エリック・ブレス、J・マッキー・グルーバー監督、脚本の映画「バタフライ・エフェクト」を見に行った。主演アシュトン・カッチャー。
ラブストーリーではあるが、サスペンスに富んだ、ちょっとこわい映画だった。
主人公はときどきブラックアウトする。その間の記憶が何もない。彼を救うために出てくるのが「バタフライ探検隊」だ。(嘘)
彼は自分が残した過去の日記を読むことで、その時にタイムスリップすることができる。で、過去から自分の人生をやりなおすことができるのだ。過去のある瞬間に、どんな選択をするかによって、後の人生が大幅に変わってしまう。彼は何度も人生をやりなおすが、好きな彼女を幸せにしてやることができない。ラストで彼が過去に戻り、とった行動はとてもせつない。彼女はそれで幸せになるのかもしれないが。
これじゃ、相手の幸せのために自分は身をひく、という古典的な弱虫のとる行動じゃないか。
だが、日記を読んでその頃に戻り、空白の記憶の部分に後から好きな選択をあてはめることができる、という発想は魅力的だった。僕だって、「あの時、思いきってこうしておけばよかった」と切実に思うことが多々あるからだ。でも、過去に遡ってある選択をしたことによって、自分がもう現在には存在しない(死んでしまう)場合は、どうするつもりだったんだろう。僕もこのblogを使って過去に遡ってみたい。たかだか1年の間にも、重大な転換点はいくつかあった。

マノエル・ド・オリヴェイラ監督の「家宝」を見た。
主人公のカミーラを演じたのはレオノール・バルダック。「家宝」の原作者アグシティナ・ベッサ=ルイーシュの孫娘だ。まさに家宝。
主人公カミーラはその美しさによって「家宝」と讃えられる。「家宝は自ら輝く」の言葉どおり、彼女は心の強い女性でもあった。彼女は遺産を相続したアントニオと結婚する。彼女はアントニオだけでなく、彼女を愛するジョゼ(メイドの息子)、彼女を屋敷から追い出そうとする遣り手のあばずれヴァネッサ(アントニオの元恋人)を翻弄する。カミーラがどんな女性かを、映画の中では「誠実だが、何にも関心を持てない」と表現していた。映画ではマリア様の絵画がキーポイントで映される。主人公カミーラは一見天使、実は悪魔、ところが本当は聖女だったんじゃないか、と思った。ひとことで悪と決めつけられない謎がカミーラにはある。
男は女を弱いものと決めつけて、自分の自由になると思い込むふしがある。大馬鹿だ。
好きな女性が何かを企んでいて、それが自分にとって不利になることであっても、男たるもの、その企みを過剰に達成させてあげて、企みのもつ卑しさを思い知らせてやるべきなのだ。男たるもの、なんて言葉はくだらないけど、自分の行動を自分に納得させるためのスプリングボードにはなる。これは、僕の恋愛が今まで「じゃじゃ馬ならし」パターンが多かったこととも関係しているのだろう。
この映画の撮影はレナート・ベルタ。ストローブ&ユイレやアモス・ギタイの作品などを撮影している。さすがに映像がただものじゃない。
オリヴェイラ監督(1908年生まれ)についての豆知識を一つ。
オリヴェイラ監督の初の劇映画は「アニキ・ボボ」(1942年)。いいタイトル!

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