仕事に行く前に上本町のフィネガンズウェイクに寄った。
カレイドスコープ協賛の無形工房作品展「乱反射回廊」
この店は引き出しバーで、僕もオープン以来自分の引き出しを持っており、時限爆弾アートを忍ばせている。
作品は引き出しの中に外に混在している。
僕のお目当ては3D担当の野中宏恵ちゃんの作品だ。人形の顔と指がぽろぽろと出ている。
引き出しの列が顔を持ち、手指を伸ばしてきた。しばらく来ないうちに、フィネガンズウェイクが生命を持って成長をはじめたかのようだ。ぶら下がって橙色に店内を照らす電球。歯の欠けたオルゴールが聞いたことのない音楽を奏でる。四方は漂流物で占められている。僕はピノキオが飲み込まれた鯨の体内にいるような錯覚に陥った。
中で語られる話は、およそ20年以上前のニューウェイブの話。
僕がかつて出入りしていたロックマガジンの話。
ピノキオの鯨の中での「ニューウェイブ」は「新しい波」であり、「ロック」は「岩礁」である。僕達はあの日、確実に海の中にいたのだ。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

日記内を検索