ジム・キャリー主演の「マン・オン・ザ・ムーン」を見た。ミロシュ・フォアマン監督、1999年。
アンディ・カウフマンの伝記映画。
冒頭から、いきなり「もう映画は終わった」と言って、エンドクレジットが流れ、画面は真っ暗になる。時間がたってから、そーっとジム・キャリーが観客席をのぞきこむ。映画のはじまりだ。
アンディが35才で死ぬまでに残したネタの数々は、衝撃としかいいようがない。

カーター大統領の物真似。
「私はアメリカ大統領、ジミー・カーターです」
と、自己紹介する。声や口調はまったく似ていない。

レコードをかけて、モジモジしている。
サビの部分では人が変わったように、堂々と一緒に歌い、あとはまたモジモジ。

大勢の観客を前に、小説の朗読をはじめる(華麗なるギャツビー)。
退屈した観客が、いつものネタをやってくれ、と言うと、「本を読むのがいいか、それとも、レコードかけるのがいいか」と聞く。
客が「レコード」をリクエストするが、レコードにも本の朗読がふき込んである。
客が三々五々帰っていくなかで、最後まで小説を読む。

トニー・クリフトンという別人になりすまして、客に不快感を覚えさせる芸をする。
別人が扮装して、トニーとアンディが同じステージに立つことも。

世界無性別級チャンピオンと称して、女性観客から希望者を募りプロレスする。

テレビ番組で、わざと垂直同期を狂わせて、テレビの故障と思わせる。

客の「あのネタをやってくれ!」という期待には背を向け、客をしらけさせたり、理解できなかったり、怒ったりする芸でも、自分が面白いと思うことをやり続けたアンディ。
十八番のネタを持ちながら、「レパートリー」として同じことを繰り返したり、観客の安心感を保証するようなステージをしなかった、いわばムラのあるアンディ。
僕は無知なことに、この映画を見るまで、アンディ・カウフマンのことは、名前しか知らなかった。でも、ジム・キャリーは大好きだし、公開当初から、この映画を見たいとずっと思っていた。それが、やっと今見ることになったのには、理由がある。
先にこの映画を見た人のうち何人かが、僕に見ろ見ろとしつようにすすめるのだ。
そのときから、僕には何か予感のようなものがあった。
最近、芸のことなどを考える機会があって、この映画をやっと見ることになったのだが、僕の予感めいたものは、間違っていなかった。
他人事とは思えない。
実際のアンディ・カウフマンの映像を見たい。

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