『りはめより100倍恐ろしい』
木堂椎の『りはめより100倍恐ろしい』を読んだ。
タイトルの意味を本文から引用してみると。
「いじめなんかよりいじりのほうが全然怖いと思う。一文字違うだけだが、りはめより100倍恐ろしい。どちらも地獄なのだが、両者には決定的な差異がある」
で、その差異とは、
「いじめには被害者に絶対原因がある」が、「いじりは原因がこれといってない」
「いじめなら証拠もあるし先生も敏感に気づく。親も考えてくれる。必要とあれば登校拒否だってできる」一方、「いじりには逃げ道がない」「先生は誰も助けてくれない」
「いじめはふと止まる可能性がある。いじりは終わらない」
「さらに加害者の罪の意識もない。それが一番のいじりの残酷さだ」
この本は17才の現役高校生が書いた比較的リアルな小説なのだ。
いじりの典型例として、描かれるのが、一発芸の強要だ。
物語は、中学時代地獄のいじられキャラだった主人公が、部活や学級の場でいじりにあわないように、戦々兢々と日々を送るさまを描いている。
自分がいじられキャラにならないようにするため、別のスケープゴートをしたてて陥れたりする。
一応、青春小説らしく、後半は、主人公はひどいいじりを繰り返す奴に立ち向かい、謝罪をさせる。しかし、現実の高校生活ではそんな逆転劇はまず起こらずに、いじりは続行されるのだろう。
とにかく、いじられないようにするために、いろいろ考えて行動する主人公がリアルもリアル。思い出してみれば、自分の10代でも、この小説ほどじゃないとしても、毎日が戦争だった。2度と学生生活を繰り返したくない1つの理由がそこにある。クラスの中の、あいつとは仲良くしておこう、あいつとは接触をもたないように目立たなくしよう、的な策略が常に渦巻いていた。常にぼ〜〜〜っとしていて、考えていることの99%が探偵小説だった僕でもそうなのだ。一般の人間の受けたプレッシャーはどんなにすごかったのか。


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