入江悠監督の「劇場版神聖かまってちゃんロックンロールは鳴り止まないっ」をシネリーブルに見に行った。
神聖かまってちゃんは本人の役で出演。
また、マネージャーのツルギさんも、そのままの役。
進学せずに将棋のプロを目指す女子高生。
母はポールダンサー、息子はネット中毒の母子家庭。
意にそまぬメジャー展開に苦悩するマネージャー。
以上3つのストーリーが、神聖かまってちゃんのライブに向けて次へのステップを踏むべく展開していく。
と、いうような話。
彼女が棋士になることをダサイと思う少年。
高卒で棋士になろうとする娘に反対する親。
勝ち負けで千円のやりとりがある将棋クラブ。
パソコン持参を許している保育園。
「芋虫さん」合唱に怒鳴り込む保護者。
いきなりiPad買い与える母。
別居中の父親に買ってもらったOSをゴミ箱に捨てる息子。
休みを申請している日にステージ立ってくれと懇願するのと同時に年齢を理由にクビをちらつかせる支配人。
応援ソング企画の違和感をメンバーと共有せずひとり悶々とするマネージャー。
ニコニコのコメントにこたえて歌う、の子。
などなど。
ひとことで言えば、ツッコミどころ満載、いや、と、いうよりも、他人は自分と違うものの考え方をするんだな、と思わされるエピソードが満載なのかな。
一歩進むにも、他人の無理解にぶち当たらざるを得ないもどかしさがあり、それらが、神聖かまってちゃんのライブ当日に一区切りつく、あるいは、次のステップにたどりつく。
この映画には、ひきこもりの兄と部屋の扉ごしに目隠し将棋をする女子高生のシーンとか、保育園で子どもたちが「芋虫さん」を合唱するシーン、ツルギが業界人とサボテンをはさんで格闘するシーンなど、面白いシーンがいくつかある。(ツルギの演技のうまさにはびっくりする!)
だが、もっとも印象に残るのは、かまってちゃんメンバーの、致命的までの演技ベタだった。それほど役作りも必要なく、せりふも少ないというのに、これは面白い。また、象徴的でもある。
その資質として、ドキュメンタリーで追うと最も過激で面白くなるはずの神聖かまってちゃんと、ベタベタなストーリーをどうしても展開させたくてならない入江監督との間の戦いが、この映画の裏テーマだとみた。
ツルギが苦悩していたのは、応援ソングによる世間的認知の問題ではなく、ありきたりのストーリーにかまってちゃんが組み込まれることへの違和感だったのではないか。
そうしてみるとき、映画をあざ笑うかのごとき大根演技が、そこだけは嘘じゃないパンクとして観客との紐帯をつないだといえるのかもしれない。

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