デイヴィッド・イーリイの『ヨットクラブ』を読んだ。
この人の作品は、『37の短編』で読んだ「ヨットクラブ」しか読んだことがなかった。
特に好きな作品ということもなく、作家を追いかけようともしなかった。
でも、はっきりと筋立てを覚えていたので、かなり印象的だったんだな、と思い直した。
この短編集を読んでも、「うわわ、面白〜い!」と感心してばかりだった。
短編「ヨットクラブ」での印象は、ラストのオチで一気に面白くなった、とか思っていたが、そこはそれ、学生時代の浅はかさ。シチュエーションが面白くて、ラストがどうあれ、ずっと読んでいたいと思わせる作品群だった。
今では手に入れにくい長編作品も読んでみたくなってきた。
覚え書きのため、ネタバレしてるので、要注意。
さらに、必ずしも正しいあらすじじゃないので、本当に面白さを味わいたい人は、実際に読んでください。
「理想の学校」
規律の厳しい全寮制の学校。
問題児ばかりが入れられるが、生徒を見ると、はげ頭や白髪も。彼らはここに捨てられたのだ。
「貝殻を集める女」
所有欲の強い女性。貝殻を集める際のえげつなさが、男女の人間関係にも。
「ヨットクラブ」
秘密の会員制クラブに入る資格とは。
すっかり人生に退屈したとき、彼にも入会案内がきた。
ヨットに乗って航海する初老の男たち。ターゲットを確認して、海賊に。
「慈悲の天使」
見知らぬ女が突然、男を誘惑する。美人局か?囮か?
ベッドの上で裸になった女を見て、男はわかる。
ニンフでもなんでもない。こいつは凡庸なただの女だ。
「面接」
たよりない人事担当官が面接をはじめる。会社で用意された面接表に基づいて質問するうちに、面接官は腰がひけてくる。「これはひっかけ問題みたいです」「こんなこと、聞けません」
面接者は、質問に立ち向かい、堂々と受けてたってやる、とばかりに答える。
面接はヒートアップし、面接官は既に逃げ出している。面接者は質問など不要、答えあるのみ、といつまでも熱く答え続けるのだ。
「カウントダウン」
ロケット打ち上げのカウントダウンがはじまった。
乗組員は女好きで、研究開発者の妻にも手を出していたことが判明する。
ひょっとして、妻を寝盗られた恨みで、ロケットに何か細工して、乗員をどうにかしようとしてるんじゃないか?
緊迫する管制室。管制官は打ち上げ中止にするのかどうか決断を迫られる。
なにごともなくロケットは打ち上げられた。
ほっとするのも間もなく、管制官は自分の妻がいないのに気づく。
妻はロケット内で女たらしの乗員とランデブーの真っ最中なのだ。
「タイムアウト」
原子力事故で、イングランドが消滅した。
この事実を隠すため、毎日なにごともなかったかのようにイングランド発のニュースをでっちあげ、また、イングランドを完全に復元するプロジェクトが開始した。
そんなのはニセものだ、と主張する人物が、いたずらを仕掛ける。
今までの歴史を覆すような新発見だってこれからあるはずだ、と、シェイクスピアの劇を書いたのはベーコンだと示す文書など、歴史の創作をふんだんに盛り込みはじめる。
歴史の復元のナンセンスさを主張するためにしたことだったが、これが「なるほど!」と通ってしまう。
「隣人たち」
新しく引っ越してきた住人について、好奇心旺盛に知ろうとする住人たち。
子供がいる、と言ってるけど、そんな子供はみたことがない!
ひょっとすると伝染病で出てこないのなら、われわれ住人にとっても一大事だ!と理屈をつけて、プライバシーに踏み込んでいく。
その結果、この家族の子供は既に亡くなっていることがわかるが、それは触れてほしくないことだった。引っ越していく家族。
「G.O’D.の栄光」
神は死んだ、と言っているが、そんなことはない。だって、私は神なのだから!
新聞に「自分が神だと思っている人、連絡をください」と広告をうつと、わんさか手紙が来た。「どうしてわかったのですか?」と。
「大佐の災難」
大佐に苦情を言いにきた青年。大佐の飼っている牛が、囲いの穴から侵入して、よその草を食べているのだ。
大佐は、かつて近所づきあいで大佐の飼い犬がよそに迷惑をかけた事件について語る。
大佐は、飼い犬を糾弾した隣人をあの手この手で陥れ、破滅させていたのだ。
いや、別に何でもありません、と帰る青年。
「夜の客」
お互いに口もきかなくなった夫婦。
妻に来客があった。楽しそうにあることないことしゃべる妻の口調にイライラする夫。
しかも、その来客は毎晩やってくるのだ。
ある日、夫にも来客があった。同様に妻へのあてこすりをする夫。これも毎晩。
ある夜、2人は気づく。われわれはとんでもない無気味な存在を夜に招き入れているのではないか。逃げ出す2人。
「ペルーのドリー・マディソン」
ジャングルの中で、ブルジョアの作法をひろめようとする人々。
「夜の音色」
どうしようもない奴だと思っていても、ある瞬間、そいつの美点に気づくことがある。
「日曜の礼拝がすんでから」
ペット飼いたさのため、まだ赤ん坊の弟を毒殺しようとする子供。
そこにあらわれた、幼女を狙う殺人鬼。
親に言われたとおり、近くの家のドアをたたき、「あけてください!」
うしろから声が。「お嬢ちゃん、そんなに僕の家に入りたいのかい」
「オルガン弾き」
新しいオルガンは、パンチカードで自動演奏するオルガンだった。
オルガン弾きの立場は?
パンチカードに穴をあけて作曲してみたり、カードを切ってつなぎあわせたりして自分なりの愉しみを見つけるオルガン弾き。
ある日、既に改造しまくった曲を弾かねばならないことになり、カードをむちゃくちゃにして、とんでもない演奏をしでかしてしまう。人々は耳をおさえ、教会は台風一過の状態、ステンドグラスも割れ、けが人や失神者続出。
力なく謝ろうとするオルガン弾きだが、終了後、聴衆は絶大なる拍手でたたえるのだ。
この人の作品は、『37の短編』で読んだ「ヨットクラブ」しか読んだことがなかった。
特に好きな作品ということもなく、作家を追いかけようともしなかった。
でも、はっきりと筋立てを覚えていたので、かなり印象的だったんだな、と思い直した。
この短編集を読んでも、「うわわ、面白〜い!」と感心してばかりだった。
短編「ヨットクラブ」での印象は、ラストのオチで一気に面白くなった、とか思っていたが、そこはそれ、学生時代の浅はかさ。シチュエーションが面白くて、ラストがどうあれ、ずっと読んでいたいと思わせる作品群だった。
今では手に入れにくい長編作品も読んでみたくなってきた。
覚え書きのため、ネタバレしてるので、要注意。
さらに、必ずしも正しいあらすじじゃないので、本当に面白さを味わいたい人は、実際に読んでください。
「理想の学校」
規律の厳しい全寮制の学校。
問題児ばかりが入れられるが、生徒を見ると、はげ頭や白髪も。彼らはここに捨てられたのだ。
「貝殻を集める女」
所有欲の強い女性。貝殻を集める際のえげつなさが、男女の人間関係にも。
「ヨットクラブ」
秘密の会員制クラブに入る資格とは。
すっかり人生に退屈したとき、彼にも入会案内がきた。
ヨットに乗って航海する初老の男たち。ターゲットを確認して、海賊に。
「慈悲の天使」
見知らぬ女が突然、男を誘惑する。美人局か?囮か?
ベッドの上で裸になった女を見て、男はわかる。
ニンフでもなんでもない。こいつは凡庸なただの女だ。
「面接」
たよりない人事担当官が面接をはじめる。会社で用意された面接表に基づいて質問するうちに、面接官は腰がひけてくる。「これはひっかけ問題みたいです」「こんなこと、聞けません」
面接者は、質問に立ち向かい、堂々と受けてたってやる、とばかりに答える。
面接はヒートアップし、面接官は既に逃げ出している。面接者は質問など不要、答えあるのみ、といつまでも熱く答え続けるのだ。
「カウントダウン」
ロケット打ち上げのカウントダウンがはじまった。
乗組員は女好きで、研究開発者の妻にも手を出していたことが判明する。
ひょっとして、妻を寝盗られた恨みで、ロケットに何か細工して、乗員をどうにかしようとしてるんじゃないか?
緊迫する管制室。管制官は打ち上げ中止にするのかどうか決断を迫られる。
なにごともなくロケットは打ち上げられた。
ほっとするのも間もなく、管制官は自分の妻がいないのに気づく。
妻はロケット内で女たらしの乗員とランデブーの真っ最中なのだ。
「タイムアウト」
原子力事故で、イングランドが消滅した。
この事実を隠すため、毎日なにごともなかったかのようにイングランド発のニュースをでっちあげ、また、イングランドを完全に復元するプロジェクトが開始した。
そんなのはニセものだ、と主張する人物が、いたずらを仕掛ける。
今までの歴史を覆すような新発見だってこれからあるはずだ、と、シェイクスピアの劇を書いたのはベーコンだと示す文書など、歴史の創作をふんだんに盛り込みはじめる。
歴史の復元のナンセンスさを主張するためにしたことだったが、これが「なるほど!」と通ってしまう。
「隣人たち」
新しく引っ越してきた住人について、好奇心旺盛に知ろうとする住人たち。
子供がいる、と言ってるけど、そんな子供はみたことがない!
ひょっとすると伝染病で出てこないのなら、われわれ住人にとっても一大事だ!と理屈をつけて、プライバシーに踏み込んでいく。
その結果、この家族の子供は既に亡くなっていることがわかるが、それは触れてほしくないことだった。引っ越していく家族。
「G.O’D.の栄光」
神は死んだ、と言っているが、そんなことはない。だって、私は神なのだから!
新聞に「自分が神だと思っている人、連絡をください」と広告をうつと、わんさか手紙が来た。「どうしてわかったのですか?」と。
「大佐の災難」
大佐に苦情を言いにきた青年。大佐の飼っている牛が、囲いの穴から侵入して、よその草を食べているのだ。
大佐は、かつて近所づきあいで大佐の飼い犬がよそに迷惑をかけた事件について語る。
大佐は、飼い犬を糾弾した隣人をあの手この手で陥れ、破滅させていたのだ。
いや、別に何でもありません、と帰る青年。
「夜の客」
お互いに口もきかなくなった夫婦。
妻に来客があった。楽しそうにあることないことしゃべる妻の口調にイライラする夫。
しかも、その来客は毎晩やってくるのだ。
ある日、夫にも来客があった。同様に妻へのあてこすりをする夫。これも毎晩。
ある夜、2人は気づく。われわれはとんでもない無気味な存在を夜に招き入れているのではないか。逃げ出す2人。
「ペルーのドリー・マディソン」
ジャングルの中で、ブルジョアの作法をひろめようとする人々。
「夜の音色」
どうしようもない奴だと思っていても、ある瞬間、そいつの美点に気づくことがある。
「日曜の礼拝がすんでから」
ペット飼いたさのため、まだ赤ん坊の弟を毒殺しようとする子供。
そこにあらわれた、幼女を狙う殺人鬼。
親に言われたとおり、近くの家のドアをたたき、「あけてください!」
うしろから声が。「お嬢ちゃん、そんなに僕の家に入りたいのかい」
「オルガン弾き」
新しいオルガンは、パンチカードで自動演奏するオルガンだった。
オルガン弾きの立場は?
パンチカードに穴をあけて作曲してみたり、カードを切ってつなぎあわせたりして自分なりの愉しみを見つけるオルガン弾き。
ある日、既に改造しまくった曲を弾かねばならないことになり、カードをむちゃくちゃにして、とんでもない演奏をしでかしてしまう。人々は耳をおさえ、教会は台風一過の状態、ステンドグラスも割れ、けが人や失神者続出。
力なく謝ろうとするオルガン弾きだが、終了後、聴衆は絶大なる拍手でたたえるのだ。
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