村上春樹訳の『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を読んだ。
前回は野崎訳を読んで気になった箇所を村上訳とつきあわせてみたけど、今回は逆に、村上訳を読んでて気になったところを、野崎訳と比べてみた。

「クレイジーな大砲」(村上)
「イカレタ大砲」(野崎)

「僕はこの『風格ある』という言葉が何よりもきらいなんだ」(村上)
「『りっぱ』か!これこそ僕のきらいな言葉なんだ」(野崎)

「僕に向かってしょっちゅう『あーむ』と呼びかけるのはやめてくれないかなと真剣に思った」(村上)
「そう言いながら、僕は、さっきから僕を『坊や』といってるその呼び方をやめてもらいたくてたまんなかった」(野崎)

「『オーケー』と僕は言った。アックリーが自分の部屋に引きあげたからといって、君の胸が痛んだりするようなことはありえない」(村上)
「『ああ』と、僕は言った。べつに部屋へ帰られたからって、こっちががっかりするような相手じゃないからな、奴さん」(野崎)

「お前はとことん鈍くさい、蓮根なみの間抜けだ」(村上)
「おめえは全くきたねえ低能の間抜け野郎だ」(野崎)
10
「やれやれ。なんにもわかっちゃいないんだよな」(村上)
「それだけの頭しかないんだよ」(野崎)
10
「たとえば便所のことを『リトル・ガールズ・ルーム』と呼ぶとかね」(村上)
「でも、トイレのことを『おトイレ』なんて言ったりして、」(野崎)
12
「まっしぐらにすさまじいところだ」(村上)
「すごいんだ」(野崎)
12
「おそれいるじゃないか」(村上)
「たいしたもんさ」(野崎)
12
「グレイのフランネルのスーツに、例のおかまっぽい感じのタッターソールのベスト」(村上)
「グレーのフラノのスーツに、小意気なタタサルのヴェスト」(野崎)
12
「なんだか自分が間抜けの親玉になったような気がしてきた」(村上)
「次第にいらいらして落ちつかなくなってきた」(野崎)
13
「青天の霹靂というか」(村上)
「藪から棒に」(野崎)
13
「ちょいの間でいいよ」(村上)
「一回でいい」(野崎)
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「ふつうの娼婦ならたぶん『よく言うよ』とか『冗談よしな』とか言うところだよね。『へへへだね』なんて言うもんか」(村上)
「売春婦やなんかだったらね、『笑わせないでよ』とか『でたらめはよしてよ』とか言いそうなもんじゃないか。それを『嘘ばっかし』って言うんだからな」(野崎)

え~っと、ここまでが前半で、後半もいろいろあったけど、メモがどこかに行ってしまったので、割愛。またメモが見つかったら追記します。

『サリンジャー戦記』読んだあとだったので、フィービーがホールデンを呼ぶ「あなた」についても注意して読んだ。
25
「あなたはあなたで好きなことをすればいいじゃない」(村上)
「兄さんはやりたいようにやったらいいわ」(野崎)
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「あなたは乗らないの?」(村上)
「兄さんも乗らない?」(野崎)
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「あなたのことをもうべつに怒ってないんだよ」(村上)
「あたし、もう兄さんのことおこってないのよ」(野崎)

あと、ホールデンの風貌を憶測する手掛かりとして、13章で娼婦がホールデンに向けて言う言葉がある。
「あんた、映画に出てた男にそっくりだわ」
「知らないはずないわ。メルヴィン・ダグラスといっしょにあの映画に出てた男よ。メルヴィン・ダグラスの弟になるの。ボートから落っこちるあの男よ」(野崎訳)
メルヴィン・ダグラスの出ている映画で、船から落ちるシーン、といえば、「我は海の子」のフレディー・バーソロミューかな、それだと、若造と見抜かれるホールデンっぽいな、と思ったけど、メルヴィン・ダグラスの弟役ではなかったと思うし、どうなのかな。
ただ、村上訳では「メルヴィン・ダグラス」が「メル=ヴァイン・ダグラス」表記だったと思う。娼婦のあいまいな記憶だから、とりあえずは、フレディー・バーソロミューを思い浮かべながらその後を読んだのだった。
本文は村上訳、野崎訳、どちらの方がいい、ということもなかったけど、タイトルは、断然「ライ麦畑でつかまえて」がいい、と思った。

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