ロマネスクの図像学〈下〉
2007年1月10日 読書
ISBN:4336038929 単行本 成瀬 駒男 国書刊行会 ¥4,893
エミール・マールの『ロマネスクの図像学』下巻。
本書は中世図像体系3部作の1冊め(取扱っている時代がもっとも古いという意味。執筆順では最後になる)で、以前とりあげた岩波文庫版の『ヨーロッパのキリスト教美術』の元になった大著だ。(その日記、内容について何も書けなかった!)
詳細目次
第7章 図像の多様化−イタリアの巡礼路
1.ローマ/コンスタンティヌス像と誤解されたマルクス・アウレリウス像/それはフランス西部の諸教会において模倣された
2.ローマ/聖ペトロ像
3.ルッカ/ルッカの奇跡の十字架とその影響
4.ガルガーノ山と聖ミカエル崇拝/イタリア型聖ミカエル像の伝播/ノルマンディーのモン・サン・ミッシェル
5.イタリア諸街道におけるフランス叙事詩/『ロランの歌』とブリンディジのモザイク/ヴェローナの大聖堂におけるロランとオリヴィエ/モデナの大聖堂における「円卓の騎士」/ペザーロにおける『トロイ物語』/オトラントとボルゴ・サン・ドンニーノにおける『アレクサンドロス大王物語』/
6.フランス芸術は巡礼路を通じてイタリアに浸透した/説話的タンパン/彫刻された弧帯/扉口の彫像群/アンテラミはパルマとボルゴ・サン・ドンニーノにおいてフランス芸術を模倣した
このあたりの章は、巡礼路にそって、キリスト教美術を解読していく旅のガイドブックみたいなものだ。
中世の人々から最初のキリスト教皇帝コンスタンティヌスの像として讃美されていた騎馬像が、ミケランジェロの忠告によって場所替えしたエピソードは、『ヨーロッパのキリスト教美術』でも取り上げられていた、面白いエピソード。その像はコンスタンティヌス像ではなく、マルクス・アウレリウスの像だったのだ。マルクス・アウレリウスは、ストア派哲学者でキリスト教を迷信として迫害したローマ皇帝である。正反対だ!
第8章 図像の多様化−フランスとスペインの巡礼路
1.聖母ゆかりの巡礼地/シャルトル。パリやブールジュで模倣されたシャルトルのタンパンの聖母/クレルモン。クレルモンの聖母とオーヴェルニュにおけるその影響/ル・ピュイ
2.サンティヤゴ・デ・コンポステーラへの道/巡礼たちが訪れる聖地/聖ヤコブ伝説の起源/クリュニー修道会による巡礼の組織化
3.聖ヤコブの芸術とその諸経路/巡礼によって創造された使徒聖ヤコブの新しい図像
4.サンティヤゴ街道にある大教会/それらの大教会はトゥールのサン・マルタン教会に由来する/サンティヤゴ巡礼路のロマネスク彫刻/ゴシック彫刻は、サンティヤゴ巡礼路をとおってフランス南部とスペインに浸透する
5.巡礼と叙事詩/ガティネ地方フェリエール教会の扉口に見られる小ピピン伝説/シャルルマーニュのエルサレム巡礼とサン・ドニ教会のステンドグラス/モーのサン・ファロン修道院のオジエの墓/ロンスヴォー修道院内のロラン像、またはおそらくはリモージュのノートルダム・ド・ラ・レーグルにも/コンク、ブリウド、アジャンの教会の柱頭に関する推測/アンボアーズの『狐物語』/教会の中に彫像化された旅芸人たち
第9章 芸術における百科全書的性格−世界と自然
1.12世紀の宇宙観/ランスのサン・ルミのモザイク−自然の中の楽人ダビデ/クリュニーの柱頭彫刻/音楽に表わされた世界
2.12世紀の地理/古代の伝説/クテシアス、メガステネス、プリニウス、ソリヌスたちの怪物についての架空譚/この世の不思議を描いたスーヴィニーの石柱/ヴェズレーのタンパンと使徒たちに教化されたさまざまな民族
3.「動物寓意譚」に見られる動物たち/その象徴的意味/「動物寓意譚」の写本挿絵の影響/寓話/ロバの楽士
4.柱頭彫刻の動物たち/そこに象徴的意味はない/その動物たちはオリエントの織物から借りてきた/西欧におけるオリエントの織物/西欧の芸術がそれに負うているもの/向かい合った動物たち/双頭の鷲/西欧の柱頭彫刻に見られるカルデア芸術とアッシリア芸術の影響/二頭のライオンを絞め殺す英雄ギルガメッシュ/アッシリアのスフィンクスと人面の牛/頸を絡ませた鳥たち/頭が1つ、胴が2つの動物たち/二頭の動物の闘い
5.古典装飾は12世紀芸術にはほとんど見られない/器の両側で向かい合うグリフォンたち/オリエント装飾が13世紀まで支配的である
12世紀の宇宙観はそのまま古代の宇宙観でもある。
恒星と惑星が円を描く天動説。土・火・水・空気の四元素とその中間的元素からなる宇宙。
ピタゴラスの神秘的数学に夢中だった12世紀のヨーロッパ人は、四元素に四方位に四季に四体液(血液/粘液/胆汁/黒胆汁)に魂の四枢要徳(思慮/正義/勇気/節制)などを結び付けて「4」の神秘を感じ、惑星の数とグレゴリオ聖歌(宇宙の調和を象徴する)の音の数から「7」を神秘化した。
また、宇宙と人体との照応を感じ取っていた。
この章は、こういった中世の宇宙観や、怪物たちの記述が多くて楽しい。
上にもあげたが、それらオリエント由来の怪物たちの装飾芸術は特に教化を意図したものではなく、人々を楽しませるためのものだったのだ。
エミール・マールはこう言い切っている。
「歴史の中には三大装飾芸術しか存在しない。ギリシア、オリエント、そしてフランスの芸術である」
第10章 修道院の刻印
1.修道院生活における超自然/天使と悪魔の役割/サタンの類型/モアサック芸術における悪魔/ブルゴーニュ芸術における悪魔/修道士の夜の幻視と芸術
2.修道士と女性/誘惑/オータンの大聖堂とヴェズレーの修道院の柱頭彫刻/蛇のからみつく女性
本章は短いが、とても面白い。
修道士たちの生活の不思議さが語られている。
日常的に死者と会話し、亡霊と出逢い、天使を迎え入れ、悪魔に誘惑される。
また、修道士を誘惑する悪魔の手先として、女性も恐れられていた。
教会に女性が入ってきたらミサは中断され、院長は罷免され、修道士たちは断食させられたのだ。
修道院長が厳しく女人禁制を課する理由をエミール・マールはひとことで解説している。
「修道士が誘惑に負けることがあまりに確実だったからである」
第11章 図像に飾られた12世紀の扉口
1.フランス南西部の扉口の三つの型/モアサックのタンパンの「ヨハネの幻視」/そのモチーフはピレネー山脈まで広まる/それはフランスの西部と中部にも広まる/シャルトル、ル・マン、アンジェ、サン・ルー・ド・ノー、プロヴァン、ブールジュにおけるモアサックとカレナックのタンパンの模倣/クリュニーの壮大なタンパンはモアサックのタンパンを模倣していたにちがいない/ブール・アルジャンタル、シャルリューにおけるクリュニーのタンパンの模倣/ブルゴーニュにおけるイル・ド・フランスのタンパンの模倣/サン・ドニ、シャルトル、ル・マンの人像円柱/それらは旧約の諸人物を表現している/鵞鳥の足を持つ女王
2.「キリストの昇天」/カオールのタンパン/モーリアックとアングレームで模倣されたカオールのタンパン/アングレームの「昇天」図の二つの意味/カオールの「昇天」図を模倣したシャルトルの「昇天」図/ブルゴーニュの「昇天」図
3.「最後の審判」/ボーリューのタンパン/サン・ドニで模倣されたボーリューのタンパン/コルベイユとランの「最後の審判」図/コンクの「最後の審判」図/そのオーヴェルニュ起源/聖ミカエルと秤/ブルゴーニュの「最後の審判」図/オータンとマコンの「最後の審判」図
4.ブルゴーニュの扉口タンパンにおける「最後の晩餐」と「弟子の足を洗う」/これらの扉口は異端者たちに対して秘跡という神の制度を顕示する/「パンの増加」と「キリストの磔刑」を刻む浮彫はそれと同じ性格を持つ/クリュニーの役割/クリュニーの刻印/ヌヴェールのサン・ソヴールのタンパン
5.聖母に捧げられた扉口/12世紀の聖母崇敬/「マギの礼拝」、聖母崇敬の最初の形/タンパンにおける「荘厳の聖母」/ブルゴーニュに現われた聖母立像/「テオフィロスの夢」/「聖母の死」、「聖母の葬送」、「聖母の戴冠」/サンリスの扉口
6.フランス西部の諸教会と図像を刻むその弧帯の意味
7.13世紀の扉口の諸要素はすべて12世紀に存在していた
扉口の上の半円型の彫刻部分をタンパンと呼ぶ。
教会に入ろうとするものは、まずタンパンを下から仰ぎ見ることになる。ロマネスクの芸術家はタンパンに偉大な理念を凝縮させようとしていたのだ。
12世紀、南フランスで創り出された3つの型は「ヨハネの黙示録」「昇天するキリスト」「最後の審判」だ。
偉大なる13世紀においては、これらのうち、「最後の審判」だけが特権的に選択され、さらに「聖母」を主題とする芸術が開花するのである。
さーて、上下読んだが、三部作の中ではたぶんこれが一番地味な巻なんじゃないか、と思う。岩波文庫版を読んでいるかぎり、次のゴシック論では、「おお、そう来るか!」と腰をぬかすアプローチが展開されるはずなのだ。
エミール・マールの『ロマネスクの図像学』下巻。
本書は中世図像体系3部作の1冊め(取扱っている時代がもっとも古いという意味。執筆順では最後になる)で、以前とりあげた岩波文庫版の『ヨーロッパのキリスト教美術』の元になった大著だ。(その日記、内容について何も書けなかった!)
詳細目次
第7章 図像の多様化−イタリアの巡礼路
1.ローマ/コンスタンティヌス像と誤解されたマルクス・アウレリウス像/それはフランス西部の諸教会において模倣された
2.ローマ/聖ペトロ像
3.ルッカ/ルッカの奇跡の十字架とその影響
4.ガルガーノ山と聖ミカエル崇拝/イタリア型聖ミカエル像の伝播/ノルマンディーのモン・サン・ミッシェル
5.イタリア諸街道におけるフランス叙事詩/『ロランの歌』とブリンディジのモザイク/ヴェローナの大聖堂におけるロランとオリヴィエ/モデナの大聖堂における「円卓の騎士」/ペザーロにおける『トロイ物語』/オトラントとボルゴ・サン・ドンニーノにおける『アレクサンドロス大王物語』/
6.フランス芸術は巡礼路を通じてイタリアに浸透した/説話的タンパン/彫刻された弧帯/扉口の彫像群/アンテラミはパルマとボルゴ・サン・ドンニーノにおいてフランス芸術を模倣した
このあたりの章は、巡礼路にそって、キリスト教美術を解読していく旅のガイドブックみたいなものだ。
中世の人々から最初のキリスト教皇帝コンスタンティヌスの像として讃美されていた騎馬像が、ミケランジェロの忠告によって場所替えしたエピソードは、『ヨーロッパのキリスト教美術』でも取り上げられていた、面白いエピソード。その像はコンスタンティヌス像ではなく、マルクス・アウレリウスの像だったのだ。マルクス・アウレリウスは、ストア派哲学者でキリスト教を迷信として迫害したローマ皇帝である。正反対だ!
第8章 図像の多様化−フランスとスペインの巡礼路
1.聖母ゆかりの巡礼地/シャルトル。パリやブールジュで模倣されたシャルトルのタンパンの聖母/クレルモン。クレルモンの聖母とオーヴェルニュにおけるその影響/ル・ピュイ
2.サンティヤゴ・デ・コンポステーラへの道/巡礼たちが訪れる聖地/聖ヤコブ伝説の起源/クリュニー修道会による巡礼の組織化
3.聖ヤコブの芸術とその諸経路/巡礼によって創造された使徒聖ヤコブの新しい図像
4.サンティヤゴ街道にある大教会/それらの大教会はトゥールのサン・マルタン教会に由来する/サンティヤゴ巡礼路のロマネスク彫刻/ゴシック彫刻は、サンティヤゴ巡礼路をとおってフランス南部とスペインに浸透する
5.巡礼と叙事詩/ガティネ地方フェリエール教会の扉口に見られる小ピピン伝説/シャルルマーニュのエルサレム巡礼とサン・ドニ教会のステンドグラス/モーのサン・ファロン修道院のオジエの墓/ロンスヴォー修道院内のロラン像、またはおそらくはリモージュのノートルダム・ド・ラ・レーグルにも/コンク、ブリウド、アジャンの教会の柱頭に関する推測/アンボアーズの『狐物語』/教会の中に彫像化された旅芸人たち
第9章 芸術における百科全書的性格−世界と自然
1.12世紀の宇宙観/ランスのサン・ルミのモザイク−自然の中の楽人ダビデ/クリュニーの柱頭彫刻/音楽に表わされた世界
2.12世紀の地理/古代の伝説/クテシアス、メガステネス、プリニウス、ソリヌスたちの怪物についての架空譚/この世の不思議を描いたスーヴィニーの石柱/ヴェズレーのタンパンと使徒たちに教化されたさまざまな民族
3.「動物寓意譚」に見られる動物たち/その象徴的意味/「動物寓意譚」の写本挿絵の影響/寓話/ロバの楽士
4.柱頭彫刻の動物たち/そこに象徴的意味はない/その動物たちはオリエントの織物から借りてきた/西欧におけるオリエントの織物/西欧の芸術がそれに負うているもの/向かい合った動物たち/双頭の鷲/西欧の柱頭彫刻に見られるカルデア芸術とアッシリア芸術の影響/二頭のライオンを絞め殺す英雄ギルガメッシュ/アッシリアのスフィンクスと人面の牛/頸を絡ませた鳥たち/頭が1つ、胴が2つの動物たち/二頭の動物の闘い
5.古典装飾は12世紀芸術にはほとんど見られない/器の両側で向かい合うグリフォンたち/オリエント装飾が13世紀まで支配的である
12世紀の宇宙観はそのまま古代の宇宙観でもある。
恒星と惑星が円を描く天動説。土・火・水・空気の四元素とその中間的元素からなる宇宙。
ピタゴラスの神秘的数学に夢中だった12世紀のヨーロッパ人は、四元素に四方位に四季に四体液(血液/粘液/胆汁/黒胆汁)に魂の四枢要徳(思慮/正義/勇気/節制)などを結び付けて「4」の神秘を感じ、惑星の数とグレゴリオ聖歌(宇宙の調和を象徴する)の音の数から「7」を神秘化した。
また、宇宙と人体との照応を感じ取っていた。
この章は、こういった中世の宇宙観や、怪物たちの記述が多くて楽しい。
上にもあげたが、それらオリエント由来の怪物たちの装飾芸術は特に教化を意図したものではなく、人々を楽しませるためのものだったのだ。
エミール・マールはこう言い切っている。
「歴史の中には三大装飾芸術しか存在しない。ギリシア、オリエント、そしてフランスの芸術である」
第10章 修道院の刻印
1.修道院生活における超自然/天使と悪魔の役割/サタンの類型/モアサック芸術における悪魔/ブルゴーニュ芸術における悪魔/修道士の夜の幻視と芸術
2.修道士と女性/誘惑/オータンの大聖堂とヴェズレーの修道院の柱頭彫刻/蛇のからみつく女性
本章は短いが、とても面白い。
修道士たちの生活の不思議さが語られている。
日常的に死者と会話し、亡霊と出逢い、天使を迎え入れ、悪魔に誘惑される。
また、修道士を誘惑する悪魔の手先として、女性も恐れられていた。
教会に女性が入ってきたらミサは中断され、院長は罷免され、修道士たちは断食させられたのだ。
修道院長が厳しく女人禁制を課する理由をエミール・マールはひとことで解説している。
「修道士が誘惑に負けることがあまりに確実だったからである」
第11章 図像に飾られた12世紀の扉口
1.フランス南西部の扉口の三つの型/モアサックのタンパンの「ヨハネの幻視」/そのモチーフはピレネー山脈まで広まる/それはフランスの西部と中部にも広まる/シャルトル、ル・マン、アンジェ、サン・ルー・ド・ノー、プロヴァン、ブールジュにおけるモアサックとカレナックのタンパンの模倣/クリュニーの壮大なタンパンはモアサックのタンパンを模倣していたにちがいない/ブール・アルジャンタル、シャルリューにおけるクリュニーのタンパンの模倣/ブルゴーニュにおけるイル・ド・フランスのタンパンの模倣/サン・ドニ、シャルトル、ル・マンの人像円柱/それらは旧約の諸人物を表現している/鵞鳥の足を持つ女王
2.「キリストの昇天」/カオールのタンパン/モーリアックとアングレームで模倣されたカオールのタンパン/アングレームの「昇天」図の二つの意味/カオールの「昇天」図を模倣したシャルトルの「昇天」図/ブルゴーニュの「昇天」図
3.「最後の審判」/ボーリューのタンパン/サン・ドニで模倣されたボーリューのタンパン/コルベイユとランの「最後の審判」図/コンクの「最後の審判」図/そのオーヴェルニュ起源/聖ミカエルと秤/ブルゴーニュの「最後の審判」図/オータンとマコンの「最後の審判」図
4.ブルゴーニュの扉口タンパンにおける「最後の晩餐」と「弟子の足を洗う」/これらの扉口は異端者たちに対して秘跡という神の制度を顕示する/「パンの増加」と「キリストの磔刑」を刻む浮彫はそれと同じ性格を持つ/クリュニーの役割/クリュニーの刻印/ヌヴェールのサン・ソヴールのタンパン
5.聖母に捧げられた扉口/12世紀の聖母崇敬/「マギの礼拝」、聖母崇敬の最初の形/タンパンにおける「荘厳の聖母」/ブルゴーニュに現われた聖母立像/「テオフィロスの夢」/「聖母の死」、「聖母の葬送」、「聖母の戴冠」/サンリスの扉口
6.フランス西部の諸教会と図像を刻むその弧帯の意味
7.13世紀の扉口の諸要素はすべて12世紀に存在していた
扉口の上の半円型の彫刻部分をタンパンと呼ぶ。
教会に入ろうとするものは、まずタンパンを下から仰ぎ見ることになる。ロマネスクの芸術家はタンパンに偉大な理念を凝縮させようとしていたのだ。
12世紀、南フランスで創り出された3つの型は「ヨハネの黙示録」「昇天するキリスト」「最後の審判」だ。
偉大なる13世紀においては、これらのうち、「最後の審判」だけが特権的に選択され、さらに「聖母」を主題とする芸術が開花するのである。
さーて、上下読んだが、三部作の中ではたぶんこれが一番地味な巻なんじゃないか、と思う。岩波文庫版を読んでいるかぎり、次のゴシック論では、「おお、そう来るか!」と腰をぬかすアプローチが展開されるはずなのだ。
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