『秘密のふくろう団』
『秘密のふくろう団』
『秘密のふくろう団』
ジョルジュ=ショーレの少女名探偵ファントメットシリーズ『秘密のふくろう団』を読んだ。
作者による「はじめに」の文章は、次のとおり。
ふくろうという鳥は、ひるまはおとなしくねむっているけれど、あたりがねしずまった夜になると活動をはじめます。
ところが、ファントメットがやっつけようとしているふくろうは、ふくろうでも鳥ではありません。はるかに危険なものなのです。
まっ赤な血をたたえたうす!列車襲撃計画!
つぎつぎとおこるおそろしい事件-。
みなさんも、ファントメットといっしょに、このなぞめいたふくろうの正体をみやぶってください。


以下、目次。

第1章 三人の少女
第2章 こまった事件 
第3章 ショーウィンドウのたる
第4章 探偵クラブ
第5章 夜の冒険
第6章 ピクニック
第7章 ふくろう団
第8章 十時十七分のゾウ
第9章 ふうとう
第10章 ふくろうのつめ
第11章 ふくろうたちの最期
第12章 エピローグ

静かなフランボワジーの町に起こる不愉快な事件たち。
食料品店の車がこわされたり、農家が火事になったり、肉屋の肉に革ひもが入っていたり、上映直前に映画のフィルムが盗まれたり、トラックが落としたドラム缶が電器店のテレビを壊したり、果樹園の木が切り倒されたり。
犯行を声明のようなふくろうマークが残されているところから、ふくろう団の存在があぶりだされた。
フランボワジーに暮らす3人の小学生女子が、探偵クラブを作って、ふくろう団の悪事をあばこうとする。
3人の少女とは、のっぽでおバカノのフィセル、くいしんぼうのブーロット、そして、頭がよくてクラスで何でも一番のスーパー小学生フランソワーズ。
3人が作った探偵団は、「フランボワジー探偵クラブ」(Framboisy Limiers Club)略して「FLIC」
フィセルは、鳥を見たら何でも「ナイチンゲール」だと思っているし、ブーロットは探偵そっちのけで食欲に忠実。また、フランソワーズは、なぜか肝腎のときに、いつもいない。
さて、このフランボワジーの町には、仮面で正体を隠した正義の女性、ファントメットがいた。
FLICが独自でふくろう団を追い詰めようとして、危険なめにあいそうになると、ファントメットが助けてくれる。
事件の謎を追うのはもちろん面白いのだが、少女たちが遊ぶ、また学校で学ぶ描写が楽しい。ところどころに、「チョークが酸にふれると泡が出ます。この泡は何だと思いますか」とか、「500リットルの水がはいる風呂桶に、1時間に1500リットル出る水道の水を入れるとする。しかし、風呂桶の穴から、1時間800リットルの水が流出するとして、この風呂桶を満たすには何時間かかるだろうか」とか、モリエールの『守銭奴』を読んだり、など学校のシーンが、自分の小中学生時代にタイムスリップさせるリアルさを持っている。
ふくろう団は悪事を働くのだが、その首領の正体は、いかにも悪い奴で、花咲かじいさん的な説得力があった。
ジョルジュ=ショーレはこのファントメットのシリーズを1961年から1年に1冊か2冊のペースで50冊以上書いている。(なぜか90年代は書いていないけど、いったんシリーズを打ち切るつもりだったのが、また再開した、ということか?)アニメにもテレビ番組にもなっていて、フランスでは、まあ知らぬ者のないキャラクターなんだろう。僕に語学の素養があれば、バリバリ読みたいところなのになあ。日本での翻訳は、70年代に5冊だけ。しかも、その本も今やなかなか入手しにくい。ファントメット、危機一髪!
本の画像は、海外版。日本の翻訳は、「四月バキュア」ブログのほうに載せる予定。

今日は親戚の三十五日&四十九日だった。
なんだか、あっさりしたものだな、というのが素直な印象だ。
法事といえば一大イベントだと感じていたのは、自分が幼いときのインパクト(ダメージ?)の思い出によるものなのかもしれない。

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