『ストレンジボイス』
2012年4月9日 読書
江波光則の『ストレンジボイス』を読んだ。
いじめを中心に、学校で生き抜くさまが描かれている。
これが、超能力とか、非現実的な設定でストーリーが転がっていけば普通の小説なのだが、そういう手加減いっさいなしで、読んでいてたいへん面白かった。
いじめる側の少年の、いじめる理由がリアリティありあり。
手加減なくいじめに邁進できるいじめっ子、いじめを全て受け入れたあげくに肉体改造して復讐に燃えるいじめられっ子、コミュニケーション不全をカバーするためにあらゆる情報をリサーチしてインプットする生徒。
いやはや、学校生活には戻りたくないものだ。
本書では、クライマックスで一騒動あって、丸くおさまったり、居心地のいい結末、曙光なんてものはまったく与えられない。
何も起こらないのが、すごいところだ。
と、いうわけで、小説として、何か物語が展開するのではなく、各人のデータをストーリー形式で紹介しただけ、とも言える本作は、「ここでドンパチないと」「警句の一つもあればいい」と安易な落ち着きどころを求める、安易な読者を拒絶しているようで、愉快だった。
日々希に虐められすぎて不登校になっていた遼介が、卒業式にやって来るらしい。
日々希に、そしてずっと見て見ぬふりをしていた私たちに復讐するために。
他人のすべてを知りたいという欲求にあらがえない私は遼介の部屋を訪ねる。そこで出会った遼介は、
赤の他人と見紛うばかりに鍛えあげた体で、禍々しい形に削りだしたバットを私に突きつけた。
「全員殴り殺してやる」。私は、心待ちにしている。遼介が復讐を遂げに現れる瞬間を───。
癒やされることのない心の傷を負った少年と少女のためのサバイバルノベル!!
いじめを中心に、学校で生き抜くさまが描かれている。
これが、超能力とか、非現実的な設定でストーリーが転がっていけば普通の小説なのだが、そういう手加減いっさいなしで、読んでいてたいへん面白かった。
いじめる側の少年の、いじめる理由がリアリティありあり。
「スッとするから」
手加減なくいじめに邁進できるいじめっ子、いじめを全て受け入れたあげくに肉体改造して復讐に燃えるいじめられっ子、コミュニケーション不全をカバーするためにあらゆる情報をリサーチしてインプットする生徒。
いやはや、学校生活には戻りたくないものだ。
本書では、クライマックスで一騒動あって、丸くおさまったり、居心地のいい結末、曙光なんてものはまったく与えられない。
何も起こらないのが、すごいところだ。
と、いうわけで、小説として、何か物語が展開するのではなく、各人のデータをストーリー形式で紹介しただけ、とも言える本作は、「ここでドンパチないと」「警句の一つもあればいい」と安易な落ち着きどころを求める、安易な読者を拒絶しているようで、愉快だった。
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