シオドア・スタージョンの『不思議のひと触れ』を読んだ。大森望編による短編集。1938年のデビュー作『高額保険』から1961年の『タンディの物語』まで。
作品中で興味をひいた部分を列挙してみよう。
不粋を承知で、ありがちな感想もつけてみる。
『閉所愛好症』では「異類恐怖症」(ゼノフォビア)を人類の病としてとりあげている。よそものを排除するとは、身内で固まるということである。その身内の枠は「がんばれニッポン」の国であったり、「まるごと○○県」の地方、会社、母校、家族いろいろあるが、それら身内を守る=よそもの排除が古来、悲劇の歴史を綴ってきたのは言うまでもない。イラク空爆も、キリスト者によるマラソン妨害も、ここに根を持っている。
作中人物は、人類は神経症的だという。「つねに不安定で、不満と不安と不条理を抱え込み、同胞に対する攻撃性をたっぷり宿している。つねに攻撃を予期し、誤解されることを恐れ、鳥のように空を飛びたい衝動とモグラのように地中に潜りたい衝動とのあいだでいつも揺れ動いている」まさにその通り。この作品ではこの後「いったいどうしてこんなことになってるんだと思う?」と問いがなされ、それに解答が与えられる。気になる人は読んでみてください。
そして、核戦争後のアメリカを描く『雷と薔薇』もブッシュに読ませたい作品だ。先制攻撃や、軍備そのものに対する強烈な批判を読み取ることができよう。
『孤独の円盤』は円盤を目撃した女性が野次馬や国の組織などに追いかけまわされる話。彼女が円盤から受け取ったメッセージは、誰も理解しようとしないのだ。この作品を読んで思ったのは、例の和歌山カレー事件だ。決定的な証拠もないのに、最初から犯人扱いしてないか?彼女のメッセージに耳を傾けようとした人がどれだけいたのか。実際に彼女が犯人なのかどうか以前に、周囲で騒ぐ奴らの醜悪ぶりが鼻につく。
さて、この本は全体的に優しい話が多かった。癒されもする。でも、この本を読むべきなのは、疲れているマイノリティではなく、メジャーにあぐらをかいて安寧をむさぼる鈍感な輩なのだが。
作品中で興味をひいた部分を列挙してみよう。
不粋を承知で、ありがちな感想もつけてみる。
『閉所愛好症』では「異類恐怖症」(ゼノフォビア)を人類の病としてとりあげている。よそものを排除するとは、身内で固まるということである。その身内の枠は「がんばれニッポン」の国であったり、「まるごと○○県」の地方、会社、母校、家族いろいろあるが、それら身内を守る=よそもの排除が古来、悲劇の歴史を綴ってきたのは言うまでもない。イラク空爆も、キリスト者によるマラソン妨害も、ここに根を持っている。
作中人物は、人類は神経症的だという。「つねに不安定で、不満と不安と不条理を抱え込み、同胞に対する攻撃性をたっぷり宿している。つねに攻撃を予期し、誤解されることを恐れ、鳥のように空を飛びたい衝動とモグラのように地中に潜りたい衝動とのあいだでいつも揺れ動いている」まさにその通り。この作品ではこの後「いったいどうしてこんなことになってるんだと思う?」と問いがなされ、それに解答が与えられる。気になる人は読んでみてください。
そして、核戦争後のアメリカを描く『雷と薔薇』もブッシュに読ませたい作品だ。先制攻撃や、軍備そのものに対する強烈な批判を読み取ることができよう。
『孤独の円盤』は円盤を目撃した女性が野次馬や国の組織などに追いかけまわされる話。彼女が円盤から受け取ったメッセージは、誰も理解しようとしないのだ。この作品を読んで思ったのは、例の和歌山カレー事件だ。決定的な証拠もないのに、最初から犯人扱いしてないか?彼女のメッセージに耳を傾けようとした人がどれだけいたのか。実際に彼女が犯人なのかどうか以前に、周囲で騒ぐ奴らの醜悪ぶりが鼻につく。
さて、この本は全体的に優しい話が多かった。癒されもする。でも、この本を読むべきなのは、疲れているマイノリティではなく、メジャーにあぐらをかいて安寧をむさぼる鈍感な輩なのだが。
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