『薔薇十字社とその軌跡』
2013年8月28日 読書
論創社の「出版人に聞く」シリーズ第10弾、『薔薇十字社とその軌跡』を読んだ。
薔薇十字社を設立した内藤三津子に小田光雄がインタビューしている。
内藤三津子は、新書館の「フォア・レディース」担当から、天声出版の『血と薔薇』を企画、編集に携わり、薔薇十字社設立、倒産後は出帆社を経て、現在は編集プロダクションNアトリエ主宰。
自分の読書遍歴に欠かせない出版社の名前が飛び出してきて、興味はつきない。
以下、目次。
第1部
1 前口上
2 戦後文芸誌『世代』のこと
3 玄光社と堀内誠一
4 姉と中山書店
5 七曜社でのアルバイト
6 新書館入社
7 「フォア・レディース」のこと
8 新書館をやめる
9 「フォア・レディース」の波紋
第2部
10 『話の特集』に入る
11 『若い生活』の編集
12 『話の特集』のスポンサーと矢崎泰久
13 天声出版へ
14 矢牧一宏の軌跡
15 神彰のこと
16 『血と薔薇』の企画
17 三島由紀夫の参加
18 『血と薔薇』創刊
19 『血と薔薇』四号問題
第3部
20 薔薇十字社設立とその周辺
21 『血と薔薇』が雑誌に与えた影響
22 取次の条件
23 薔薇十字社のスタート
24 松山俊太郎の存在
25 島崎博と『定本三島由紀夫書誌』
26 未刊に終わった写真集『男の死』
27 『幻影城』、三崎書房、絃映社
28 澁澤龍彦『黄金時代』
29 塚本邦雄『悦楽園園丁辞典』
第4部
30 都市出版社との関係
31 詩を中心とする文学・芸術季刊誌『都市』
32 『家畜人ヤプー』事件とベストセラー化
33 『家畜人ヤプー』の作者
34 三島由紀夫と『家畜人ヤプー』
35 沼正三と天野哲夫
36 森下小太郎と倉田卓次
37 『諸君!』の森下文
38 倉田の著作のこと
39 薔薇十字社の倒産
40 トリプル倒産と高利貸し
41 小出版社の相次ぐ倒産
第5部
42 最後の本のことなど
43 森茉莉とのトラブル
44 出帆社と路書房
45 出帆社のスタッフ
46 出帆社の始まりと刊行書目
47 出なかった『泉鏡花全戯曲集』
48 路書房の摘発
49 出帆社の終わりと白夜書房
50 出帆新社について
51 編集プロダクション「Nアトリエ」
52 いいだ・ももと「思想の海へ」
53 いいだ・ももと出版
54 近畿大学の仕事
55 松山俊太郎のこと
56 松山と蔵書
57 『インドを語る』と『綺想礼讃』
58 それでもすてきな出版人生
薔薇十字社全刊行書一覧(2008年4月)/古書りぶる・りべろ
本書には、山ほど面白いエピソードが語られているのだが、そのなかから、とくに興味をひいたところをあげておこう。
フォア・レディースの成功について、内藤三津子の感性の起源について聞かれたときの答え。
「私は昔の少女小説を最後に読んだ世代だと思うんですよ。子どもの頃に貸本屋で吉屋信子などの小説を読んだという。『ひまわり』『少女の友』の世代ですしね。ところが1960年代にはそういった少女小説も貸本屋もなくなりつつあった。それでも女の子たちの気持ちの中にはやっぱり少女小説が読みたいという願望が確固として根づいていたのでしょうね。もちろんそれは旧来の少女小説とはちがうもので、それが寺山修司や立原えりかの物語としてうまく女の子たちに浸透していったんじゃないでしょうか」
松山俊太郎が渡辺温『アンドロギュノスの裔』、『大坪砂男全集』の企画を出したこと。
その松山俊太郎の家は足の踏み場もない状態になっていて、飲み付き合いが半端じゃないことなど。
森茉莉が『ドッキリチャンネル』で『マドモワゼル・ルウルウ』の印税を踏み倒されたと書いているが、それは何者かに吹き込まれた誤解だということ。
『家畜人ヤプー』の作家、沼正三の正体について。「続・家畜人ヤプー」や太田出版刊以降のリライト版はともかく、もともとの都市出版社版の『家畜人ヤプー』は倉田卓次判事が書いたものだということ。
出帆社と出帆新社とは人脈的にもまったくの別ものであること。
などなど。詳しくは本書にあたっていただくにかぎる。
薔薇十字社を設立した内藤三津子に小田光雄がインタビューしている。
内藤三津子は、新書館の「フォア・レディース」担当から、天声出版の『血と薔薇』を企画、編集に携わり、薔薇十字社設立、倒産後は出帆社を経て、現在は編集プロダクションNアトリエ主宰。
自分の読書遍歴に欠かせない出版社の名前が飛び出してきて、興味はつきない。
以下、目次。
第1部
1 前口上
2 戦後文芸誌『世代』のこと
3 玄光社と堀内誠一
4 姉と中山書店
5 七曜社でのアルバイト
6 新書館入社
7 「フォア・レディース」のこと
8 新書館をやめる
9 「フォア・レディース」の波紋
第2部
10 『話の特集』に入る
11 『若い生活』の編集
12 『話の特集』のスポンサーと矢崎泰久
13 天声出版へ
14 矢牧一宏の軌跡
15 神彰のこと
16 『血と薔薇』の企画
17 三島由紀夫の参加
18 『血と薔薇』創刊
19 『血と薔薇』四号問題
第3部
20 薔薇十字社設立とその周辺
21 『血と薔薇』が雑誌に与えた影響
22 取次の条件
23 薔薇十字社のスタート
24 松山俊太郎の存在
25 島崎博と『定本三島由紀夫書誌』
26 未刊に終わった写真集『男の死』
27 『幻影城』、三崎書房、絃映社
28 澁澤龍彦『黄金時代』
29 塚本邦雄『悦楽園園丁辞典』
第4部
30 都市出版社との関係
31 詩を中心とする文学・芸術季刊誌『都市』
32 『家畜人ヤプー』事件とベストセラー化
33 『家畜人ヤプー』の作者
34 三島由紀夫と『家畜人ヤプー』
35 沼正三と天野哲夫
36 森下小太郎と倉田卓次
37 『諸君!』の森下文
38 倉田の著作のこと
39 薔薇十字社の倒産
40 トリプル倒産と高利貸し
41 小出版社の相次ぐ倒産
第5部
42 最後の本のことなど
43 森茉莉とのトラブル
44 出帆社と路書房
45 出帆社のスタッフ
46 出帆社の始まりと刊行書目
47 出なかった『泉鏡花全戯曲集』
48 路書房の摘発
49 出帆社の終わりと白夜書房
50 出帆新社について
51 編集プロダクション「Nアトリエ」
52 いいだ・ももと「思想の海へ」
53 いいだ・ももと出版
54 近畿大学の仕事
55 松山俊太郎のこと
56 松山と蔵書
57 『インドを語る』と『綺想礼讃』
58 それでもすてきな出版人生
薔薇十字社全刊行書一覧(2008年4月)/古書りぶる・りべろ
本書には、山ほど面白いエピソードが語られているのだが、そのなかから、とくに興味をひいたところをあげておこう。
フォア・レディースの成功について、内藤三津子の感性の起源について聞かれたときの答え。
「私は昔の少女小説を最後に読んだ世代だと思うんですよ。子どもの頃に貸本屋で吉屋信子などの小説を読んだという。『ひまわり』『少女の友』の世代ですしね。ところが1960年代にはそういった少女小説も貸本屋もなくなりつつあった。それでも女の子たちの気持ちの中にはやっぱり少女小説が読みたいという願望が確固として根づいていたのでしょうね。もちろんそれは旧来の少女小説とはちがうもので、それが寺山修司や立原えりかの物語としてうまく女の子たちに浸透していったんじゃないでしょうか」
松山俊太郎が渡辺温『アンドロギュノスの裔』、『大坪砂男全集』の企画を出したこと。
その松山俊太郎の家は足の踏み場もない状態になっていて、飲み付き合いが半端じゃないことなど。
森茉莉が『ドッキリチャンネル』で『マドモワゼル・ルウルウ』の印税を踏み倒されたと書いているが、それは何者かに吹き込まれた誤解だということ。
『家畜人ヤプー』の作家、沼正三の正体について。「続・家畜人ヤプー」や太田出版刊以降のリライト版はともかく、もともとの都市出版社版の『家畜人ヤプー』は倉田卓次判事が書いたものだということ。
出帆社と出帆新社とは人脈的にもまったくの別ものであること。
などなど。詳しくは本書にあたっていただくにかぎる。
コメント