杉山亮選・解説による『のどかで懐かしい「少年倶楽部」の笑い話』を読んだ。
大正3年から昭和37年まで出版された子供雑誌『少年倶楽部』の読者投稿欄から選ばれた笑い話を、昭和初期、昭和10年代、戦時下、戦争後に分けて載せてある。
「のどかで懐かしい」と断ってあるかぎりは、きっと面白くないんだろうな、と思い込んでいたら、これが結構面白かった。
たとえば、昭和5年8月号の「麒麟の首」と題する笑い話は、次のとおり。

先生「麒麟の首はなぜあんなに長いのでせう」
生徒「だって、あんなに高いところに顔があるんですもの」

うまい!
僕も自分のホームページの「質問掲示板」で、いろんな問答を載せているが、こういう発想の転換はなかなか出来ない。自分の思考回路が出来上がってしまい、ちょっとやそっとでは、違ったものの見方ができないのだ。
また、時代を感じさせる笑い話も興味深い。
昭和15年12月号の「かんちがひ」はこんな話。

生徒「先生、こんどの旅行はどこですか」
先生「こんどの旅行は中止です」
生徒「え、中支ですか。すごいなあ」

昭和10年11月号の「国史」はこんな話。

国史の時間、先生大きな声でテーブルをたたきながら
「逆賊北條高時を滅ぼしたのは誰ですか。誰か。忘れたのか…吉井君!」
わき見していた吉井君、泣き声で
「先生、僕ぢゃありません」

これなどは、のどかな笑い話になるのだろうか。

なお、杉山氏は、解説で最近の「笑い」について、こう書いている。

最近では、考えこまれたシャープなギャグは減り、楽屋ネタが乱発され、その場でしかわからない使い捨てのリアクション芸なるものが主流となりました。

また、さらに、こんなことも。

(現在の)子供たちの笑いは、しばしば攻撃的に過ぎたり、一部の者にしかわからなかったりします。ダジャレと下ネタをいう者が「おもしろい子」といわれ、笑いの背景に子どもなりの教養を感じません

自分のパフォーマンスや、イベントが、陥りそうな質の低下を突かれたような思い。

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