ISBN:4896421663 単行本 ミミ ラダクリシュナン 未知谷 2006/07 ¥2,100
タゴールの寓話詩が絵本になった。
見た感じは、僕の認識不足か、インドというよりアフリカ的な絵画。
作品の内容は、サポートしてくれる女性に見向きもせずに苦行を続けていた男が、その苦行の果に、高邁な真理を得ずに、女性を求める、というもの。(意訳)
このタゴールの作品を読んでかどうだか知らないが、昔、『詩とメルヘン』という雑誌に、イエスキリストは、万人を愛したが1人の女性を愛することをしなかった、なんていう内容の詩が掲載されていたことがある。
こういう独占欲むきだしのエゴイズムの考えは、当時の僕には、1杯の紅茶のためなら世界が滅びたっていい、とするドストエフスキー的発想に思えた。
今でもあんまり変わらない。
1人の女性を幸せにできずに、世界をよくすることなんてできない、とわかったような言説がはびこっているが、その言い回しにだまされているんじゃないか、と眉につばをつける最近の僕だ。
タゴールの話を素直に受け止めれば、これは苦行の無意味さを示すエピソードともとれる。
でも、苦行のような遠回りしないと、簡単なこともわからない人だっているんだ。
何も考えずに殴る男と、いろいろ考え悩んだあげくに殴る男。
殴るという行為にかわりはないが、その意味合いは大きく違う、と言うべきか、
それとも、
プロセスはどうあれ、結局殴ることに変わりはない、と言うべきか。
その使いわけをその場その場の都合によって選択してきたのが人類の歴史だったんじゃないか。
歴史はやはり言葉で成り立っているのだ。

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