佐野洋の『ミステリーとの半世紀』を読んだ。
佐野洋の作品、評論はかなりの数を読んでいるはずだが、その作品数はまだまだ多い。文章がすらすらと読みやすいのは、論理の持って行き方がスムーズで面白いせいでもあろうかと思う。
以下、目次。
数学・天文学・探偵小説
隠れファン
旧制一高とミステリー
趣味は探偵小説
札幌中央署のソファー
新聞記事とミステリー
三十歳までには…
札幌で出会った短編
だらしない奴
Dノート
『銅婚式』入選
怪物・江戸川乱歩
『銅婚式』の批評
乱歩さんとのこと(一)
乱歩さんとのこと(二)
乱歩さんとのこと(三)
乱歩さんとのこと(四)
三好徹さんとの出会い
新聞社を依願退職
探偵作家クラブ
他殺クラブの発足
他殺クラブの活動
推理作家協会への改組
三好徹さんの災難
三好徹さんの戦い
「推理小説特集」の初め
協会賞受賞のころ
冷や汗二題
『虚無への供物』及び講演旅行
乱歩さんの死
乱歩さんとのやりとり
長編と短編
生島治郎さんのこと
推理作家協会賞 よもやま話
協会理事長としての松本清張さん
寄り道(小説の題材)
理事長就任のころ
原稿料問題
協会書記局の移転
ミステリーの難しさ
シリーズ小説の裏側1
シリーズ小説の裏側2
協会賞の各部門
ミステリーと映像
作家のテレビ出演
論争あれこれ
ちょっとした自慢話
森村誠一さんの怒り
夏樹静子さんの知的好奇心
都筑さんとの「名探偵論争」
事件の論評
最終回にあたって

全体として非常に面白い本だったが、なかでも、書き留めておきたいことがいくつかあったので、ここでご紹介。

(ペンネームの由来)
最初、ミステリーをもじって「御洲輝夫」を考えたが却下。
新聞社の先輩「佐藤清彦」、同期の「平野」、総局長のご長男の「洋」それぞれからとった名前「佐野洋」が出来上がった。
まるで「サノヨイヨイ」みたいだという奥さんの言葉に「いいんだよ、その方が、覚えてもらい易いから」と、言っているうちに、ひらめいたことがあった。
「それに、小説を書いていることがばれた場合に『社の用』もちゃんとするつもりでつけたペンネームだと言えるから」

(生島治郎のペンネームについて)
本名の小泉太郎「KOIZUMI TARO」にUをつけ加えて「IKUJIMA TORU」とアナグラムし、既に三好徹が「トオル」を使っていたので、名前は「JIRO」にした。

(推理作家協会賞受賞の『華麗なる醜聞』について)
題名の「華麗なる」は、本人は「華やかな」にしたかったが、編集長の伊賀氏のすすめで「華麗なる」にした。
評者の大井氏は「もっとスマートな題のつけかたはなかったかと思うね」と評した。
佐野洋の作品で、文語体の題名をつけたのは、これだけだ、とのことである。

最初に書いたように、佐野洋の本は何冊も読んでいるはずなのに、なぜかすべて忘れてしまっている。近いうちに佐野洋を集中的に読んで、なんとかザル脳にきざんでおきたい。

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