ジョルジュ・シムノンの『メグレと死者の影』を読んだ。1931年
記憶の範囲でネタバレしてるので、要注意。
第1章 影絵
第2章 シックな男
第3章 ピガールの二人づれ
第4章 三階の窓
第5章 狂女
第6章 40度の熱
第7章 三人の女
第8章 看護人
第9章 年金を持つ男
第10章 身分証明書
第11章 壁に描いた絵
共同住宅の一室での殺人。
メグレが呼ばれてきてみると、殺人よりも、今まさに赤ん坊が生まれようとしている、ということが優先されている、奇妙なムード。
出産の妨げになってはいけない、と、ことを荒立てずに事件の捜査をはじめるメグレ。
「このような場合にこのように異常に沈黙していること、このように静まり返っていること、28人の居住者が死体の周囲で正常な生活を続けていること、これが今度の犯罪の特徴だった」
被害者は殺されただけでなく、金庫から金も奪われていた。
この被害者の名前がレーモン・クシェというのだから、僕はもう話がごっちゃだ。(別のメグレ本で、レーモンという登場人物が出てくる)
レーモンは再婚しており、前妻は別の男と結婚して、ちょっと絶望しながら暮らしている。
前妻とのあいだに出来た息子は、エーテルびたりでラリっており、情婦と住んでいる。
レーモンはさらに新しい若い情婦を作っていた。
レーモンは、遺書らしきものを残しており、それによると、三人の女に遺産をわける、と書いてある。現在の妻、前の妻、新しくできた情婦。あれ?息子の名前がない!
と、いうわけで、この話で描かれるのは、金に執着する女のおそろしさ、哀れさだ。
「サン=モールの菓子屋の娘は金が欲しかったのだ!これこそ既定の事実だった!必要欠くべからざることだった!彼女はそう感じていた!彼女は金を手に入れるために生まれてきたのだ、ということはつまり、亭主に金を稼がせるということだったのだ!
だが、クシェは金をかなり稼がなかっただろうか?彼が死んでも、彼女は年金ももらえなかっただろうか?
そして彼女はマルタンと結婚した!うまくいった!
ところが、百万長者になったのはクシェのほうだった。ただ、遅かりしだった!そしてもうどんなことをしてもマルタンのお尻をたたくことはできなかった。登記所をやめて、やはり血清かほかの儲かるものを売る腹を決めさせようとしても、だめだったのだ!
彼女は不幸だった!彼女は常に不幸だった!人生は彼女をこっぴどくだましておもしろがっていた」
「マルタン夫人は常に、やがて起こるかも知れないこと、夫の死だとか、年金を残してもらえなかったときのみじめさとかを口にしていた」
ある人物は、マルタン夫人のことを的確に、こう評する。
「あの女はとても欲得ずくなんです。要するに、レイモンがあまりお金を儲けなかったので彼と別れたのですわ。ところが、あとからめぐり会ってみると、彼はお金持になっていました。そしてあの女のほうは、小役人の妻です」
このあたり、つらいね!
僕自身、「金の切れ目が縁の切れ目」と罵られて彼女にフラれた経験がトラウマになってるしね!こわい、こわい!

NHK-FMで聞きたかった波多野睦美のリサイタルが放送されていた!聞けてよかった。
 − 波多野睦美 メゾ・ソプラノ・リサイタル −      
                              
「魂をうたう」                 モンポウ作曲
                       (4分23秒)
「ギターによせて」              プーランク作曲
                       (1分59秒)
「完璧な美」                  カゼルタ作曲
                       (2分42秒)
「平和の祈り」                プーランク作曲
                       (2分01秒)
「あなたが欲しい」               サティー作曲
                       (3分24秒)
「3つのあそび歌」               モンポウ作曲
                       (2分56秒)
「歌曲集“夢とのたたかい”から」        モンポウ作曲
  ・きみの上には花ばかり          (3分19秒)
  ・ゆうべおなじ風が            (2分08秒)
  ・きみは海のよう             (1分35秒)
「帰還」               リリ・ブーランジェ作曲
                       (4分14秒)
「ユーカリ」               クルト・ワイル作曲
                       (5分19秒)
「老子亡命途上での道徳経成立の物語」     アイスラー作曲
                       (8分10秒)
                (メゾ・ソプラノ)波多野睦美
                     (ピアノ)高橋悠治
                              
「3つのジムノペディ」             サティー作曲
                       (8分09秒)
                     (ピアノ)高橋悠治
                              
「ダフェネオ」                 サティー作曲
                       (1分28秒)
「ゆめのよる」                高橋悠治・作曲
                       (2分19秒)
「鳥は空を求めている」            高橋悠治・作曲
                       (1分45秒)
「おやすみなさい」              高橋悠治・作曲
                       (3分41秒)
「こもり歌」                ウォーロック作曲
                       (2分56秒)
「むすびの歌」                高橋悠治・作曲
                       (1分12秒)
                (メゾ・ソプラノ)波多野睦美
                     (ピアノ)高橋悠治
  〜王子ホールで収録〜                  
                  <2009/10/28>
                              
「からたちの花」       北原白秋・作詞、山田耕筰・作曲
                       (2分01秒)
「ちんちん千鳥」       北原白秋・作詞、近衛秀麿・作曲
                       (2分26秒)
「さくら横ちょう」      加藤周一・作詞、中田喜直・作曲
                       (2分18秒)
「花の街」          江間章子・作詞、團伊玖磨・作曲
                       (2分32秒)
「落葉松」           野上彰・作詞、小林秀雄・作曲
                       (4分48秒)
                (メゾ・ソプラノ)波多野睦美
                     (ピアノ)野平一郎
    <Avex−classics AVCL−25003>

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

日記内を検索