タム&ウィー「ドレスアップTV」展〜塩田千春「精神の呼吸」展〜インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国〜靖国
肥後橋のgraf media gmでタム&ウィー「ドレスアップTV」展。
タム(ウィスット・ポンニミット)とウィー(ワチラポーン・リムビプーワッド)の2人による展示。
映像を観客がそれぞれ服に投射してみる作品。
観客が顔を出して、上半身と下半身の身体部分の映像の組み合わせで全身を完成させる作品。
天井から吊るされたかえるちゃんを用意された道具でとり、景品をもらう作品。
どれもこれも可愛くて、観客参加ではじめて作品が完成する仕組みになっている。
ウィスット・ポンニミットさんは、以前、僕が司会したカモロックに出演して、アニメーションを上映された。そのときから、面白い感性と、積極性がある人だと思っていた。この作品展も、たいがい面白い。

国立国際美術館で塩田千春「精神の呼吸」展。
数多くのベッドに毛糸の蜘蛛の巣が張る「眠っている間に」
多くの人に靴とその思い出メモを提供してもらい、赤い糸で結んだ「大陸を越えて」
泥だらけの巨大なドレス「After Thatー皮膚からの記憶」
あと、映像作品「落ちる砂」、写真など。
塩田千春は大阪生まれで、ベルリンを拠点に活動している。
すごく面白い。
のだが、この作品展を見ているとき、2回も美術館の隅でパイプ椅子に坐っている女性に(2人は別人)、「これは作品です。もっと下がってごらんください」と注意された。
もちろん、作品に手を触れるつもりはなく、そんなに接近しているつもりもなかったが、「こいつ、作品にさわって、こわしでもしないか」と思ったのだろう。
たいへん不愉快である。
おそらく、僕が背広でも着て見ていれば、こんな注意も受けなかったのだろうが、ふだんの格好では何をしでかすかわからない奴だ、とあなどられたのである。
しかも「これは作品です」ときたもんだ。あきらかに僕を何が作品で何が作品でないのかもわからない田舎者と思ったのである。失礼にもほどがある。
海外で「大陸を越えて」を展示したときの記録写真が、参考資料としておいてあった。観客は、靴につけられたメモを手にとって、作品のすぐ脇にぺたんと地面にすわって読んでいた。だが、この日本では、国立国際美術館では、近寄ることもできないのである。
それなら、ガラスにでも覆って、いっさい客を近付けないようにすればいいのだ。
塩田千春の芸術を理解もせずに、ごたいそうに「お芸術」扱いしてカルチャーばばあ相手に商売しておけばいいのだ。ガッカリだ。
こうしてみると、タム&ウィーの展示の自由さがさらに優れたものとして映る。
塩田千春が日本を出て、ベルリンで活動するのもしかたがないところだろう。塩田千春はまだ日本の美術館には早すぎるのかもしれない。
国立国際美術館には、少なくともそのとき客を監視していた二人の女性は、「精神の呼吸」とはまったく程遠い場所にいる、窒息したセンスしかないとしか言い様がない。
展覧会は石内都と宮本隆司の展示もあった。
石内の「廃墟」写真、宮本の「老い」と「傷」の写真。
素晴らしい。
客を監視したうえに愚弄したゲシュタポ的二人の女性の精神の荒廃をうつしたかのような作品群である。

「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」を見た。
スピルバーグ監督。ハリソン・フォード主演。
アクション!スペクタクル!
車の上でフェンシングチャンバラ!虫!謎解き!アクションRPG!
汚い映画館で見ていたら、虫が気になって映画どころじゃなくなるだろう。
どこかで見たような猿にも会える。
ETの頭蓋骨がクリスタルスカルだったとは!
ルーカス、スピルバーグのセルフパロディ作でもあろう。
映画の楽しさを無邪気に追求した作品と言ってもいいかも。

ドキュメンタリー映画「YASUKUNI」を見た。雑誌などでの表記は「靖国」とあるが、映画の中では「靖国神社」と出ていた。
軍服着た人々が参る。
小泉首相も参る。
小泉首相を指示するアメリカ人は「毛唐」とののしられ、小泉批判をする青年はみんなに寄ってたかって暴力的に排除され、警察も暴力をふるった者を見逃して、血まみれで被害者のはずの青年をパトカーで連行する。
靖国刀の刀匠の映像がバラバラな靖国関連の映像をつなぐ役割を果たしている。
靖国支持にしろ靖国批判にしろ、攻撃的な人たちが大挙出演するこの映画で、この刀匠のおじいちゃんのシーンが、ちょっと場違いでもあり、ちょっと息をつける場面でもあった。
問題の根は深いのだろうが、人間の心はちょっとやそっとじゃ変えられないんだな、と感じた。

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