海賊ブラッド、大盗賊
2006年7月12日 映画
マイケル・カーティス監督の「海賊ブラッド」を見た。1935年
やっぱり「ヨットクラブ」を読んだあとは、これでしょう!と勝手なチョイスだ。
主役はエロール・フリン。医者だったエロール・フリンが、反逆者を治療したために国王の逆鱗に触れ、逮捕され奴隷として売られる。その後、逃亡して海賊になる。
ヒロインはオリヴィア・デ・ハビランド。最初はエロール・フリンを奴隷として買うが、恋をして、エロール・フリンが海賊になってからは、すっかり立場が逆転する。
「リボンの騎士」(またしても、手塚治虫の影響!)に海賊ブラッドが登場するせいか、海賊ものの定番中の定番だったせいか、見ていて、「まるで、手塚治虫の漫画みたい!」と思っていた。もちろん、事情は逆である。海賊ブラッドがもともと善良な医者だった、という設定にも手塚治虫を連想させるものがあったのだろう。
チャンバラもあるし、恋がスムーズに行かないことで海賊ブラッドともあろう人が自暴自棄になるシーンもあるし、海賊船の中が規律で統制された一つの独立国めいたものになる描写も少年時代の夢をくすぐってあまりある。
この手の冒険活劇で主人公をつとめる、エロール・フリンやダグラス・フェアバンクス、ちょっと遡ってルドルフ・ヴァレンチノの映画って、文句なしに面白い!ツッコめばツッコめるのかもしれないけど、あんまりツッコむ気がしない。昔の作品にツッコむのって、ツッコんでる側の品性下劣をあからさまにしちゃうしね。
ところで、ヒーロー、エロール・フリンの官能性は、僕の場合、主に言葉から来たものだ。
「エロ」ール・「不倫」
やはり「ヨットクラブ」読んだあとは、これかな?と見た映画が「大盗賊」
谷口千吉監督、1963年。これが、めちゃくちゃ面白かった。特技監督は円谷英二。
主役は三船敏郎。三船!いかにも海賊ものにぴったりのネーミングだ!
三船敏郎が演じるのは、呂宋助左衛門。だが、実在の呂宋助左衛門とはまったく関係のない大活劇。彼は「スケザ」と呼ばれていたので、これからは「スケザ」と表記する。
スケザは海賊じゃないのに、海賊の容疑で捕らえられ、火あぶりの刑を受ける。しかし、火あぶりの樽の中から出て来たのはスケザじゃなくて、岩。「御苦労」のはり紙がしてある。金を使って逃れていたスケザは、「よーし、そんなに言うなら、本当に海賊になってやる!」と反逆者になるのだ。このあたりは、「海賊ブラッド」で医者だったピーターが逮捕されて海賊になったのと同じような経緯だ。
その後は嵐にあって、残酷な黒海賊に襲われ、どこだかよくわからない南国に流れつき、そこでの活劇の物語になる。
民を苦しめるバカ国王、だと思ってたら、実はワルは宰相(中丸忠雄)だった。
宰相は魔法使いの婆(ババ)に毒薬を作らせ、それを王に飲ませることで、王は長い闘病生活を送っていたのだ。この薬というのが、いかにもな薬で愉快。ぐつぐつ煮込む大鍋をかきまわし、ときおり箸で内容をつまみあげると、それはムカデとかトカゲ。
ババは眼力で見たものを石化する妖術を持っている。メデューサやゴーゴンみたいなものだ。と、いうことは、最後どうなるのか、なんとなく、結末が予想できよう。そう。まさしくその通り。この結末は乱歩の「魔術師」も想起させる。ちなみにババは天本英世が演じている。
姫は浜美枝。ヤヤ姫という名だ。ヤヤ姫は明国公子(船戸順)と結婚の約束をしているが、宰相は狙ってるし、スケザもヤヤ姫を好きになるし、黒海賊(宰相が黒幕)の大将もヤヤ姫欲しさに宰相の言うことをきいている。
まあ、とにかく話は、宰相の悪だくみを、スケザや、山賊(水野久美演じる女首領がスケザに恋する)や、ヤヤ姫、明の結婚相手、さらには、仙人(久米の仙人の子孫で、肝心なときに女の色香に迷って失敗ばかりする。有島一郎)などの働きにより、阻止する、と。わかりやすい活劇。
見どころは満載。
ヤヤ姫は綺麗だし、ヤヤ姫のおつきの若林映子もいい。洗濯中、その胸やふとももで仙人を惑わせてしまう。
宰相側の豪傑、田崎潤(連想ゲーム)は両手に十手を持つ格闘技の名手。黒海賊を率いる佐藤允(ヤマちゃん)は棒術の名手。ヤヤ姫を守る2メートルの巨人(金栄珠)は怪力の持ち主。これら錚々たる相手とスケザとの闘いが、半端なく面白い。スケザはヤヤ姫にいただいた王の剣を使って闘うのだ。異種格闘技ぶりは、まるで「死亡遊戯」だ!
ヤヤ姫のボディガードが巨人なら、いつも宰相のまわりにいるのは小人だ。はっきり顔が見えなかったが、誰だったんだろう。
人を石化するババとたよりない仙人との魔法合戦も面白い。
宰相がヤヤ姫にうつつをぬかしているのに嫉妬した女官、草笛光子が裏切るのもお約束。
スケザが城に潜入するのに、大凧に乗っていくのも愉快。何かとルパン3世を思い出させるシチュエーションが多いなあ。
田崎潤は生きた大きなガマの足を噛みちぎるし、投げた十手は生きた鶏に突き刺さる。この頃の映画では、動物は簡単に殺されていたのだ。
さらには、宰相の最期がすごい。城からの跳ね上げ橋がおりてきて、下に倒れていた宰相は橋に半身をはさまれて、プチッ!カリオストロか!
誰も姿を見たことがない国王が、仙人のおかげで病気が治ってみたら、志村喬だったとわかるサプライズもある。
一件落着後、スケザはその国での地位も名誉も財産も約束されるが、自分が求めるものは別にある、と船出していく。女盗賊の水野久美は崖からスケザに「食い逃げ野郎〜!」と叫ぶお別れシーン。
ああ、面白かったなあ。
公開時は「くたばれ!無責任」と2本立てだったらしい。キャー!その頃見たかったなあ。
ちなみに、続編みたいな映画「奇巌城の冒険」(1966年)は映画館でリアルタイムで見ている。
もうちょっと生まれてくるのが早ければ、見てたかもね!
やっぱり「ヨットクラブ」を読んだあとは、これでしょう!と勝手なチョイスだ。
主役はエロール・フリン。医者だったエロール・フリンが、反逆者を治療したために国王の逆鱗に触れ、逮捕され奴隷として売られる。その後、逃亡して海賊になる。
ヒロインはオリヴィア・デ・ハビランド。最初はエロール・フリンを奴隷として買うが、恋をして、エロール・フリンが海賊になってからは、すっかり立場が逆転する。
「リボンの騎士」(またしても、手塚治虫の影響!)に海賊ブラッドが登場するせいか、海賊ものの定番中の定番だったせいか、見ていて、「まるで、手塚治虫の漫画みたい!」と思っていた。もちろん、事情は逆である。海賊ブラッドがもともと善良な医者だった、という設定にも手塚治虫を連想させるものがあったのだろう。
チャンバラもあるし、恋がスムーズに行かないことで海賊ブラッドともあろう人が自暴自棄になるシーンもあるし、海賊船の中が規律で統制された一つの独立国めいたものになる描写も少年時代の夢をくすぐってあまりある。
この手の冒険活劇で主人公をつとめる、エロール・フリンやダグラス・フェアバンクス、ちょっと遡ってルドルフ・ヴァレンチノの映画って、文句なしに面白い!ツッコめばツッコめるのかもしれないけど、あんまりツッコむ気がしない。昔の作品にツッコむのって、ツッコんでる側の品性下劣をあからさまにしちゃうしね。
ところで、ヒーロー、エロール・フリンの官能性は、僕の場合、主に言葉から来たものだ。
「エロ」ール・「不倫」
やはり「ヨットクラブ」読んだあとは、これかな?と見た映画が「大盗賊」
谷口千吉監督、1963年。これが、めちゃくちゃ面白かった。特技監督は円谷英二。
主役は三船敏郎。三船!いかにも海賊ものにぴったりのネーミングだ!
三船敏郎が演じるのは、呂宋助左衛門。だが、実在の呂宋助左衛門とはまったく関係のない大活劇。彼は「スケザ」と呼ばれていたので、これからは「スケザ」と表記する。
スケザは海賊じゃないのに、海賊の容疑で捕らえられ、火あぶりの刑を受ける。しかし、火あぶりの樽の中から出て来たのはスケザじゃなくて、岩。「御苦労」のはり紙がしてある。金を使って逃れていたスケザは、「よーし、そんなに言うなら、本当に海賊になってやる!」と反逆者になるのだ。このあたりは、「海賊ブラッド」で医者だったピーターが逮捕されて海賊になったのと同じような経緯だ。
その後は嵐にあって、残酷な黒海賊に襲われ、どこだかよくわからない南国に流れつき、そこでの活劇の物語になる。
民を苦しめるバカ国王、だと思ってたら、実はワルは宰相(中丸忠雄)だった。
宰相は魔法使いの婆(ババ)に毒薬を作らせ、それを王に飲ませることで、王は長い闘病生活を送っていたのだ。この薬というのが、いかにもな薬で愉快。ぐつぐつ煮込む大鍋をかきまわし、ときおり箸で内容をつまみあげると、それはムカデとかトカゲ。
ババは眼力で見たものを石化する妖術を持っている。メデューサやゴーゴンみたいなものだ。と、いうことは、最後どうなるのか、なんとなく、結末が予想できよう。そう。まさしくその通り。この結末は乱歩の「魔術師」も想起させる。ちなみにババは天本英世が演じている。
姫は浜美枝。ヤヤ姫という名だ。ヤヤ姫は明国公子(船戸順)と結婚の約束をしているが、宰相は狙ってるし、スケザもヤヤ姫を好きになるし、黒海賊(宰相が黒幕)の大将もヤヤ姫欲しさに宰相の言うことをきいている。
まあ、とにかく話は、宰相の悪だくみを、スケザや、山賊(水野久美演じる女首領がスケザに恋する)や、ヤヤ姫、明の結婚相手、さらには、仙人(久米の仙人の子孫で、肝心なときに女の色香に迷って失敗ばかりする。有島一郎)などの働きにより、阻止する、と。わかりやすい活劇。
見どころは満載。
ヤヤ姫は綺麗だし、ヤヤ姫のおつきの若林映子もいい。洗濯中、その胸やふとももで仙人を惑わせてしまう。
宰相側の豪傑、田崎潤(連想ゲーム)は両手に十手を持つ格闘技の名手。黒海賊を率いる佐藤允(ヤマちゃん)は棒術の名手。ヤヤ姫を守る2メートルの巨人(金栄珠)は怪力の持ち主。これら錚々たる相手とスケザとの闘いが、半端なく面白い。スケザはヤヤ姫にいただいた王の剣を使って闘うのだ。異種格闘技ぶりは、まるで「死亡遊戯」だ!
ヤヤ姫のボディガードが巨人なら、いつも宰相のまわりにいるのは小人だ。はっきり顔が見えなかったが、誰だったんだろう。
人を石化するババとたよりない仙人との魔法合戦も面白い。
宰相がヤヤ姫にうつつをぬかしているのに嫉妬した女官、草笛光子が裏切るのもお約束。
スケザが城に潜入するのに、大凧に乗っていくのも愉快。何かとルパン3世を思い出させるシチュエーションが多いなあ。
田崎潤は生きた大きなガマの足を噛みちぎるし、投げた十手は生きた鶏に突き刺さる。この頃の映画では、動物は簡単に殺されていたのだ。
さらには、宰相の最期がすごい。城からの跳ね上げ橋がおりてきて、下に倒れていた宰相は橋に半身をはさまれて、プチッ!カリオストロか!
誰も姿を見たことがない国王が、仙人のおかげで病気が治ってみたら、志村喬だったとわかるサプライズもある。
一件落着後、スケザはその国での地位も名誉も財産も約束されるが、自分が求めるものは別にある、と船出していく。女盗賊の水野久美は崖からスケザに「食い逃げ野郎〜!」と叫ぶお別れシーン。
ああ、面白かったなあ。
公開時は「くたばれ!無責任」と2本立てだったらしい。キャー!その頃見たかったなあ。
ちなみに、続編みたいな映画「奇巌城の冒険」(1966年)は映画館でリアルタイムで見ている。
もうちょっと生まれてくるのが早ければ、見てたかもね!
コメント