北村薫の『語り女たち』を読んだ。
いろんな女性が語る話を集めた態の短編集。ちょっといい話、ちょっと怖い話、ちょっと泣ける話、ちょっと可笑しい話、ちょっと不思議な話等々、全部で17編書かれている。
さすがに話がうまい。
「さんずい」に「鳥」の文字の名前の話とか、梅の木の生まれ変わりを探す老人の話とか、ありえない電車に乗ってあの世に行く父親の話とか、最初の設定が違うためにえらい違いになった走れメロスの話とか。
今まであまり気にしなかったのだが、伊坂作品などを読んでいると、文章にちりばめられた喩えに注意を向けさせられる。北村薫のこの本ではちょっと気のきいた喩えのオンパレードだった。うるさいくらいにオンパレードだ。
「遠近法の手本のように真っすぐに通った国道」(文字)
「わたしには、中学時代からの親友がいます。学生時代には、靴と足跡のように、いつもくっついて行動していました」(Ambarvalia)
「暗くなったおかげで、流れる螢の灯が見られました。細い筆の先に夜光塗料を含ませ、黒い布に遠い国の文字を書いているようでした」(夏の日々)
「誰もが一年経てば、一年分の年を、自分の体の上に加えて行く。透明と思えるシートでも、何十枚と重ねて載せれば、微妙な色合いを見せ、下の模様を隠すものだ」(体)
「不眠症にとっては、眠らないことが当たり前です。苦闘の末に、眠りの世界に入ろうとしても、不眠という名の獣が身を擦り寄せて来ます。ごごごごご…と遠く嵐のように鳴きながら、撫でつけられた心の毛並みを逆さに押し戻してくるのです」(眠れる森)
その他の気に入ったフレーズは、いつか会話で使って、気のきいた奴と思われるようにしよう。
ああ、でも、もうほとんど何が書いてあったのか忘れた。
いろんな女性が語る話を集めた態の短編集。ちょっといい話、ちょっと怖い話、ちょっと泣ける話、ちょっと可笑しい話、ちょっと不思議な話等々、全部で17編書かれている。
さすがに話がうまい。
「さんずい」に「鳥」の文字の名前の話とか、梅の木の生まれ変わりを探す老人の話とか、ありえない電車に乗ってあの世に行く父親の話とか、最初の設定が違うためにえらい違いになった走れメロスの話とか。
今まであまり気にしなかったのだが、伊坂作品などを読んでいると、文章にちりばめられた喩えに注意を向けさせられる。北村薫のこの本ではちょっと気のきいた喩えのオンパレードだった。うるさいくらいにオンパレードだ。
「遠近法の手本のように真っすぐに通った国道」(文字)
「わたしには、中学時代からの親友がいます。学生時代には、靴と足跡のように、いつもくっついて行動していました」(Ambarvalia)
「暗くなったおかげで、流れる螢の灯が見られました。細い筆の先に夜光塗料を含ませ、黒い布に遠い国の文字を書いているようでした」(夏の日々)
「誰もが一年経てば、一年分の年を、自分の体の上に加えて行く。透明と思えるシートでも、何十枚と重ねて載せれば、微妙な色合いを見せ、下の模様を隠すものだ」(体)
「不眠症にとっては、眠らないことが当たり前です。苦闘の末に、眠りの世界に入ろうとしても、不眠という名の獣が身を擦り寄せて来ます。ごごごごご…と遠く嵐のように鳴きながら、撫でつけられた心の毛並みを逆さに押し戻してくるのです」(眠れる森)
その他の気に入ったフレーズは、いつか会話で使って、気のきいた奴と思われるようにしよう。
ああ、でも、もうほとんど何が書いてあったのか忘れた。
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