「女の教室 七つの俤 学校の巻」1939年
阿部豊演出。
吉屋信子原作。
女子医学専門学校のグルッペの7人それぞれの物語。
グルッペは、いろは順で組まれている。
伊吹万千子(里見藍子)、蝋山操(竹久千恵子)、羽生与志(神田千鶴子)、仁村藤穂(霧立のぼる)、細谷和子(椿澄枝)、「へ」は飛んで、轟有為子(千葉早智子)、そして中華民国留学生の陳鳳英(原節子)。
主に、轟VS蝋山の首席争いが描かれる。
ブルジョアで首席を独占しつづける才媛の轟と、ガリ勉で貧乏、特待生で月謝を免除してもらっている蝋山。ガリ勉すぎて蝋山はグルッペの中でも打ち解けることがないのだが、轟が扁桃腺で寝込んでいるときに、匿名でノートを送ったりするうるわしきライバルでもあるのだ。
あと、義理の兄との縁談に苦しむとか、中国大陸での医者不足に使命感を抱く、とか、各人それぞれのエピソードが重なる。
彼女らは夏期無料診療所で地域の人々の健康診断などをしているのだが、そのときの会話に「このへんの子どもは寄生虫だらけで」と言うのがあった。戦前らしいね!
卒業試験の論述問題は原作にはとくに詳しく書かれていなかったので、この映画で付加されたものである。
読み取れたものだけ書き写しておく。
内科
1、黄疸の病源に就いて記せ
2、萎縮腎の症候を記せ
3、コレラの症候を記せ
4、糖尿病の食餌療法に就いて記せ
小児科
1、気管支炎とカタル性肺炎との胸部所見に於ける相違点を列挙せよ
2、メルレル・バロウ氏病の症候に就いて記せ
3、乳児の人工営養法に就いて記せ
耳鼻咽喉科
 迷路振(以下映らず)
眼科
1、眼精疲労に就いて記せ
2、正常なる眼底所見に就いて記せ
3、近視眼に就いて記せ
これだけ見ても、各科で難易度の差がありそうなことがわかる。
しかし、卒業試験だというのに、グルッペの面々がまるで中高生の試験前みたいな暗記中心の詰め込み勉強をしていて、違和感があったのだが、この問題を見たら、なるほど、詰め込み暗記でなんとかなりそうな問題である。
卒業後、中国に帰る陳が別れの記念に扇に書いた言葉は
憶友盟留石
尋詩思入雲
「ともをおもいめいいしをとどめ しをたずねておもいくもにいる」

「君待てども」1949年
中村登監督
『椿姫』より。
真佐子(月丘夢路)=マルグリットと中原(宇佐美淳)=アルマン。
二人の仲を裂くのはデュマ・フィスの原作ではアルマンの父親だが、この映画では、中原の母親(杉村春子)。愚かな母親、というか、母親が必ずもつ愚かさを演じさせたら右に出るもののない杉村春子の名演技!

「大平原」1939年
セシル・B・デミル監督
アーネスト・ヘイコックス原作
ユニオン鉄道の西部開拓史。
友にして敵。
葉巻の吸口を酒に浸して口にくわえる仕草や、煙を小箱にいれて指でとんとん叩いて輪をつくるとか。

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