文学の断層〜セカイ震災キャラクター〜
2008年11月13日 読書斎藤環の『文学の断層〜セカイ震災キャラクター〜』を読んだ。
以下目次
序
#0「虚構」と「現実」の相互隠蔽
はじめに
レピッシュなサブカルチャー
虚構スタイルの構造的変遷
メタリアル・フィクションの時代
匿名性と虚構性
第1章 キャラクター
#1キャラクターと作家の自意識
清涼院流水から西尾維新へ
流水大説
ミステリーとシニシズム
西尾維新の小説システム
#2メタ・キャラクター・メタボリズム
ありえないリアル
キャラクターから物語へ
キャラクターにおける「隠喩」と「換喩」
メタ・リアリズムの不可能性
名前が支配する「世界」
第2章 棲み分ける「小説」
#3オンライン小説、あるいは文化的誤受信による三幅対
ベストセラーが象徴する「文化」
『Deep Love』とヤンキー文化
『いま、会いにゆきます』とサブカル文化
『電車男』と「おたく文化」
棲みわける三つの「文化」
投瓶通信から振り込め詐欺へ
想像的誤配、象徴的誤配
「誤受信可能性」の問題
第3章 家族
#4カーネーションよりも紅いバラを
家族=母親の疎外
「物語の欠如」への苛立ち
「母の呪縛」からの逃走
母性のしくみ
若者は「母なき世界」を浮遊する
第4章 戦争とニート
#5「中景」を喪くした「セカイ」
『宇宙戦争』と「セカイ系」
『バトル・ロワイヤル』の多重人格性
視点としての「となり町」、あるいは軍用犬
微生物とフリークス
#6なぜ「戦争」は「成長」を描き得ないのか
『君の友だち』における他者
セカイ系の歴史的端緒
舞城のセカイ、西尾のセカイ
他者としての「ニート」
カーニヴァル化とデータベース
『りはめ』のセカイと真理の審級
第5章 震災と文学
#7阪神・淡路大震災と文学
最初の一撃
震災と戦争
トラウマからの風景
「リアル病」
文学の急性的反応
#8遠隔地のトラウマ
災害サブカルチャー
カントとリスボン地震
震災と「転向」
震災と書くこと
#9言葉・空間・祈り
関東大震災と文学
リアリティの位相
清涼院流水
井上廣子の転向
「心理学化」の水位
村上春樹における「空間」
多重化する世界と解離のモチーフ
空間と祈り
第2章でのヤンキー文化、サブカル文化、おたく文化の話が興味深かったが、どれもこれも「文化」に安住してそれを享受しようとしているうちは、みんな同じ穴のムジナなのである。
また、ケータイ小説にみられる振り込め詐欺的「誤配の余地の無さ」、本文中で言う「送り手の意図いかんにかかわらず、想像的に正しい宛先に届いてしまう手紙」すなわち語受信可能性という新しい不確実性についての下りが興味深い。ちなみに、2008年7月30日第一刷では、このあたりの目次の小見出しが「想像的誤配、象徴的誤記」(正しくは「誤記」でなく「誤配」)とまさしく誤記されて誤配されているのが何かの陰謀のようである。
また、本書で端緒についたと思われる「震災」の考察は今後の展開が楽しみだ。
明らかに、僕は阪神大震災を境に変わってしまったし、勝手にいろんな啓示を受け取り、生き方が変わった。かつて「戦後」という言葉が意味をもっていたように、僕にははっきりと「震後」が生きている。「もはや震後ではない」と言うことができるのはいったいいつの日になることやら。
NHK-FMで第77回日本音楽コンクール − 作曲部門オーケストラ作品・本選会 −
入選「天と光と」 森川陽子・作曲
(16分07秒)
(フルート)木ノ脇道元
(管弦楽)東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
(指揮)小松 一彦
第3位「アルベルト・ジャコメッティの“鼻”による変奏曲」
大胡 恵・作曲
(8分13秒)
(管弦楽)東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
(指揮)小松 一彦
第2位「“ルーン”オーケストラのための」 江原大介・作曲
(11分39秒)
(管弦楽)東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
(指揮)小松 一彦
第1位「レ・フレオ」 江原 修・作曲
(11分28秒)
(管弦楽)東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
(指揮)小松 一彦
〜東京オペラシティ・コンサートホールで収録〜
<2008/10/21>
以下、76回日本音楽コンクール − 作曲部門室内楽作品・本選会 −
「パレットの上で奏でるグラデーション」 前田恵実・作曲
(9分57秒)
(オーボエ)浅間 信慶
(クラリネット)中村 克己
(サクソフォン)大城 正司
(ユーフォニウム)斉藤 充
(チェロ)高田 剛志
(コントラバス)長谷川信久
(指揮)夏田 昌和
「ウェル・クレイドル」 山口恭子・作曲
(11分15秒)
(リコーダー)鈴木 俊哉
(ビオラ)桑田 穣
(パーカッション)伊藤 映子
(バリトン)大久保光哉
(ピアノ)小坂 圭太
(指揮)安良岡章夫
「南国の魚、極彩色の夜」 小出稚子・作曲
(6分56秒)
(バイオリン)梅沢 和人
(クラリネット)重松希巳江
(ピアノ)小坂 圭太
「ピエドラ」 稲森安太己・作曲
(11分16秒)
(ソプラノ)佐竹 由美
(ハープ)井上栄利加
(バイオリン)川口 静華
(ビオラ)甲斐 史子
(チェロ)高田 剛志
(笙)石川 高
(指揮)安良岡章夫
以下目次
序
#0「虚構」と「現実」の相互隠蔽
はじめに
レピッシュなサブカルチャー
虚構スタイルの構造的変遷
メタリアル・フィクションの時代
匿名性と虚構性
第1章 キャラクター
#1キャラクターと作家の自意識
清涼院流水から西尾維新へ
流水大説
ミステリーとシニシズム
西尾維新の小説システム
#2メタ・キャラクター・メタボリズム
ありえないリアル
キャラクターから物語へ
キャラクターにおける「隠喩」と「換喩」
メタ・リアリズムの不可能性
名前が支配する「世界」
第2章 棲み分ける「小説」
#3オンライン小説、あるいは文化的誤受信による三幅対
ベストセラーが象徴する「文化」
『Deep Love』とヤンキー文化
『いま、会いにゆきます』とサブカル文化
『電車男』と「おたく文化」
棲みわける三つの「文化」
投瓶通信から振り込め詐欺へ
想像的誤配、象徴的誤配
「誤受信可能性」の問題
第3章 家族
#4カーネーションよりも紅いバラを
家族=母親の疎外
「物語の欠如」への苛立ち
「母の呪縛」からの逃走
母性のしくみ
若者は「母なき世界」を浮遊する
第4章 戦争とニート
#5「中景」を喪くした「セカイ」
『宇宙戦争』と「セカイ系」
『バトル・ロワイヤル』の多重人格性
視点としての「となり町」、あるいは軍用犬
微生物とフリークス
#6なぜ「戦争」は「成長」を描き得ないのか
『君の友だち』における他者
セカイ系の歴史的端緒
舞城のセカイ、西尾のセカイ
他者としての「ニート」
カーニヴァル化とデータベース
『りはめ』のセカイと真理の審級
第5章 震災と文学
#7阪神・淡路大震災と文学
最初の一撃
震災と戦争
トラウマからの風景
「リアル病」
文学の急性的反応
#8遠隔地のトラウマ
災害サブカルチャー
カントとリスボン地震
震災と「転向」
震災と書くこと
#9言葉・空間・祈り
関東大震災と文学
リアリティの位相
清涼院流水
井上廣子の転向
「心理学化」の水位
村上春樹における「空間」
多重化する世界と解離のモチーフ
空間と祈り
第2章でのヤンキー文化、サブカル文化、おたく文化の話が興味深かったが、どれもこれも「文化」に安住してそれを享受しようとしているうちは、みんな同じ穴のムジナなのである。
また、ケータイ小説にみられる振り込め詐欺的「誤配の余地の無さ」、本文中で言う「送り手の意図いかんにかかわらず、想像的に正しい宛先に届いてしまう手紙」すなわち語受信可能性という新しい不確実性についての下りが興味深い。ちなみに、2008年7月30日第一刷では、このあたりの目次の小見出しが「想像的誤配、象徴的誤記」(正しくは「誤記」でなく「誤配」)とまさしく誤記されて誤配されているのが何かの陰謀のようである。
また、本書で端緒についたと思われる「震災」の考察は今後の展開が楽しみだ。
明らかに、僕は阪神大震災を境に変わってしまったし、勝手にいろんな啓示を受け取り、生き方が変わった。かつて「戦後」という言葉が意味をもっていたように、僕にははっきりと「震後」が生きている。「もはや震後ではない」と言うことができるのはいったいいつの日になることやら。
NHK-FMで第77回日本音楽コンクール − 作曲部門オーケストラ作品・本選会 −
入選「天と光と」 森川陽子・作曲
(16分07秒)
(フルート)木ノ脇道元
(管弦楽)東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
(指揮)小松 一彦
第3位「アルベルト・ジャコメッティの“鼻”による変奏曲」
大胡 恵・作曲
(8分13秒)
(管弦楽)東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
(指揮)小松 一彦
第2位「“ルーン”オーケストラのための」 江原大介・作曲
(11分39秒)
(管弦楽)東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
(指揮)小松 一彦
第1位「レ・フレオ」 江原 修・作曲
(11分28秒)
(管弦楽)東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
(指揮)小松 一彦
〜東京オペラシティ・コンサートホールで収録〜
<2008/10/21>
以下、76回日本音楽コンクール − 作曲部門室内楽作品・本選会 −
「パレットの上で奏でるグラデーション」 前田恵実・作曲
(9分57秒)
(オーボエ)浅間 信慶
(クラリネット)中村 克己
(サクソフォン)大城 正司
(ユーフォニウム)斉藤 充
(チェロ)高田 剛志
(コントラバス)長谷川信久
(指揮)夏田 昌和
「ウェル・クレイドル」 山口恭子・作曲
(11分15秒)
(リコーダー)鈴木 俊哉
(ビオラ)桑田 穣
(パーカッション)伊藤 映子
(バリトン)大久保光哉
(ピアノ)小坂 圭太
(指揮)安良岡章夫
「南国の魚、極彩色の夜」 小出稚子・作曲
(6分56秒)
(バイオリン)梅沢 和人
(クラリネット)重松希巳江
(ピアノ)小坂 圭太
「ピエドラ」 稲森安太己・作曲
(11分16秒)
(ソプラノ)佐竹 由美
(ハープ)井上栄利加
(バイオリン)川口 静華
(ビオラ)甲斐 史子
(チェロ)高田 剛志
(笙)石川 高
(指揮)安良岡章夫
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