「林静一展」@明石市立文化博物館〜「ロトチェンコ+ステパーノワ」@滋賀県立近代美術館〜「革命の耳」亀山郁夫〜「イリーナ・メジューエワ ピアノリサイタル」@びわ湖ホール
「林静一展」@明石市立文化博物館〜「ロトチェンコ+ステパーノワ」@滋賀県立近代美術館〜「革命の耳」亀山郁夫〜「イリーナ・メジューエワ ピアノリサイタル」@びわ湖ホール
「林静一展」@明石市立文化博物館〜「ロトチェンコ+ステパーノワ」@滋賀県立近代美術館〜「革命の耳」亀山郁夫〜「イリーナ・メジューエワ ピアノリサイタル」@びわ湖ホール
今日は朝から明石市立文化博物館で「赤色エレジーから小梅ちゃんまで 林静一展」
1967年『ガロ』に発表した「アグマと息子と食えない魂」から、2007年の画ニメプリント「赤色エレジー」まで、約300点に及ぶ作品や資料が展示されていた。
3つの会場を使って、それぞれに区分されたコーナーを並べてみると、こうなる。
「日本画、四季の美人画」(秋のコーナーでは「萩の月」のイメージキャラクター案も)
「デジタル作品」(小梅の初恋絵草子や赤色エレジー)
「関連資料」(『ガロ』『現代詩手帖』ロッテのキャンディ類など)
「雅の世界」(映画「源氏物語」のキャラクター原案など)
「四季の童画」(カレンダーやレコードジャケットに使用された作品など)
「ポスター」(演劇集団発見の会「怨霊血染めの十字架」、アトリエ41「鏡花饗艶高野聖」など)
「絵本原画」(『ねこのしゃしんかん』や『詩とメルヘン』誌発表の作品など)
僕などは、「小梅ちゃん」はともかくとして、林静一は竹久夢二のようなロマンの継承者として、あるいは、あがた森魚さん絡みで「赤色エレジー」の漫画を描いた人として、あるいは、寺山修司の文庫本の表紙として、思春期にズドンと影響をモロに受けた特別な存在である。その時代を代表する絵描きとしては、佐伯俊男と双璧だったと思う。
だから、最近ダイソーで105円で買える林静一グッズが並んでいたりするのを見て、なんだか淋しくなったりもしていた。
でも、こうしてレトロスペクティブをたどってみると、あらためて林静一の存在の大きさを再確認することができて、うれしかった。
ちなみに、この展示は「アクセスエレベーター完成記念」でもあるらしい。せっかくだから、行きはエレベーター使ったけど、ちょっとした小旅行気分で明石に来ているエトランジェの僕ゆえに、帰りは長い階段をおりて駅に向ったのである。
途中に広い公園もあったので、ゆっくりまた行きたいな、生きてるうちに、と、思った。

次に行ったのは、滋賀県立近代美術館の「ロトチェンコ+ステパーノワ ロシア構成主義のまなざし」展。
20世紀初頭に巻き起こったロシア・アヴァンギャルドの嵐のなかで、芸術を日常生活のなかに持ち込もうとした2人の芸術家の跡をたどる。
布地のデザインなどで本領を発揮したステパーノワは見たところ、まるでカツマーのような積極的な感じ。一方、ロトチェンコは舞台やポスターに才能を開花させたが、今回見て、写真作品が凄く面白かった。(昔の映画を見ているような写真)
昔、僕がちょこっとだけ関わっていた『ロックマガジン』という雑誌でも、このロトチェンコの写真作品を表紙に使ったりしてたな、と懐かしくなった。

びわ湖ホールで「イリーナ・メジューエワ ピアノリサイタル」
開演の1時間前に、亀山郁夫氏のプレトーク「革命の耳−ロシア・アヴァンギャルドの作曲家とその背景」があった。これを聞き逃す手はない。
配られたレジュメを書き写すと膨大になるので、その見出しだけ。
1.知られざる前衛
2.知られざる天才たち
3.プリミティヴィズム、または「終末」を超えて
4.光線主義、さらにはロシア・バレエ団
5.アヴァンギャルドの二つの顔
6.火の浄化
7.エクスタシーの逆説
8.音楽と音楽の哲学
9.音楽としての地球
これは、亀山氏による1年間にわたるカリキュラムではない。1時間で駆け抜けたプレトークなのだ。どれだけ内容が濃いのか!と思いきや、語り口は非常にやさしくてわかりやすく、あくまでも一般向けであることを意識したトークになっていた。
本筋はさておき、いくつかの脇道(?)を書いておこう。
*亀山氏は「ロシア・アヴァンギャルド」というネーミングよりも、「ロシア・モデルニズム」と呼びたいと思っている。
*亀山氏はプロコフィエフの「春の祭典」のレコードを集めて、終わりのところを聞き比べているそうだ。この日も会場で「春の祭典」のエンディングを流して、誰の指揮によるものか、クイズを出していた。(当てた人には『カラマーゾフの兄弟』全巻プレゼント!)答えはゲルギエフだった。つい最近評判になった演奏だったから、当てられなくてちょっと悔しい。
*ロシアにおけるキリスト教的価値観の崩壊(プリミティヴィズムへの道)は、日露戦争での敗戦を契機としている。
*亀山氏が「力」について語る際、「今日は『構造と力』を書いた方が見に来ているので云々」とジョークをとばしていた。浅田彰が来てるんだ、と思ってたら、僕のすぐ後ろにいてびっくりした。

午後2時30分から「イリーナ・メジューエワ ピアノリサイタル〜ロシア・アヴァンギャルドの世界〜」
第1部
ルリエ:5つの脆い前奏曲op.1より
 第1番 No.1
 第3番 No.3
 第5番 No.5
ルリエ:大気のかたち〜ピカソに捧ぐ
ロスラヴェッツ:5つの前奏曲より
 第2番 No.2
 第4番 No.4
 第5番 No.5
プロコフィエフ:風刺op.17
 第1番 テンペストーソ
 第2番 アレグロ・ルバート
 第3番 アレグロ・プレチピタート 
 第4番 スマニオーソ
 第5番 プレチピトシシモ
スクリャービン:2つの詩曲op.69
第1番 アンダンテ・カンタービレ
 第2番 アレグロ・コン・エレガンツァ、コン・フィドゥーチア 
スクリャービン:ピアノ・ソナタ第10番op.70

20分間の休憩時には、海を見ながらミネラルウォーター飲む。体の外も内も水。

第2部
ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」
プロムナード
1、こびと
プロムナード
2、古城
プロムナード
3、テュイルリー:遊びのあとの子どもたちの喧嘩
4、ビドロ
プロムナード
5、殻をつけたひなどりのバレエ
6、サムエル・ゴールデンベルクとシュムイレ
プロムナード
7、リモージュ(市場)
8、カタコンブ(ローマ時代の墓)
9、鶏の足のうえの小屋−バーバ・ヤーガ
10、キエフの大門
イリーナ・メジューエワによると、個性的な作曲家たちが輝いていたアヴァンギャルド時代の作品と、それより約半世紀先立って書かれた破天荒な作品(「展覧会の絵」)を並べることで、ロシア・ピアノ音楽のひとつの流れを俯瞰してみたい、とのことだった。
僕などは「展覧会の絵」というと、EL&Pで全曲はじめて聞いたくちであり、コンサートで生で聞くのは、これがはじめてだった。(今までの人生、何してたのか、と言わざるをえない。クラシックとは無縁の日々なのだ)
アンコールにこたえて、2曲。スクリャービン。

帰りに途中下車して、持参したウォークマンでNHK-FM「現代の音楽」
                         猿谷紀郎
                      【ゲスト】原田節        
 − コンポージアム2010                
      “トリスタン・ミュライユの音楽”から −(1) 
                              
「マッハ2,5〜2台のオンド・マルトノのための(1971)」
                 トリスタン・ミュライユ作曲
                       (9分57秒)
                 (オンド・マルトノ)原田節
         (オンド・マルトノ)トリスタン・ミュライユ
                              
「空間の流れ〜オンド・マルトノと小オーケストラのための   
          (1979)」トリスタン・ミュライユ作曲
                      (21分36秒)
                 (オンド・マルトノ)原田節
          (管弦楽)新日本フィルハーモニー交響楽団
                      (指揮)野平一郎
  〜東京オペラシティ・コンサートホール:         
                タケミツメモリアルで収録〜 
                   <2010/5/27>
                              
「透明な陶酔(2004)」           原田節・作曲
                       (5分55秒)
                 (オンド・マルトノ)原田節
           (弦楽四重奏)モルゴーア・クァルテット
   <Sonic Culture Design      
                     SCD−2436>


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