Dr.パルナサスの鏡2010年2月1日 映画

Dr.パルナサスの鏡
Dr.パルナサスの鏡
映画の日。テリー・ギリアム監督の「Dr.パルナサスの鏡」を見た。
現代の話とは思えない古めかしい馬車での見世物「イマジナリウム」。(中世の図像学などに影響を受けたらしい)
鏡の中に飛び込めば、その人の想像力の世界がひろがっている。
それは齢1000才になるパルナサス博士の力によるものなのだ。(このときの想像力、映像はテリー・ギリアム節が全開で楽しい!)
パルナサス博士はかつて悪魔と取引をした。恋した女性にアプローチするために若さを得るかわりに、生まれた娘を16才になると悪魔に引き渡す、そんな古典的な約束を。
と、いうわけで、世間的にはヒース・レジャーの遺作で、鏡の中に入った彼を演じるのがジョニーデップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルという、いかにも映画ファンの女性をひきつける餌がぶらさげられた作品だった。ジョニー・デップが若くして死んだスターは永遠の命を得る、というセリフを言ったり、鏡の中の3人は出演料をヒースの娘に贈ったとか、その手のエピソードにはことかかない。客席もそんなハンサム男優目当ての女性が多くて、エンドロールがはじまるとためらいもなく外に出て行った。僕がまだ席に座って見ているというのに、その前を直立で「もう映画終わったんだからスクリーンをさえぎってもいいでしょ」といやがらせするように歩いていた。しかし、その手の話題で女性ファンを掴まないと、客が呼べないので仕方がないのである。
でも、もちろん僕にはそんな男優たちの魅力以上に、テリー・ギリアム映画の魅力にどっぷりと浸ったのである。
ちくりと刺す批判精神も面白かった。たとえば、小人のパーシー(ミニ・ミーのヴァーン・トロイヤー)を呼ぶときに素直に「こびと」と呼べずに身長の云々と言い換えをしようとあくせくするさまとか。ロシアの暗殺者に対して、暴力を思う存分ふるいたいなら、警察に入れ、と歌い踊るミュージカルシーンがあったり。世界中の恵まれない子供たちを救うと称して、内臓売買を行なっていたり。
悪魔(トム・ウェイツ)が意外と悪に徹しているわけではない存在で、むしろ親しみとユーモアを感じさせるのも面白い。
また、パルナサス博士を演じたクリストファー・プラマー(えっ、80才?)がまるでヴァン・ホーエンハイムのように見えたのも面白い。リアルパルナサスだ。近所の路上に暮らしている多くのパルナサス博士たちに対する認識もちょっと変わった。
娘を演じたリリー・コールは演技はさておいて、天上の可愛さ、美しさが時代を越えて、20世紀初頭の銀幕をほうふつとさせた。このリリー・コール、マリリン・マンソンが監督したルイス・キャロル映画「ファンタスマゴリア」にも出演しているらしい。それを一刻も早く見たい!

(追記)
この映画、最後の最後に粋な趣向がある。
エンドクレジットも終わって、あとは場内が明るくなるだけ、というその瞬間!
えっ?ヒース?
ヒースが甦った?
ヒースが生きている?
しかも、今、この劇場内にいる?
まさにうれしさに大喝采の瞬間。

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