戦時下に戦意昂揚のために作られたアニメ映画「桃太郎・海の神兵」を見た。
GHQに焼却されたと思われていたが、1984年にフィルムが発見された。
この映画の見どころは、後半での、非情な桃太郎が角を生やした白人たちを無条件降伏に追い込むところだと言われている。
南方の動物たちは桃太郎軍を心から迎え入れて、五十音を習ったりする。
こういう映画見ると、戦争は人を狂わせるのだな、と思えるし、この映画に疑問を抱かなかった日本人は負けてよかったのだと思う。
戦争を肯定するための映画なんだから、狂ってるのは当然なのだが、僕が見たところ、この映画の本当の価値は、前半にあるように感じた。
前半は、兵隊さんたちが故郷に帰ってきて、それをみんなが迎え、「兵隊さん、かっこいい」というような雰囲気のなごんだ日常が描かれる。
登場するのは、みんな猿とか熊とかばかりで、ファンシーなキャラクターたちが、殺しと破壊に日々励んでいたことを嬉々として語り、それを村のみんなが「もっと殺しまくってね」といたわるのだ。
その描写のなんとやわらかで、のどかなこと。
狂気は激しいアクションによって描かれるのではなく、静かな日常で、微笑みをたたえながらより恐さを増すのだ。

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