古川日出男の『ハル、ハル、ハル』を読んだ。
「ハル、ハル、ハル」「スローモーション」「8ドッグズ」の3編。

この物語はきみが読んできた全部の物語の続編だ。(ハル、ハル、ハル)

全体にすっとばす物語で、「スローモーション」なんて、奥歯の加速装置を噛んで執筆したがために、世界がスローモーションに見えるのをタイトルにしたんじゃないか、と思えるほどのぶっとばし作だった。著者が巻末で言うように「僕は完全に新しい階梯に入った」のだとすると、ちょっと寂しい気もする。たとえば、本書よりも『アラビアの夜の種族』の方が数倍面白かったと思うのは、僕の老いによるものなのだろうか。と、いうより、同じ作者とは思えない作品なので、確かに、完全に新しい階梯に入ったのだろう。
こういうスピード感あふれる作品もいい。でも、これなら他の書き手にまかせてもいいんじゃないか、と思ったりする。
そうそう、それと「8ドッグズ」冒頭の文章には笑った。

犬の話はもうじゅうぶんだろ。おれだって聞き飽きた。

確かに!古川日出男の作品にはなぜ犬がよく出てくるが、それは大きな欠点だ、と断言していい!

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