イメージ・フォーラム・フェスティバル最終日(アブラモビッチ)
2007年5月20日 映画
イメージ・フォーラム・フェスティバル最終日。今日は3プログラム見た。
日本2 日本招待部門 + 一般公募部門 /5作品93分
「Kaizer」 田中廣太郎/ビデオ/11分/2006 一般公募部門奨励賞
「空の箱」 祢津悠紀/ビデオ/38分/2006 一般公募部門奨励賞
「生態系15− 秤動」 小池照男/ビデオ/17 分/2006
「絵馬・絵巻2」 石田尚志/16ミリ/7 分/2006
「蛆虫の飛ぶとき」 村上康人/ビデオ/20分/2007 一般公募部門大賞
「空の箱〜empty box」の祢津悠紀監督と、「生態系15− 秤動」の小池照男監督が来場されていて、コメント。
「Kaizer」は公園の風景を360度撮影しているように見えて、時間も位置もコラージュされている不思議な作品。
「空の箱」はドラマチックじゃない普通の日常がたんたんと映される。監督によると、自分の日常を再現して撮った作品で、何度も撮り直したという。遊びにも出かけず、テレビも漫画も読書もゲームも電話もネットも友人との会話もない日々を過ごすなんて地獄以外のなにものでもない、と思うが、それが映画の撮影としてのドラマだとしたらどうだ。日常を演じる、というのは新しい視点に思えるが、実はみんなそう演じてるんじゃないか、とも思える、なんとも不思議な作品。
「生態系15− 秤動」の「秤動」は月の首振り運動のこと。バベルやポケモンで体調を崩した人向けのさらなる応用問題。会場の若き映像作家の卵たちに、作品を作り続け、それを発表する場を開拓するようにエールを送られた。
「絵馬・絵巻2」は絵画とそれにつけられた音楽を、複数重ね合わせて作り出す作品。映像版のラジオカセッツだ。
「蛆虫の飛ぶとき」は面白かった。映像でやりたい放題にしているように見えるが、表現とは何なのか、という問題にぶつかってのあがきだということがわかる。あがきをそのまま作品にしたもので、「表現って何なんだ」と泣くシーンには大笑いした。ラストでは表現の爆発なのか煩悶なのか、全裸で外を走る。これにも笑った。表現に困ったら、まず裸、というのは定番だからだ。
日本6 日本招待部門+一般公募部門 /4作品103分
「タネ」 大力拓哉+三浦崇志/ビデオ/50分/2007 一般公募部門入選
「グージョネットと風車小屋の魔女」 福井琢也/ビデオ/24分/2006 一般公募部門入選
「ポストの話」 萩原朔美/ビデオ/15分/2007
「十七個の空間と一匹のウジ虫で構成された作品」 平林勇/ビデオ/14分/2007
「タネ」の大力拓哉、三浦崇志監督が来場されてコメントされていた。
棺桶くらいの箱を運んで山を登る男たち。映像だけを見ていたらシリアスなのに、そこで交わされる会話は関西弁丸出しのとぼけたやりとりで、笑わせる。
「グージョネットと風車小屋の魔女」は恋人を亡くしてひきこもっている女性と、心配して料理の食材を持ってきた友人の物語。映像とは無関係に、民話がずっと語られており、ときおり内容が近接する。最終的には、民話と現実がオカルト的なシンクロを果たし、女性は立ち直るきっかけを得る。2人が外出して出かけた場所は、民話と現実化した場所でもあった。主人公の女性が藤本美貴似で可愛い。ミキティよりも演技力ありそうだ。
「ポストの話」萩原朔美らしい映像エッセイ。窓について語り、今の住宅では窓は郵便受けの部分しか開いていない、と。窓を外に運んで風景を窓ごしに見る、寺山的展開もみせる。
「十七個の空間と一匹のウジ虫で構成された作品」では、本物のウジ虫が大活躍。
特集3 :セブン・イージー・ピーセズ /1作品93分(アメリカ)
7時間連続、7つの演目を7日間に渡り演じきったマリナ・アブラモビッチの「セブン・ イージー・ピーセズ」。亡きスーザン・ソンタグに捧ぐ伝説的パフォーマンスを、余すところなくフィルムに収めた渾身のドキュメント。
マリナ・アブラモビッチのセブン・イージー・ピーセズ バベット・マンゴルト/ビデオ/93 分/2007/アメリカ
第一日 ブルース・ナウマン「ボディー・プレッシャー」
第二日 ヴィト・アコンチ「シードベッド」
第三日 ヴァリー・エクスポート「アクション・パンツ:性器パニック」
第四日 ジーナ・ペイン「条件付け、セルフポートレート(たち)の最初のアクション」
第五日 ヨーゼフ・ボイス「死んだ野うさぎに絵を説明する方法」
第六日 マリナ・アブラモビッチ「トマスの唇」
第七日 マリナ・アブラモビッチ「向こう側への侵入」
これはすごかった。7時間パフォーマンスするってだけですごい。
このプログラム見ただけでも、イメージフォーラムフェスティバルに来た価値はあったというものだ!
簡単に何をしたかを書いておく。
「ボディー・プレッシャー」ガラスの壁に顔が歪むほど体を押し付ける。押し付け続ける。
「シードベッド」美術館の床下で7時間に渡ってオナニーする。音声は場内にスピーカーで流れている。
「アクション・パンツ:性器パニック」マシンガンを構えて客を監視し続ける。黒のレザーパンツは局部だけが切り取られていて、さらけだされている。
「条件付け、セルフポートレート(たち)の最初のアクション」何本もの蝋燭の火にあぶられる堅いベッドの上で横たわる。
「死んだ野うさぎに絵を説明する方法」うさぎの死骸を抱いて、それに話しかけたり、ステッキで床をガタガタ鳴らしたり。顔は金箔で覆われており、片足は鉄板を履いている。
「トマスの唇」全裸で登場。蜂蜜なめる〜カミソリで腹部の星形をなぞり、出血させる〜軍靴と軍帽をつけ、血をふいた旗を高く掲げる。スラブ民謡が流れ、アブラモビッチは涙を流す。〜氷で作られた十字架に寝る〜自らを鞭打つ。これをえんえんと繰り返す。終わったとき、ステージ上に置かれたカミソリは8枚だった。星印は二重に血の痕を描いていた。
「向こう側への侵入」小林幸子か!山のごとき巨大ドレスのてっぺんで優雅に踊るアブラモビッチ。肉体をいじめ続けるパフォーマンスのあとでは、なんだかホッとするようなフィナーレにふさわしいパフォーマンスに思えた。
このアブラモビッチの映像も特集「グッドバイ・スタイリッシュ」のプログラムで、どれも僕の趣味嗜好にぴったり合ったものだった。いい特集だった!
日本2 日本招待部門 + 一般公募部門 /5作品93分
「Kaizer」 田中廣太郎/ビデオ/11分/2006 一般公募部門奨励賞
「空の箱」 祢津悠紀/ビデオ/38分/2006 一般公募部門奨励賞
「生態系15− 秤動」 小池照男/ビデオ/17 分/2006
「絵馬・絵巻2」 石田尚志/16ミリ/7 分/2006
「蛆虫の飛ぶとき」 村上康人/ビデオ/20分/2007 一般公募部門大賞
「空の箱〜empty box」の祢津悠紀監督と、「生態系15− 秤動」の小池照男監督が来場されていて、コメント。
「Kaizer」は公園の風景を360度撮影しているように見えて、時間も位置もコラージュされている不思議な作品。
「空の箱」はドラマチックじゃない普通の日常がたんたんと映される。監督によると、自分の日常を再現して撮った作品で、何度も撮り直したという。遊びにも出かけず、テレビも漫画も読書もゲームも電話もネットも友人との会話もない日々を過ごすなんて地獄以外のなにものでもない、と思うが、それが映画の撮影としてのドラマだとしたらどうだ。日常を演じる、というのは新しい視点に思えるが、実はみんなそう演じてるんじゃないか、とも思える、なんとも不思議な作品。
「生態系15− 秤動」の「秤動」は月の首振り運動のこと。バベルやポケモンで体調を崩した人向けのさらなる応用問題。会場の若き映像作家の卵たちに、作品を作り続け、それを発表する場を開拓するようにエールを送られた。
「絵馬・絵巻2」は絵画とそれにつけられた音楽を、複数重ね合わせて作り出す作品。映像版のラジオカセッツだ。
「蛆虫の飛ぶとき」は面白かった。映像でやりたい放題にしているように見えるが、表現とは何なのか、という問題にぶつかってのあがきだということがわかる。あがきをそのまま作品にしたもので、「表現って何なんだ」と泣くシーンには大笑いした。ラストでは表現の爆発なのか煩悶なのか、全裸で外を走る。これにも笑った。表現に困ったら、まず裸、というのは定番だからだ。
日本6 日本招待部門+一般公募部門 /4作品103分
「タネ」 大力拓哉+三浦崇志/ビデオ/50分/2007 一般公募部門入選
「グージョネットと風車小屋の魔女」 福井琢也/ビデオ/24分/2006 一般公募部門入選
「ポストの話」 萩原朔美/ビデオ/15分/2007
「十七個の空間と一匹のウジ虫で構成された作品」 平林勇/ビデオ/14分/2007
「タネ」の大力拓哉、三浦崇志監督が来場されてコメントされていた。
棺桶くらいの箱を運んで山を登る男たち。映像だけを見ていたらシリアスなのに、そこで交わされる会話は関西弁丸出しのとぼけたやりとりで、笑わせる。
「グージョネットと風車小屋の魔女」は恋人を亡くしてひきこもっている女性と、心配して料理の食材を持ってきた友人の物語。映像とは無関係に、民話がずっと語られており、ときおり内容が近接する。最終的には、民話と現実がオカルト的なシンクロを果たし、女性は立ち直るきっかけを得る。2人が外出して出かけた場所は、民話と現実化した場所でもあった。主人公の女性が藤本美貴似で可愛い。ミキティよりも演技力ありそうだ。
「ポストの話」萩原朔美らしい映像エッセイ。窓について語り、今の住宅では窓は郵便受けの部分しか開いていない、と。窓を外に運んで風景を窓ごしに見る、寺山的展開もみせる。
「十七個の空間と一匹のウジ虫で構成された作品」では、本物のウジ虫が大活躍。
特集3 :セブン・イージー・ピーセズ /1作品93分(アメリカ)
7時間連続、7つの演目を7日間に渡り演じきったマリナ・アブラモビッチの「セブン・ イージー・ピーセズ」。亡きスーザン・ソンタグに捧ぐ伝説的パフォーマンスを、余すところなくフィルムに収めた渾身のドキュメント。
マリナ・アブラモビッチのセブン・イージー・ピーセズ バベット・マンゴルト/ビデオ/93 分/2007/アメリカ
第一日 ブルース・ナウマン「ボディー・プレッシャー」
第二日 ヴィト・アコンチ「シードベッド」
第三日 ヴァリー・エクスポート「アクション・パンツ:性器パニック」
第四日 ジーナ・ペイン「条件付け、セルフポートレート(たち)の最初のアクション」
第五日 ヨーゼフ・ボイス「死んだ野うさぎに絵を説明する方法」
第六日 マリナ・アブラモビッチ「トマスの唇」
第七日 マリナ・アブラモビッチ「向こう側への侵入」
これはすごかった。7時間パフォーマンスするってだけですごい。
このプログラム見ただけでも、イメージフォーラムフェスティバルに来た価値はあったというものだ!
簡単に何をしたかを書いておく。
「ボディー・プレッシャー」ガラスの壁に顔が歪むほど体を押し付ける。押し付け続ける。
「シードベッド」美術館の床下で7時間に渡ってオナニーする。音声は場内にスピーカーで流れている。
「アクション・パンツ:性器パニック」マシンガンを構えて客を監視し続ける。黒のレザーパンツは局部だけが切り取られていて、さらけだされている。
「条件付け、セルフポートレート(たち)の最初のアクション」何本もの蝋燭の火にあぶられる堅いベッドの上で横たわる。
「死んだ野うさぎに絵を説明する方法」うさぎの死骸を抱いて、それに話しかけたり、ステッキで床をガタガタ鳴らしたり。顔は金箔で覆われており、片足は鉄板を履いている。
「トマスの唇」全裸で登場。蜂蜜なめる〜カミソリで腹部の星形をなぞり、出血させる〜軍靴と軍帽をつけ、血をふいた旗を高く掲げる。スラブ民謡が流れ、アブラモビッチは涙を流す。〜氷で作られた十字架に寝る〜自らを鞭打つ。これをえんえんと繰り返す。終わったとき、ステージ上に置かれたカミソリは8枚だった。星印は二重に血の痕を描いていた。
「向こう側への侵入」小林幸子か!山のごとき巨大ドレスのてっぺんで優雅に踊るアブラモビッチ。肉体をいじめ続けるパフォーマンスのあとでは、なんだかホッとするようなフィナーレにふさわしいパフォーマンスに思えた。
このアブラモビッチの映像も特集「グッドバイ・スタイリッシュ」のプログラムで、どれも僕の趣味嗜好にぴったり合ったものだった。いい特集だった!
コメント