『アウシュビッツは終わらない あるイタリア人生存者の考察』
2011年4月28日 読書
プリーモ・レーヴィの『アウシュビッツは終わらない あるイタリア人生存者の考察』を読んだ。
以下、目次
序
若者たちに
旅
地獄の底で
通過儀礼
カー・ベー
私たちの夜
労働
良い一日
善悪の此岸
溺れるものと助かるもの
化学の実験
オデュッセウスの歌
1944年10月
クラウシュ
研究所の三人
最後の一人
十日間の物語
若い読者に答える
本書は、アウシュビッツ収容所に流刑された作家プリーモ・レーヴィの体験を綴った作品だ。
本書の原題「SE QUESTO E’UN UOMO」(これが人間か)は、巻頭に書かれた詩から取られている。一部、紹介すると。
アウシュビッツの悲惨な状況は目を覆いたくなるものがあるが、プリーモ・レーヴィは、大声で被害者の叫びをあげるのでなく、冷静に、むしろユーモアをまじえて淡々と描写している。ユーモアというか、それは皮肉とも言えるのかもしれない。たとえば、こんな描写。
巻末には、講演にいった際に質疑応答でよく聞かれることをまとめて書いてある。これが、なんとも、感動的に読み応えがあるのだ。
1.あなたの本にはドイツ人への憎しみ、恨み、復讐心の表現がありません。彼らを許したのですか?
2.ドイツ人は知らなかったのでしょうか?連合国側は?どのようにして、ヨーロッパの真ん中で、だれにも知られずに、大虐殺が、何百万人もの人を殺戮することが、できたのでしょうか?
3.ラーゲルから脱走した囚人はいましたか?なぜ大衆的な反乱が起きなかったのでようか?
4.解放後アウシュビッツを訪れたことがありますか?
5.なぜあなたはドイツのラーゲルだけ問題にして、ソビエトのラーゲルについて沈黙しているのですか?
6.『アウシュビッツは終わらない』の登場人物で、解放後、会った人はいますか?
7.ナチのユダヤ人に対する狂信的憎悪をどう説明しますか?
8.もしラーゲルで囚人生活を送っていないとしたら、あなたはいま何になっていましたか?あの時代を思い出して何を感じますか?生き残れたのはどんな理由からだと思いますか?
これらの質問への答えは、本書にあたってみるに如くはないが、虚をつかれてしまったなあ。
以下、目次
序
若者たちに
旅
地獄の底で
通過儀礼
カー・ベー
私たちの夜
労働
良い一日
善悪の此岸
溺れるものと助かるもの
化学の実験
オデュッセウスの歌
1944年10月
クラウシュ
研究所の三人
最後の一人
十日間の物語
若い読者に答える
本書は、アウシュビッツ収容所に流刑された作家プリーモ・レーヴィの体験を綴った作品だ。
本書の原題「SE QUESTO E’UN UOMO」(これが人間か)は、巻頭に書かれた詩から取られている。一部、紹介すると。
暖かな家で
何ごともなく生きているきみたちよ
家に帰れば
熱い食事と友人の顔が見られるきみたちよ
これが人間か、考えてほしい
泥にまみれて働き
平和を知らず
パンのかけらを争い
他人がうなずくだけで死に追いやられるものが。
アウシュビッツの悲惨な状況は目を覆いたくなるものがあるが、プリーモ・レーヴィは、大声で被害者の叫びをあげるのでなく、冷静に、むしろユーモアをまじえて淡々と描写している。ユーモアというか、それは皮肉とも言えるのかもしれない。たとえば、こんな描写。
幸運なことに、私は1944年になってから、アウシュビッツに流刑にされた。
こうして3歳のエミーリアは死んだ。ドイツ人にとって、ユダヤ人の子供を殺す歴史的必然性は自明のことだったからだ。ミラーノの技師アルド・レーヴィの娘、エミーリアは、好奇心にあふれ、見えっぱりで、ほがらかで、頭のよい女の子だった。旅行中、人のひしめく貨車で、父と母はブリキの桶に温かな湯を入れて、エミーリアに湯浴みさせた。そのお湯は、堕落したドイツ人の機関士が、私たち全員を死にひきずってゆく当の機関車から、取り出すのを、許したものだった。
巻末には、講演にいった際に質疑応答でよく聞かれることをまとめて書いてある。これが、なんとも、感動的に読み応えがあるのだ。
1.あなたの本にはドイツ人への憎しみ、恨み、復讐心の表現がありません。彼らを許したのですか?
2.ドイツ人は知らなかったのでしょうか?連合国側は?どのようにして、ヨーロッパの真ん中で、だれにも知られずに、大虐殺が、何百万人もの人を殺戮することが、できたのでしょうか?
3.ラーゲルから脱走した囚人はいましたか?なぜ大衆的な反乱が起きなかったのでようか?
4.解放後アウシュビッツを訪れたことがありますか?
5.なぜあなたはドイツのラーゲルだけ問題にして、ソビエトのラーゲルについて沈黙しているのですか?
6.『アウシュビッツは終わらない』の登場人物で、解放後、会った人はいますか?
7.ナチのユダヤ人に対する狂信的憎悪をどう説明しますか?
8.もしラーゲルで囚人生活を送っていないとしたら、あなたはいま何になっていましたか?あの時代を思い出して何を感じますか?生き残れたのはどんな理由からだと思いますか?
これらの質問への答えは、本書にあたってみるに如くはないが、虚をつかれてしまったなあ。
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