『逃亡者』

2010年3月5日 読書
楠田匡介の『逃亡者』を読んだ。
裏表紙の紹介文は次のとおり。
「共同金融の支店長が、七千万円をかいたいし、情婦を連れて逃避行をした。そして一ケ月は過ぎたが、警察の必死の捜索にもかかわらず、逮捕する事ができなかった。
そんなある日、一人の男が、浜松ホテルの七号室に宿泊した。かって毛皮類を預かった冷凍室を、改造した壁の厚い厳重な部屋であった。男は一歩も部屋は出なかった。食事と酒と、毎日部屋に閉じこもって外界との交渉を断っていたのである。男の正体も、履歴もわからぬままに、何日かが過ぎて行った。そんなある夜更け、ホテルの事務所で妙な人物の来訪を、ホテルの社長が迎えたのである。灯を消して窓硝子をへだてて、二人の不気味な会話が、ひそかに交わされたのであったが、その翌日、原因もなく、あの七号室の男が死体となって発見された」
以下、目次。
第1章 不思議な死
追われる身
札束
医科大学生
闇の男
開かぬドア
熱帯魚
警視庁の者
第2章 追いつめる
記事の主
不安の波
遊覧バス
追われる
船内放送
脅迫
天に勝つ
第3章 そして終わった
似た男
岩蔭の小舟
自分の死体
調査報告書
すべての終り

舞台になったビーチホテルは、地下が製氷会社になっており、その冷気を利用して、ホテルに冷房を施している。この完全冷房、というのが、このホテルの取り柄なのだ。
と、いうとやはり時代を感じざるをえないが、あちこちの言い回しにも時代があらわれている。
たとえば、美人のことを「美ふてき」と言ったり。
後日詳しく追記したいが、とにかく、トリックはわかりやすくて、冷凍室を改造した部屋で痕跡も残さずに人が死んでたとなれば、その方法は、あれしかない。

短編が2つ。詳しくはまた後日か。
「二つの穴」
「ボリショイの熊」
熊の分は、落語の「動物園」を思い出させた。


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