昨日放送してた日曜美術館で、中原淳一を特集してた。展覧会があるらしい。関西には大丸ミュージアム神戸でずっと先にある。関東のスケジュールにあわせて番組は作られているのだ。
今日は映画を3本。
マニュエル・ポワリエ監督の「ニノの空」1997年。
車泥棒と被害者とのあいだにめばえる友情。
被害者は車泥棒にあったおかげで、愛する女性にめぐりあえたのだ。(とは言え、泥棒と町で再会したときは殴って病院送りにしてる)
その愛する女性の提案で、3週間連絡をとりあわず、情熱が一時的なものでないかどうかを確かめることになる。浮気するならその3週間のあいだにどうぞ、というわけだ。
で、被害者は車泥棒(こいつの名前がニノ)と3週間あてのない旅に出ることにする。
その旅での出来事は、まあ他愛のないことばっかりで、ナンパしたり、これといったたいした内容でない会話がえんえんと続いたり、ボンジュールごっこしたりする。通りかかる人に「ボンジュール」と声をかけて、「ボンジュール」と返事してくれた人の数を競うのだ。ああ、他愛ない。
今、思い返してみると、「ニンゲン合格」もちょっとこんな雰囲気あったなあ。
ふられてしょげてるニノを元気づけようとして、ある町ではかたっぱしから女性にアンケートをとって、ニノのことを好きになりそうな女性を探す。まあ、それがどうした、というような話だが、それでちゃんとニノは女性と仲良くなれるのだ。その女性はニノを高く評価しすぎて、ベッドインしているのに、「あなたのような素晴らしい人が、私みたいなつまらない女を好きであるはずがない!」と感情をたかぶらせて逃げたりする。
さて、3週間たって帰ってみたら愛する女性には別の男が出来てました、というなんともショックな結末。ヒエ〜〜。
エンドロールでは、それぞれの名前に2つないし3つの国旗が添えられていた。父方と母方の出自をあらわすものか。きっすいのフランス人のほうがまれだった。

ロブ・ヘッデン監督の「カリブに消えた女〜悪夢の婚約パーティー」1998年。
現代の海賊まがいのチンピラに拉致される女性。婚約者の男はあっさり殺される。いつもなら女も一緒に皆殺しなのだが、リーダー格の男が女を愛し、崇拝するようになったのだ。
からくも命が助かった姉が、拉致された妹を探す。
その際、酒に溺れる男を助っ人にする。
まあ、B級映画でこれといった役者は出ていないのだが、とにかく、この姉妹のひどさったらない。
拉致される妹は、もともとパーティーにまぎれこんでいた海賊野郎に色目を使っていたのだし、尻の軽さは保証つき。姉によって、妹は弾劾される。家が困っていたときも、妹だけは湯水のように金を使っていた、とか。だがしかし、この姉もひどいやつで、無関係の人をまきこんでは困らせるのだ。うっとうしい。はっきり言って、この姉妹が助かる話じゃなくて、ひどいめにあえばいい、と祈っていたほどだ。ちんぴら海賊は、女を愛するがゆえに丁重に扱い、何度も乱暴なめにあうのを助けるが、女はそんな男にはなもひっかけない。男を見る目のない奴だ。結局、妹を助けるために手を貸してくれて大活躍したアル中の男も死んでしまう。姉のせいだ。

今井正監督の「また逢う日まで」1950年。
「ピエールとリュース」を無断で下敷きにしている。戦後まもない頃の映画ながら、軟弱な主人公による反戦への思いが吐露されていて、面白い。主人公の兄は典型的なわからずやの軍人で、その言うことは、主人公から言わせれば「紋切り型」で、それだけに、現代でもよく聞く主張だ。小林よしのりあたりがいいそうな。主人公は愛する女性、久我美子からも「のんき」と言われてしまう。
この映画見ていると、ほんと、戦争なんて百害あって、という思いにとらわれる。

あと、「大」のつく映画を見れば、「空」「海」「大」「日」で、空海と大日如来が揃ったのに。

森達也の『視点をずらす思考術』を読んだ。
以下、目次
少し視点をずらすだけで違う世界が見える
本文を読む前に読んでほしい重大な告白またはプロローグ/人は天敵を探す/メディアの功罪−世界はあなたが思うよりも多面的だ
第1章 社会の多数派からずれる
1、知っているのに知らない死刑
死刑執行の方法はどれでしょう/死刑には犯罪の抑止効果がない
2、痴漢と逮捕、どちらが情けない?
非合法な捜査・逮捕を見て見ぬ振り/メディアの機能停止、加速する厳罰化
3、メディアは危機を煽る
「リテラシー」の意味/メディアはフィクションであり視点の一つに過ぎない
4、定年をむかえる憲法
憲法は国家を規律する/九条二項は憎悪と報復が続く世界への楯
5、裏日本は「心の日本」
第2章 国家を懐疑するまなざし
1、「愛国心」に自由を
国家はフィクション/「愛郷心」と「愛国心」は違う
2、天皇崩御の日を忘れない
日本中が自粛していた/明治憲法に則って制定された日本国憲法/象徴天皇制を整合化するアンビバレンツ
3、なぜ今上天皇は「君が代」を歌わないのか
天皇家と朝鮮半島との関係/新潟への視察、単独で白昼の皇居を歩く/皇室のタブーは進んでいる
4、「憲法前文」正しいか、間違えているか
修行と悟り、そして憲法/身の丈に合わないことにも意味はある
第3章 多面的矛盾に満ちた「現代の不安」
1、ビンラディンへの手紙
あなたへの萎縮/日本とサウジアラビアに共通する「後ろめたさ」/僕の相似形である複雑で入り組んだ存在/剥きだしにされた人が世界を壊す
2、ビンラディンへの手紙を書いた経緯と理由
3、ブッシュが示す「凶暴な優しさ」と正義
4、禁煙への自由
5、親鸞が残した「わからない」の教え
第4章 あえてメディアをずらして見る
1、繰り返される六十余年前の「翼賛報道」体制
国民と軍部とメディアの共謀/逮捕報道とは市中引き回し、国民は石を投げる
2、メディアと権力の親和性
オウムをフィルターにした日本社会/管理職は「A」「A2」は観る価値がないと言う/「加害公妨」から不当逮捕へ/映像は嘘をつく
3、オウム真理教撮影と禅寺の日々
家賃も食費も必要ない寺の生活/座禅に救いを求める人々/人間が宗教を必要とする理由/人を大量に殺戮するメカニズムの実体
第5章 脱線をおそれないアウトサイダーたち
1、魚住昭 激しくて優しい業の人
2、森巣博「戦争はどうやったらなくなるか」
3、笠原和夫「仁義なき戦い」十七歳、初恋の人と観たかった映画
4、PANTA 過激な「伝説」の歌手
「頭脳警察」の攻撃的歌詞に圧倒された/革命三部作が発売中止に/「あいつは人に優しすぎる」/本質は不変/告げるべきだったのは愛
第6章 日々の暮らしのなかのモノの見方
1、結論を先延ばしにしたっていいじゃないか
2、読書をする時間を
3、もうダメ。みなさんさようなら
付けたしのエピローグ

本のタイトルの新書っぽさが違和感を呼んでいて面白い。

なお、2005年に「あとで書く」として放置してた日記を書きました。
http://49497.diarynote.jp/200508041303370000
メイビーマックスのワンマンと、ダンシングバナナのはなぽーとライブ。
詳しい感想などはすっかり忘れてしまったので、セットリストのみ。
ただ、ミノヤホールの熱気と親近感はいまだに心に残っている。



コメント

nophoto
高橋美穂
2009年4月4日10:01

すごく悲しいお話でした。

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

日記内を検索