトークと弾き語りライブ。
1.空の色
2.夜の歌
3.ここにいるよ
岩男潤子が、東京駅のキオスクでアルバイトしながら、チャンスをつかんだ、という話はめちゃくちゃ面白い。キオスク利用時に、声援を送ってくれたのが板東英二だというのも。
続いて、午後11時から魔ゼルな規犬のラジウォ。
山田ジャックにしろ、魔ゼルな規犬にせよ、危ないところと、まじめなところの二面性をくるくると見せるところが興味深い。
このラジウォ終わったら、本読むか、ビデオ見るか、久々に睡眠とっちゃうか。
トム・ヤム・クン
タイ映画「トム・ヤム・クン」を見た!
トニー・ジャー主演。
盗まれた象を追って、ほとんど1人で悪の組織を壊滅させてしまう男!
単なる象盗人だと思ってたら、意外にもえらい悪いやつらで、麻薬取引に、殺人に、売春。絶滅危惧種の動物を料理して食べさせる秘密のレストランまでやっている。
トニー・ジャーは、象を探しながら、たとえボコボコに殴られ蹴られ、足を車にぶつけられ、ナイフを腹に刺されていても、プロレスラー級の大男たちを相手に、また、多勢に無勢など関係なく、敵の関節、骨をボキベキバキにしていくのだ。
ラストボスは、八犬伝の夏木マリにでもやらせたいような、妖艶な美女(実は男)で、ベラそこのけのムチさばきを見せる。

すごすぎる。

女性№1

2011年3月23日 映画
女性№1
ジョージ・スティーブンス監督の「女性№1」を見た。1942年。
新聞記者のスペンサー・トレイシーとキャサリン・ヘップバーンのラブストーリー。
2人は結婚するけど、女性のほうがバリバリのやり手で、「女性№1」に選ばれたりする。これは、原題どおりの「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」でも、今なら通じるかな。
仕事に追われる妻、家事をする夫。
「子供がほしい」の言葉に喜ぶ夫と、難民の子供を養子として連れてくる妻。
関係はギクシャクして、もうたいへん。
で、なんとか愛を取り戻そうとして、キャサリン・ヘップバーンは、なれない料理を作って、スペンサー・トレイシーに喜んでもらおうとする。
これが、まあ、大笑い。
あまりにもダメダメ。
結局、夫は妻との関係を修復させる。
仕事をやめて専業主婦になる、と妻は言うけど、夫は、仕事を続けるように説得する、という絵に描いたようなハッピーエンド。
面白かった。
作られた時代を考えると、日本では妻が仕事を続けてめでたしめでたし、なんてことは考えられなかったはずで、アメリカと日本の違いもはっきり出ていたと思う。
今でも、藤原、陣内の結婚のときも、とかく揶揄されたくらいだから、日本の事情はあんまり変っていないのかも。

『近代政治の脱構築-共同体・免疫・生政治』
ロベルト・エスポジトの『近代政治の脱構築-共同体・免疫・生政治』を読んだ。
エスポジトの過去10年にわたる論考を集めて、彼の主著3部作『コムニタス』『イムニタス』『ビオス』に相当する部分にそって、第1部(共同体)第2部(免疫)第3部(生政治)の3部構成でまとめてある。
以下、目次。

訳者によるイントロダクション ナポリ発、全人類へ―ロベルト・エスポジトの思想圏/岡田温司
 「ナポリを見てから死ね」/「ロベルト・エスポジト」-「ポスト・ロジエ・ベルト」/エスポジトを読む三つの鍵/エスポジトの生政治-アガンベンとネグリのあいだ/フーコーの限界/免疫(イムニタス)・共同体(コムニタス)/免疫化の功罪/ナチズムの遺産とその転倒/法と免疫/「人格」の脱構築
第1部
 第1章 共同体の法
 第2章 メランコリーと共同体
 第3章 共同体とニヒリズム
第2部
 第4章 免疫型民主主義
 第5章 自由と免疫
 第6章 免疫化と暴力
第3部
 第7章 生政治と哲学
 第8章 ナチズムとわたしたち
 第9章 政治と人間の自然
 第10章 全体主義あるいは生政治―二十世紀の哲学的解釈のために
 第11章 非人称の哲学へ向けて

ナチズムが戦争から抜け出たのは、軍事的、政治的レベルにおいて決定的に敗北したからであって、文化的、言語的レベルにおいては、必ずしも全面的に敗北したわけではない
(第10章より)
うひょ~。
日本橋ラブコンシアターで、ファンタピースのチャリティーライブ。
第4部だけ見れた。
長谷川寿里と山崎佑奈がMCで登場し、開演前の諸注意など。
1.オーバー・ザ・リアリティー
2.ラビリンス
3.ロンリーオンリー
4.君だけに・・・Love You
メンバーは山口りほ、中村菜摘、井口奈波美、竹村美緒、鈴木由佳。
約30分のライブで、料金は500円。
会場外では、メンバーたちによる綿菓子、ポップコーンが販売されていた。
清本晏名が作ってくれた綿菓子を食べた。

今日はまんだらけグランドカオスで買い逃した漫画をもう1回買いに行った。
絶対に持ちきれない量の漫画を買っている人がいたけど、あれは車で持ち帰るのか、それとも、配達?すごいな。
NHK-FMは「今日は一日大滝詠一三昧」をやってて、もう釘付け。
Ustreamでは、月蝕歌劇団の「怪盗ルパン 竹久夢二の双曲線」を序盤20分だけ中継しており、雰囲気だけ味わう。
また、明和電機の事業報告ショーを見る。オタマトーンアイドルのNUTとか。

難波千日前のユーアーツギャラリーでWHOLE9の展覧会「抱いてHOLD ON ME」
ギャラリー内ではライブペインティングも行われていた。
入口に立てておいた雨傘をとられないか心配で、ひととおり見たらすぐに出てきてしまった。

今日は1日、NHK杯の将棋とか、WWEの録画をまとめて見て過ごす。
羽生ー渡辺、糸谷ー丸山の準決勝、どっちも将棋の面白さを存分に味わせてくれた。
WWEは、レッスルマニアをにらんで、大物のスーパースターが続々と復帰したり、登場したりして、試合の時間よりも、アジテーションの時間が長くなってきていて、これは日本のプロレスでは逆立ちしても無理だな、と思わされた。

まんだらけグランドカオスで「まんが祭り」してたので、抜けている漫画を探しに行った。これを機に、1回途中まで読んで放っておいた漫画とか、読んだけど忘れてしまってる漫画を読み直してみようか、と思う。わりと、そういうことはしょっちゅう思うのだが、あんまり実現しない。でも、今度こそは、読もう。漫画面白いしね!

今日はNHK-FMで「今日は一日なつかしのアイドル三昧」を放送していた。
天地真理、伊藤さやか、水谷麻里あたりが懐かしいアイドルの範疇に入るのかな。
浅田美代子とか、アグネス・チャンとか、ちょっと新しくなると、北原佐和子、三井比佐子、真鍋ちえみ(パンジー)とか、横田早苗とか、ソフトクリームとか、大好きなアイドルたちが、今回は出番がなくて残念。ひょっとして、アイドル三昧はもう何回かやってて、既に取り上げられていたのかも。

深夜からは、Ustreamで「レコ部」。
朝4時頃までやってたのかな。
午後1時30分から阿倍野市民学習センター講堂で市民社会フォーラム第59回例会
「911を検証する公開討論会―WTC3つのビル崩壊とペンタゴン攻撃を中心に―」
報告者は、3人が予定されていた。
大阪大学サイバーメディアセンター教授の菊池誠。
「ハーモニクスライフセンター」の主宰きくちゆみ。
京都大学大学院教授、911の真実を求める日本の科学者の会設立者の西牟田祐二。
うち、きくちゆみは渋滞で飛行機に乗れず、報告の時間には間に合わなかった。

共同コーディネーターは、池田香代子、西谷文和。
アメリカの公式見解に疑惑ありとする、きくちゆみ、西牟田祐二と、異議申し立て側の科学リテラシーに問題ありとする菊池誠が、まあ、真っ向から対立する立場で討論に及ぶ。

主なプログラムは、
911事件の背景について(西谷文和)
西牟田祐二報告
菊池誠報告
と進んだ。
これらのプログラムの前に、午前中から映画「ZERO」上映があり、後には報告後の両者のコメント、質疑と進んだようだ。
「ようだ」と、いうのは、要するに、僕が午後1時半から3時過ぎまでしか参加できなかった、ということだ。
両者の報告を聞いていると、プレゼン能力に差を感じてしまった。つまり、事の真偽とは別に、菊池誠の明快な語り口が、聞いている人を飽きさせないもので、つい「なるほど」とうなずかせる技術に長けていた、ということだ。
僕は聞けなかったが、きくちゆみの主張を聞いてみたかった。
きくちゆみは、映画『911ボーイングを捜せ』『911の嘘をくずせ』『テロリストは誰?』『ZERO:911の虚構』などの日本語版を制作しており、菊池誠に対抗する話術をもっている可能性もあったと思われる。
この討論会の模様はUstream中継もされていたようなので、いずれ、僕が帰ったあとで、どんな質疑、討論が展開されたのか、見れると思うのでチェックしておこう。

日本橋に移動して、ラブコンシアターでファンタピースUBUライブ。
開演前のアナウンスは、りんりほ(川口梨花、山口りほ)
1.ハッピー・アワー
2.カップル・オブ・シャドー
トークのお題は、好きなアイスの味。
ラブポーション31(エリーサ)、バニラ(るな)、バニラ(もえぴー)、キャラメル(かれん)、キャラメルリボン(あんこ)、ホッピングシャワー(のりたま)、栗(りんか)、抹茶(りほホン)。
もえぴーは、「好きなバニラの味は・・・」と答えるあたり、天然の気配が漂って、可愛い。
りほホンは、なぜかバスキンロビンスのアイスクリームの店「31」があまり無いと主張しており、ふだんどこで遊んでいるか、というマップというか、縄張りが頭に浮かんできて、面白かった。つまりは、ショッピングセンターのフードコートではあまり遊ばない、ってことなのだな。
3.ラビリンス(山口、清本、鞠谷、川口)
4.一緒に(谷口、藤井、佐藤、松元)
5.君だけに・・・Love You(谷口、藤井、佐藤、松元)
6.ロンリーオンリー(山口、清本、鞠谷、川口)
7.その未来へ(山口、清本、鞠谷、川口)
8.ミラー・オブ・トゥルース(谷口、藤井、佐藤、松元)
新人4人によるトークは、アイスクリームはコーン派かカップ派か。
だいたいコーン派だが、松元瑠菜だけが、口のまわりがたいへんなことになるので、カップ派。
9.ずっと見ていてほしい
10.オーバー・ザ・リアリティー
以下、アンコール
11.ラブラブ・スウィート・バレンタイン

ライブ終了後は、京都に直行。
午後7時から京都芸術センター講堂で「Open Reel Ensemble ~奏でる機械」 
ステージに設置された数台のオープンリールテープレコーダーを使って、その場で録音した声や音をスクラッチしたりして、要するに、オープンリールテープレコーダーを楽器として演奏する、面白いライブ。
オープンリールアンサンブルについては、こんな解説があった。
Open Reel Ensemble

時代の表舞台から姿を消した古いオープンリール式のテープレコーダーを改造して楽器に。複数台を使って音楽を奏でるグループ。その場で声や音をテープに録音、リールの回転や動作をコンピューターで制御したり、人力で操作することでオープンリールを演奏する。
First Reel:和田永 Ei Wada (& Concept, Programming, Compose)
Second Reel:佐藤公俊 Kimitoshi Sato (&Compose)
Third Reel:吉田悠 Hayuka Yoshida (& Per)
Fourth Reel:難波卓己 Takumi Namba (& Vn)
Bass:吉田匡 Masayu Yoshida
今回のライブでは、さらに楽器演奏者が増えており、和田氏のプレイも、リールをはずしてテープを引っ張ったり、テープレコーダーを持ち上げて文字通り楽器的に扱ってみたり、といろいろやりたい放題だった。




午後3時から、兵庫県立芸術文化センター大ホールで「岩村力×林英哲 和洋の響演」
伊福部昭:SF交響ファンタジー第1番
 「ゴジラ」などの映画音楽をコンサート用に編曲・再構成した作品。3番まであるが、そのうち1番のみ。
 ゴジラは言うまでもなく放射能光線を吐く原子力の生み出した怪獣で町を壊滅させる。なんだかタイムリーで、その音楽の迫力に打たれて、涙が出た。
 
山下洋輔:プレイゾーン組曲(世界初演)
1.ビギニング
2.イントゥー・ザ・ゾーン
3.ダイアログ
4.ダンス
5.チェイス
6.ゾーン・プロミネンス
 演奏後、山下洋輔氏も出てきて万来の拍手にこたえていた。

武満徹:鳥は星形の庭に降りる

松下功:飛天遊

アンコール 「太鼓打つ子ら」
八丈島の民謡を元に林英哲氏が歌をつけたもの。

このコンサートには、NHK-FMの収録が入っていた。
と、いうことは、「現代の音楽」で放送されるのかな?


午後7時30分から神戸アートビレッジセンターKAVCホールで「Yのフーガ’11」
原作:稲垣足穂(「一千一秒物語」より)
構成・演出:いいむろなおき
出演:いいむろなおき、ヤザキタケシ、きたまり、大柴拓磨、関 典子、宇保 允、和田雄太郎
アイディアをふんだんに盛り込んだマイム。
『一千一秒物語』から参考にした作品は、
自分を落としてしまった話
星と無頼漢
友だちがお月様に変った話
ポケットの中の月
A HOLD-UP
月とシガレット
THE WEDDING CEREMONY
自分によく似た人
箒星を獲りに行った話
はたして月に行けたか?

デジタル、バーチャルを身体と物体というアナログで実現させてしまう荒業。
と、いうことで、両者の境は曖昧になり、タルホの世界が顕現する仕組みなのか。


『醜の歴史』

2011年3月17日 読書
『醜の歴史』
ウンベルト・エーコの『醜の歴史』を読んだ。
豊富な図版と引用で、西洋における「醜」の歴史をたどる浩瀚な1冊。
以下、目次。
序論
第1章 古典世界の醜
 1.ギリシア世界は美によって支配されていたか?
 2.ギリシア世界と恐怖
第2章 受難、死、殉教
 1.宇宙の汎美主義ヴィジョン
 2.キリストの受難
 3.殉教者、隠者、贖罪者
 4.死の凱旋
第3章 黙示録、地獄、悪魔
 1.恐怖の世界
 2.地獄
 3.悪魔のメタモルフォセス
第4章 モンスター(怪物)とポルテント(予兆)
 1.プロディジオ(驚異)とモンスター(怪物)
 2.測りがたいものの美学
 3.モンスターの教訓化
 4.ミラビリア(驚異)
 5.モンスターの運命
第5章 醜悪なもの、滑稽なもの、猥褻なもの
 1.プリアポス
 2.農夫を主題にした風刺文学と謝肉祭
 3.ルネサンスの解放
 4.カリカチュア(諷刺漫画)
第6章 古代からバロック時代までの女性の醜さ
 1.反女性の伝統
 2.マニエリスムとバロック
第7章 近代世界の悪魔
 1.叛逆天使サタンから哀れなメフィストフェレスへ
 2.「敵」の悪魔化
第8章 魔女信仰、悪魔崇拝、サディズム
 1.魔女
 2.悪魔崇拝、サディズム、残酷趣味
第9章 フィジカ・クリオーサ(肉体への好奇心)
 1.月の出産と死体の開腹
 2.人相学
第10章 ロマン主義による醜の解放
 1.醜の美学
 2.醜い者と呪われた者
 3.醜い者と不幸な者
 4.不幸な者と病んだ者
第11章 不気味なもの
 1.不気味なもの
第12章 鉄の塔と象牙の塔
 1.産業社会の醜さ
 2.デカダン主義と醜の放縦
第13章 アヴァンギャルドと醜の勝利
 1.アヴァンギャルドと醜の勝利
第14章 他者の醜、キッチュ、キャンプ
 1.他者の醜
 2.キッチュ
 3.キャンプ
第15章 現代の醜
 1.現代の醜

エーコは本書15章で「醜」への省察を4つにまとめている。
醜は時代や文化によって相対的であること。
昨日受け入れがたかったものが明日には受け入れられるかもしれないこと。
醜いと感じられたものが、適切なコンテキストでは全体としての美に役立つこともあること。
省察のこれら3つの相対主義は、あげられている図版を見るかぎり、確かに納得させられるもので、今の眼で見たら、なぜこれが醜であるのかがよくわからないものがあった。
そして4つめは、生理学に基づいた反応は時代や文化が異なろうと多かれ少なかれ不変であること!ちゃぶ台をひっくり返した~。
また、美術が執拗に繰り返し醜を表現した理由は、こう解釈される。「形而上学者の楽観主義にもかかわらず、この世界には、どうしようもないことだし、哀しいことだが、何らかの悪がある」ということを思い出させようとしたのだ、と。
エーコの「醜の歴史」を受けて、振り返って、現代日本での「醜礼讃」の傾向はどう解釈すればいいものか、課題は大きい。

「映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団」を見た。2011年。
サブタイトルに「はばたけ天使たち」とある。
藤本幸代監督(「新・魔界大冒険」)、清水東脚本。
ストーリーのわかりやすさもあり、近年の、いや、映画ドラえもんの中でも一番面白いんじゃないか、と思った。
ドラえもんの話には、「あれ、ここは、この秘密道具を使ったらいいんじゃないか?」「あの秘密道具使ったら簡単だから、あえてそれが使えない設定にしてあるな」などツッコめばつっこめる展開が多々あるが、この劇場版については、そういうストレスはほとんど感じずに済んだ。
また、ヒロインのリルル、マスコットキャラクターたるピッポ(本名はジュド)の性格や行動なども、不自然さがなくて、楽しかった。
何が正しいかはわかっていながら、祖国のために動かざるを得ないリルルが、「わたしを止めるには、わたしを撃つしかない」と、のび太に迫るシーン。
敵味方として戦わねばならないのを嫌がって泣くピッポ。
攻撃されて傷つきながらもリルルを手当てする、しずかちゃん。
歌を禁じられたピッポに、自由と歌に関する名言を吐くジャイアン。
「小さな家でわるかったわね」とイライラする、のび太のママ。

期待していなかった新キャラのピッポの可愛いことと言ったらなかった。
それが牽引力になって、映画のラストまでぐいぐい見させて、感動させた、と言っていいだろう。僕の場合!

さて、次のドラえもん劇場版は、何だろう。
オリジナルなのか?
それとも「日本誕生」か?「創世日記」か?
ラストにモアが出てきたところを見ると、「雲の王国」のリメイクか、
17巻の「モアよドードーよ永遠なれ」の映画化か。
雲の王国かなあ。キー坊出てくるし。
日本橋ラブコンシアターでファンタピースライブ。
諸都合で、午後4時からの第3部だけ見れた。
1.ハッピーアワー
2.カップル・オブ・シャドー
3.はぴはぴサンデー(中村、山崎=ゆうなっちゃんレボリューション)
4.ラムのラブソング(浦田、川口、谷口)
5.ト・マ・レ(長谷川、山口、清本=もえもえピース)
6.年下の男の子(井口、鈴木、藤井)
7.ミラー・オブ・トゥルース(山崎、浦田、中村、谷口、川口)
8.オーバ-・ザ・リアリティー
9.ラブラブスィートバレンタイン
以下、アンコール
10.その未来へ

トークのお題は、絵文字で何をよく使うか。
ハート(中村、浦田、山崎、長谷川)、顔(川口)、走った後の土煙(谷口)、元から入ってる分(清本)、あごはずれた顔!(井口)、キラキラ(鈴木)、兎がハート持ってる(山口)、横にワーとなってる分?(藤井)

2ショットチェキは山口、清本。
とろとろ桃のフルーニュをお供えする。
昨日も感じたのだが、特に目立ったことなどしていないのに、いつもチェキを撮る山口、清本以外にも、僕のことを認識してくれているメンバーがいるのには、驚きと喜びを感じる。
アイドルの鑑だな!
ファンはそういうところで、簡単にイチオシが変わってしまったりするのだ。

帰宅後、午後9時過ぎからずっと朝まで沖縄での南国レコ部をUstreamで視聴。
日本橋のラブコンシアターで、ファンタピースの年少組UBUのライブ。
全員が小中学生で構成されており、メンバーは次の8人。
山口りほ、清本晏名、鞠谷ふうか、川口梨花、谷口佳蓮、藤井えりさ、松元瑠菜、佐藤萌美。
1部(午後4時~)
開演前のアナウンスはのりたまとあんこ。
「のりたま」と「あんこ」?どっちも食べ物!
1.ミラー・オブ・トゥルース
2.オーバー・ザ・リアリティー
3.ラビリンス(りほホン、あんこ、のりたま、りんかーん)
4.プリキュア(もえぴー)
5.センチメンタル・ジャーニー(えりさ)
6.気まぐれロマンティック(あんこ)
7.アイドルみたいに歌わせて(のりたま)
8.ロンリー・オンリー
9.君だけに・・・Love You
(以下、アンコール)
10.ラブラブスィートバレンタイン
途中のトークお題は、2つ。
「好きなふりかけ」・・・のりたまが「のりたま」と言うのにあわせて、他のメンバーはしめしあわせて「さけわかめ!」
「好きなパン」・・・チョコチップメロンパン(るな)、いちご味ふわふわ食パン(えりさ)、チョコクロ(あんこ)、トースト(りほホン)、角切りチーズ入りパン(かれん)、チョコレートペーストたっぷり塗ったパン(りんかーん)、メロンパン(もえぴー)
ユニット紹介時の挨拶も、UBUバージョンになっていた。
お届けするのが「愛、夢、感動」の部分が、出来るのが「一生懸命」になってたり、「ウブ」をアピールしたり。

2ショットチェキは、ソロで歌った清本晏名と。眼鏡萌え。

2部(18時~)
開演前のアナウンスはりほホン、りんかーん。
1.一緒に
2.ずっと見ていてね(ずっと見ていてほしい、と思ってたけど、リクエスト曲のアンケートに、このタイトルで書いてあったので、それを採用!)
3.カップル・オブ・シャドー
4.オーバー・ザ・フューチャー(かれん)
5.大好きになれっ!(るな)
6.ゲットマイラブ(りほホン)
7.ジャンプ(りんかーん)
8.その未来(さき)へ
9.ハッピーアワー
以下、アンコール
10.ラブラブスイートバレンタイン

トークのお題は
「好きな音」・・・学校のチャイムのキンコンカンコン(りんかーん)、ヒールの靴音(のりたま)、パラリラパラリラ(あんこ、りほホン)
「プリクラで必ず書くこと」・・・なかよし(るな)、神友(あんこ)、in~場所(かれん)、たこくちびる(えりさ)、日にち(もえぴー)、特になし(のりたま)
「好きな帽子」・・・ニット帽(るな)

2ショットチェキは、カッチョイイダンサー、山口りほと。

今回ファンタピースの新人さんと、若いメンバーを見て、いろんな発見があった。
4人の新人さんが、みんな魅力的なのがすごい。
早くも全体のトップを狙う人材もおり、こりゃすごいもの見た、という感じ。
山口りほの完成度の高さ、清本晏名のわがまま姫っぷりも堂に入っており、みんな個性を発揮してるな~、と思った。


帰宅後、地震、原発関連の情報を探り、深夜からUstreamで京都ninemusezで開催中のアニメないとで楽しむ。
ニッチ~サオリリス~いぬ、と朝まで。
http://ninemusez.com/event/2011_3.html
サオリリスは節電のため、VJなしで、サイリウムでDJライブ敢行してた。


『凍った波紋』

2011年3月8日 読書
陳舜臣の『凍った波紋』を読んだ。1970年。
真珠業界を舞台に展開される現代ミステリー。
ではあるが、陳舜臣ミステリーの特色である2つの要素、
1、戦争のときに起こったことが事件の根にある。
2、犯人っぽくない女性が事件の鍵を握っている。
は、ここでも健在で、ああ、陳舜臣の推理小説を読んでるなあ、と堪能。
以下、目次。

ミニに真珠
桃食いザル
しらたま
ポイント
痴惑
かげろう
その名
デートの夜
曲線
焦点
暗い影
ひめごと
転換
赤い輪
積木
波がしら
ざわめき
夜光虫


さて、今回事件の根っこになった戦争中の出来事とは何か。
昭和12年にはじまった日中戦争。
伸びた戦線の周辺地域を安定させるため、日本軍は中国の地方軍閥を懐柔する手段に出た。
そんな軍閥のなかで、金銭欲や名誉欲もあまりないけど、色きちがいの将軍がいた。
この将軍、女性コレクターでハーレムを作り、狂乱の限りを尽くしていたのだ。
その将軍のもとに派遣された日本人女性。これが事件のもとになる。
戦後、その将軍のもとにいたことを知る人物(もちろん、脅迫するわけだ)が、次々と死んでいく。
犯人はその女性なのか、脅迫する男たちを許せない正義感の強い人物か、それとも、女性を慕う男なのか、それとも、女性が中国で生んだ息子が日本にやってきて母親のために復讐したのか、それとも、そんな復讐心に燃える青年を手助けしようとしたホモなのか。
真相は闇の中。いや、読めばわかるかな。
午後3時から、大阪大学吹田キャンパスで、ロベルト・エスポジト講演。
「装置」としてのペルソナ――人格の脱構築と三人称の哲学
講師:ロベルト・エスポジト(イタリア国立人文科学研究所副所長)
コメンテーター:フェデリコ・ルイゼッティ(ノース・キャロライナ大学准教授)
場所:大阪大学(吹田キャンパス)人間科学研究科・ユメンヌホール

内容後日


10minutes 決勝GP大会
start 15:00~

●出演
未緒@1年5組
ちーたん
丼野M美
MIRRORLAKES
はっち
島田愛
ぴいち姫
堀井ゆき
モロル
天心和風乙女団 ver.南風ぅ
りあ326
うてなゆき
野中ひゆ
早坂くるえ

●GUEST
少年ナイフ
chupi*chupi
にょロボてぃくす
邪王院弘
めばちっ娘クラブ

●OPENNING
ねみ

●司会
保山ひャン
B・カシワギ

●SHOP
銭ゲバフランクフルト

●審査員
安斎レオ
ジャン=ポール
西泰幸
松前公高
ナオコ(少年ナイフ)
柴田篤(TOMATOHEAD)

リハーサルはじまる午前11時から、ライブ終了して帰宅した深夜まで、長丁場のイベントで、久しぶりに疲れた。

結果は次のとおり。

グランプリ:モロル
少年ナイフ賞:ちーたん
chupi*chupi賞:りあ326
長谷部信子賞:ぴいち姫
安斎レオ賞:早坂くるえ
中谷丸賞:1年5組
オーディエンス賞:はっち
準オーディエンス賞:天心和風乙女団ver.南風

おめでとう!
今回残念だった人も、みんなむちゃくちゃよかったよ!



午後3時からジュンク堂難波店でトークセッション
『快楽の効用』(ちくま新書)
『哲学的なものと政治的なもの』(青土社)刊行記念
快楽の効用―肉の共同体へ向けて―
雑賀恵子(社会思想史)×松葉祥一(哲学)

【パネラー紹介】
★雑賀恵子(さいが・けいこ)
現在、大阪産業大学ほか非常勤講師。著書に、『快楽の効用 嗜好品をめぐるあれこれ』(ちくま新書)、『空腹について』(青土社)、『エコ・ロゴス 存在と食について』(人文書院)。

★松葉祥一(まつば・しょういち)
現在、神戸市看護大学教授。著書に、『哲学的なものと政治的なもの』(青土社)、『ナースのための実践論文講座』(人文書院)。訳書に、ランシエール『民主主義への憎悪』(インスクリプト)、バリバール『ヨーロッパ市民とは誰か』(共訳、平凡社)など。

☆ 会 場 … 難波店3階カウンター前特設会場。入場無料。

人食いや嘔吐について。
内容については後日。


プラネット+1で「初期ゴダールとヌーヴェルヴァーグの短編1954-1964 」
プラネット+1の解説文を引用しながらのメモ。

『コンクリート作戦』Opération ’Béton 1954/フランス/16分
監督・台本・ナレーション:ジャン=リュック・ゴダール
撮影:アドリエン・ポルシェ
音楽:バッハ
スイスのダムでのコンクリート作業をまるで軍事作業のレポートをするように淡々と描写する。
ゴダールファンが、この映画をどう位置づけているのかが興味津々。 


『あこがれ』Les Mistons 1958/フランス/19分
監督・脚本:フランソワ・トリュフォー
撮影:ジャン・マリージュ
出演:ベルナデット・ラフォン、ジェラール・ブラン
モーリス・ポンスの短編小説に基づき子供たちの世界をジャン・ヴィゴ風のスローモーションも使って演出した。
これ、何度か見たけど、何回見ても新鮮。 
最初の自転車シーンにまさる名シーンはそうそうない。


『男の子は皆パトリックという名前なのね』Charlotte et Véronique ou Tous les garçons s’appellent Patrick 1959/フランス/21分
監督:ジャン=リュック・ゴダール
脚本:エリック・ロメール
撮影:ミシェル・ラトゥーシュ
出演:ジャン=クロード・ブリアリ、アンヌ・コレット、ニコル・ベルジェ

ロメールの習作短編『紹介、またはシャルロットとステーキ』(シリーズ第1作目)では出演していたゴダールがこのロメールの小品シリーズ第2作目を演出した。ロメールはこの後第3作として『ヴェロニクと怠慢な生徒』を撮り、またゴダールはオリジナルで『シャルロットとジュール』を撮った。
邦題はいくつかあるが、僕が今までに見たのは、このタイトルのものばっかりで、と、いうことは、今まで見たのも全部プラネットの上映分だったってことかな。
 

『チキン』Le Poulet 1962/フランス/15分
監督:クロード・ベリ
撮影:ギスラン・クロケ
出演:ジャック・マラン、ヴィヴィアンヌ・ヴォードノー、マルタン・セール

『チャオ・パンタン』『愛と宿命の泉』などを撮ったクロード・ベリの短編デビュー作。1966年のアカデミー賞では短編映画賞を受賞している。撮影は『夜と霧』や『穴』を既に撮っていたギスラン・クロケが担当した。
食べるために買ってきたにわとりを救おうとする男の子。コミカルでいとしい。 


『パリのナジャ』Nadja Paris 1964/フランス/13分
監督:エリック・ロメール
撮影:ネストール・アルメンドロス
出演:ナジャ・テシック

主人公のナジャ・テシックは後にアメリカで脚本家となるスティーブ・テシック(『ヤング・ゼネレーション』『ガープの世界』など)の妹。ユーゴ生まれアメリカ育ちのナジャ自身が自分のパリでの学生生活をレポートする。 
今でも自主制作映画で、これと同じようなのが山ほど作られているんだろうな。




午後1時30分から京都大学でロベルト・エスポジト特別講義「イタリア哲学の回帰-その起源とアクチュアリティ」
講師はイタリア国立人文科学研究所副所長のロベルト・エスポジト、通訳と解説はノース・キャロライナ大学准教授のフェデリコ・ルイゼッティ。エスポジトの本を翻訳し思想の紹介を各所で行っている岡田温司教授が司会、サポートをされていた。
紹介文は次のとおり。
つねに世俗経験の葛藤とトラウマにさらされているイタリア哲学は、主体理論、認識論、言語分析、解釈学的脱構築などとは別のものを目指している。イタリア哲学の中核には「生」というカテゴリーがあり、そこには「政治」および「歴史」というカテゴリーが緊密に――かつ問題含みの仕方で――結びついているのである。濃密で不透明なこのマテリア――生――は、表象のフォルマ的秩序には還元しえない。そのためにこそイタリアの思想は、今日のわたしたちの時代を特徴づける兆候と深く共鳴しあうのである。

内容については後日。

この日、くびくびカフェの強制撤去、抗議、再建があったそうだが、知らずに、寒さと空腹に負けて、寄らずに帰ってしまった。しまった!
ルネ・シェレールの『歓待のユートピア-歓待神(ゼウス)礼讃』を読んだ。1983年。
ルネ・シェレールは映画監督エリック・ロメールの実の弟で、フーリエの研究者。ショタコン。
邦題でサブタイトルになっている「ゼウス礼讃」については、著者によってエラスムスの『痴愚神礼讃』から着想を得た、と書かれている。
「だが思うに、現在の世界において、歓待とはほとんど狂気の沙汰、痴愚を意味しているのではないだろうか。現在フランスで、またほとんど世界中のいたるところで、人々の頭を占めているのは、庇護権から国籍法まで、あらゆるかたちで歓待を制限することである。そんな時代に歓待を礼讃すること、それはやはり別の意味での痴愚神礼讃であるにちがいない」と皮肉っている。
ラストでは、外国人排斥について、こうも書いている。
「血統による国籍とは、結局、外国人をその性において排斥することではないでしょうか。そして、ある人々にとって、躓きは外国人の結婚そのものなのではないでしょうか。それは不当に国籍を取得することを可能にするように思われているのです」

巻頭、「読者へ」をしめくくる文章は印象的。
「歓待は攪乱的なもの、反時代的なものである。それは痴愚、狂気として、いたるところであらゆる分別、理性に抵抗する。歓待はまず何よりも国家理性に抵抗するのである」
以下、目次。
第1部 星雲
第1章 間隙の徳
 1.この美しき婦人・・・
 2.化石か、それとも刻印か
 3.管理のかげで
 4.定住地と天幕のあいだで
 5.隣人と遠人
 6.心情の法とそのパラドクス
 7.現代の寓意的釈義
 8.アガペーかエロスか
 9.抵抗する力
第2章 公的な歓待―カント『永久平和のために』
 1.法の空白
 2.ただ歓待あるのみ
 3.形式の力
 4.なぜなら地球は丸いのだから
 5.カントとルソー
 6.通商の要求
 7.植民地主義の犯罪
 8.コペルニクス的転回
 9.カタストロフのかげで
第3章 アナーキーの連合主義―古代ローマの歓待・プルードン『連合の原理』
 1.歓待から連合へ
 2.蛮族の受け入れ
 3.ブルグント法
 4.アッティラの結婚
 5.歴史を再考する
 6.歓待の目的=終焉
 7.掛けがえなきもの
第4章 客の席
 1.フーリエの方へ
 2.人格の氾濫
 3.歓待の経済
 4.個人的なものの不確実さ
 5.発見は逆をともなわない-アステカ帝国の滅亡
 6.モナドは窓をもたない-フッサールと相互主観性の理論
 7.世界と肉体をもった他者
第2部 星座
第5章 両義的な客―アイスキュロス『救いを求める女たち』・ホメーロス『オデュッセイア』
 1.意味の反転
 2.救いを求める神
 3.放浪者と市民
 4.名前なき神
 5.倒錯の女神たち
 6.哀れなナウシカアー
第6章 もろ手で迎える女主人―クロソフスキー『歓待の掟』・フーリエ『愛の新世界』
 1.わが娘をあなたの床に
 2.神秘的ポルノグラフィー
 3.恋愛法廷における議論-役割の交換
 4.徳のパラダイス
 5.決定論をこえて
 6.新しい掟
第7章 行きずりの客―パゾリーニ『テオレマ』
 1.ヤハヴェの複合体
 2.望ましき異邦人
 3.MI HAI SEDOTTO,DIO(神よ、あなたはわたしを誘惑された)
 4.射影幾何学
 5.IN QUELLA LUCE OSCURA(この暗い光の中で)
 6.自己の空虚
第8章 二人の守護聖人―ジュネ『恋する虜』・フローベール『聖ジュリアン伝』)
 1.捨て子
 2.襞と仮面
 3.語り手の真実
 4.定住できない客たち
 5.客-証人
 6.聖なる怪物性
 7.本質的な歓待
 8.絶対的な歓待
 9.歓待の擬人法

本書は歓待をめぐるエッセーで、著者の叫びが聞こえる部分もあって、面白い。
第5章では、『オデュッセイア』を題材に、オデュッセウスが、強い猜疑心をもった妻ペーネロペイアとの貞節を守るために、純愛をささげるナウシカアーを捨ててしまうことを嘆いている。
「いまいましい意地悪女、ブルジョワ女の草分け、頑なな心のペーネロペイア!ああ、哀れなナウシカアー!アリアドネーのように傷ついた愛をひきずって」

また、第6章ではこんな文章も。
「そもそも倒錯とは、性における人間の自由の刻印であり、あまりにも合理化された人間主義の超克にほかならない。倒錯は、さまざまな可能的なものを探索する。いや、むしろこういうべきだろう、倒錯は自然主義的な理論の論理にしたがっては不可能なものを探索するのである。そしてこの探索を、地獄の苦悶と天国の至福という両端が一致するところまで押し進めるのだ」
きわめつけは、本書ラストにあらわれる文章。
「制限的なコードをともなった民族的=国民的なものの進展は、近代の『全体的社会現象』であり、この現象は、少しずつ、しかし不可逆的なかたちで、わたしがその象徴として体現していた共同的な生の強度に取って代わろうとしています。この進展は、未成年者に性的な保護障壁を設けようとする動き、未成年者の性にますます口出しするようになってきた動きと同じ次元にある。子供たちに『悪影響を与える者』についていえば、人々に恐怖を与え、幻想を抱かせるのは、こうした人々が被っている二重の異邦人性なのです。性的逸脱という異邦人性と、『外国人』に帰属するという異邦人性です」


冒頭で「外国人に対する不寛容は、まさしく今日的な現象である」「歓待は廃れてしまったのだ」と書かれた嘆きは、著者の性癖とそれに対する不寛容な潮流とオーバーラップしているようだ。

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