『ねむり姫』

2008年10月3日 読書
澁澤龍彦の『ねむり姫』を読んだ。
ねむり姫
狐媚記
ぼろんじ
夢ちがえ
画美人
きらら姫

古典を読んでいるかのような雰囲気がありながら、どこかでふっと肩の力が抜ける技が素晴らしい。
「ぼろんじ」のラストは、こうしめくくられる。

「ぼろんじ」という題には特別の意味はない。ただ音がおもしろく、むかしから私の気に入っていることばなので、これを採択したまでのことである。けだし「あんあん」「のんの」のたぐいか。

「画美人」にはこんな会話がある。
時代は安政のころ。女の汗が芳香を放っているのに気づき。

「伽羅の女とはめずらしい。特異体質だな」
「いやですよ。そんな近代のテクニカル・タームは存じませぬ」

「きらら姫」にもこんな描写が。
時代は嘉永のころ。星舟に乗り込もうとする音吉。

このままではE.Tみたいに置いてけぼりを食ってしまうぞと、必死の思いで音吉は杉の樹をよじのぼりはじめた。

なお、この話には結局きらら姫の顛末がほとんど触れられず、ツッコミがはいって終わりになっている。融通無礙とはこのこと?
なお、僕が読んだ単行本だと、著者の自装になっている。

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