三橋一夫の『消えた娘』を読んだ。1960年。
お好み焼き屋で中年のおっさんに絡まれている娘さんを助けた銀座太郎。
お礼に、と娘さんは銀座太郎をはしご酒に誘うが、その娘さん、店の人に言って、「わたしの湯のみには酒ではなくて、お茶をいれておいて」と頼んでいたのだ。
銀座太郎を酔わせて、どうするつもりだ、娘さん!
そして、おなかがすいたから、と料亭で食事を注文してから、姿を消した娘さん。
その後、その店で男女の死体が発見される。
と、いうわけで、これは三橋一夫の明朗推理小説で、貸しボート屋の銀座太郎というのが、明朗小説ならではのキャラクターである。
ある登場人物が銀座太郎について、こう思う。
「どうして、あんなに男らしいんだろう!
どうして、あんなに無邪気なんだろう!
どうして、あんなに、誰にでも優しいんだろう!
まるで、この世に生まれてから、正しく、明るいこと以外は、見ていないようだ。
事実、太郎は、太陽の光りと熱が、ジメジメしたものを消してしまうように、不正や、悪や、自分の膚に合わぬものは、すぐさまはねとばしてしまう。
そして、すぐに忘れている。
まるで、見ていないように。」
銀座太郎は単純に行動しようとするが、周囲の人物が「それは危ない」とか説得して慎重に行動をとらせる。そして、すべて警察にまかせておけばいい、と単純に信じている銀座太郎に対して、周囲の人物が説き伏せて、事件の真相を自らさぐる探偵役をつとめることになる。この名探偵像は、ちょっと珍しい。
本書の最大の特徴は、おりにふれて今までのいきさつがまとめて語られるところにある。
今までどういう経緯で今こうなったのか、という、読者が既に読んで知っていることがらを、ある登場人物が別に登場人物に打ち明けるという形で、何度も再追体験することになる。まるで、今までのあらすじを聞かされているような気分だが、その部分の従事tさたるや特筆もので、こんな不思議な小説、読んだことがあるなあ、と思ってたら、筒井康隆の『ダンシング・ヴァニティ』だ!
ともあれ、今まで読んだ三橋一夫の長編小説のなかでは、いちばん読みやすくて、面白い!
お好み焼き屋で中年のおっさんに絡まれている娘さんを助けた銀座太郎。
お礼に、と娘さんは銀座太郎をはしご酒に誘うが、その娘さん、店の人に言って、「わたしの湯のみには酒ではなくて、お茶をいれておいて」と頼んでいたのだ。
銀座太郎を酔わせて、どうするつもりだ、娘さん!
そして、おなかがすいたから、と料亭で食事を注文してから、姿を消した娘さん。
その後、その店で男女の死体が発見される。
と、いうわけで、これは三橋一夫の明朗推理小説で、貸しボート屋の銀座太郎というのが、明朗小説ならではのキャラクターである。
ある登場人物が銀座太郎について、こう思う。
「どうして、あんなに男らしいんだろう!
どうして、あんなに無邪気なんだろう!
どうして、あんなに、誰にでも優しいんだろう!
まるで、この世に生まれてから、正しく、明るいこと以外は、見ていないようだ。
事実、太郎は、太陽の光りと熱が、ジメジメしたものを消してしまうように、不正や、悪や、自分の膚に合わぬものは、すぐさまはねとばしてしまう。
そして、すぐに忘れている。
まるで、見ていないように。」
銀座太郎は単純に行動しようとするが、周囲の人物が「それは危ない」とか説得して慎重に行動をとらせる。そして、すべて警察にまかせておけばいい、と単純に信じている銀座太郎に対して、周囲の人物が説き伏せて、事件の真相を自らさぐる探偵役をつとめることになる。この名探偵像は、ちょっと珍しい。
本書の最大の特徴は、おりにふれて今までのいきさつがまとめて語られるところにある。
今までどういう経緯で今こうなったのか、という、読者が既に読んで知っていることがらを、ある登場人物が別に登場人物に打ち明けるという形で、何度も再追体験することになる。まるで、今までのあらすじを聞かされているような気分だが、その部分の従事tさたるや特筆もので、こんな不思議な小説、読んだことがあるなあ、と思ってたら、筒井康隆の『ダンシング・ヴァニティ』だ!
ともあれ、今まで読んだ三橋一夫の長編小説のなかでは、いちばん読みやすくて、面白い!
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