『僕たちは歩かない』、上方落語@上方亭
大相撲の千秋楽。
今場所の面白かったことと言ったら!
千秋楽でも、優勝決定戦のドラマという大きな本筋以外にも、「豊真将、涙の1勝」とか「千代大海、引退をかけた一戦」とかもう、みどころたっぷり。

古川日出男の『僕たちは歩かない』を読んだ。
以下、目次。
1.僕たちは雪を食べる
2.僕たちは画家にごちそうする
3.僕たちは悲しい物語を知っている
4.僕たちは錆びた金属に運ばれる
5.僕たちはフードをかぶる

26時間制の東京に入り込むシェフ志望の料理人たち。
死んだ仲間に会いに冥界に行く。
と、いうような話。
自分だけが1日26時間使えたらな、とか、時間の止まった世界で1年間過ごしたい、とか、そんなことはよく考える。
26時間制の東京、もそれに近いものだろう。
全体に、夢でみた話を聞かされているようで、26時間制の東京に迷い込み、また、意識的に入ることができるようになるまでは、ワクワクして読んだのだが、後半は完全に夢物語になってしまっている。お筆先のように物語が進行しているのだ。冥界に行くためのルールは、地に足をつけないこと。これはそのまんま、夢物語であることを言い換えているようである。
26時間制の東京が雪のふる寒い場所で、最終章にあるような「フード」をかぶらねばならないところとして設定してある。
これは防寒のための「フードをかぶる」と、彼らが料理人であり、また、生きていかねばならないという意味での、「フード」(食べ物)を「かぶる」(食べる)をひっかけた洒落なのである。
同音異義語によるストーリー展開は、これもまた、夢の話だと特徴付けている。
また、冥界行きの列車がみるみる腐朽して「化石」となっていく描写がある。
「世界」が「化石」になる公式は、アナグラムしてみればすぐにわかる。
「SEKAI」と「K」=「KASEKI」になる。
「世界」「時計」で「化石」になる。
世界に時計を導入すれば、たちまち化石になってしまう。
また、冥界へのプロセスが化石になることにある、というのも、アナグラムで解明される。
「冥界」に行く際、「身」を「消す」ことで、「化石」になる。
「MEIKAI」に行く際、「MI」を「KS」ことによって、「KASEKI」になるのだ。
また、唯一死んでしまう登場人物は、「ホリミナ」という名前だ。
彼女は外国で修行の後、日本に戻り、そして、幽界にいく。
「ホリミナ」は「日の丸」の地において、「自分」を「幽」界におくのである。
「HORIMINA」は「HINOMARU」では「I」を「U」に変えざるをえなかったのだ。
このような言葉遊びによって、物語の進行や設定がつくられており、それは無意識に夢が行う作業だと言ってもいい。
本の帯には、「疾走する言語と肉体、遊戯する物語。古川日出男の新境地意欲作!」と書いてある。以前読んだ『ハル、ハル、ハル』ほど疾走してはいなかったが、帯の文句とは対照的に、作者は山手線を何周もするような物語に親和性があるんじゃないか、と思わされた。
なお、この本の冒頭で、26時間の東京に迷い込むとき、路上のアコーディオン奏者にいざなわれる。
今朝、まったく同じ光景を目にしたので、これはなんというタイミングか、と驚いた。
僕も24時間じゃない難波に入れたのかも、とワクワクした。
まあ、とくに時計に縛られた暮らしもしていないので、24時間が26時間でもたいした変わりはないのだが。
そのアコーディオンひきと、ギターなどの集まりは、よく見ると、松原タニシ君たちだった。朝からいいもの聞いた。

朝はラジオで「なみはや亭」
死神/笑福亭松之助
近日発売されるDVD&CDボックス「楽悟家 笑福亭松之助」のCDから。
なんとも不気味なサゲで、これは映像で見たい。
「米朝よもやま噺」は前回に続いて桂雀三郎がゲストで、主に桂枝雀のエピソード。

午後2時30分から上方亭ライブ。
かわり目/桂ひろば
くっしゃみ講釈/桂歌之助
「かわり目」はマクラもそこそこに噺に入り、サゲの「銚子のかわり目」まで。
関東だきを買いに行くまでで終わるバージョンをよく聞くが、それだと、題名の「かわり目」が何のことだかわからない。サゲがそのまんまタイトルとして流通してるのは「次の御用日」とか、いくつかあるが、わかっていても途中でサゲを予想できないのが興味深い。
「くっしゃみ講釈」は、以前、旭堂南陵が唐辛子を火鉢にいれてもくしゃみは出ない、と言ってたが、桂歌之助は、「一度試してみてください。えぐいくしゃみが出ます」と言ってた。試す機会などそうそうないが、どっちなんだろう。

今日はJK21の「エニシングゴーズ」がインフルエンザ関連で公開放送じゃなくなった。KissFMは僕の家では電波が入らないので、困った話だ。
で、自宅で「現代の音楽」
                         猿谷 紀郎
 − 読売日本交響楽団 第481回定期演奏会から −(1)
「エローラ交響曲(1958)」       芥川也寸志・作曲
                      (17分35秒)
                 (管弦楽)読売日本交響楽団
                     (指揮)下野 竜也
「アトム(2009)」            藤倉 大・作曲
 ※世界初演
                      (14分10秒)
                 (管弦楽)読売日本交響楽団
                     (指揮)下野 竜也
  〜東京・サントリーホールで収録〜
                    <2009/4/7>
「ザ・ボイス ファゴットとチェロのための(2007)」
                       藤倉 大・作曲
                       (9分20秒)
               (ファゴット)パスカル・ガロワ
                (チェロ)ロハン・デ・サラム
      <Stradivarius STR−33799>

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