麻耶雄嵩の作品は、破格なところが好きなのだが、この本はそれほど破格ではなく、普通によく出来た本格作品だな、と思った。
それでも、やはり人並みでない趣向もある。
ネタバレ平気なので、いやな人はこの後読まないこと。
本書に収められた4つの短編は舞台となった場所がほぼ同じで、このあたりに「白い幽霊」が出ると噂がたっている。
4作品とも、事件の解決に幽霊が一役買っているのだ。
幽霊を目撃した、という証言を、おまえさん、いつ聞いたんだね?という時間の前後関係から矛盾がつかれたり。
大騒ぎしているのに、ひとりだけその騒ぎに目を向けようとしない男がいる。彼はなぜそっちを見ることができないかというところから、推理がはじまるケースもある。彼は幽霊を見るのをおそれていたのだ。(そっちを見たら幽霊を見ちゃう、と思ったのだ。彼はそこで殺人を犯したんだから)
あと、名探偵が登場するが、ワトソン役の記述者が名探偵をうまく真相に誘導している、という設定にしている。
名探偵よりもその助手的人物が実は真相をつかんでいるのだ。
まるで名探偵コナンじゃないか。あの話、タイトルは名探偵コナンだけど、謎ときはコナンがしたという体裁をとっていないので、世間から見ればちっとも名探偵コナンじゃないのだ。
全然違う?そいや、そいや、そいや、そいや、そのとおり!
そういう設定が話に有機的に働いているわけではないので、いらない趣向なのだが、不要な趣向でも無いよりはマシか。
この名探偵木更津は『翼ある闇』という作品にも出て来た、お馬鹿な名探偵なので、シリーズものっぽい展開されたんではかなわない、と思ったが、そんなこと関係なく読めたのでよかった。もともと、「この本を十全に楽しむためには、前作を読んでおいた方がいい」なんて作品は、それだけで駄作だと思っているのだ。シリーズものなんて、以前何があったかなんて、覚えていられない。
「交換殺人」という作品の仕掛けは面白かったので、メモしておこう。
交換殺人の約束を勢いでしてしまった男。
男が殺すはずの人間が、何ものかのよって殺された。
男はあせる。
交換殺人の相手は、男が約束を果たしたと思い込んで、殺人を遂行するのではないか。
でも、交換殺人の約束なんかしたことを男は後悔していたのだ。
こうなったら、殺人の真犯人をつきとめ、交換殺人によって自分が殺したのではないことを証明せねばならない。
名探偵の登場だ!
さて、真相はというと。
交換殺人の約束など、まったく嘘だった。
男は適当に人を殺し、新聞の報道で被害者の名前を知った上で、そいつに怨みをもつ人間と交換殺人の約束をした、と申告していたのだ。
しかる後に、自分の殺したい奴を殺しても、自分じゃなくて、その交換殺人の相手が犯人だと思われる、という仕掛けだ。
その企みを名探偵が見抜く手がかりが秀逸だ。
被害者の名前は、啓二郎。その父親は敬太、兄は敬一、弟は敬三。(はっきり名前覚えてないけど、だいたいこんな感じ)
あれ?と思わないか?それなら「啓二郎」じゃなくて「敬二郎」だろう!
新聞の誤記だったわけだが、見知らぬ人間を殺して交換殺人の約束をでっちあげた犯人にとっては、そんなことわからない。
新聞の誤記どおりの「啓二郎」で男が名探偵に話を持ってきたため、「こいつ、本当に約束したのか?」とバレてしまうのだ。
それでも、やはり人並みでない趣向もある。
ネタバレ平気なので、いやな人はこの後読まないこと。
本書に収められた4つの短編は舞台となった場所がほぼ同じで、このあたりに「白い幽霊」が出ると噂がたっている。
4作品とも、事件の解決に幽霊が一役買っているのだ。
幽霊を目撃した、という証言を、おまえさん、いつ聞いたんだね?という時間の前後関係から矛盾がつかれたり。
大騒ぎしているのに、ひとりだけその騒ぎに目を向けようとしない男がいる。彼はなぜそっちを見ることができないかというところから、推理がはじまるケースもある。彼は幽霊を見るのをおそれていたのだ。(そっちを見たら幽霊を見ちゃう、と思ったのだ。彼はそこで殺人を犯したんだから)
あと、名探偵が登場するが、ワトソン役の記述者が名探偵をうまく真相に誘導している、という設定にしている。
名探偵よりもその助手的人物が実は真相をつかんでいるのだ。
まるで名探偵コナンじゃないか。あの話、タイトルは名探偵コナンだけど、謎ときはコナンがしたという体裁をとっていないので、世間から見ればちっとも名探偵コナンじゃないのだ。
全然違う?そいや、そいや、そいや、そいや、そのとおり!
そういう設定が話に有機的に働いているわけではないので、いらない趣向なのだが、不要な趣向でも無いよりはマシか。
この名探偵木更津は『翼ある闇』という作品にも出て来た、お馬鹿な名探偵なので、シリーズものっぽい展開されたんではかなわない、と思ったが、そんなこと関係なく読めたのでよかった。もともと、「この本を十全に楽しむためには、前作を読んでおいた方がいい」なんて作品は、それだけで駄作だと思っているのだ。シリーズものなんて、以前何があったかなんて、覚えていられない。
「交換殺人」という作品の仕掛けは面白かったので、メモしておこう。
交換殺人の約束を勢いでしてしまった男。
男が殺すはずの人間が、何ものかのよって殺された。
男はあせる。
交換殺人の相手は、男が約束を果たしたと思い込んで、殺人を遂行するのではないか。
でも、交換殺人の約束なんかしたことを男は後悔していたのだ。
こうなったら、殺人の真犯人をつきとめ、交換殺人によって自分が殺したのではないことを証明せねばならない。
名探偵の登場だ!
さて、真相はというと。
交換殺人の約束など、まったく嘘だった。
男は適当に人を殺し、新聞の報道で被害者の名前を知った上で、そいつに怨みをもつ人間と交換殺人の約束をした、と申告していたのだ。
しかる後に、自分の殺したい奴を殺しても、自分じゃなくて、その交換殺人の相手が犯人だと思われる、という仕掛けだ。
その企みを名探偵が見抜く手がかりが秀逸だ。
被害者の名前は、啓二郎。その父親は敬太、兄は敬一、弟は敬三。(はっきり名前覚えてないけど、だいたいこんな感じ)
あれ?と思わないか?それなら「啓二郎」じゃなくて「敬二郎」だろう!
新聞の誤記だったわけだが、見知らぬ人間を殺して交換殺人の約束をでっちあげた犯人にとっては、そんなことわからない。
新聞の誤記どおりの「啓二郎」で男が名探偵に話を持ってきたため、「こいつ、本当に約束したのか?」とバレてしまうのだ。
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