高木彬光の『裂けた視覚』を読んだ。1969年
以下、目次
第一部 虚像の死角
第二部 魔の偶像
第三部 勝負の映像
連作の形をとりながら、通して読むと1つの長篇になるミステリー。なるほど、新機軸、とも思えるけど、シリーズものの1つのパターンである。
事件を解決するのは、新聞記者の佐々木進一とその先輩、山西誠。山西は、同じことをくりかえして粘るために「クレイジーLP」とあだ名されている。
1部はオール・アメリカン・エアラインズという航空会社係累の会社による、海外での日本人向けホテル建設にかかわる詐欺事件。
2部は仏像のレプリカを販売する詐欺事件。
3部は小豆相場に関わる殺人事件。
社会派のミステリーではあるが、本格のにおいがするあたりが、面白い。
なお、この本は中学時代に散髪屋に持って行って、髪の毛を切ってもらいながら読んだもので、再読になる。案の定、中学生の頭には何も入っていなかったようで、まるっきりの初読の気分だった。中学生だった頃の自分のカットされた毛髪もページのあいだから1本見つけて、懐かしい思いがした。
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